WEB・モバイル2021.03.03

「愛とテクノロジー」でクライアントのビジネスを支える、ビジネスデザイン会社へ

高松
アド・セイル 株式会社      代表取締役社長
Taishi Kawazoe
川添 泰史

香川県にあるアド・セイル株式会社は、デジタル広告やEC運営代行を行うマーケティング会社。中四国を基軸としつつ、全国へと活躍の場を広げています。「愛とテクノロジー」というスローガンを掲げ、技術だけに偏らない会社の姿勢を打ち出しています。
「つまるところ、全ては人への好奇心に尽きるんです」と、代表取締役社長の川添 泰史(かわぞえ たいし)氏に熱く語っていただきました。

どんな時代にも生き残れる生命力を持ち続けたい

アド・セイル株式会社を設立した経緯を教えていただけませんか?

アド・セイル株式会社は、香川県に本社があるセーラー広告株式会社のデジタル専業の子会社として2008年に設立。
私は、親会社であるセーラー広告に2009年に入社し、2012年にアド・セイルへ出向。その後、2016年に代表に就任しました。

現在の事業内容をおうかがいします。

デジタル広告運用やECサイト運用をはじめ、マーケティング施策のデジタル化支援やプロモーション施策の立案・運用です。クライアントは香川、四国に限らず中国地方、東京や九州にも広がっています。
設立当初はリスティング広告の黎明期でなかなか地方の市場に受け入れられず、しばらくの間はサイト制作を中心に仕事を行っていた時期がありました。その後マーケティングサービスに舵を切り、前社長が作ってくれていた下地を育てつつ様々な試行錯誤を経て、現在はデジタルマーケティングを中心とする事業形態に至っています。

コロナ禍において、事業への影響や変化はありましたか?

コロナ禍において人の移動が制限されてしまう中、地理的条件を超えて人がつながれるというデジタルの技術は、幸いこの環境に合ったと言えると思います。世界中が苦境の中、大変ありがたいことですが、我々の事業は生活スタイルのデジタル化に伴い比較的堅調にお仕事をさせていただくことができました。
コロナ禍とデジタル化が同時に到来した現在の状況は、社会的気候変動と呼べるのではないかと考えています。
人類史上、気候や環境の変化に対応できたものが生き残りました。例えば、木の上で生活をしていた類人猿だと、地上に降りて二足歩行になったものが、豊富な食料を手にすることができて生き残ったと。今も同じ。いつの時代も変化に敏感になり、時代に対応できるような「生存の意思」を持ち続けたいと思っています。

「愛とテクノロジー」で、画面の向こうの「人間」を見る

御社が掲げるスローガン「愛とテクノロジー」について、詳しく教えていただけませんか?

クライアントが事業・業務の意思決定を行うためには、客観的な根拠が必要です。私たちは、その根拠を広告やECで培ったデータから導き出して、クライアントを支えます。これが「テクノロジー」の部分になると考えています。
デジタル業界に身を置く会社として、私たちの側はともすると技術・技能での問題解決を期待され、求められたりしてしまいがちです。
しかし弊社は、決してテクノロジーだけが解決手段だとは考えません。クライアントの業務や人間や生活に対する理解、すなわち「愛」が最も重要なツールだと考えています。
例えばデジタル広告を運用する際の管理画面には、数字やグラフなど多くの情報が並んでいます。でもそれらは全て人間の膨大な量の「好き、嫌い」の感情の集合なのです。私たちは管理画面を相手にしているのではなく、人間を見ているのです。

川添社長は、元々店頭マーケティング・セールスプロモーションご出身ということですよね。

そうです。その頃はインターネットも普及する前で、リアルの場で自分たちの打った施策が如何に人を動かすのか、売り上げにつながるのか、を常に求められていました。
接点がオンライン上に変わってきた今も、「人の行動や感情が動かなければ、どんなに新しい施策も意味がない」という思いはトラウマのようにあります。
人間を取り巻く社会や世界に対して、好奇心や関心を持つこと、クライアントがどのような情報を欲しているのか、私は全て「人間」に対しての好奇心に尽きるのではないか、と考えています。
実はだいぶ以前、フェローズさんの「クリエイターズステーション」でコラムを連載されている門田陽さんのコピーライター講座を受けていたこともあるんですよ。

「愛とテクノロジー」の具体的な例を、お話いただけませんか?

