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職種その他2021.09.01

ポスティングからエステサロン、サッカーチーム運営まで、NU Edition Productsは枠にはまらない幅広い事業展開と妥協のない泥臭い姿勢でお客様とかかわり続ける。

仙台
NU Edition Products (ニューエディションプロダクツ)株式会社 代表取締役
Natsumi Sato
佐藤 夏美

子育てと社長業を両立できる原動力は何か?女子サッカー選手時代に培った精神と、顧客である地元企業のへの熱い想い。ポスティングをメインとした広告業、エステサロン、中国のサッカーチーム運営など、幅広い事業を展開していくNU Edition Products株式会社。グローバルに多方面で活躍されているパワフルな代表取締役・佐藤夏美(さとう なつみ)さんにインタビューをしてきました。

 

会社を創業して2ヵ月後に第一子を出産!産休を取らず、お客様第一優先の姿勢を貫くド根性なプロ意識。

Webサイトを拝見し、子育て中の女性が働きやすい環境づくりに注力している印象を受けました。

弊社は女性だけでなく、男性も障害を持っている方も、皆それぞれ個性を活かしながら働ける環境づくりを目指しています。いわゆるダイバーシティですね。例えば、働く時間を細分化し、通常8時間勤務をブロック8個分と考えます。障害を抱えている方は1個、産休に入った女性が0個になるとすれば、男性は10個という風にする。お互いに助け合える程度の分業を行う体制をつくっておく。社員を雇っている企業側が社員の事情をちゃんと理解し、その時々の状況に合わせてフレキシブルに対応しなくてはならないと思います。

佐藤さんは社長業と出産・育児をどのように同時並行でされていたのですか?

この会社の立ち上げが2018年8月、子どもを産んだのが同年10月で、起業と出産のタイミングがほぼ同じくらいの時期でした。私は産んだらすぐに仕事に復帰しようと思っていたので、朝7時に第一子誕生、2時間後の9時にはお客様にメールの返信をしていました(笑)。社長業に産休・育休なんてありませんからね。10年くらい続いている会社でしたら産休・育休がとれないのはおかしいと思いますが、創業して2ヵ月くらいしか経っていなかったですし、大企業の元請け会社とお取り引きしていたので、絶対に仕事に穴をあけることはしたくないと必死でしたね。当時はポスティングのお仕事だけでしたが、現在は広告のディレクション、デザイン制作から任せていただいています。

御社はポスティング事業から始まった広告会社なのですか?

はい、ポスティングから始まり。創業当時のスタッフは4名。県内より県外の案件のほうが多く、公共事業のポスティング依頼も多かったです。よくポスティングは効果をあまり期待できないと言われることがありますけど、私たちはチラシを配布して終わりとはしていません。

きちんとクライアントであるお客様の「伝えたいこと、大切にしていること」をカタチにして、デザインにして、届ける。いくら良い商品・素晴らしいサービスを持っていたとしても、誰にも知られていなかったら意味がありません。「売る」ために、コンセプト設計からお客様に関わらせていただき、成果を上げるためのデザインやPR方法、消費者が購買するまでの導線を考えるようなコンサルティングも行なっています。おかげさまでお客様も徐々に増えてきまして、もうすぐ5期目に入ります。

起業される前のキャリアをお聞かせください。

もともとはインテリアデザイナーになりたかったので専門学校に通っていました。大学卒業後はアパレル、ハウスメーカー、家業の運送業などさまざまな業種のお仕事を経験しました。そして土木建設会社の立ち上げを福島の郡山で行ない、現在は地元の仙台に戻ってきたという流れです。また高校、大学とサッカー選手として精力的に活動してきました。その流れで事業のひとつとして中国の大連市にあるサッカークラブの運営をしています。12歳以下のジュニアチームで、Jリーグ浦和レッズの監督経験者がリモートで指導を行なっています。

元選手とはいえすごいですね…サッカー事業を始めた理由は?

