WEB・モバイル2021.02.24

アプリケーション開発の先駆け企業が持つモノづくりのプライド

広島
株式会社デイ・ディライト 代表取締役
Katsuaki Fujiwara
藤原 克明

スマートフォンの黎明期から広島でiOSやAndoridOSのアプリケーションを開発してきた「株式会社デイ・ディライト」。請負開発と自社開発、さまざまなニーズに高いレベルで応えてきた実績から地場の大手企業の信頼も厚い企業です。代表取締役を務める藤原 克明(ふじわら かつあき)さんに起業のきっかけや今後の展望についてお話を伺いました。

経営者の覚悟や熱意に触れ、起業を決意

まず会社設立前のキャリアを教えていただけますか。

元々は大学で建築を学んでいたのですが、授業で構造計算といった本格的なプログラミングに触れたことがきっかけで興味を持ちました。その時、プログラマーへの憧れを強く持ったのですが、どうすればなれるのか分からず卒業後一旦は住宅メーカーに就職。しかし、どうしてもプログラマーへの思いを捨てきれず、広島のソフトウェア開発会社に転職しました。

当時はどんな業務を行っていたのですか?

プログラマーとしてゲームソフトやOA機器のソフトウェアの開発に携わっていました。大きな会社ではありませんでしたが非常に開発力のある会社で、有名家庭用ゲーム機のゲームソフトのプログラミングにも関わりましたね。当時は大学でプログラミングをやっていたとはいえ、専門的に学んでいた訳ではないのでレベル的に全く足りていませんでした。とにかく先輩に聞いたり、書店で本を買って勉強したりして、スキルを身につけていきました。その後、別会社に開発部長として転職。経験を積んで独立しました。

なぜ独立しようと思ったのですか?

前会社に在籍していた時、地元の経営者が集まる会に参加したのがきっかけです。さまざまな経営者の方たちと話す中で、たとえ数人規模の中小企業であっても情熱を持って仕事に取り組んでいる姿勢に刺激を受けました。経営者としての覚悟や責任感に触れていると、次第に「自分も独立したい」という気持ちに変わりましたね。もし、この会に参加していなかったら独立は考えなかったでしょう。

出会いが運命を変えたのですね。

自分自身、成長していかなければならないと思っていました。そのまま会社に属していても開発部長として成長できたと思います。しかし、自分自身が外に出て「全てを背負っていかなければいけない」という、高いレベルで成長を求めるようになったのは、出会った経営者の方々の影響が大きいです。

請負開発と自社開発、どちらもプロとして「日々の歓び」を提供したい

現在の事業内容を教えてください。

会社設立当初からスマートフォンアプリの開発に特化して事業を行っています。メインとなっているのは請負業務ですが、一から自社で開発するサービスも展開しています。社名の由来にもなっていますが、スマーフォンアプリを通して「日々の歓び」をユーザーに届けたいというミッションのもと、開発に取り組んでいます。

これまでの歩みの中で印象に残っている出来事はありますか?

自社でのゲームアプリ開発・リリースですね。自社ブランドとして「世に出れば絶対売れる」と自信を持っていたのですが、結果はあまり売れませんでした。その反省を活かしリベンジでそのアプリケーションをリニューアル。再度リリースしたのですが、やっぱりヒットしませんでした。一部の熱狂的なファンはいたのですが、収益化する仕組みなど、いろんな課題が出てきて自社開発の難しさを痛感しました。

御社の強みは?

お客さまの「こんなアプリがつくりたい」という要望を一から形にすることですね。弊社では、たとえばコーディングだけの作業的な業務はありません。スマートフォンアプリを熟知したプロとして、デイ・ディライトは設計段階から関わり、仕様書の作成、開発まですべてを担っています。また、中小企業ならではの柔軟な対応力にも自信を持っています。

仕事をする上で大切にされていることは何でしょうか?