とある金融系のお客様から、自社のビジネスに対する若者離れについて課題を感じ、相談に乗ってもらいたい、とお声がけをいただきました。
クライアントは当初「若者とつながるためにはオンライン上でコミュニケーションをとるべき、そのためにはまずSNS運用やデジタル広告を」というお考えをお持ちでした。しかし私たちはそこで、「ではLINEやデジタル広告を」という提案はしませんでした。「なぜ若者が離れてしまっているのか?」を理解しないまま施策を打っても、ターゲットの行動を変えることにはつながらないと考えたからです。
「まず振り向いて欲しい相手のことを理解することから始めてみませんか?」と、じっくりお話をさせていただきました。
クライアントとお客様のコミュニケーション再構築。この大きな目標を掲げ、デジタルの枠からは飛び出したプロジェクトとなっていきました。
具体的には、ターゲットのお客様を知るためのプロジェクトを立ち上げ、社内でのワークショップやターゲットを集めたグループインタビューなど「生の声」を聞くリアルな場を設けました。その後の展開としてWebを基軸とした、クライアントとお客様をつなぐ場を作るための展開を行っている最中です。

ビジネスデザイン会社として、クライアントの意思決定に立ち合うために

 

今後のアド・セイルの展望を教えていただけませんか?

アド・セイルは「ビジネスデザイン会社になる」と宣言しています。この「デザイン」という言葉は、今の時代における大事なキーワードです。以前はグラフィックデザインの意味に限られていましたが、今はもっと幅広い概念になっています。企業とお客様との関係性、経営、マーケティングなど、あらゆることが「デザイン」ありきで実行されるべき時代だと思います。

“ビジネスデザイン会社”ができることは、どのようなものでしょうか?

まず「企業やサービスの有りたい姿、顧客企業とそのお客様の幸福な関係性」の理想像をデザインすることから始まります。
その理想像と実際とのギャップ、それが何に起因するのか、という問題を企業の方と一緒に言語化することが私たちの仕事です。
クライアントと一緒に問題を言語化し、解決手段について企業トップの意思決定にまで関わること、この流れが全てビジネスデザイン会社ならではの「デザイン」と考えています。単に課題を提示されて、解決の段取りを手配するのが得意な「何でも屋さん」にはなりたく有りません。

ビジネスデザイン会社としての目標は何でしょうか?

顧客企業トップの意思決定の場に立ちあえる人間の集団、が理想です。クライアントの意思決定を行う会議で「アド・セイルの意見は聞いたのか?」と言われるような。
そのため、意思決定の根拠として読み解くために培ってきた力を、より一層、クライアントの「経営」全体に生かしていくことが求められると考えています。
データが語るメッセージを言語化するには、様々な方法があります。BIツールやデータ統合ツールといったテクノロジーを組み合わせ、社内に分散する非定型データを集約し、一元化することが必要です。
これらの客観的な根拠を料理し、意思決定の判断材料として仕上げることで、クライアントの「経営」をより強く支えていきたいと考えています。

力を発揮する社員の皆さんについて、教えていただけませんか?

ルールや義務ではなく“それぞれの意思”を動機に助け合う集団でありたいと思っています。
社員同士は“それぞれの意思”を起点に補い合い、サポートしあう。
もしルールや義務で縛られてしまうと、サポートの範囲はルールで定められた範囲に止まってしまうのではと思います。
助け合う場合には「目的が何なのか」をそれぞれが考え、実現に向けて必要な手法を分担する。そうすればマニュアルには書かれてないことにも対処でき、抜けや漏れがなくなるのではないでしょうか。“それぞれの意思”を起点に行動することは、ビジネスデザイン会社としてクライアントの意思決定に立ち合える集団になるためにも、欠かせない要素だと思っています。

社員のみなさんは、主体的な“それぞれの意思”を重視されているのですね。

とある社員が自発的に「愛とテクノロジー」をメールの署名に使ってくれて、それが会社全体に徐々に広がっていきました。それを見たクライアントが「これ、いいですね!」と褒めてくれたという経緯があって……とても嬉しかったですね。社員それぞれが「これは自分の言葉だ」という意識で動いてくれているんだと感じました。

また、とあるクライアントに、こんな嬉しいことを言っていただけたこともあります。
過去何年間か、そのクライアントのマーケティングのデジタル化をゼロから一緒に立ち上げさせていただいた企業様があります。その会社の上層部の方から突然ご連絡をいただいて「あるプロジェクトを立ち上げるが、規模や予算など何も決まっていません。ただ、アド・セイルさんと一緒にやることだけは決まったから。」と。
びっくりしましたよ。嬉しくて泣きそうになりました。
一人一人が自分ごととして行動してきた熱量は、ひいてはクライアントの経営判断にまで届くのだと確信したことでもありました。
「愛とテクノロジー」に「愛」で応えてもらえる嬉しさ。この喜びを、クライアントのビジネスをさらに支えることでお返ししていきたいと、強く思っています。

取材日:2021年1月22日 ライター:佐々木 陵子

アド・セイル株式会社

  • 代表者名:川添 泰史(かわぞえ たいし)
  • 設立年月:2008年4月
  • 資本金:49,000千円
  • 事業内容:データ活用環境構築・デジタル広告運用・ECサイト運営支援・プロモーション施策立案運用
  • 所在地:〒760-0032 香川県高松市本町10番26-2F
  • URL:https://www.ad-sail.jp/
  • お問い合わせ先:087-816-0261

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