スポーツインバウンドで地域を盛り上げていきたいと思ったからです。海外から日本にやってきた選手たちがキャンプだけでなく、観光案内や、文化にふれてもらい、お土産を買って帰ってもらえるような体験を期待しています。自分たちの会社でプロモーションもできるので「中国人向けのパッケージつくりましょうよ」って言えますし。同じパイの中で争っている広告代理店はたくさんいますし、昔から続いている老舗の広告代理店のほうがまだまだ強者です。そこで私たちはまずイベントの主催者側に立ち、他の企業と手を組んで何かをする、新しいことを興すところから手掛けるようにしています。コロナ禍で分かりましたが、どの事業が生き残るかは予測できないので、現在は中国向けのビジネスですが、さらに多方面に事業展開していくことも今後はあるかもしれません。

では現在の事業ドメイン(領域)である広告代理業を始めるきっかけは?

私自身が人に対してものを伝えるのが下手で、私はこうしたい!ってことが、相手に伝わらないことが歯がゆく感じていました。

弊社はエステサロンもやっているのですが、開業時は広告デザインの仕事を事業としておらず、サロンのホームページやお店の販促物を外注先の制作会社に依頼して色々とつくってもらっていました。しかしどうしても私たちが求めているもの、表現したいものとはかけ離れていて……。「デザインがもっとこうだったら、こうしていたかったな」という想いが広告代理業を始めるきっかけになりました。

当時もっといいデザイナーさんに出会っていれば、違う事業展開だったかもしれませんね。

 

すべてはお客様満足のために。がむしゃらに、できる限りのことをしてあげたい。

会社立ち上げから今に至るまで、何か大きく変化したことはありますか?

お客様に対する想いは強くなってきていますね。こちらが一生懸命、がむしゃらにやる姿勢が伝われば、お客様はきっと分かってくださいます。

ただし、自分たちがやりたいことだけやっていたのでは、それは「デザイン」ではなく「アート」でしょう。お客様の商品を自分もどれだけ好きになれるか、実際手に取って、現場に足を運んで、作り手の想いを深く聞いていく。泥臭いけどそういう風にやってきています。

「お客様第一主義」のエピソードはありますか?

私自身、お客様の会社のスタッフのひとりとして新商品販売のお手伝いをしに店頭に立つこともあります。

最近では県内のチーズケーキ店のプロモーションで、チーズケーキを売っていました! 実際に売り場に立つとそこで見えてくることあります。買ってくださる目の前にいるお客様のリアクションを見るのは勉強になります。ほんとに泥臭いでしょう(笑)。こういうことをトコトンやるのが私の性分。人と関わるのも好きでやってしまうのでしょう。

これからどういう会社をつくっていきたいですか?

トップダウンではなく、役職、年齢、男女にかかわらず、皆が横並びで、全員がお客様目線に立ち、会社を創り上げていく。お客様のためにとにかく喜ばれることを、社員が自発的に発案してくれている、それが理想ですね。

採用について大切にされていることはありますか?

面接で「あなたはその職業好き?」と聞いています。履歴書を見て、辞めた理由や前の会社ではどうたった? いったことは一切聞きません。前の会社のことは、前の会社のことですから。

先ほどお話した通り私は「お客様に関わりたい」そんな想いの部分を大切にしているので、共感してもらえないならしかたがない。やりたくないことをわざわざしてもらう必要はないですし「どうせここで働くのだったら好きなことをやって、こういう経験積んでいったらどうですか?」と伝えています。

自分の好きなことだったら勉強するのも、技術を磨いていくことも自然とできますから。

 

過去にあったすべての出会いと経験が、今の会社経営の糧となっている。

過去の経験から得た教訓はありますか?

