職種その他2021.12.22

理容・美容業界に変革を起こし、より魅力的で持続可能な業界へと導く

広島
一般社団法人GIA代表理事
Keiji Sawada
沢田 圭司

2020年8月、全国の理容・美容業界の在り方を根本から変え、より魅力的な業界作りに貢献する一般社団法人GIAの活動がスタートしました。

理事を務めるのは、広島県福山市を拠点に美容院やエステティックサロンを複数経営し、有限会社ブルームフラワーズの代表も務めている沢田圭司(さわだ けいじ)さん。

一人の美容師として、また会社の代表として、業界の将来を案じ、理容・美容業界の発展に尽力してきた沢田さんは「業界のポテンシャル」を見出し、次世代を担う人に、より魅力的で誇れる業界になることを願い、一般社団法人としての活動を始めました。

そんな沢田さんに、GIAのビジョンや設立までの経緯、理・美容業界への思いなどを伺いました。

夢は大きく語るほど、実現する力を蓄える

一般社団法人GIAはどのような団体ですか?

「美容業界に変革を起こす!」という信念のもと、理容・美容従事者を応援し協力するために、全国から有志が集まり活動している団体です。GIAが目指すのは、これからの時代に即し、持続可能で魅力的な業界の形を創造していくことです。

これまでの理容・美容業界の慣習にとらわれず、時代に合った経営が求められています。働き方はもちろん、経営面などさまざまな見直しが必要です。ただ事業者の努力だけでは成しえないこともあります。日本全国の理容・美容従事者がつながり、結集して業界を変えていく。そのハブになるのがGIAの役割です。

業界に変革を起こす、その思いが生まれた背景にはどのようなことがありましたか。

今のままでは業界自体が衰退してしまう、その危機感が原動力ですね。理容・美容業界は人の手でやる仕事です。カットにかかる時間、パーマにかかる時間、手際の良い仕事をしたとしても、美容師1人あたりの1日の仕事量は自然と決まってしまいます。

また、昔から労働条件の厳しい職場になっていました。労働基準法が厳しくなったことで状況は緩和されつつありますが、1日の生産性が低くなってきているのが現状です。それに加え、これから日本の人口が毎年100万人ずつ減少してくなかで、このままでは業界全体の売上が下がっていくのは間違いありません。

業界全体の売り上げを維持し伸ばしていくためには、経営の見直しや新しいビジネスモデルの構築が必要でした。

この業界に定着している非合理的な習慣、さらに約70年も改正されていない理容師法や美容師法など事業者だけでは解消されない問題もあって。さまざまな問題を解決するにはチームの力が必要と考えてGIAを立ち上げました。

いつごろからそのようなことを考えていたのでしょうか?

業界の発展に貢献したいという思いは、ずっと持っていました。理容・美容室経営者の団体であるSPC GLOBALに20年以上在籍していますし、その理事長を務めていたこともあります。

そういった活動に関わるうちに、自然と業界全体について考えるようになりました。GIAについては、構想を始めて5~6年になるでしょうか。初めは自分の会社(ブルームフラワーズ)をどう守るかからスタートしたのですが、この仕組みは業界全体を守れると気がついたんです。

夢を描くときは、どれだけ大きく膨らませるかが大切。大きいほど実現する力も大きくなると思っていて。フットワークが軽く、より多くの人が関われる団体にしたくて、自社の事業としてではなく、新しく社団法人としてスタートしました。

 

美容業界に貢献したと歴史に刻まれる団体を目指して

GIAの具体的な業務内容について教えてください。

まず私たちが目指しているのは5つの項目の改善です。1つ目は現代社会に見合った労働条件での運営、2つ目が安定して働ける職場環境、3つ目は収益の増加、4つ目が広告費の見直し、5つ目が時代に合った新人育成と教育。

これらの改善を通じて業界の新しい仕組みを作ります。改善の核となるのが独自で運営開発を行う美容情報サイト「nachura(ナチュラ)」と、「Social Salon Adviser認定制度」です。この業界で働く人が本当の豊かさを享受できてこそ、魅力的な業界になります。そのためには「これまでの当たり前」を見直していかなければなりません。

例えば広告。新規顧客開拓のためと大手サイトに多大な費用をかけて広告を打つ、これは業界では当たり前のように行われています。しかしその効果を考えると、プラスどころかマイナスになっていることがほとんどです。

