WEB・モバイル2021.03.24

サービスは中小企業に特化!琉球オフィスサービスは“沖縄で最もよい会社”を目指す

沖縄
株式会社琉球オフィスサービス 代表取締役
Kazuyuki Fujimoto
藤本 和之

中小企業に特化したWebページの制作~運用、PC本体のレンタルからサポートをサブスクリプションで担うサービスを行う「株式会社 琉球オフィスサービス」。

2010年の設立以来、いずれのサービスも売り上げは右肩上がり。かつ低解約率をキープしています。その秘訣は、細やかなサポートをはじめとした「お客様が勇気を出さずに申し込める体制」だと、代表取締役の藤本 和之(ふじもと かずゆき)さんは言います。

琉球オフィスサービスを中心にグループ企業全体で中小企業の経営環境を改善したいと考えるその真意、さらに児童養護施設卒園者支援事業を展開する理由などを伺いました。

 

艱難辛苦を乗り越え、沖縄の持つアドバンテージに惹かれて独立を決意

キャリアのスタートを教えてください。

大学在学中の起業がキャリアのスタートです。生まれも育ちも大阪で関西の大学へ進学しましたが、起業に挑戦するため中退しました。

しかし数年で失敗してしまい、借金を返済したのちに、東証一部上場企業に中途入社します。その会社はベンチャー気質が強く、営業成績を上げれば年齢関係なくさまざまなことにチャレンジさせてくれました。大変な労働環境ではありましたがやりがいを感じ、20代で支店長などを任され、東北地方の子会社設立を機に社長に就任させてもらえました。

しかしそこで再び大きな失敗をしてしまいます。私の経営スキルが未熟だったせいで、1年経たないうちに数億円規模の赤字を出してしまったんです。さすがに降格になりましたが、今度は沖縄にも関連会社を作ることになって、懲りずに取締役になりたいと手を挙げ、2006年の設立を機に移住しました。

それから、どのような経緯で御社設立に至ったのですか?

前職で営業所や支店、子会社の新規立ち上げに何度も携わる中で、事業や組織を立ち上げることに楽しさを感じていました。また沖縄の持つアドバンテージに魅力を感じ、独立・起業しました。

アドバンテージとはどのような?

日本中が少子化の一途をたどる中、沖縄の出生率は高く人口は年々増加していますし、もともと観光客も多い。他の地方都市に比べて群を抜いて活気に満ちており、伸びしろがあると感じました。このエネルギーの中でもう一度チャレンジしたいと2010年に独立しました。
 

申し込みに「勇気がいらない」サブスクリプション方式で売上と低解約率をキープ

御社の事業内容の一つ「ホームページ制作サービス」について教えてください。

中小企業に特化し、ホームページ制作をサブスクリプションで請け負うサービスです。月々の価格は7,900円~11,800円で、制作から運用まで含まれています。

なぜ中小企業に特化しているのですか?

日本では中小企業がマーケットとして一番大きく、商機が多いからです。社員数が30名以下の会社が9割超えとされています。

また前職では、ホームページ制作ではありませんでしたが、中小企業向けのサービスや商品を展開していましたので、引き続きターゲットは変えずに、新しい事業を始めたいと考えました。

前職ではホームページ制作はされていなかったとのことですが、なぜ新しい分野に挑戦したのですか?

電気やガス、通信回線のように生活や事業に必要なインフラに近いサービスがいいと思ったからです。100件中10件しか必要ないようなサービスだと、狭い沖縄でビジネスをするには、アップサイドが狭くなってしまいます。

ホームページを持っている日本の中小企業は40%程度というデータがあります。ただコストの問題がなければ、潜在的には100%に近い会社が持ちたいと考えているはずです。ホームページは会社案内のパンフレットや名刺に近いもので、あって困るものではありません。

運用込みで月々7,900円~というのはとても安く感じます。

安いと言っていただくことは多いですが、年間にすると10万円近いですし、ホームページ制作の一般的な価格は低くても30万円程度ですから、決して安くないんですよ。

では、なぜ安いわけではないにもかかわらず、5000社以上もの企業と契約できているのでしょう?

勇気などいらずに申し込めるような「仕組み」を作っているからだと思います。サブスクリプション方式なら少額の月払いが可能なので、手元の現金を確保できます。

中小企業にとって、数十万円というのは決して払えない額ではないとは思いますが、一気にまとまった額が手元からなくなるのは不安ですよね。

もし止めたくなったとしても、追加や解約料金も必要ありませんので、気軽に申し込めます。そこを評価していただいていると実感しています。

契約企業の多さに加え、解約率がとても低いと伺いました。なぜそれが実現できているのでしょう?

こちらから能動的に信頼を獲得してこそ、長いお付き合いができると考えていますので、カスタマーサポートチームなどへの投資を積極的に行っています。弊社はWeb制作会社ではなく営業主体の会社だと思っているほどで、それが強みでもあります。

契約前から後まで、丁寧にサポートする体制を敷いているからだと思います。弊社のお客様である中小企業のトップの方は、インターネットが当たり前でない世代の方が多いんです。だからこそ、お客様との密なコミュニケーションを心がけ、小さな不安をすぐに解消できるようにしています。

PCレンタルサービスもサブスクリプションで提供されていますが、こちらもホームページ制作と同様のお考えで展開されているのですか?

