独立以前は、医療系、歯科系のクリニックを対象にしたネットメディアを運営する会社で働いていました。2009年度に営業職として入社。営業成績は常にトップを維持していたものの、入社して半年足らずで、提供しているサービスが自分の提供したいサービスとかけ離れている、と感じるようになりました。当時提供していた、ランキングでクリニックに順位付けをする、口コミを操作する、といったサービス。これはクライアントのクリニックにとっては魅力的かもしれません。しかし、それが患者さんにとっていいとは到底思えなかったんです。思うところはあったものの、今はあくまで一社員。自分が理想とするサービスを提供したいなら、会社の力に頼らず、独立して自分の力でやるべきです。そこで、とりあえず3年間はこの会社で働き、仕事のノウハウをできるだけ吸収しようと決意しました。たまたま在籍中に会社が上場したので、そのプロセスを間近で見られたのも大きな収穫でした。そして、3年後の2012年、独立して「株式会社オルソアドバンス」を立ち上げました。

僕が何よりも叶えたかったのは、「患者さんを正しいクリニックに導いてあげること」です。当時はインターネットで得られる情報も限られていましたし、どこで治療をすればいいのか、どうやって探せばいいのか、皆がわかっていませんでした。僕は、そのような人を適切なところに導いてあげる役割を果たすべきだと思ったんです。前に働いていた会社のクライアントに歯科医院が多かったこともあり、独立後は、歯科に特化した情報サービスを提供しようと決めました。歯医者さんって、痛い、怖い、というイメージがあって、あまり行きたくない場所ですよね。その“行きたくない場所”にどうやったら興味を持ってもらえるかを考えたとき、やっぱり皆が最初に見るのはホームページだろう、と思ったんです。ホームページを通して、患者さんにお口の中に関わることを知ってもらい、さまざまな治療に興味を持ってもらおうと。僕らは歯科にまつわる知識を知ってもらうことを、「デンタルIQを上げる」という言葉で表現しています。消費者のデンタルIQを上げる、それが会社の使命だと考えています。

設立当初はクライアント獲得のための新規営業が必要でした。でも今ではほとんどが既存のクライアントさんからの紹介のお仕事です。もちろん、初めは実績がありませんでしたので、信頼関係の構築を何よりも大切にして、任せていただいた案件ひとつひとつに全力で取り組みました。一生懸命取り組んでいたものの、サービスの効果が確立するまでには数年がかかりましたね。コツコツと実績の積み上げを繰り返して、やっと芽が出たという感覚です。5年ほど経ったころには、はっきりと効果が見えるようになり、自分たちのサービスに自信が持てるようになりました。最近は歯科医院だけでなく、歯科に関連する商社やメーカーにも名前を知ってもらって、仕事につながるようになりました。紹介を受けたからには失敗できないというプレッシャーはありますが、ありがたいことだと思います。

まずは、消費者に正しい情報を届けるため、クリニックのホームページをしっかり作るのが僕たちの事業の核です。ホームページは見てもらわないと意味がないので、制作といっしょに検索サイトで上位になるためのSEOもしっかり行うのが重要です。当社は、SEOの強さには自信があります。これまで、確実に結果を出していますから、新しいクライアントを得ることは簡単なんです。しかし僕はいつでも、“その先にいる患者さん”に対して目を向けないとダメだと思っています。サービスの先にいるのは、歯科医院ではなく、患者さん。困っている患者さんに対してのアプローチができていれば、自然と情報元の歯科医院に足を運んでくれるはずです。ホームページなどのツールを作るときには、患者さんを第一に考えなくてはいけない。これは、設立当初からずっと意識している取り組みです。

そうですね、そもそも、SEOで検索サイトの上位に持ってこられる歯科医院の数は、地域ごとに限りがあるんです。例えば、「京都　矯正」などのキーワードで検索したとき、1ページ目に出てくる件数には、限りがありますよね。地域でのクライアントの数が限定されるからこそ、僕たちもいい歯科医院を選んで紹介したい、という想いがあります。ですから、仕事をもらえるならどんな歯科医院でもいい、という訳にはいきません。僕が院長先生とお話してみて、「この人なら患者さんのことをしっかり考えてくれそうだな」「人として信頼できるな」と感じたクライアントさんと一緒に、お仕事をしていきたいと思っています。