私たちが本当に大切にしないといけないのは、新しいお客さまを獲得することではなく、今来てくださっているお客さまの満足度をあげることなんですよね。美容サイトも認定制度のどちらも、そのためのツールです。

美容情報サイト「nachura」について教えてください。

もともとは美容院の物販を支えるためのサイトでした。このサイトを通すとディーラーが在庫を保管し発送業務まで行ってくれますし、サロンは在庫の負担や管理業務から解放されます。お客さまにはサイトを通じて購入をすることで得になる仕組みもあります。

しかも、扱うのは美容商品だけではありません。理容・美容師って1時間~長ければ3時間など、お客さまと1対1で対面する仕事なんですね。パーソナルな空間に立ち入るので、お客さまからの信頼関係も築けます。また会話を通じて、その方の好みやライフスタイルを良く知る存在でもあります。

そして私たちは普段から、その方に合わせた情報を会話のなかで伝えているんです。例えばインテリアにしても、旅行にしても、お客さまが探されているものを提案できる。私たちが信頼を保証する事業者を紹介するので、お客さまも安心して買い物ができる。顧客、サロン、美容商材を扱うディーラーやロジスティクス、さらには直接美容に関係のない異業種までも巻き込む、理容・美容業界全体にメリットあるサイトなのです。

「Social Salon Adviser認定制度」とは、どのようなものですか?

どの業界にも言えることだと思いますが、会社を強くするのに一番効果的なのは、「教育」です。これからの理容師・美容師の教育を支えるのが、この制度です。人間力そのものをあげて、お客さまとの厚い信頼関係が築ける人間になるために、技術的な分野以外の知識向上を図るのがこの制度です。

理容・美容師として幅が広がりますし、そんな認定アドバイザーがいる店舗は、お客様も従業員も満足度が向上するでしょう。ひいてはそれが、サービスや売上の向上にもつながっていくんです。

他にどのような活動がありますか?

教育や経営の支援もしていきます。研修にはオンラインを活用するなど時代に合った手法も取り入れたり、この活動に参加している業界トップクラスの実力を持つ理容・美容師の講演を行っていきます。

これまでになかった方法で、理・美容師を応援し、協力していくのが私たちの役割です。まずは働く人が魅力的であるための労働環境の整備など、できることを着実に積み重ねて「GIAは業界の発展に貢献する団体」だと言われるようになるのが、僕の夢ですね。

 

思いを共にする者同士がチームを組んで業界を変える

今後のGIAの組織作りについてもお聞かせください。

GIAの立ち上げ、運営には、多くの人が応援してくれています。大先輩にあたる方や、東京や大阪で10店舗を経営している社長など、業界の名だたる人々に参加いただいています。

「こういうのをよく考えたな、応援するよ」って言っていただき、力を貸してくれる業者さんたちとつなげてくださったり、多くの人を巻き込みながら進んでいます。

私たちのシステムを支えるだけでも、20~30人は必要だと思っています。できればこれから、業界を支えていく若い人たちに関わってもらいたいんです。自分たちの業界を自分たちで変えていく、そこにやりがいを感じて欲しいですね。

業界を変えていく、本当に大きな目標ですね。

これまでも挑戦しては、失敗もしているんですよ。次はこれが来る、あれが来るって、ずっとやり続けているんです。失敗する、それでいいんです。失敗しないと次の成功はないですからね。

いろいろやってきたからこそ言えるのは、成功することって、“みんなが良くなること”なんですよね。それを考えられていないと、うまくいかないんです。

GIAの活動は、お店も良くなる、そこで働くスタッフさんも良くなる、関わってくれる業者さんや企業も良くなる、当然お客さまのためにもなる。全部が良くなる仕組みに携わることです。

これからもっと応援されて必要とされる事業になっていきます。GIAが理容・美容業界の新しい風になって盛り上げ、今後の発展に貢献していきたいと思います。

取材日:2021年11月2日 ライター:山名 恭代

一般社団法人GIA

  • 代表者名:沢田 圭司
  • 設立年月:2020年8月18日
  • 事業内容:理容・美容業界の教育、経営支援、活性化事業
  • 所在地:〒720-0824 広島県福山市多治米町 4-13−12
  • URL:https://gia-world.info/
  • お問い合わせ先:082-982-8655

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