グラフィック2020.12.09

生活者視点で社会の問題解決に寄与したい

京都
株式会社ルーフ 代表取締役社長 / 常務取締役・プランナー
Masanori Onishi / Sachiyo Nakajima
大西 正則氏 / 中嶋 幸代

「おいしいくらしをデザインする、企画デザインカンパニー」を掲げる株式会社ルーフは、フードプランニングとくらしマーケティングの2軸で、ビジネスにおける課題解決と生活者視点の「売れるしくみ」作りを提供しています。今回は、代表取締役社長の大西正則(おおにし まさのり)さんと常務取締役の中嶋幸代(なかじま さちよ)さんにお話しを伺いました。

生活者の気持ちに寄り添う

会社設立についてお聞かせください。

大西さん:

「株式会社きかんしエムエス」から、プランニングとデザインに特化した社内カンパニーとして2007年に設立しました。ルーフは当初、私を含めて3人だったのですが、現在はプランナー、ディレクター、デザイナーの10人が所属しています。

お仕事内容を教えてください。

中嶋さん:

流通小売業様のお仕事を中心に、食に特化した広告宣伝・広報を専門としています。具体的な業務は、商品のセールスプロモーションやチラシ・カタログなど紙媒体の制作、店舗用のポップや組合員募集ツール作成、WebサイトのデザインやSNSプロモーションなど多岐にわたります。

プロモーションでは、グループ会社である株式会社ウィッシュの管理栄養士やフードコーディネーターと一緒にレシピ開発からスチールや動画の撮影までも含めたプランニングとディレクションを行います。

ホームページにある「くらしマーケティング」とはどのようなものですか。

中嶋さん:

端的に言いますと、女性を対象とした食や生活に関するマーケティングと、それに基づいて「売れるしくみ」を生み出すことです。食に関わるエンドユーザーは女性の割合が高いので、女性の意識や行動を考えながらプランニングすることが肝要です。

女性のライフコースを非婚就業型や専業主婦型、育児をしながら仕事をする両立型など13に分類し、Webアンケートやインタビューを行い、分析します。女性の生き方・働き方は年々多様化し、これまでのセオリーに当てはまらないことも増えていますので、細かく調査をして、プランニングに反映しています。首都圏だけでなく関西圏の生活者のくらしの調査も行っています。

実際、男性と女性の消費行動には、どのような違いがありますか。

中嶋さん:

商品を選ぶ際、男性はスペック、女性は「その商品を使っている自分を想像できるか」が決め手となります。女性へ訴求するためには、料理の盛り付け写真を例にすると、美しさよりも「私にもできそうだな。チャレンジしてみようかな」と思ってもらえるような、身近に感じ、共感できるクオリティを目指すことがポイントです。

生活者の気持ちに寄り添うことが大切なのですね。

中嶋さん:

そうですね。エンドユーザーからダイレクトに届く意見や感想を真摯に受け止め、次のプランニングに生かしています。同じ女性でも年齢や地域によって嗜好(しこう)が異なるので、ターゲットに合わせたプランニングや制作を心掛けています。

中嶋さんが入社されたきっかけを教えてください。

中嶋さん:

入社前、7年ほど専業主婦をしていましたが、第3子が2歳になったタイミングで再び働きたいと思い、2004年にアルバイト採用のプランナーとして「きかんしエムエス」に入社しました。

当時の直属の上司が結婚・子育てを経験している方で、私の状況を理解してくれて、とても働きやすい環境でした。その後、嘱託社員を経て正社員となり、当社に異動しました。

大西さん:

当時、プランナーの部署では、その女性社員が初めて育児休暇を取得し、職場復帰を果たしました。彼女が、育児をする女性の働きやすい環境を整えてくれたのです。

今後も女性管理職の登用を積極的にされるのでしょうか。

中嶋さん:

