ミニラビットはプラスアルファの提案で、メリハリのある魅力的な映像配信をサポートする。
映像ディレクションを軸足に、ドローン撮影やライブ配信、Youtube番組のプロデュースなど、最新のテクノロジー活用をサポートする名古屋の映像制作会社「株式会社ミニラビット」。活躍のフィールドを広げる代表の家田 泰歩(いえだ やすほ)さんに、起業までの道のりや会社の強み、今後の展望、クリエイターへのアドバイスなどを伺いました。
「コミュニティーFM」で、放送の魅力に取り憑かれる
少年時代の夢を教えてください。
小学生の頃からパソコン好きで、中でも技術的な部分に興味があったのでプログラマーになるのが夢でした。高卒認定を経てプログラミングの専門学校に進みました。
映像業界に興味を持ったきっかけは?
プログラミングを学んでみたものの、優秀な生徒とのレベルの差に悩んでいる頃に、地元商店街の「コミュニティーFM」立ち上げプロジェクトをたまたま手伝うことになったんです。そこでまず“放送”の魅力を知りました。自分がいて、聞いてくれる人がいて、発信をするとすぐに反応を得られるのがとても楽しかったんです。そこでは番組制作の裏方からDJまでを担当し、その体験がきっかけとなってメディア系の学部がある大学に入り直しました。映像業界に興味を持ったきっかけは大学の授業ではなく、「コミュニティーFM」で出会った仲間に紹介してもらったテレビ局でのアルバイトでした。朝の情報番組を中心に、ADのような役割をこなしました。毎朝2時半にテレビ局に出社してオンエアの準備を行い、8時に終わると大学にちょっとだけ顔を出す毎日。アルバイトが忙しく授業にあまり出席しなかったので、5年通ってしまいました(笑)。
就職から起業までを教えてください。
テレビ局アルバイトの延長のような雰囲気で、番組制作会社にADとして入社しました。SKE48の番組にも携わるなどして2年ほど経験を積み、映像ディレクターとして独立しました。まだ若く、ディレクションの経験も浅かったので不安もありましたが、学生時代からフリーランスの世界を垣間見てきたので「なんとかなるかな」という気持ちでした。独立してからはテレビ以外に結婚式ムービーなどの依頼も受けたのですが、同じ映像であっても撮影の手順も撮り方も大きく違うことが分かりました。フリー時代に得たたくさんの経験が、仕事の幅や自分の視野を広げるきっかけになりました。個人事業主から法人に切り替えた理由はかっこいいものではなく、テレビ局との契約や口座を維持するためでした。当時は資金に余裕もなかったので、最低限の資本金でミニラビットを立ち上げました。
映像を通じて、人々を導いていく存在に
社名「ミニラビット」の由来は?
3月2日生まれのうさぎ年なので、この名前をつけました(笑)。イメージしているのは、小説「不思議な国のアリス」に登場する白うさぎ。人々を不思議の国の世界へと導いていく存在になりたいという思いを込めています。
起業してからはいかがでしたか?
法人化をきっかけに、仕事の幅が急速に広がりました。1年目はドローンを活用したマンションのプロモーションムービーを多く手掛け、2年目はその他の映像制作の依頼が増え、3年目になるとYoutube番組のプロデュースや大型商業施設のLEDビジョン管理なども手掛けるようになりました。そしてコロナ禍になった4年目はライブ配信の依頼や相談が一気に増えました。
会社の強みはどんなところにありますか?
「フットワークの良さ」と「提案力」にあると考えています。新たな領域にもどんどん挑戦していきますし、ドローンも包括申請許可(フライトの許可申請を繰り返し行う場合1回にまとめられる)をとっているので依頼があればすぐに飛ばすことができます。また、新たなトレンドやテクノロジーにも明るいので、これまでに培ってきた経験と組み合わせてさまざまな提案が行えます。
文字や静止画にはない、映像ならではの魅力はどんなところにありますか?
効果的に使うことで、言葉や静止画では伝えきれないことが伝えられると思っています。内容の理解度を、より上げられるとも考えています。また、観ている人々の反応をライブ配信のコメント機能やSNSを通じてリアルタイムで知ることができるのもムービーならでは魅力かなと思います。
コミュニティとして機能する会社に
家田社長が日々心掛けておられることを教えてください。
「プラスアルファの提案をする」を心掛けています。例えばライブ配信の案件で、機材の調達と放送だけを依頼されることがあるのですが、コンテンツ内容をお客さん任せにすると起承転結が生まれずに間延びした配信になってしまう懸念があります。これまでの経験を活かし、より高いクオリティで魅力的な映像配信ができるよう提案を行っています。誰に頼んでも同じような仕事ではなく「家田に頼みたい」と感じていただける存在になることを目指しています。実際、仕事とは関係のない相談もよく受けます(笑)。
これからどんな会社にしていきたいですか?
現在はパートさんやビジネスパートナーと案件を回しているので従業員はいませんが、5年以内に10人規模の組織にする予定です。目標としているのが、映像関連の事業だけを行うのではなく、コミュニティとして機能する会社にすること。そのために、映像やその周辺領域に興味がある若手が気軽に集まれる“場”の創造を計画しています。さまざまな業界とのコラボレーションも積極的に行って、新たなイノベーションの創出やビジネスマッチングが行える仕組みも作っていきたいです。
最後に、世のクリエイターにアドバイスをお願いします。
私からのアドバイスは、「人との関わりをやめないこと」です。私は30代になりましたが、20代前半のクリエイターや放送に興味を持っている学生と話す時間をすごく大事にしています。若者からも学びがありますよ。YouTubeを1.5倍速で観ている人がたくさんいたりと驚かされることも多々あります。その一方で、テレビ業界の先輩にも物怖じせず近づいていくのも大切にしています。上の世代とも下の世代とも積極的に接することで、クリエイターとして成長できると思っています。また、仕事だけの付き合いではなく、プライベートでも頼ってもらえる人間になることを目指してください。人との深いつながりによってピンチから脱出できるシーンが、人生には必ずあると思います。
取材日:2021年1月27日
株式会社ミニラビット
- 代表者名:家田 泰歩
- 設立年月:2017年5月
- 資本金:10万円
- 事業内容:映像制作、ライブ配信、ドローン撮影、映像機器販売
- 所在地:〒461-0001 愛知県名古屋市東区泉1丁目16番5号(久屋アインス702号)
- 連絡先:ieda@32rabbit.jp