グラフィック2021.09.08

企画からプリンティングまでワンストップがプログラフの強み。新潟・燕三条で印刷の可能性を魅せる!

新潟
プログラフ株式会社 代表取締役
Yasuo Iwahashi
岩橋 泰夫
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“印刷を「魅せる」に”を企業理念に掲げ、「視覚表現のプロ」を追及し続けるデザイン・印刷会社

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制作実績①:グレイスプラスさまの美容液・美容水パッケージ制作では、前例のない複雑な形状の抜き加工にも挑戦

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制作実績②:様々な製菓用品を取り揃えている霜鳥製作所さまの製品パンフレット

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制作実績③:「北の海のせっけん」のパッケージは、パッケージデザインコンテスト北海道2019で審査委員賞(鎌田賞)を受賞

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制作実績④:K.いしかわさまの新社屋竣工記念の純米大吟醸ボトルのペアパッケージ

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デザインと紙、印刷によってその素晴らしさを感じることのできるオリジナルのプロダクトブランド

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オリジナル商品の1つで、マルめるとアニマルになるメモ、「メモマル」

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「frel.」オンラインショップはこちらから⇒https://frel.stores.jp/

“ものづくりのまち”新潟県三条市。ここに50年以上前に創業した印刷会社から、印刷を軸に据えたトータルデザインカンパニーとしてしなやかに成長している企業があります。プログラフ株式会社は自社所有の印刷機、長年培ってきた印刷技術、そして高いデザイン力という強みを生かし、消費者の心をくすぐるオリジナルアイテムを続々と開発したり、クライアントの抽象的なニーズへ柔軟に応えたり、“魅せる印刷”を追求し続けています。代表取締役の岩橋泰夫(いわはし やすお)さんにお話を伺いました。

 

“なあなあ”ではいいものは生まれない!業界の慣習に風穴を開ける奮闘の歩み。

プログラフは、もともと歴史のある印刷会社がスタートだと伺いました。

私の父が立ち上げた岩橋印刷という1963年創業の印刷会社が前身です。地元・三条市は金物を中心としたものづくりの街で、帳票・商業印刷を中心とする活版印刷業から始まっています。1998年に私が代表取締役に就任して、就任20年、創業約50年を節目に第二創業の意味を込めて、2018年に現在の社名に変更しました。「プログラフ」はProfessionalの「PRO」、Graphicの「GRA」、そしてFix(目や心を注ぐ、不変、固着)の「F」を組み合わせた造語で1997年に制定、商標登録された当社ブランドを踏襲しています。

家業だったということですが、岩橋社長が岩橋印刷に入社された経緯を教えてください。

私は地元の高校を卒業後、デザインと写真の専門学校に通い、都内の広告代理店に就職しました。80年代後半から90年代にかけてですね。ここで制作進行管理として、制作・営業とクライアントとの間で、原稿のやりとりなどを担当していましたが……これがなかなかハードな日々で、20代後半で実家に戻ることにしたんです。

同じクリエイティブの業務でも、東京と新潟・三条では、環境は大きく変わったのではありませんか?

これは弊社だけではなかったかと思いますが、当時はクライアントから印刷会社への対応がかなり高圧的で同時に受け手の印刷会社もミスや納期遅延、見積書の信憑性に関して甘かった。落ち度や間違いを正さず安易な処理や、値引き交渉を見越した恣意的な見積もりなど、なあなあな関係が出来上がっていたんです。さらに地方では見積もりが項目分けされず、すべて「一式」で済まされていたんですよね。デザインや用紙、DTP、印刷、加工など、それぞれの仕事の対価が見えなかった。

東京の職場で最後に手掛けたのがCI(※)案件で、費用対効果が直接目に見えないCIにもきっちりと費用を払っていただけることが新しい感覚で、こうあるべきだと思いました。そして自分たちの姿勢が変わらないとクライアントの姿勢も変わらないとも感じて、三条に戻って以降は一生懸命項目分けした見積もりを提出して、説明して……最初はかなり苦労しました(笑)。

※コーポレート・アイデンティティ(corporate identity)の略称。企業文化を構築して特性や独自性を統一されたイメージやデザイン、またわかりやすいメッセージで発信し社会と共有することで存在価値を高めていく企業ブランディングの一つ。

 

自社に印刷機がある強み。視覚表現に関するあらゆるオーダーに柔軟に対応。

現在のプログラフの事業内容を教えてください。

印刷に関わることを全般的に手掛けています。広告やカタログ、ポスター、デザイン文具などの印刷物から、建物のサインや展示会什器のデザイン・設計施工プロデュース、スペースデザインなども手掛けています。他にWebサイト制作やキャラクター開発など、多岐に渡りますね。特に得意な分野が販促品です。私たちの拠点・燕三条はメーカーや製造工場が多いので、展示会用に制作が求められる場面も多いです。

具体的なアイテムのご相談から、「お客様から喜ばれるもの」という要望にもお応えしています。視覚表現につながるものであれば基本的にお断りすることはありません。プログラフの強みは、自社にデザイン部門とそれを具現化できる印刷加工設備、そして協力会社があること。だからこそ、多様な相談や依頼にも柔軟に応えられます。

都内のお客様からも「ワンストップでお願いできるところがいい」と評価していただいていますね。

企業理念をお聞かせいただけますか?

