新潟スマイルファームが描く未来「事業成長に寄り添うウェブ活用」でお客さまの利益向上に貢献したい
多くの企業が抱える「事業成長のためにウェブをどう活用すべきか」という課題に、スペシャリストの視点から多角的な解決策を提供する株式会社スマイルファーム。驚いたことに、はじまりは米のネット通販でした。今回は代表取締役の安達里枝(あだち りえ)さんに、起業から今日(こんにち)までの経緯や、新規プラットフォーム事業で目指す会社の未来像についても伺いました。
3kgのお米を5000円で売るには? マーケティング視点から始めたウェブ事業
起業しようと思ったきっかけを教えてください。
前職は商社で、営業や経理、人事などを担当していました。起業のきっかけは、2008年に長男を出産したことです。会社勤務はある意味、自分の時間を切り売りすること。仮に、自分の時間を費やした結果得られる価値を10とした場合、起業によって100にも1000にもできるのではないかと考えました。そうすれば、限られた自分の時間を子育てなどに有効に使えるだろうと思ったんです。それから約1年後の2009年12月にスマイルファームを立ち上げました。
創業前からウェブ事業の展開を考えていたのですか?
いえ、ウェブ事業に特化したのは創業後です。最初は、お米のネット通販を行いました。お米のネット通販はすでに苛烈な価格競争が繰り広げられるレッドオーシャンでしたが、3kgのお米に付加価値を付けて5000円で売るにはどうしたらいいかと考えました。そこで、出産の内祝いに赤ちゃんの体重と同じ重さの新潟米を詰めた「出生体重米」というギフト商品を販売することにしたんです。
なぜ米を商材に選んだのでしょうか?
私は新潟の兼業農家に嫁いだので、売れるものとしてまずお米があったんです。加えて、子育て中のママであることや、地元の農家が食べているお米のおいしさに感動したことなど、自分の背景を最大限に生かして強みに変えたかった。そこでお米のギフトが最適だと考えたわけです。
使用している米は「特別栽培米」という減農薬・有機肥料で栽培されたお米。当初はこの「特別栽培米」ならいけると考えました。しかし「出生体重米」としての真の価値は「特別栽培米である」ということではなく、「出産というその子にとって一生に一度のメモリアルにふさわしい、特別な記憶に残るものを贈り、かつ先方に喜ばれる」ことでした。
ニュースバリューがあったのか、各メディアで取り上げられ、広告費を一切かけずとも売れていきました。これが実績となり、商品開発やマーケティングを含めたウェブ制作のご依頼をいただくようになったんです。
御社のウェブ事業はマーケティングから始まったということですね。
ウェブサイトは、作っただけでは“ひよっこ営業マン”と一緒。“売れる営業マン”にしようと思ったら、改善改良を繰り返して、ウェブサイトを育てていく必要があります。その根拠となるのは、実際のデータしかありません。そのため、正確なデータ分析ができるように「ウェブ解析士マスター」や「グーグルアナリティクス個人認定資格」(GAIQ)などの資格を取得していきました。
プランニングから事業ゴールまで一気通貫でサポート
現在の事業内容について教えてください。
ウェブサイトやウェブプロモーションの企画立案から、デザイン、コーディング、集客施策や改善のためのコンサルティング、事業成長と運用、解析までをワンストップで提供しています。運用しながら分析し、改善しながら成功に導く責任をもってやっています。
具体的にはどのような事例がありますか?
たとえば、自動車教習所のサイトリニューアルでは、顧客体験の設計を見直して売り上げ増加につなげることができました。約2週間の滞在中に免許を取得する「合宿免許」を行っているのですが、生徒さんたちからの評価が非常に高く、「ここに来てよかった」という声がSNSにたくさん上がっていました。
そこでSNSの投稿をサイトに埋め込む、いわゆるUGC(ユーザー・ジェネレーテッド・コンテンツ)※を活用して、サイト内で効果的に見せる工夫をしたんです。その結果、教習所へ直接入校の申し込みをされる方の割合が約300%増えました。
※SNS投稿など写真や動画など一般ユーザーによって作成・発信されたコンテンツ
驚異的な数字ですね。クライアントの反応はどうでしたか?
