京都生まれ京都育ちの若い僕らで積極的に発信することが、京都の課題解決につながる
飲食店の運営や商品プロデュース、独立・開業のコンサルティングを行う株式会社Innovation Planning(イノベーションプランニング)代表の中島 竜臣(なかじま たつみ)さんは、スピーディな経営判断を強みとして、京都を基盤に様々な事業を展開しています。
さらに昨年12月には、これまで培った知見を生かして農業としての茶園経営をスタートし、お茶やスイーツを販売するなど幅広く活躍しています。そんな中島さんの仕事にかける思いや、大切にしていることについてお話を伺いました。
まだ知られていない京都の魅力を飲食店で発信していく
新しいコンセプトの飲食事業を次々と展開されていますが、御社の事業内容を簡単にご紹介いただけますか?
2020年4月に当社の第1号店として、京都産の食肉や京野菜を使った独自の青果サワーを提供するお店「京都肉×青果サワー 京~miyako ~」を祇園にオープンしました。実は京都産の美味しい食肉があることはあまり知られていないのです。これはなぜかというと生産量が非常に少なく、普段市場に出回らないから。
「京~miyako ~」では、そんな希少な京都産のお肉と一緒に、金時人参サワーなど京野菜を使った、独自開発のサワーを提供しています。
他に、京都駅ビル専門店街The CUBEに「天ぷらと手まり寿司 都~miyako ~」、NYブルクリッンスタイルの和食「LORIMER(ロリマー) 京都」、昨年12月初めにオープンしたばかりのお茶のお店「京茶園 miyako」を運営しています。
コロナ禍の先が見えない中での飲食店立ち上げはいかがでしたか。
確かに外的要因は辛かったですが、お店作りが上手くいったので売り上げは堅調です。2021年の2月、「天ぷらと手まり寿司 都~miyako ~」がオープンしたときは、店舗の内装に経費をかけず、経営戦略に力を入れました。
お客様に認知していただくことが大事だと思っていますので、私自身がインフルエンサーとして、フォロワーへ定期的に情報発信しています。
それ以外にも現状では、インフルエンサーを常に50名程稼働させて、Instagram(インスタグラム)等のSNSで新商品や新店舗の情報を発信しています。
PRする際に心掛けている点はありますか?
お客様が見たことがないような、強いファーストインプレッションを与えるメニューを考案しています。
例えば、この手まり寿司との掛け算で、野菜のオーガニック粉末を使った天ぷらには、野菜自身の色味を出してカラフルに仕上げています。このようなランチセットの出し方は、すべてオリジナルです。
あとは、ストーリー性を持たせて伝えるということを意識しています。具体的には、動画を撮ってYouTube(ユーチューブ)や TikTok(ティックトック)で配信しています。
今日も滋賀まで行って、生産者さんの動画を撮ってきたんですよ。抹茶を作っている方の思いを知ってもらいたいので。これからも動画でたくさん発信していきたいですね。
京都で飲食事業をやることについて何か特別な思いはありますか?
店舗ではのれんやお盆、お箸からお店の内装に至るまで、すべて京都の伝統工芸品を使っています。お客様がお食事を楽しみながら、「こんないいものがあったの?」 といった気づきがあれば、嬉しいです。
京都は伝統や歴史が当たり前のようにありますが、まだその魅力を現代的に発信しきれていないと感じています。そういうところを若い僕らがもっと積極的にやることが、京都の課題解決につながるのかなと思いますね。歴史的なものと現代的なものを組み込んで新しい価値を創造していきたいです。
魚の漢字のロゴがかわいらしい「LORIMER京都」についても教えていただけますか?
ニューヨークのブルックリンでお魚の仲買をしていたオーナーが作った和食のお店を日本にも作りたいというのが、「LORIMER京都」の元々のきっかけです。
私自身以前から、その和食屋さんに朝食をよく食べに来ていて、コロナ禍でオーナーがお店を辞めると聞き、それなら…ということで「お店を続けたい」と手を挙げさせていただきました。魚メインの一汁三菜を楽しめる和食レストランで、主に朝食とランチを提供しています。
京都ならではの良質なお茶を、これまでにはなかった形で再定義して提供していく
そして、昨年の12月1日オープンしたばかりのお茶のお店、「京茶園 miyako」ですね。こちらの事業についてもお聞かせください。
はい、自家茶園のお茶を使用しているのが特徴です。宇治の茶畑を買い、その農家さんの思いをすべて引き受けてテイクアウト販売をしています。日本茶ブームは過去に何度も起きていますが「まだ本当に美味しいお茶の味が広く知れわたっていない」と個人的には考えています。
また、もっとリアルなお茶の美味しさを多くの方に届けたいという思いから、良質なお茶をこれまでにはなかった形で再定義して提供しています。具体的には抹茶カヌレやほうじ茶大福等、ドリンクやスイーツの商品化に取り組んでいます。
お茶の旨味と香りを損なわないように甘さは控えめにしていますので、幅広い年代の方に楽しんでもらいたいですね。
他にもワークショップの企画もやっていると伺いました。どんなものか教えていただけますか?
