支社はキルギス! 愛媛から世界へ飛び立つ、システム会社プライサー
愛媛県と東京都に本社を持ちながら、キルギス共和国にも支社を立ち上げた株式会社プライサー。代表取締役を務める石津 知転(いしづ ともひろ)さんは、「目指しているのは『地方のWeb制作会社』ではなく『日本のIT企業』」と語ります。システム会社であるプライサー独自の強み、起業までの道のりや不安、今後の展望まで、詳しく伺いました。
お客さまのニーズに合った価値を提供
まずは、株式会社プライサーの事業内容を教えてください。
プライサーには、主に4つの事業があります。1つ目は、「Webサイトとシステムの企画・開発・運営」。元々、僕はシステムの人間なんです。前職もシステム担当で、高等専門学校の専攻分野も電気工学でした。だからこそ、プライサーでもシステム面を重視しているんです。Webサイト制作に関しても、デザインを行うのはもちろん、システム開発にも力を入れています。
例えば「会員登録できるサイトが欲しい」と御社に依頼すれば、会員登録のシステム開発とサイトデザイン、どちらも対応してもらえるということですか?
その通りです。デザインとシステムどちらも対応できるのは、プライサーの強みです。2つ目の事業は、「インフラ環境の設計・構築・導入」です。具体的な例を挙げると、「社内業務をデジタルに移行する中で、複数のシステムが混在して困っている」。そんな悩みに対して、それぞれのシステムをつなぎ合わせる新しいシステムを開発したり。目的によってシステムを使い分けていると、情報が散らばってしまうこともありますよね。いきなり「じゃあシステムを止めましょう」なんてわけにはいかないので、それまでのシステムは稼働させつつ、使いやすくなるためのプラスアルファを提案しています。
いきなりシステムを一新しないのは、業務の混乱を防ぐメリットもありそうです!
3つ目の事業は「スマートフォンアプリの企画・開発・運営」です。アプリ開発に関しては、スマートフォンがまだ世間に浸透していなかった頃から注力しています。今では、会社売上の多くをアプリ開発が占めるようになりました。
4つ目の事業は「広告企画」。この事業は、Webサイト制作と深く関わっています。なぜなら、Webサイトは広告の意味がとても強いから。会社や商品を知ってもらうために、Webサイトは有効な手段のひとつですよね。ただ、「Webサイトを作る」がゴールになってしまうのは、僕は危険だと思っていて。本来の目的は、「商品を売る」「会社を知ってもらう」のはずじゃないですか。
確かに、本当のゴールは「商品を売る」「会社を知ってもらう」で、そのための選択肢として「Webサイトを作る」があるはずですよね。
そうそう。Webサイト制作の依頼があった場合でも、ヒアリングの結果、依頼とは別の提案をすることもあります。「その目的だと、紙媒体に広告を載せるのはどうでしょう」「その予算であれば、テレビCMを流す方法もありますよ」って。こういった提案が、4つ目の事業である「広告企画」につながるんです。コンサルの分野でもあるので、弊社ホームページには「コンサルティング」も事業内容に掲載しています。
お客さまに言われたものをただ提供するのではなくて、お客さまに本当に必要なものを考えているんですね。
僕たちの仕事は、お客さまのニーズに合わせて価値を提供することですから。単純にWebサイトを作ればいいわけではありません。「プライサー」の名前も、「価値を提供する」が由来なんです。提示した価格に、しっかり納得してもらいたい。そのためには、価格以上の価値を提供することが大切です。せっかくWebサイトを作ったのに、お客さまの目的が達成できなかったら僕らも悔しいので。達成できる手段はなにか、真剣に考えるようにしています。
リスクを考えていたら、二の足を踏むだけ
「株式会社プライサー」は、2009年4月に設立したそうですね。起業を決意したきっかけはありますか?
会社員時代に、自分の提案したアイデアが通らずに歯がゆい思いをして。「会社で実現できないなら、自分でやったほうが早いんじゃないか」と思ったのがきっかけですね。紙の情報誌を取り扱う会社だったんですが、当時はシステムより紙が強い時代だったんです。「この業務はシステム化したほうがいいんじゃないか」と提案しても、95%は却下されて……。その頃は今より経験不足だったので、提案を5%拾ってくれただけでもありがたかったんですけど。ただ、僕もまだまだ若かったので……。「なんだよ、じゃあ自分でやるか!」と、起業を決意しました。
「転職」ではなく「起業」を選んだ石津さんですが、起業に対して不安はなかったですか?
