グラフィック2022.02.09

「伝えないと伝わらない」熱量を込めたコミュニケーションで地域課題を強みにチェンジ

新潟
オンド株式会社 代表取締役
Akihiro Yoshihara
吉原 彰大
拡大

「熱量で未来を変える。」がコンセプト。新潟で唯一、戦略的PRを武器とした広告代理店。

拡大

2020年10月より、新潟駅南口(駅南)のけやき通り沿いに、明るく広々としたオフィスを開設。現在は社長の吉原氏、営業ディレクター、経理スタッフの3名体制。

拡大

オフィスの窓から欅のグリーンが映える春~秋はテラスで打ち合わせやデスクワーク、冬はイルミネーションの光に癒される最高のロケーション。

拡大

自社のコミュニケーションツール各種。これもブランディングやプロモ―ションの大事な一部。

拡大

制作実績①:40周年を迎えた大手住宅メーカーの40周年TVCMは、企業メッセージに重点を置いた企画を提案し制作。

拡大

制作実績②:万代「八千代の杜住宅公園」内に造られた大手住宅メーカーの最上級ブランドのTVCMを担当。

拡大

制作実績③:地域密着の住宅リフォーム会社が展開する各サービスのブランド構築とロゴ制作、LP制作を含めたWebプロモーション、PR広報を展開。

拡大

制作実績④:産廃処理業を営む企業のイメージキャラクターとそのキャラクターを使用したTVCMの制作を担当。歌モノのCMで99万人以上のフォロワーを持つTikTokerを起用。2月からOA予定。

「うちの県はPR下手で」……新潟県でよく聞かれるワードですが、きっと新潟以外にも心当たりがある地方の人もいるのではないでしょうか?そんな「地方あるある」に一石を投じる企業がオンド株式会社です。代表取締役の吉原彰大(よしはら あきひろ)さんは47歳のときに起業。長年培ってきた経験・ノウハウと持ち前のアイディア、業界・業種を越えた多岐にわたるネットワーク、そこに熱量を掛け合わせた広告作りや事業支援で「地方だから」を言い訳ではなく、強みに変えていくチャレンジをしています。吉原さんのキャリアや起業への経緯・思いを通して、一度自分の経験を振り返って棚卸しをしてみると、仕事のヒントが見えてくるかもしれません。

 

アイディアを積極的に出すことで「営業」の概念を広げ、どんどん仕事を面白く

吉原さんがPR・広報、広告、セールスプロモーションにご興味をもったきっかけを教えてください。

小学生時代に父親の仕事の関係で転勤が多かったので、転校するたびに友達関係がリセットされていたんです。小学生でコミュニティをうまく作るとなると、大体、運動神経がいいか、腕っぷしが強いか、面白いかの三択で。この「面白い」はもって生まれたものというよりも努力でなんとかなるジャンルだと思ったんです。バラエティ番組やお笑いも好きだったので、「こう話したら面白いかな」、「こんなことしたらみんな笑うかな」とか考えながらテレビで育ってきたのがルーツです。そこから、就職を考えるようになったときにマスコミやマスメディアというキーワードを頼りに就活をすることとなりました。

新潟生まれと伺っていますが、メディアの仕事をするなら東京で!などは考えませんでしたか?

大学は東京を考えましたが、推薦で決まった地方の大学に進学したんです。大学生活は楽しかったのですが、第一志望の大学受験に挑戦しないで諦めたことへの後悔が大きくて、就職活動は東京のメディア関係をたくさんあたりました。そのとき実感したのが情報格差。地方と東京とでは、学生がもっている情報量が断然違うんです。1994年当時はまだインターネットも普及してない時代で、例えば説明会だと思って参加すると当たり前のようにディベートが始まって驚いたことがありましたが、東京の学生は普通に対応しているんです。そうなる情報を事前に知っていたんですよね。東京やマスコミの華やかな世界に憧れて、その気持ちだけで就職活動を始めましたが、そんな簡単なことではない、戦うためにはそれ相応の準備が必要なんだと気付きました。それで途中で諦めがついて、地元新潟での就職活動に切り替えて、雑誌社に就職を決めました。

