「自分のこだわりは、必要以上に優先させない」株式会社mistaの顧客ファーストとは
Webサイトの課題解決のために、クリエイティブデザインとマーケティングの2つの面からアプローチしている株式会社mista(ミスタ)。代表取締役の北野雄一(きたの ゆういち)さんは、「課題解決のため、顧客へのヒアリングを重要視している」と話します。
会社設立の経緯とともに、顧客が抱える課題を見極める方法を、北野さんにお聞きしました。
課題解決のために、パートナーとして並走する
まずは、御社のお仕事内容について教えていただけますか。
マーケティングプランニングからWebサイトの設計、制作、サイト運用や広告運用まで、課題解決に必要な業務はトータルで承っています。「サイトをリニューアルしたいけど、どこを変えたらいいかわからない」「サイトの新規立ち上げを考えているので、いい案を出してほしい」など、まだ詳細が決まっていない段階でご相談いただいても大丈夫です。
具体的に、お仕事はどのように進んでいきますか?
僕たちが大切にしていることは、なによりヒアリングですね。「お客さまが本当に困っていることはなにか?」を深掘りして、解決する課題をハッキリさせるようにしています。既存のサイトがある場合は数値を分析して、そのうえで解決するべき課題を見つけます。
そのあとは、課題解決のためのサイト設計やシステム設計。どこを変更したら数値が向上するか、どんなコンテンツが不足しているかを考えて、作るべきものを決めていきます。
それらが完了したら、やっとクリエイティブデザインに移ります。製作して、テストして、問題がなければ公開。必要であれば、その後のサイト運用や広告運用も行います。
本当に、最初から最後まで一貫して担当されるんですね!
はい。今お話ししたものはまとめて「パートナー型Webサイト制作・運用サービス」の名前で提供しています。”パートナー”とついているように、課題解決をするうえでのパートナーとして、目的達成まで一緒に並走するサービス内容になっているんです。
「社内にマーケターがいるから、制作だけお願いしたい」「自分たちでデザインはできるから、マーケティングの分野だけ相談したい」といったニーズもあるので、サービスの一部を切り出したものもご用意しています。
他の制作会社やマーケティング会社と比較して、御社の強みはなんでしょう?
「サイトから問い合わせが何件来るようにしましょう」「サイトの訪問数をこれくらい増やしましょう」と弊社が設定した目標は、会社設立以降、すべて達成しています。
評価に関して、数字は嘘をつきませんから。クリエイティブを作って終わりにはせず、どのような結果になったのか細かく分析して、課題を必ず解決できるように日々努めています。
会社員時代の経験が、自分の助けになった
独立して起業するまでの経緯を教えていただけますか?
大学卒業後、システム会社にWebデザイナーとして入社しました。そこではデザイナーと言いつつ、仕事を取るために営業もしていましたね。
自分で仕事を取り、自分で制作して納品する……そんな経験を2年ほど積んで、その後は23歳でフリーランスとして一度独立しました。フリーランスとして実績を積み、その後、30歳のときに株式会社イタレリという会社を立ち上げたんです。
ちなみに、フリーランスを続けるのではなく、会社を立ち上げようと思ったのはなぜですか?
フリーランスデザイナーとして活動している時期は、午前10時に寝て正午に起きるなど、ハードな生活が続いていたんです。将来を考えたときに、この働き方をずっと続けることはできないなと思って……。業務を仕組み化するために、会社の設立を考えました。
「午前10時に寝て、正午に起きる」って、たった2時間ですよ……! 確かに、長く続けられる働き方ではありませんね。
当たり前ですが、フリーランスとしてひとりで働いていると、すべての業務を自分だけでやらなくてはいけないですからね。
株式会社イタレリは、会社員時代の知り合いと一緒に2008年10月に立ち上げました。株式会社mistaを立ち上げたのは、それから約10年後の2019年4月ですね。イタレリは、シンプルなWeb制作会社。mistaは、クリエイティブデザインとマーケティングを組み合わせたサービスを提供しています。心機一転の意味も込めて、イタレリとは区別しました。
ここまでお聞きして、素朴な疑問が出てきたんですが、「大学卒業後すぐにフリーランスになろう」とは思いませんでしたか?
