WEB・モバイル2021.06.16

ITを活用し、中小企業のビジネス課題を一緒に解決していきたいインセンブル

札幌
株式会社インセンブル 代表取締役
Yuichi Hamauchi
濱内 勇一

細かなヒアリングから問題点を掘り下げ、業務に合わせたシステム導入により中小企業をサポートする株式会社インセンブル。

代表取締役の濱内勇一(はまうち ゆういち)さんに、仕事にかける思いや現在の取り組み、今後の展望について話を伺いました。

 

憧れだったIT業界に進み、現場経験を積みながら知識・技術を習得

会社立ち上げまでの経歴を教えてください。

最初の就職先は自動車ディーラーで、勤めたのは2年ほどです。大きな不満はありませんでしたが、働くうちに高校の頃から興味のあったIT業界に進みたいと思うようになり、退職を決めました。25歳のときですね。

札幌でIT系の勤務先を探したのですが、当時は中途の未経験者の採用枠がなかったため、東京で金融系SEとして就職し、現場を経験しながら、先輩に育てていただきました。

仕事は面白かったですし、「IPA(独立行政法人情報処理推進技機構)」が主催する「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」を取得するなど、とても充実していましたね。そのときに得た知識は、今でも非常に役に立っています。その後さらに上を目指したいと思い、Web業界に転職。Web系のプログラミング技術も習得しました。

札幌に戻られたのはいつでしょうか?

2013年にUターンしましたが、札幌に戻ってからも前の会社の仕事をリモートで行い、夜や週末に、知り合いの会社の営業実績管理や在庫管理、配送管理システムを作るなど、個人の事業に取り組んでいました。

そして個人の事業に専念するため、2014年1月1日に個人事業主「ヘキサブレイン」として独立しました。

仕事が増えてきたので、その年の10月に「株式会社インセンブル」を設立。社名は、合奏や重唱という意味の「アンサンブル」とITを合わせた造語です。「お客さまと一体となって仕事を進めていく」思いを込めたんです。

具体的な業務内容について教えてください。

システム構築とWeb制作・運用を2本柱に、中小企業のビジネス課題を解決するためのサポートを行っています。忙しいときは私も制作をしますが、弊社には営業スタッフがいませんので、基本的に私が窓口となり、お客さまのご相談にのりご提案を行います。知り合いやお客さまからいただくお仕事が多いです。そのたびにさまざまな業界を知ることができますし、自分自身の知識も増えていきますので、楽しく、やりがいを感じています。

 

細かいヒアリングでお客さまのご要望をしっかりと引き出す

御社の強みを教えてください。

弊社の会社案内には「依頼された通りには作りません」と明記しています。これは、依頼された以上に将来性のあるもの、便利なものをご提案していくということです。そのプラスαの仕上がりが弊社の強みで。

せっかくシステムを作っても一度しか使えなかったり、決められた範囲にしか対応しないのではもったいないですよね。それよりも汎用性のあるものや、お客さまご自身で設定ができるもの、長く活用できるものなど、何かしらプラスになるようなご提案をするのが、私たちの役割だと思っています。

仕事はどのような流れで進められるのですか?

まずは、お客さまが何を求めているのかを伺い、次に本当にそれが必要なのかを、引き出していきます。

以前あるお客さまから、採用のためのWebサイト制作のご相談をいただき、リクルートサイトを制作して欲しいと依頼されたのですが、ヒアリングをしていくうちに、本当は会社のこだわりや取り組みについてアピールしたいという思いが一番強いと分かりました。

このように、お客様ご自身も本当にやりたいことが明確でないケースもありますので、細かくヒアリングしながら、あらゆる角度から掘り下げ、“本当のご要望”を引き出していきます。

深いヒアリングが大切なんですね。

そうですね。実制作期間はそれほどかかりませんが、取り組むまでのヒアリングや打ち合わせには、相当時間をかけています。漠然としたイメージをご納得いただけるような形に整えるためにも、しっかりとかける時間は必要だと思っていますし、そのほうが先の作業もスムーズに進むと思います。

お客様とのやりとりで、心掛けていることはありますか。

心掛けていることは2つあります。1つは「極力横文字の用語を使わない」です。システムについてよく分からないという方がほとんどですので、なるべく専門用語を使わないようにしています。もう1つは「さまざまな事例を交えながら、分かりやすく丁寧に説明する」です。この2つを徹底することで、お客さまの「分からない」を解消できると考えています。

これまでのお仕事のなかで、印象的な事例があれば教えてください。

札幌市内に8店舗を展開する菓子店「ろまん亭」の、クリスマスケーキの予約システム導入です。しっかりと打ち合わせをしたうえで、サイボウズの「kintone(キントーン)」を使ってシステムを制作。ドラッグ&ドロップで必要な項目を選んでアプリを作成できるため、短い納期で導入できました。

