地方の発信力強化を支援し、事業を通じて地方の盛り上げに貢献したい
2020年11月に、自社独自のインスタグラム運用代行サービス「インショクグラム」を軸としてスタートを切った「OneWay(ワンウェイ)株式会社」。ユニークなサービスの詳細や地方都市・仙台で事業実現するまでの経緯と思い、これからの展望などについて、代表の比嘉庸貴(ひが やすたか)さんにお話を伺いました。
語学留学で世界の広さを知り、オーストラリアの大学に進学
事業スタートまでの来歴を教えてください。
仙台の出身で子供の頃から高校生まで野球に没頭して過ごしていました。高校では、甲子園にも行くことができ、実は大学にも野球で推薦入学が決まっていたんです。ところが、卒業を間近にした2月にフィリピンに語学留学に行ったことで、世界の広さを知って、一刻も早く世界に出たい思いが強くなり、野球は高校まででやり切った感覚もあったので、英語を1年半集中的に勉強して、オーストラリアの大学に進学しました。
大学在学中に起業されたそうですね?
日本の商学部経営学科に該当するところで経営学全般を学び、在学中からビジネスを始めました。ちょうどインスタグラムが飛躍的に伸び、インフルエンサーマーケティングなどが注目されている時期に、周りで実際のビジネスを始めていた方のインスタグラムなどのSNSを中心としたマーケティング全般の支援を行っていました。
洋服やアクセサリーを海外で買い付けて、日本で販売するネットセレクトショップを展開されていた方の支援では、インスタグラムの運用を代行することで数万単位のフォロワーがつき、インフルエンサーの地位も獲得。売り上げにも大きく貢献できました。
他にも、沖縄で手作りのキャンドルの販売をされている方のインスタグラムを数千人単位のフォロワーがついたアカウントに成長させるなど、オーストラリアにいながら日本の方のビジネス支援に携わっていました。また、飲食業にも興味があり、オーストラリアでラーメン屋の立ち上げにも携わりました。
ニューヨークでもビジネスをされていたそうですね。
ある時、ふとしたご縁でお会いした投資家の方から、「ニューヨークでラーメン屋を開きたい」という話を受け、その場で「私がやります。できます」と答えて、ニューヨークでラーメン店のCEOとして経営を任せてもらうとともに、別方向から銀座でカフェの立ち上げの話をいただき、2年間はニューヨークと東京を行ったり来たりする生活でした。
軌道に乗ってはいたのですが、2020年に入りコロナ禍が深刻化し、3月にオーナーが撤退を決めたことで、日本に帰国。そこから、地元の仙台で何か新しいサービスを作りたいと思って、思い至ったのが「インショクグラム」です。
培ってきたビジネス経験を生かす独自のサービス「インショクグラム」
展開されている独自サービス「インショクグラム」の詳細を教えてください。
飲食店に特化したインスタグラムの運用代行サービスになります。毎日投稿はもちろん、プロのクリエイターが質の高い画像、動画を作成。リプライにまで対応する完全運用代行のパッケージで、月額5万円のサブスクリプション型サービスです。
まだ2020年11月に始めたばかりでベータ版の段階ですが、3社にご利用いただいており、おおむね好評をいただいています。改善すべきところなど煮詰めて完成度を高めて、2021年1月に正式サービスをリリースしました。
比嘉さんの今までの経験がフルに生かされた内容ですね。
そうですね。ある意味必然というか、インスタグラムでのビジネス支援や飲食店の経営経験が十分に生かされているサービスではありますね。インスタグラムは現在若者を中心に最も利用されているSNSと言っても過言でなく、検索ツールとしてもグーグルの次に利用されているといったデータも出ています。
ビジュアルが重視されますから、飲食店と抜群に相性がいい。これをビジネスに活用しないのは、もはやリスクと言ってもいいくらいです。しかし、経営者や社員の方が重要性は理解していても、忙しくてなかなか注力できないのを私も経験で学んできました。だからこそ、売り上げにつながる運用ノウハウを持っていて、インスタグラムで特に大事な画像、動画を専門家のクオリティでご提供できるサービスは、潜在的なニーズも大きいと考えています。
サービスの内容を考えると、非常にリーズナブルな印象を受けますが?