リスクはあると思っていました。当時はリーマンショックによる不景気からまだ回復していなくて、起業タイミングとしては悪かったんですよ。ただ、「今が不景気なら後は上がるだけだろう」と根拠のない自信があったんです。リスクを考えていたら二の足を踏むだけだから、前に進むしかないと思ったんですよね。もし転職しても、「自分のやりたいことができない」とまた悩むかもしれない。じゃあ、やってみようかと。
プライサーには、前職の会社で出会った方も何名か働いているそうですね。
そうですね。起業したときは僕とデザイナーの二人だけでした。そのデザイナーとも、前職の会社で出会いました。起業メンバーの探し方を迷っているなら、一緒に働いていた人に声をかけてみるのもいいと思います。
ちなみに……前職の会社にいるときに、「起業するときに誰を誘おうかな」と考えることもあったんですか?
いやいや、それはなかったです。デザイナーに声をかけたのも、その人が会社を辞めると聞いてから、「じゃあ誘ってみようかな」と思い付いたくらいですから。 働いているときは、目の前の仕事に集中していました。起業と絡めて、人間関係を考えたことはなかったです。
目の前の仕事をしっかりこなしていたからこそ、前職での出会いがプライサーにつながったんですね。
そうだと思います。起業に関して前職の会社でやったのは、退職後も仕事をもらえるように交渉したくらいですかね。ちゃんと契約していただいたので、前職の会社とは関係良好だったと思います(笑)。
目指すのは世界に誇れる「日本のIT企業」
愛媛県に本社を持つプライサーは、行政からの仕事も多く受けているそうですね。具体的には、どんな内容の依頼があるんでしょうか?
直近のものだと、「愛媛県立とべ動物園」「えひめこどもの城」「県営総合運動公園」の3つの施設に人を集める企画を立てました。それぞれの施設が歩いて行ける距離に集まっているのに、人の移動がまったくなかったんです。回遊性を高めるためにイベントを企画したり、子ども向けスタンプラリーのアプリを開発しました。「どうしてシステム会社がイベントを企画するの?」と聞かれることもあるんですけど……。僕らとしては、お客さまが楽しむために必要な施策はすべて自分たちでやりたいんです。
愛媛県での活動を広めている傍らで、東京都とキルギス共和国での活動も強めているんですよね。東京はまだわかりますが、キルギス共和国はどうして……?
東京本社で初めての外国人雇用が、キルギス共和国の人だったからです。もちろん愛媛県での活動は、今後も強めていきたいと思っています。雇用損失を減らして、地方を盛り上げていきたいから。ただ、僕らが目指しているのは「地方のWeb制作会社」ではなく「日本のIT企業」なんです。そのためには、日本だけではなく、世界に通用するシステムを開発しなければいけない。現在広まっているサービスも、ほとんどが日本以外の国でも使われていますよね。世界で通用するシステムを作るには、世界のニーズを知る必要があります。ニーズを知るためには、日本人だけではなく、多様な文化で育った外国人の雇用が必須だと考えたんです。
世界に通じるシステムを開発するために、まずは東京本社の外国人雇用を進めたんですね。
東京本社を立ち上げた理由が、そもそも外国人雇用を進めるためだったんです。一番初めにキルギス共和国の人が入社してくれて、だんだん「この人が国に戻っても仕事のある環境を作りたい」と考え始めて。市場調査の結果、「キルギス共和国で事業を立ち上げるのもアリだな」と思えたんです。
前職での出会いを起業につなげたり、入社した方の育った国で支社を立ち上げたり、人のご縁をとても大切にしている印象です。世界に誇れる「日本のIT企業」を目指すために、新しく出会いたいクリエイター像はありますか?
愛媛に関わりがある人は、ぜひプライサーに来てほしいです。「地元を盛り上げたい」「地元の役に立ちたい」と思っているなら、さらにうれしいですね。あとは単純に、「この会社だったらがんばれる」「楽しそうな会社だな」と思ってもらえる人と出会いたいです。プライサーには、前職がITとまったく関係ない人も多いので。異業種からの転職であっても、興味を持ってくれたならぜひお話ししたいです。
取材日:2021年3月5日 取材協力:くまの なな
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株式会社プライサーではスタッフ自ら題材を探し、コンテンツの更新を行っています。
記事から社内の雰囲気なども伝わるかと思います。ぜひご覧ください。
株式会社プライサー お知らせ/記事掲載ページ
https://www.pricer.co.jp/news/list/
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株式会社プライサー
- 代表者名:石津 知転
- 設立年月:2009年4月
- 資本金:300万円
- 事業内容:Webサイト、システムの企画・開発・運営|インフラ環境の設計・構築・導入|スマートフォンアプリの企画・開発・運営|広告企画|インターネットビジネスにおけるコンサルティング
- 所在地:〒791-1101 愛媛県松山市久米窪田町487-2 テクノプラザ愛媛別館2F A・B・C・D・I室
- URL:https://www.pricer.co.jp/
- 電話番号:089-993-5913