「自ら考え学び行動する」社員力が会社と未来を創る会社ファノーヴァ
宮城県仙台市で2019年6月に起業し、通信事業・ホームページ制作など多彩な事業を展開するファノーヴァ合同会社。代表社員の加藤健太(かとう けんた)さんは、平均年齢23歳という若手社員たちの自主・自立を重んじながら精力的に仕事を進め、1年足らずで黒字経営に転じました。加藤さんの起業までのキャリアや独自の経営理念、今後の目標について、新拠点のJR仙台駅前オフィスでお話を伺いました。
美容師を辞めて25歳で最初の会社を立ち上げる
会社を立ち上げるまでのキャリアを教えてください。
小・中・高と勉強が嫌いで、自由な職業に就きたいと思い、通信教育で理容師の免許を取り、18歳から24歳まで美容師をしていました。25歳という節目のタイミングに美容師を辞めて、小学校のセキュリティシステムを運営する会社を立ち上げ、30歳くらいまで北海道で仕事をしていました。そのセキュリティシステムは、当時の北海道では時期尚早でしたが、他の人に経営を引き継いで、今は25校くらい運営しています。
その後、4年ほど家電量販店で営業をしました。ちょうど、さまざまなサービスを展開する大手企業がモバイル事業を立ち上げるときで、販売契約数が全国一位を何度かとったことから、販売のノウハウを広めてほしいと言われて全国を回り、現地スタッフの管理や指導、店舗との交渉など、マネージャー的なことをしていました。
その企業でお世話になっていた方が退職したこともあり仕事を辞めて、何をやろうかと思ったとき、同じ仕事をしていたスタッフ数名と一緒に会社を設立することを決めました。
お父さまが会社を経営されていたそうで、以前から起業に興味があったのでしょうか。
僕が中学か高校くらいのときに、父が一人で会社を立ち上げましたが、その影響というよりは、「あれをやれ、これをやれ」と人に使われるのが嫌で、会社を起こす方が合っていたのかもしれません。
起業しようという意思があったわけではありませんが、人をマネジメントする経験をさせてもらい、積み重ねてきた販売ノウハウもあったので、「会社をやってみるか」という軽い気持ちでスタートしました。
会社の事業内容について教えてください。
メインは、セールスプロモーションとパートナー事業です。両方とも全国のショッピングモールやスーパーなどの販売イベントで通信商材を販売する仕事ですが、セールスプロモーションは弊社が主になって販売活動すべてを取り仕切り、パートナー事業はパートナー企業と協力して販売活動のみを行います。
他に、ホームページの制作と更新、アプリや動画、SNS広告やバナーの制作、名刺やチラシ、DMなどの提案や制作も行っています。
お客さまを思って価値を提供し格安でホームページを制作
セールスプロモーション事業とクリエイティブ事業の共通点はありますか。
セールスとは、人と人の関係がうまく調和したときに仕事として成立します。商品を売るのではなく、商品の価値を売ること。社員には「お客様との生の触れあいを大事にして、会話のキャッチボールをして、話を聞きだし、ライフスタイルに合った提案をしなさい」と話しています。
ホームページ制作も同じで、人の思いをくみ取らないといい仕事はできません。お客さまの求めている潜在的なニーズを聞きだして相手に合った提案をし、アフターフォローなど、人との関わりを大事に進めています。
ホームページはかなり格安で制作されていますが……。
ホームページの制作には、定価も相場もありません。弊社は、ワードプレスで制作しているので、作業は基本的にシンプルです。写真などの素材をお客さまからご提供いただくと、経費も時間もあまりかからないので、特別な要望がない場合は格安料金でご提案しています。予算内で満足していただけるものができるのが一番だと思います。
今は、お店や会社は「ホームページはありますか?」と聞かれるのが普通になり、ホームページを持たないとどうしても社会的な信用度が低くなります。弊社では、安い値段でホームページ制作のハードルを下げ、忙しくて手が回らない更新・管理も一般的な費用の半額以下におさえています。
ホームページ制作の営業は特別なことはしていません。ホームページを作って検索にヒットしやすくなるように工夫したり、大量に送ったメールを見た方にお問い合わせいただいたり、たまたまお付き合いがある会社やお店に「作って」と依頼されることが多いです。そこから、名刺やアプリ、チラシ、パンフレットと紙媒体と仕事に広がることもあります。例えば、商店街の応援サイトや毎月のチラシなどにもつながっていきました。
会社を設立して1年半で黒字に成長したのは、何が良かったと思いますか。