私はずっとサッカーをしてきて思ったことがあって。通常スポーツ業界だとプロになって引退したら、番組解説者になったり、チームの監督や、スタッフをやったりしますよね。ただそれ以外にスポーツ選手のセカンドキャリアはあまりないというか、単に元スポーツ選手たちはキャリアの選択肢を知らないだけのように感じます。解説者にはなれなかったけどコーチ? 求めている自分の夢が本当にそれなのか? と問いかけたい。

自分たちの半径の中で考えないで、こういう方法もあることを教えてあげたい気持ちがあります。人生で本当に自分の好きなことに出会えるってたぶん難しい。そして時代に合った新しい仕事が次々と生まれている中で、全部を経験してみてから決めるのも難しいでしょう。

今、娘が生まれたからこその価値観があります。私がサッカーをやっていたから、好きだから、事業にしているから、将来彼女の選択肢の一番上にはサッカーがくるかもしれません。でも別にサッカーじゃなくていいんです。そうはいっても彼女が自分で「好きなこと」を知る場面やきっかけを、私たち大人がつくってあげなくてはと考えています。そうでないと子どもたちの可能性も開かないですから。

親の環境下だけで将来の選択肢が決まってしまったり、狭まってしまったら苦しいだろうなと思います。

今後の事業に対する展望を教えてください。

繰り返しになりますが、人との関わりが自分の土台となっています。人と話すと「すごい考えを持っているな」とか「枠の外へはみ出しているけど、人の心を動かしているし、それでいいのだな」とか。学びがたくさんありますね。時代もこんなに動いているのに、自分の狭い領域の中で考えるのは浅はか。人からの学びを仕事に生かしていきたい。

またSDGsも避けては通れないと思っています。私が参画している地域イノベーションプロデューサー塾(以下、RIPS)は、今年で10期目に入るのですが、面白い企業と出会えるので貴重です。そこには、SDGsに始まり、地域課題を解決する事業を誰がやるの? それは私たちだ、という考えを持っている方が集まっているので、いい影響を受けています。ビジネスで行き詰まったときは、必ずどこかに問題は落ちているから、その問題解決をすれば何かの仕事につながる。

また地域課題はわざわざ県外の人が出向いてやることなの? その場にいる私たちが、やらなくてどうする? 儲けたいだけ儲けて、その地域のあとはしらん顔っていうことは成り立たないでしょう。そのようなことを創業のときからずっと思っていました。

社名の由来からくる事業への想いを教えてください。

NUというのはNEWじゃなくて、専門学校でインテリアデザインの勉強していたときに造語としてつくりました。。NUストア、NUなになにとかずっと活用していて。もし自分の会社をつくるときは、これを使おうと決めていました。新しい時代を創造する、ただ斬新なだけではなく、目的を考え、今までの歴史もふまえた中で、私たちはこれから何を生み出すのかという創造の部分を重視しています。ただ新しいものだけを追いかけても、どこにも響かないと思っています。

最後に、クリエイターを目指す人に向けてメッセージをいただけますか?

高校のサッカー部で、コーチだった恩師からよく言われていたのは、「心ってどこにあると思う?」です。自分と相手が向き合って真ん中くらいの距離を指さしながら「(相手の)心と(自分の)心との間にあるんだよ」と言われました。この話を今でも思い出します。

相手のいる方向に体を向けて、ちゃんと相手に向き合おうとするから、お互いの心が通じ合えるのだと、よくサッカーのパスになぞらえて言われていました。練習で技術を高めるだけではなく、精神的なところもすごく勉強になりましたね。スポーツもクリエイティブな仕事も同様、相手やクライアントに真摯に一生懸命向き合えば、きっとお互い通じ合えると思いますし、成果につながっていくはずです。

取材日:2021年7月6日 ライター:佐藤 えり

NU Edition Products株式会社

  • 代表者名:佐藤 夏美
  • 設立年月:2017年8月
  • 資本金:100万円
  • 事業内容:広告代理業(ポスティング・イベント事業)、エステサロン事業、サッカークラブ運営。
  • 所在地:〒989-3121宮城県仙台市青葉区郷六字龍沢18-4
  • URL:https://nu-edition.jp/company/
  • お問い合わせ先:022-797-8464

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