雑誌社でのお仕事を教えてください。

営業で入社しましたが、入社前は雑誌を売るのが仕事だと思っていました(笑)。実際は広告営業だったわけですが、当時はまだ社員も少なくて、自分の担当ページをもって、企画を立てたり、取材に行ったり、原稿を書いたり、編集したり、オールインワンで雑誌作りに関わって、凄く楽しく貴重な経験を積ませてもらいました。同時に営業として社外のネットワークを広げながら、クライアントを増やしたり、売り上げを伸ばしていくことにももちろん力を入れていて。ただ雑誌の枠を売るだけじゃなくて、媒体を横断したキャンペーンや提案をするなど、アイディアを加えることで面白がってもらえて、実際にポジティブな反響もあり、いいスパイラルを作ることにやりがいを感じていました。他にも外部のクリエイターやクライアント担当者といった、自分にはないスキルを持っている人と仕事をする面白さ、さらにそこで自分も磨かれていく成長感がありました。

営業の枠にとらわれず、どんどん自分で仕事の幅を広げていかれたんですね。

例えば大手食品メーカーさんの商品開発とタイアップした連載を組み、商品発売までのストーリーを盛り上げていったときは、結果大きな反響がありました。自社フェスを開催したこともあったし、フリーマガジンを創刊したり……25年半勤めた中では東京で事務所の立ち上げや新しい雑誌の創刊なども手掛けました。

 

「地方だからできない」は言い訳。地方だからこそ「伝える」必要性とチャンスが溢れている

就職活動時以来の東京のメディア業界、経験を積まれてどうでしたか?

大手広告代理店をはじめ、さまざまな企業やクリエイターの方々とお仕事をしていく中で、すでに出来上がっているヒエラルキーや業界の構造的なしきたりみたいなものなどを体感する機会もありました。勝負の土俵にあがった時点でそれをひっくり返すことは至難の業だと感じました。むしろ地方は自分の名前で仕事ができるし、予算規模は東京より小さくても、例えば映画「カメラを止めるな」のようにアイディア次第で面白くしたり、話題性が高いものを作ることはいくらでもできるとも思いました。そこで価値観のバランスが取れました。3年後に新潟へ営業部長として戻ったときに、新潟時代のクライアントさんや広告代理店さんたちが「やっと戻ってきたね~」と歓迎してくれたのがとても嬉しかったです。

新卒から四半世紀以上、同じ会社に在籍していて、お仕事も充実されていたように感じます。それでも起業に踏み切った理由を教えてください。

会社も世代交代をしていく中で、本当に自分がどうしていきたいかを考えたんです。現場の仕事が好きだけど、年を重ねて営業部長、事業本部長とステップアップしていって管理業務が中心になっていったことや、クライアント目線で考えると雑誌以外のメディア提案の必要性を感じる場面も多かったんです。そしてもう一つ。新潟県はPRや広報が凄く弱い県なんです。広告代理店はあってもPR会社はない。開業率も全国ワースト10に入るくらい低い。でも自分のネットワークを生かせば、物件探しから補助金情報、設備、PRまで開業支援がワンストップでできるのではないかと考えました。腕の良い職人や挑戦したい若者たちがしっかり独立できて、知られて、事業が成長するスパイラルが生まれる。それは新潟にとって価値があることだと思ったし、やってみたいなと。

 

メディア業界にいた経験値と、長年培ってきた信頼とネットワークが最大の強み

スタサポの公式キャラクターの人と人を「つなぐま」があなたの開業をサポートします!

オンド株式会社の事業内容を教えてください。

「熱量で未来を変える」をコンセプトに、広告、PR、販促の三本柱で展開しています。繰り返しになりますが、それらをワンストップでできるのがオンドの強みです。特にメディアに身を置いていた立場なので、メディアが取り上げやすい情報の出し方で戦略的にPRできるんです。開店・起業支援に関しては、「スタサポ」というスタートアップをトータルでサポートするプラットフォームを立ち上げ、2022年4月より本格的なサービス開始を予定しています。開店・起業を考えていても、その準備や手続き、自治体の補助金制度など、知らないことや煩雑なことが多いのが現実です。それなら、長年経験で培った自分自身のネットワークや現代のツールを活用し、Web上でスタートアップにおける9つのステップ(事業計画、店舗・オフィス探し、資金調達、仕入れ先開拓、内外装工事、求人・スタッフ教育、販促物の制作、メディアPR広報、広告・宣伝)をワンストップで情報提供やマッチングする仕組みがあれば、もっと新潟での開店・起業のハードルが下がり、地域が活性化されるのではないかと考えたんです。実際に、新潟にはこのようなまとまったサイトがないので、ないなら作ればいいと。このように「やってみたい」と思ったことに挑戦しやすいのは独立してよかったところですよね。もちろん大変な部分はありますが、今はそのチャレンジがとっても楽しいです。

「オンド」という社名はキャッチーで、一目で伝わるものがありますね。

「お客さまの熱量を波及し伝える『温度』」「楽しみや喜び人と共に在る『音頭』をとる」「付加価値を与え実行する『ON&DO』」の3つの意味を込めています。

クリエイティブ業務も社内で実施されているのですか?