1年目は「名前も知られていない、実績もない、仕事もない」で大変でした。たくさん失敗もしましたが、小さいことを一生懸命積み重ね、たくさん量をこなして頑張ったことが少しずつ認められ、2年目に入って徐々に仕事の量も単価も上がり、自分たちも驚いています。
ホームページ制作は昨年11月から始めて1年弱になりますが、15社ほど制作し管理しています。一度頼まれたら長くお付き合いいただけるように、誠実に取り組んでいます。
社員はたくさん失敗しながら自由に仕事をしてほしい
社員の平均年齢が23歳くらいとお聞きしました。社員の育成、教育方針はどのようにされていますか。
現在、従業員は9人で、全員が正社員です。会社の設立時からいる社員は、「会社を大きくしたい」という志を持って入社しているのでモチベーションが高く、どの携帯会社のイベントに呼ばれても全部対応できますし、どこの会社に入ってもトップクラスになれると思います。
もちろん最初からできたわけではなく、変わり始めたのは今年に入ってからです。「お金をもらうには何をするべきか、何が足りないか、自分でできることを探してやりなさい」と言い続け、本人が変わり始めると仕事がたくさん入るようになりました。
厳しい採用基準もなく、特別な教育や指導もしません。課題は一切与えないので、仕事を依頼したら自分で探して、自分で調べて、勉強してもらいます。「出来る・出来ない」は本人次第。何でも与えられてきた若い子には、自走が苦手な人もいます。「何をすればいいですか」「何も教えてくれない」と言う人は、うちの会社は向いていません。やる気と根性で、自主性を身に付けてほしいと思います。
社員にはどのようになってほしいとお考えですか。
数字的な目標はありますが、やり方は指示しません。やるべきことをやれば、遅刻しても早く帰ってもかまいません。上下関係はないので、僕のことは「加藤さん」と呼び、社長と呼ぶ社員はいないし、かしこまった敬語も使いません。
「自由にやりなさい」がモットーです。自由にやってもらって、もし何かあったときには責任はとります。怒ったこともありません。失敗は成功のもとだから、たくさん失敗して、失敗から学んでほしいと思います。
社員が「こんな仕事がしたい」と意見を出してくれることは歓迎します。経費をどの位かけていつ回収できるか、まで説明できれば、投資もしてバックアップします。今のところはいませんが、そういう提案を出来る社員が出てくればいいと思います。
数年後、社員が「入って良かった」と思うグローバルな会社にしたい
失敗は成功のもと、いい言葉ですね。
失敗をたくさんしたので、何をやるべきかが分かってきています。いろいろな事業をやって、結果が出ないと思ったら見極めを早くし、スピード感をもって進めていきたいです。会社を立ち上げたことが成功かどうかはわかりませんが、この状態が5年続いたら成功といえるのかもしれません。
皆で頑張って全体の売り上げを伸ばさないと、一人で頑張ってもうまくいきません。このまま業績を伸ばして、社員に還元したいと思います。従業員には、「数年後に『この会社に残って良かった』と思う会社にしようね」と言っています。
御社が目指すビジョン、展望を教えてください。
社員は少数精鋭で、増やすつもりはありません。ホームページの制作はAIがしてくれる時代になりつつあり、弊社では今「素材をもらって自動的に最適なページを提案できるAIシステム」を準備しているところです。
また、日本の仕事をこなしながら海外に本社を移すことを計画しています。香港で検討していて、「遅くとも来年の4月までには行動に移そう」と考えています。夢は、世界各国に拠点を作ることでしょうか。
起業を目指すクリエイターにメッセージをお願いします。
起業するには、根性が大事だと思います。初めから順調にお金が入ってくることはないですし、最初の1年は、自分の給料が出ないくらいの覚悟は必要かもしれません。そして、社員にも言っていますが、人との関わりを大事に。一度関わった人との小さい付き合いをコツコツ重ねていくと、大きく実になることがあります。お客さまのことを思って役に立てる仕事をしてほしいと思います。
取材日:2020年10月26日 ライター:佐藤 由紀子
ファノーヴァ合同会社
- 代表社員:加藤 健太
- 資本金:120万円
- TEL:022-739-7268
- FAX:022-739-7269
- 所在地:
本社:宮城県仙台市青葉区小松島2丁目24−3 アスール小松島102
仙台駅前オフィス:宮城県仙台市青葉区花京院1丁目2−15 Solala Plaza3F - URL:https://funova-llc.com/
- Twitter:@funovallc