それまでは各店で集計し、本部に伝えてさらに集計するという手作業の連続でしたが、システム化で作業がスムーズになり、ミスもなくなりました。さらに現在は、スタッフの方がアプリをカスタマイズし、より一層便利になっているようです。システムを入れることも大切ですが、現場の人が実際に使いこなせなければ意味がありませんので、「ろまん亭」のように、応用したり活用していただいているのはうれしいですし、オススメして良かったと思っています。

 

お客さまにとって一番効果的な方法を探る

中小企業の場合は、予算の問題も大きいですよね。

そうですね。でも、お金をかけたから効果が出るものでもありませんので、やはりどういったアプローチがもっとも効果的かを探るのが一番大切だと思います。限られた予算内での攻め方もありますし、それをご提案するのが私たちの仕事です。

Webサイトでいえば、「Wix(ウィックス)」や「ペライチ」といった無料ツールもありますので、ケースによってはそのようなツールで制作することをお勧めすることもあります。

それでは売り上げにつながりにくいのではないですか?

私たちの売り上げは、お客さまのお役に立った後に付いてくるものだと思っています。お客さまにとっては、安い金額で最大の効果を出すのが一番理想的ですから、まずはそのお手伝いをし、結果を出すことが大切です。

そこから継続して運用サポートをさせていただき、次のご紹介、信頼や実績へとつながっていけば、それが売り上げになっていくのではないでしょうか。

今回の新型コロナウイルスによる影響はありましたか?

弊社はもともとリモートワークを推奨していましたので、作業自体に大きな影響はありませんでした。お客さまのなかには、世の中が変わっていく様子を見て、自分たちの会社も変えていく必要があるのではないか、あるいは、これまで手を付けてこなかったことに取り組むいい機会なのではないかと、Webサイトのリニューアルを図ったり、オンラインショップを始める方もいらっしゃいましたので、かえって取引は増えました。

さらに、新規のお客さまからのご依頼に応える形でご提案した、コロナ禍における非接触型営業のためのマーケティングシステムも、ご好評をいただいております。

現状のIT、Web業界で、同様の状況は増えていると思うのです。社会の変化により、ヘルプやサポートが必要になった企業さまが多いということでしょうね。

 

地元企業にとってWebが身近になるようなお手伝いをしていきたい

社内スタッフに求めるものは何でしょうか?

お客さまと課題を共有して、それを遂行するために何が必要かを考えられる人がいいですね。また面倒な細かい手作業も柔軟に受け入れられる人であってほしいですし、技術を高めたい気持ちも持ち続けてほしいです。資格取得に取り組んでみるのもいいでしょう。合格するということは、一定の理解に達した証ですし、試験勉強自体も意味があると思います。弊社では、「資格合格お祝い金制度」を設けていますので、「情報処理技術者試験」など、スキルアップのための資格取得に、どんどん挑戦してほしいですね。

濱内さん自身がスキルアップのために努力されていることはありますか?

2020年の4月から、「MBA(経営管理修士)」取得に向けて「小樽商科大学大学院商学研究科アントレプレナーシップ専攻(通称ビジネススクール)」に通っています。現在は残念ながらリモートでの受講が多いですが、学んでいることが翌日から生かせますし、非常に勉強になっています。

今後の取り組みや展望について教えてください。

現在弊社では、サイボウズ株式会社が全国66カ所で実施している「地域クラウド交流会」(略称:ちいクラ)の札幌版を担当しています。起業家の応援を通じて地域の活性化を目的にした、交流型クラウドファンディングですね。

起業家がプレゼンし、参加者は応援したいと思う起業家に投票します。すると、参加費1,000円のうち500円分が得票数に応じて起業家に分配されるという仕組みです。

同時に、新たなコミュニティやネットワークを形成する交流の場としての役割も担っています。釧路で開催された同イベントに参加した際に非常に魅力を感じたことから、交流会を実施するための「認定オーガナイザー」を取得し、これまでに7回開催しました。

私自身もUターン組ですので、地域に恩返しをしたいと思って始めたのですが、いずれはちいクラを軸に色々と派生させて、弊社なりの起業家の応援システムを考えていきたいです。

さらにこれからも、システムやWebが身近になるようなご提案やサポートを通して、地元企業を元気にしていきたいですし、コロナ収束後は、道内各地でWebマーケティングセミナーや普及活動もしていきたいと考えています。

取材日:2021年4月19日 ライター:八幡 智子

株式会社インセンブル

  • 代表者名:濱内勇一
  • 設立年月:2014年10月2日
  • 資本金:100万円
  • 事業内容:システム開発、Web制作など
  • 所在地:〒060-0062北海道札幌市中央区南2条西7丁目8-2南2条ビル5階
  • URL:https://www.insemble.co.jp/
  • お問い合わせ先:上記Webサイトの「お問い合わせ」まで

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