全く一緒です。月4500円なので、本来は購入した方が安いです。しかしサポート料金も含まれており、弊社を情報システム部のような役割として捉え、ご利用いただいています。

 

地域、人、企業にも「投資」を

児童養護施設卒園者支援のための「イコールフットプロジェクト」という事業についても、詳しく教えてください。

児童養護施設のホームページ制作を受注したことがきっかけです。取材でヒアリングをし、はじめて施設のことを詳しく学ぶことができ、子供達や職員さんの状況も理解することができました。結果、とてもじゃないですが費用をいただく気にはなれず、無料で制作と運営をさせていただくことにしました。

それからのお付き合いを通してさらに詳しく知っていくと、先生方はとても熱心に取り組んでいらっしゃいます。子供たちもいい子ばかりで、ただ彼らは18歳になると施設を出なければならないうえ、公的な支援は十分ではなく、大変な生活が待っていることも分かりました。

特に進学を諦めざるを得ない。そこで大学等への進学後は、在学中の住居家賃を全額支給する支援を始めました。月々4万円、年間50万円程度ですが、この金額で子供たちの未来が少しでも開けると考えると、有意義な使い道だと感じています。

会社で使う年間50万円は大した額ではありませんが、彼らのような子供たちにとっては非常に大きいお金なんです。

ただ2年ほど前にようやく公的な支援制度が充実してきたので、現在、新規支援はストップしています。既に支援している学生に対しては卒業まで続けますが、国の支援の方が幅広くカバーできるようなので、我々の役割はひとまず終えたかな、と思っています。

イコールフットプロジェクトの詳細はコチラ

他にも、「SCOM(エスコン)」というグループ会社を2019年に設立されたようですが、こちらではどのような事業をされているのですか?

沖縄県内の中小企業に出資しています。一般的に、出資というとベンチャーキャピタルがスタートアップ企業に対して行うものが多いですが、エグジット(利益の回収行為)が期待できないという理由から、中小企業はほとんど対象ではありません。

ベンチャーキャピタルがスタートアップの株主となった場合、当事者としてハンズオン(投資先企業の経営方針にまで深く関わること)しますから、成長のスピードも規模も単独の経営よりもパワフルになるでしょう。しかし対象外になっている中小企業にはそのチャンスがないのです。

SCOMでは、支援を通して中小企業のエグジットを含めた設計を行い、投資価値を高めます。そもそも中小企業はスタートアップよりも母数が大きいですから、うまくすれば有望なマーケットになり得ます。

 

利益、従業員、顧客全てに結果を

ミッションに「県内ウェブ業界で最も良いサービスを提供し、最も良い待遇を準備し、最も大きいCFを生み出し、沖縄で最も良い会社をつくる」と掲げられています。その理由を教えてください。

会社にとって高い利益の創出はもちろん大切ですが、それと顧客満足度、従業員への還元や私生活とのバランスはどうあるべきかと前職の頃から考えていました。

利益、従業員への還元、お客さま満足度、どれも重要です。そして、どれかひとつだけを追求するのは簡単です。他を犠牲にすればいいので。しかしそれでは良い会社とは言えないのではないかと思います。

起業するのであれば、この3つに責任ある結果を出せる会社、つまり利益を出し、顧客満足度を高め、従業員と家族の生活を安定させる会社作りにチャレンジしたいと思い、このミッションを掲げました。

新聞記事で御社は「残業ゼロ、給料は県内でもトップレベル」とありました。そのミッションに基づいてアクションを起こした結果でしょうか?

弊社の目指す姿に到達しているわけではないので、まだ過程の段階ではありますが、残業や給与水準が現状程度になったのには大きく2つの要因があると考えています。

一つ目は、サブスクリプション(以下サブスク)というビジネスモデルだからです。長く使っていただくことで収益も長期的に見込めますので、将来の見通しが利きやすいモデルです。

サブスクはカスタマーサポートにコストをしっかりかける必要があります。「お客様に喜んでいただくために」と考えれば、従業員も喜びを持って一生懸命仕事に励めますし、そのいい流れが社風として醸成され、これも結果につながった要因だと思います。

二つ目の理由は、顧客と社員の満足度を優先させたからだと思います。そのための費用や労力を「コスト」ではなく「投資」と捉え惜しまなかった結果、利益が成長したのではと。利益が出てから社員へ還元&サポートを充実するようにしていたら、こうはならなかったかもしれません、

もし順番を逆にしていたら、成長のスピードは遅くなっていたかもしれません。

最後に、これからの展望を教えてください。

スタートアップ企業と大企業間で既に行われているような現代的な経営手法を、中小企業との間にも浸透させ、成長スピードを上げるお手伝いをします。それにより「ビフォー琉球オフィスサービス・アフター琉球オフィスサービス」で、沖縄県内の中小企業経営環境がまったく変わったといわれるくらいの結果をだしたいと思ってます。

これからも「沖縄で最もよい会社にする」というミッションを突き詰めていきます。また、SCOMも含めたグループ会社全体で、中小企業の経営状況を改善していきたいです。

取材日:2021年2月9日 ライター:仲濱 淳
 

株式会社 琉球オフィスサービス

  • 代表者名:藤本 和之
  • 設立年月:2010年4月
  • 資本金:3000万円
  • 事業内容:SMB向けサブスクリプション事業、SMB向けファンド事業
  • 所在地:901-2131 沖縄県浦添市牧港4-11-3 おきでん牧港ビル3F
  • URL:https://r-os.com/
  • お問い合わせ先:098-894-6900

 

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