SNSサポート事業の大手は、月8投稿くらいで2、30万円からといったところなので、東京レベルで考えると非常に割安です。ただ、地方の相場感がまだ定着していないですし、誰もがスマホさえあれば簡単に情報発信できる時代だけに、まずは地方の発信力を上げていくことが重要だと捉えています。事業を通じて地方の盛り上げに貢献したい思いや理念が、あえて仙台で始めた動機ですね。
実際に利用されているお客さまからは、「フォロワーがどんどん増えているのが純粋にうれしい」「インスタグラムを見たお客さまが実際に来店されて、売り上げにつながっている実感がある」といった声をいただいていますし、それは励みになっていますね。
目に見えないサービスだからこそ、対面営業で共感を得ていくことが大事
現在はどのような体制で事業をされているのでしょうか?
インショクグラム事業で2人、ウェブ部門で2人の計4人体制で行っています。インショクグラム事業のパートナーはオーストラリア時代に知り合い、ニューヨークでも同時期に美容師として店舗責任者として店舗運営を任されていたので、当時一緒に食事にも行っていました。
彼は美容師もクリエイティブの一部と捉えていたので、動画制作や写真撮影、Adobe Illustratorを使ったりとクリエイティブの部分を幅広く活用して様々な案件をニューヨークで対応していました。その後、新型コロナウイルスでやむを得ず帰国する必要があり、そこで彼の才能を評価していた私が「仙台で一緒に事業をしよう」と誘いました。彼も私と仕事をしたかったと快諾してくれたおかげで「インショクグラム」のサービスが実現しました。
現在は私が主にマーケティングと営業を担当し、彼がクリエイティブ制作と運用全般を担っている形ですが、スタートアップなのでお互い何でもやっています。
今後の事業展開のイメージについて教えてください。
実は会社の法人格自体は、母が経営していたホームページの制作会社を引き継いでおり、そのお客さまもいます。また、サブスクリプション型で持てるホームページの販売代理店になっており、その提供も行っていきます。
しかし、まずは、「インショクグラム」を事業の柱として育てることに注力していきます。一番の課題は、信用の担保ではないでしょうか。SNSのアカウント運用という目に見えないサービスなだけに、実績を重ねることやサービスのアップデートも重要ですが、まずは対面営業でお会いして、私の思いや理念をお伝えして、共感していただくことが大事。
継続的利用においても、非常に重要と考えています。月に3社ずつ新規顧客を開拓していくイメージですが、順調に行けば、半年ぐらいで新たな仲間も必要になってくると思います。
世界に出てビジネス経験を積んで、地方から新たなビジネスに挑戦する思いの強さが非常に印象的でした。ビジネスを行っていくうえで、影響を受けている方などいらっしゃるのでしょうか?
父も母も会社を経営していたというのもありますが、私個人としてはスティーブ・ジョブズですね。有名な“Stay hungry, stay foolish(現状に満足せず、発展途上であれ)”という言葉は心に刻んでおり、常に挑戦していきたいと思う原動力ともなっています。
また、日本でインバウンドビジネスの先駆者といえばこの人というくらいに活躍されている「株式会社ライフブリッジ」代表の櫻井亮太郎(さくらい りょうたろう)さんにも影響を受けています。実は母の知人で、子供の頃に英語を教えていただいていた先生でした。今でもメンター的な存在ですが、日本や地方の魅力を世界に発信している姿に刺激を受けていますし、目標も重なる部分が大きいですね。
取材日:2020年12月22日 ライター:高橋 徹
OneWay株式会社(ワンウェイ)
- 代表者名:比嘉 庸貴
- 設立年月:2020年11月
- 事業内容:SNS運用代行・マーケティング支援/HP制作
- 所在地:〒980-0803 宮城県仙台市青葉区国分町3−11−5 日宝勾当台西ビル303