この事例では、直接申し込みの数が圧倒的に増え、その後も右肩上がりで伸びているので、お客さまにとても喜んでいただけました。口コミを上手に活用する仕掛けが、数字として表れているのだと思います。
継続的な利益を生み出す仕組み作りが御社の強みということですね。
そうです。たとえば、大手のように多額のプロモーション費をかけられるわけではないけれど、大手に勝るとも劣らない商品を作っている中小企業が事業を拡大していくためにはどうすればいいか。それはお金の使い方を最適化することだと思うんですね。
マーケットを刺激するにはある程度の投資は必要ですが、その後もっと顧客エンゲージメントを高めるためには、お金をかけなくてもできることがあります。事業全体を俯瞰(ふかん)し、細かな施策はどうあるべきか、お金やリソースをどう分配すればいいかなど、サイト制作だけにとどまらず、繰り返しになりますが、事業成長のためのウェブ活用をプランニングから運用・改善まで一気通貫で提供できるのが当社の強みです。
仕事をするうえで大切にしていることはありますか?
成果に向き合い続ける覚悟を持つことです。サイト制作や最低限の保守・更新を行う制作会社は多いのですが、ウェブから利益を生み出すところまでお客さまの事業に寄り添う会社は意外と少ないんですよね。そういうわけで「スマイルファームに頼むとこんなにいいことがあるよ」という話が広がり、次の仕事につながってきたのだと思います。マーケティングやアクセス解析など、ウェブに関するあらゆる知見を駆使しながら、目に見える数字を上げてお客さまの利益に貢献する。それこそが当社の価値だと考えています。
生産者と外食産業をつなぐプラットフォームでIPOを目指す!
これからどのようなことに注力したいとお考えですか?
私が農家の嫁ということもあるのですが、これまで当社は農業に関係のある案件も多く、生産者に直接関わって支援できる方法はないものかと考えてきました。そこで生産者と外食産業をマッチングさせるプラットフォームとして「フレマル」というウェブサービスを作りました。さらにアプリを開発して事業展開します。こちらは本番環境でのテストを終えて、もうすぐローンチされる予定です。
どのようなアプリなのか、具体的に教えていただけませんか。
農産物のロスをなくして、生産者がきちんと付加価値を付けてマネタイズできるようにする仕組みが「フレマル」です。アプリに生産者自ら農産物を簡単に出品できるので、ロスをなくせますし、適切な価格で値付けもできます。一方、外食産業の方は、鮮度が高くおいしい農産品を安く仕入れられます。 自然を相手に仕事をしている生産者は、台風や雹(ひょう)などで被害を受けた年は、収穫ができたとしても規格外品となり、出荷できず、想定した収入を得ることができません。 しかし規格外品といえども、調理して提供するには全く問題のない農産品ですから、生産者と外食産業の、双方にメリットのある仕組みというわけです。このプラットフォームで、食材に対する世の中の価値観を少しずつでも変えていきたいですね。
5年後の会社像はどのようにイメージしていますか?
今後は農産品だけでなく、金属加工で有名な燕三条の特産であるキッチンウェアや厨房用品などもクロスセルで売り上げや認知度をアップさせて「フレマル」を食に関わる総合商社のようなプラットフォームに育てていきたいです。
その先に私が目指しているのは新規株式公開・IPOです。田舎で3人の子供を育てながら起業したおかあちゃんがIPOを達成したら、世の中をちょっとビックリさせることができるかな、なんて思っています(笑)。
今後、一緒に働くウェブクリエイターにはどんなことを求めますか?
お客さまに対して逃げずに向き合うモチベーションを持ち続けることですね。それは、お客さまの要望どおりのことをして100%応えていくことではなく、こちらの考え方も加えて120%で返せるかどうかということです。
お客様の要望に付加価値を付けて提案するためには、自分自身のスキルに自信を持ち、たくさんの引き出しを用意しておかなければいけません。日々の仕事もきちんとクオリティーをキープして、常に品質保証ができる状態にしておくことが必要です。クリエイターとして生き残るためには、そういった姿勢が大切なのではないでしょうか。
多くの会社の事業において、ウェブは一つの歯車に過ぎないかもしれません。しかしその歯車は、事業を牽引する大きな存在にもなり得ます。ウェブクリエイターの方にはそういう希望や夢を忘れず、真摯(しんし)な姿勢で仕事に向き合い続けていただけたらうれしいですね。
取材日10月27日 ライター:小泉 真治
株式会社スマイルファーム
- 代表者名:安達 里枝
- 設立年月:2009年12月 / 2013年4月1日株式会社に組織変更
- 資本金:300万円
- 事業内容:ウェブサイト制作・ECサイト構築・運営代行・コンサルティング・インターネット広告代行・ウェブ関連セミナー講師・セミナー事業の開催など
- 所在地:ヘッドオフィス 〒959-1383 新潟県加茂市旭町15番28号
- 電話番号:0256-47-1950
- URL:https://smile-farm.co.jp
- お問い合わせ先:上記URLの「お問い合わせ」より