私の代になって「自社のドメイン(領域)は何か」ということをしっかりと表現し、浸透させたいという思いがずっとありました。印刷会社である原点に立ち返り、イメージを形にすることの手段の一つとして新たな価値を創造し、求められる存在を目指して「印刷を“魅せる”に」を企業理念に、そして「すべての人のためにイメージを具体化しよう」をミッションに掲げています。

「印刷を“魅せる”に」について、詳しく教えてください。

端的に言ってしまうと、紙にインキを展色する「印刷」は機械設備さえあればどこでもできる作業です。ただ、その前に製版スタッフやデザイナーがクライアントのニーズを表現に落とし込むには技術がいる。そのために営業だけではなく、クリエイティブスタッフもクライアントと直接対話をしますし、プリンティングディレクターも活躍しています。多くの場合、印刷会社が強調するのは印刷部分についてです。ただ最終的に印刷したものを評価していただくには、スタートの企画段階から総合的に作り込んでこそで。私たちはそれを「魅せる印刷」と呼んでいます。

御社のメンバー構成を教えてください。

社員は41人で、大きく分けて営業や経理総務関係で1/3、デザイン制作で1/3、工場の生産現場で1/3の割合です。離職率が低いのは自慢です。産休・育休から復帰する人も多いですね。未経験入社の人も多いですがみんな先輩から習って、スキルアップもしています。

 

国内外に感度が高い地元企業と共に広がる「ものづくりの街の印刷」


オリジナルのプロダクトブランド「frel.」(フレル)を展開されていますね。ノートの端に挟めるメモや、メッセージが書けるポチ袋など、どれもミニマムサイズでかわいいデザインで、しかも細かなディティールの型から作られていますね。

常々、「紙に合わせた印刷効果にこだわりたい」という思いを持っていました。印刷業界には「KOKUYO」さんのように印刷会社から規格文具の製造販売に業態の主軸を太くしていった企業があり、そういった可能性も考え2014年に「frel.」(フレル)を立ち上げました。

立ち上げ時は展示会出展でかなりの反響をいただき、メディア取材をいくつも受けたり、東急ハンズやロフトで販売されたりと注目はされてきましたね。私たちが開発したfrel.の商品も好調ですが、そのアイテムをベースにしたOEMの注文がとても入るようになりました。

社内でも好評で、結果も出ているということもあり、社員のモチベーションアップにもつながっています。

先ほども少しお話がありましたが、プログラフは燕三条という地に拠点があることによる、ビジネスへの影響を感じますか?

燕三条は古くからものづくりが盛んな地域。江戸時代から地元産の品を全国へ流通させてきた実績があります。

当時から、商人たちが技術や商品の情報を県外から持ち帰ってくれていた文化があり、時代を経ても燕三条の人間はフットワークが軽く、情報収集が早いのかなと思います。だから、時流の読み方が他のエリアよりも優位なのかもしれません。

 

印刷業界には、まだまだ可能性がある。どんな時代も「信用」を大切にしながら成長していきたい。

インターネットがインフラになり、雑誌の休刊、新聞購読者数の減少など紙媒体への影響が顕著に現れてきています。そんななか印刷に携わる会社として、どうお考えでしょうか。

これからの時代はAIがどんどん台頭していくでしょう。きっとデザインのアイディアも、AIが瞬時に有効判断し採用確率の高いイメージを弾き出してくるようになるはず。それまでに人の力や感性が求められるサービスを開発できるかが肝心ですね。

紙媒体についてですが、ニーズが減ることは明らかです。ただし、まだ紙を必要とするマーケットがあるのもまた事実。必然性があるからこそ、不要に卑屈になる必要はありません。楽観視はしていませんが、まだまだマーケティングによって印刷を必要とするアイテムも新たに開発されるだろうし、将来をそんなに憂うことはないんじゃないでしょうか。

どんな人と一緒に働きたいでしょうか?

プログラフの面接は服装自由なので、どういった格好をしてくるかで個性を見極めたりしています。自分の意見をちゃんと持って、自発的に行動できる方は期待できますね。それが具体的な、形にしていく力へとつながっていくのだと思います。

うちで働いてほしい方に分かっていただきたいのは、プログラフと燕三条の魅力です。今は地方か都心部かは大きな問題ではなくなってきていて、実際、新潟を拠点に全国的に活躍しているデザイナーさんたちもいます。燕三条は距離感なく都心へ移動できるし、暮らし易さはこちらに分があるとも思っています。

強みの部分と重なりますが、東京のクリエイターさんによく言われるのが「印刷工場がそばにあって、刷り上がりがすぐ見られるのがいい」ということ。自分たちにとっては当たり前のことで、その価値に気づかないことも多いですが(笑)。

地域的にメーカーや製造工場もたくさんあって、クライアントや協力企業とすぐに顔を合わせられるところもいいですね。

プログラフの今後をどのようにお考えですか?

また社名が変わったりするかもしれませんね(笑)。時代の変化が激しいので、「こうやっていきます」とビジョンを固めきってしまうことは難しい。ただ、時代が変わっても、信用や品質など、お客様が評価してくれる根本的な部分は変わらない、そこを見失わなければいいと思っています。

取材日:2021年7月21日 ライター:丸山 智子

プログラフ株式会社

  • 代表者名:岩橋泰夫
  • 創業年月:1988年10月
  • 資本金:2,000万円
  • 事業内容:デザイン、印刷およびそれに付帯する業務、デザイン文具をはじめとする紙製品のオリジナルブランド「frel.」
  • 所在地:〒955‐0053新潟県三条市北入蔵1-9-20
  • URL:https://prograf.co.jp/
  • お問い合わせ先:0256‐38‐5735

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