「自分たちがモノづくりのプロである」プライドを持つことですね。今はずいぶん変わりましたが、私が若い頃は仕事がよく深夜におよびました。厳しい労働環境にありましたね。しかし、それだけの時間を使ってプロとしての技術や考え方を身に付け、絶対的な矜持を手に入れられたのは、非常にありがたかったと思います。だからと言って、皆にも同じようにやってほしいわけではありませんが…

大変苦労された時代があったのですね。「今の時代に合ったやり方」として、藤原さんが取り組まれていることはありますか?

今、朝礼をビデオ会議ソフト「zoom」で行っているのですが、毎週1回「私のコーナー」という時間を設け、会社の経営理念が生まれた背景や代表である私の考え方、人生観などを伝えています。これは皆が私に賛同してほしい訳ではありません。私の人生観を通して一人一人が自分の人生観を考えるきっかけになり、何かしら自分なりのプライドを作り上げるヒントになればと思ってやっています。

地方と首都圏でクリエイティブの仕事に違いがあると思いますか?

競合他社の規模や数の違いでしょうか。東京などの首都圏には弊社よりも規模や実績が大きい競合企業は溢れるほどあります。その中で一歩抜き出た存在となり、勝ち残っていくのは大変な激戦を強いられます。

一方、地方では競合する会社が少ないので、有名になれる可能性は高いですよね。地方のお客さまの中には自社の近くで開発したいというニーズがあります。そういったニアショア開発に対応し、注目されるようになれば、地場の代表企業として定着できるようになります。デイ・ディライトは戦略的にそうした訳ではありませんが、振り返ってみると広島に腰を据えたことが良い結果につながっていると思います。

試練は暗いトンネルのようなもの。時には引き返したっていい

今後の展望を教えてください。

請負開発で培ってきた技術はこれまで通り維持しながらも、一から自分たちでモノを作り、自分たちで売っていくメーカーとしての実力を強化していきたいと考えています。そのためには作る体制だけでなく、企画、販売といったところにも注力していきたいですね。社員だけで企画、開発、販売までトータルに行えるようになり、モノづくりのプロとしてこれまで以上に求められる企業になるのが目標です。

今の時代、クリエイターに求められていることは何だと思いますか?

仕事をする上で大切にしていることと同じになりますが、やはりプライドを持つことですね。クリエイティブの世界で生きていくためには、それなりの対価を投入しなければいけません。対価とは「自分の時間」です。時間は皆に平等に与えられたもので休んだり、遊んだり自由に使えます。しかしプロとして大成したいならば、モノづくりのプライドを持ち、他人よりも「時間を費やして努力し続ける」こと。それができるかできないかで、将来は大きく変わると思います。

「時間を費やし努力する」中で、壁に当たることがあると思います。その時は、どう乗り越えていったらよいでしょうか。

試練は必ず起こるものと思っています。試練はたとえるなら暗いトンネルのようなもの。ですが通り抜けた先には必ず明るい世界が広がっています。トンネルで迷って苦しい時は引き返したっていいんです。モノづくりのプライドや覚悟を持っているならば、不思議なもので自然とまたトンネルに向かっていく自分がいます。トンネルに挑んだり、引き返したり。その繰り返しの中で通り抜けられるようになって、実力が備わっていくのです。

最後にクリエイティブを志す人たちにメッセージをお願いします。

モノづくりは、「自分の世界を作る」ということ。それがクリエイティブの一番のやりがいです。特にプログラミングは、やりたくない人にとっては苦痛でしかありません。それが好きで続けられるのは、大袈裟かもしれませんが「与えられた人間」だと思います。どんなクリエイティブも、ぜひプライドを持って頑張ってもらいたいですね。

取材日:1月18日 ライター:馬場健太朗

株式会社デイ・ディライト

  • 代表者名:藤原 克明(Katsuaki Fujiwara)
  • 設立年月:2012年1月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:iOS/Androidのスマーフォンアプリ開発
  • 所在地:〒733-0012 広島市西区中広町3丁目2-17 第7山本ビル201号
  • URL:https://www.daydelight.com/
  • お問い合わせ先:
    (TEL)082-208-4510
    (FAX)082-208-4511

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