今やろうとしているのは、「プロが教える本気のレシピ」。これは、ネームバリューのあるプロの料理人によるレシピ動画の配信で、サブスクリプションサービスです。料理のプロからアマチュアにレシピの秘訣を教えるという画期的なものです。
次々と事業展開されていますが、事業立ち上げまでの経緯や飲食業界に入ったきっかけについて教えていただけますか?
中学から高校のときは少々ヤンチャをしていまして、エネルギーを持てあましていました。そんなとき、たまたま居酒屋のアルバイトに就いて、経営者の方にパワーの使いどころを教えていただきました。
そこから従業員となってすぐに店長に昇格し、店舗の立ち上げも経験、24歳で執行役員となり、複数店舗の経営に参画しました。
元々10代の頃から起業したいという気持ちがあり漠然とビジネスに必要なものを学べる学校を作りたいと思っていて、そのために必要なことは何かを真剣に考えました。そして、そのとき必要なことは、多様な事業に携わることだと思いたち、24歳で自分の会社を設立しました。
会社を設立して、まず始めにどんなことを始めたのですか?
まずは、飲食店のコンサルとWebサイト制作からスタートしました。当時はまだ、普及していなかったスマホから予約決済できるアプリも開発して。立ち上げ直前で大手企業から全く同じサービスを安価でリリースされ、権利を売却するといったくやしさも経験しましたね。
多様性、柔軟性を持ちチャレンジする。強みはスピード感。
事業展開をする上で、御社の強み、優位性を教えてください。
多様性、柔軟性を持ち、チャレンジするというのが弊社の経営理念のうちのひとつです。実際多様性を認めないとチャレンジできる数が減ります。
僕自身が何かをやろうと思ったとき、AかBかCか、または、やらないという選択肢があります。でも他のスタッフに意見を聞いたら、AからZまでの意見がでてくるので、とりあえずそれをやりきる。Aをやり、結果が駄目なら駄目な理由があるはずです。それが経営ノウハウの蓄積となります。私は20代ですので、結果が出ようが出まいがすべて経験になると思っています。
弊社の優位性、強みはスピード感ですね。ビジネスモデルは常に20から30個ほど持っていますね。あとはどのタイミングでどれをやるかだけです。今の時代「これだ!」と思ったときにすぐに飛びつけるよう意識しています。
クリエイターを目指している方に向けて、アドバイスがあれば教えてください。
例えば、Webデザイナーを目指しているなら、とりあえずやってください。まずはWebサイトの作成でしょうか。
今は本人にその気さえあれば独学で成長できる時代です。YouTubeやGoogleに教材はいくらでもありますから。独学で学習できるにもかかわらずやっていないのは論外です。
ダミーでもいいのでWebサイトをUPしまくって、その後は自分の個性を生かした営業(セルフブランディング)が必要になってきます。
あとは、経営者目線では、スタッフが何をアウトプットしている? というところを見ています。たまに会社でスキルを身につけて他でステップアップしていきたいという考えの方がいらっしゃいますが、会社は自分の経験やスキル、能力をアウトプットする場所というのが私の考えです。
スタッフの親御さんに感謝されるのが何より嬉しい
ご自身が仕事上でワクワクするときや、やりがいを感じるのは、どんなときでしょうか。
基本、常にわくわくしていますね。仕事で僕が思い描いた通りになったときはテンションが上がりました。「天ぷらと手まり寿司 都 ~miyako~」が流行って2か月目で、専門店街の中で総売り上げがトップになったんです。ずっとこうなると予想していたので「これはデジャブか?」と思いました。
逆に、全部予想が外れたときもわくわくします。まずは「なんでここまで外すんやろ?」と自問自答します。そして、いったん立ち止まって改めて戦略を練り直します。落ち込む暇はないですね。時間がもったいない。
また景気が低迷しているときでも「発注していただきありがとうございます。」と生産者さんに喜んでいただいたときや、従業員の親御さんから「うちの娘がいつもお世話になりありがとうございます。」とご挨拶いただけるのが何より嬉しく、やりがいを感じます。
御社のビジョンについてお聞かせください。
発想を未来に具現化する。「こんなものがあったらいいのに」というものを思いついたら、具現化して未来につなぐ、残すということです。最近は、農業ですね。作物で自給自足をしていれば、食に困らない。食事は必要ですから。
今進行中のもので言うと、週末菜園としてのNファームがあります。
皆さんに種を植えてもらい、私たちが開墾し育てて収穫したものをご自宅にお届けするベランダ菜園の進化版です。今、亀岡市の畑を400坪以上抑えています。
最後に、日頃から大切にしていることがあればご紹介ください。
何気ない日々を楽しむことですかね。楽しくなくなったら違う角度から見てみる。私は誰よりも柔軟で、修正力があるからこのような未曾有の状況でも生き残っていると思っています。
これからもまた別の何かが来ても、また生まれ変われると思っています。飲食業界が大変だと言われていますが、状況は日々変化していますし、良いほうにきっと変わるはずです。
取材日:2021年12月16日 ライター:田中未来
株式会社Innovation Planning
- 代表者名:中島 竜臣
- 設立年月:2019年9月
- 事業内容:飲食事業、光触媒コーティングサービス、アプリ制作、飲食店コンサルティング、商品プロデュース
- 所在地:京都府京都市下京区橋詰町143番地
- URL:https://inopla-japan.com/
- 連絡先:https://inopla-japan.com/contact.html
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