そうですね。クライアントから女性プランナーを希望されるなど期待が大きかったりしますので、女性が活躍できるように環境と制度を整えて、女性の管理職を増やしていきたいと考えています。

クライアントの先にある、生活者の課題を解決

これまでに教訓となった出来事がありましたら教えてください。

中嶋さん:

「顧客信頼創造」がグループ会社全体のビジョンなのですが、目の前のクライアントを喜ばせること「顧客満足の向上」にとどまっていた時期がありました。顧客熟知は重要ですが、クライアントと同じ目線であることが私たちに求められているのではありません。クライアントの課題解決とブランディングを第一に、その先のお客さまである「生活者」が持つ課題、ひいては社会の課題をつかみ、解決することが顧客信頼創造につながると、今は理解しています。

この経験がきっかけとなり、共感だけではなく、誰もが納得できるプランニングができるようにと、マーケティングに力を入れるようになりました。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、仕事上での変化はありましたか。

中嶋さん:

プランニングやデザイン業務は在宅でもある程度対応できるので、大きな影響はなかったのですが、クライアントの状況によって仕事量の変動はありました。

コロナ禍を機に、生活者の「おうち時間」に対する意識が高まっています。そこに向けて情報訴求をしていきたいのですが、情報に対して敏感になっているので、例えば、以前の生活スタイルに戻ろうとするのか、それとも新しい生活スタイルに変化したいのか注視しながら、生活者の感情に沿った表現方法で効果的に提案していきたいです。

個性が強みのプロフェッショナルへ

これからの展望を教えてください。

回答者:

女性マーケティングを軸に、クライアントの事業を通じて、生活者とりわけ女性が幸福になる社会づくりに貢献することを、ミッションとして取り組んでいきたいと思います。

お二人が感じておられる御社の強みは何ですか。

大西さん:

グループ会社全体の男女比は「4:6」と女性社員が多く、女性が働きやすい、勉強しやすい環境であることが強みです。ただし、バランスも大事なので、この比率をキープしていきたいですね。

中嶋さん:

当社は性別を問わず、育児や家事をしている、生活実感のあるスタッフが多いです。つまり課題を自分に引き付けてアウトプットできる、リアルな生活者目線を持っていることが強みです。だからこそ、生活実感を得るための、料理をする時間や食べる時間など、プライベートな時間を持てるように業務の調整をしていくことが目下の課題です。

大西さん:

女性が働きやすいということは、男性も働きやすいということ。性別や結婚の有無にかかわらず、社員皆が働きやすい制度と環境を整えていきたいと思っています。

クリエイターやクリエイターを目指している方にメッセージをお願いします。

中嶋さん:

クリエイティブの仕事に就いている方や希望している方は、ご自身のやりたいことがはっきりとしていると思います。それはどんな時代であっても大きな強みです。ぜひ、その強みを尖らせて社会で活躍してほしいです。個性が強みに、強みがプロフェッショナルの道へとつながることが理想ですね。

大西さん:

当社も今期は、個性を強みに変えようと社員へ伝えています。

取材日:2020年10月13日 ライター:小西 凛

株式会社ルーフ

  • 代表者名:代表取締役社長 大西 正則
  • 設立年月:2007年9月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:料理撮影、料理動画制作/カタログ、チラシ、ポスターなどの企画・制作・印刷/店舗ツールの企画制作/広報・機関紙制作フードプロモーション・販促サポート/店舗プロデュース/アウトドア、インストアプロモーション企画/フードイベント企画・運営/メニュー開発/管理栄養士による監修、ライティング/料理家、フードスタイリスト、カメラマン派遣/生産者、産地などの取材およびライティング/市場調査、データ収集・分析、マーケティングサポート/Webアンケート・モニタリング調査など
  • 所在地:〒601-8205京都府京都市南区久世殿城町330-1
  • URL:https://www.office-roof.co.jp
  • お問い合わせ先:TEL075-935-4113 FAX075-935-4055

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