それは考えませんでした。会社員時代は2年と長くありませんが、僕は一度企業に属してよかったと思っています。名刺交換の方法や、メールの書き方など、社会人としての基礎を学べましたから。なにも知らないままフリーランスになっていたら、今の人生には繫がっていなかったと思います。
ただ、スタートアップ企業で「世界に新しいことを生み出そう!」と考えている人は、あえて企業に属さなくてもいいと思いますよ。会社員としての常識がないほうが、型破りな発想が出てくるかもしれないし。
でも僕たちの顧客は、会社員の皆さまです。会社員のしがらみなどを知っておかないと、うまくいかないこともあるんですよね。相手の気持ちを察する意味でも、会社員として働いた経験は自分の助けになっていると感じます。
大切なのは”課題解決”で、”自己表現”ではない
先ほど「業務の中で大切にしていることはヒアリング」とおっしゃっていました。相手の要望を正しく受け取るために、なにか意識していることはありますか?
まずは、相手に興味を持つことです。興味を持てば、質問したいことが必ず出てくるから。例えばお客さまが「文字の一部を赤色にしたい」と希望したとして、そのまま受け取るだけでは足りないんです。「文字を目立たせるため」なら、別に赤じゃなくてもいいですよね。そもそも、課題解決のためには目立たせないほうがいいかもしれない。
どうして赤にしたいのか、なぜ赤じゃないといけないのか。相手に興味を持ち、疑問点を深掘りしていくことで、課題解決のために本当にやらなくてはいけないことが見えてきます。
相手の言葉通りに作る……新人時代だと、疑わずやってしまいそうです。
そうですね、僕も若いときはたくさん失敗してきました。自分のこだわりを入れすぎて、相手の立場に立てなかったこともあります。
デザインにおいては、一歩間違えると自己満足になる可能性もありますよね。
経験が浅いときは、それでいいと思っています。まだ経験をそこまで積んでいないときは、相手の課題に気づけないこともありますから。
相手の要望を形にして、足りない部分に自分のこだわりを添えて、やっとクオリティを保つ場合もあるでしょうね。それは、悪いことではないです。
経験を積むと、相手の求めていることが少しずつ理解できるようになります。今の僕が大切にしているのは、課題解決の方法にはこだわりつつ、自分自身のこだわりは必要以上に優先させないこと。自分のこだわりが表に出すぎると、相手の課題を見失ってしまうからです。
「自分のこだわりを大切にしたい」と思うあまり、相手と衝突する方もいると思います。その場合は、どう対処すればいいんでしょうか?
こだわりを持つこと自体はいいけど、相手に押し付けないように意識したほうがいいですよ。自分のこだわりだけに意識が向くと、相手を置き去りにしてしまうから。大切なのは、相手の抱えている課題を解決することで、自己表現することではないはずです。
自分を表現したいなら、アーティストとして活動したり、趣味でやればいい。ビジネスの現場で、課題解決を望んでいる相手がいる以上、相手の立場を忘れてはいけないと思います。
最後に、御社が目指す未来を教えていただけますか。
仕事のノウハウをひとりで抱え込まず、社内全体で情報を共有しながら、業務を仕組み化していきたいと思っています。「この仕事は、この人にしかできない」となると、会社にとってはデメリットです。属人化しないように意識しながら、会社の規模を大きくしていきたいですね。
さらには、社内で培ったノウハウを、社外にも提供していきたいです。ノウハウの提供方法は「インハウスWebデザインチーム育成支援」という新規サービスを検討中です。クリエイティブデザインやマーケティングの知識を惜しみなく提供して、他社のチーム育成に尽力したいと考えています。
契約中は、細かなところまで弊社がサポートできます。ただ、契約終了後は僕たちは手が出せない。その結果、仕事が回らなくなるところを多々見てきました。
それは、僕たちの本意ではないんです。顧客が自分たちの手でも課題解決に取り組めるように、弊社の培ってきたノウハウをオープンにしたい。そうすることで、僕たちが支援できる幅も、もっと広がっていくと思っています。
取材日:2021年9月7日 編集協力:くまの なな
株式会社mista
- 代表者名:北野雄一
- 設立年月:2019年4月
- 事業内容:クリエイティブデザイン、マーケティング最適化
- 所在地:〒150-0011 東京都渋谷区東1-26-30 KTビル4F
- URL:https://mista.co.jp/
- お問い合わせ先:https://mista.co.jp/contact
- 電話番号:03-5413-8422