オンドは営業とプロデュース、ディレクションに特化した会社です。クリエイターは全て外部。そうすることで常に刺激を受けられるし、クライアントの要望に応じた幅広い提案や表現が可能になります。ただしクリエイターに丸投げすることはせず、責任をもっていいものを作れるように、社内スタッフと外部クリエイターは密にコミュニケーションをとっています。

 

出会ったからには「無駄だった」とは思わせない!全力で熱量高くチャレンジ

開業してから約1年、印象的だった案件を教えてください。

前職を退職してから登記まで約1ヵ月あったのですが、その無職(笑)の間に数百万円規模のコンペに参加させてもらえたんです。大手代理店も参加するコンペだったので、正直、難しいと思っていたんです。スケジュールは非常にタイトで、起業の事務手続きなど慣れない仕事も重なっている中だったこともあり、間に合わないと諦めかけそうにもなりました。しかし、まだ実績も何もない自分の会社に声をかけてもらえたことへの感謝として、熱量高く、とにかく期待に応えたい一心でアイディアを練り、企画書にしました。そしたら、本当にありがたいことに採用されたんです。自分たちの企画や思いを汲み取ってもらえたこと、まさに温度を感じてもらえたことに、とても喜びと達成感を味わいました。改めて、思いのある人、思いのある会社と一緒に仕事ができることが自分にとっては何よりもやりがいなんだと再認識できました。

創業100年を越える建具店様のブランディング構築を担当。ロゴデザインをはじめ、名刺、封筒、Webサイト、雑誌広告、ユニフォームと幅広い制作と合わせ、今まで存在しなかった企業理念も策定。

吉原さんのお話を伺っていると、人とのつながりや信頼の大切さを感じます。クライアントや関係者と長く良好な関係が続くコミュニケーションの秘訣はありますか?

私はなんでも全力でやります。仕事でも人付き合いでも、飲み会でも(笑)。出会ったからには、「こいつつまらなかったな」「一緒の時間を過ごして無駄だったな」と思われたくないんです。クライアントと飲みに行くこともあるし、クライアントの店舗で買い物もする。古い営業スタイルと思われもするでしょうけど、やっぱり硬軟含めたいろいろな話をして相手をよりよく知ったり、クライアントのサービスを体験することで信頼関係は深まるし、実感の伴った提案ができるんです。社内外どちらにも自分の腹落ちができていないことは食い下がるので、面倒くさいと思われているとも思いますが。でもなあなあで広告や記事を作ってしまうと、ただ作りやすかっただけの、誰のためにもならないものになってしまいます。ネットでは出てこない、とことん追求するから得られる情報にこそ価値があると思うので、いい加減なコミュニケーションはできません。

 

伝えないと伝わらない。時代に応じた最適な手法で、社員も誇りがもてる企業を増やしたい

一方で今の時代、個人や企業が発信できるSNSが普及したり、既存のメディアの力や広告の力に懐疑的な声も聞かれています。

人が受けたくなるサービスというものは、本質は変わっていないと考えています。ただ昔のポケベル然り、最近の生まれては消えるSNS然り、今後もいろいろなツールやメディアが出ては消えてを繰り返していくでしょう。状況やデバイスの変化はちゃんと見ておきつつ、浮き足立たないで、商品やサービスのストーリーが最適に伝わるか、その本質を押さえておけばいいと思っています。

長年新潟で発信の仕事に携わられていて、新潟や地方における発信の価値や必要性をどのように感じていらっしゃいますか?

新潟はいいものを作っているのに目立ちたくないという人が本当に多い地域です。でも「伝えないと伝わらない」のです。例えばどんなにいい事業を展開していても、社員思いの会社でも、広告がよくなかったり、ダサかったりするだけで社員が会社に誇りがもてず、入社したいと思う人が集まらず、入社する社員の質も上がっていかないと思います。だからこそ、しっかりブランディングしていく必要があるはず。

今後どんな人と一緒に組んで仕事をしていきたいですか?

熱量をもって取り組んでくれる人ですね。今、長期インターンの学生が来てくれていますが、経験はなくても熱心に仕事に取り組んでくれて、実際に一人で営業してクライアントを獲得してきてくれました。中途ですでにクライアントをもっていて“こなす人”よりも、未経験でも熱量をもってチャレンジして、素直に成長できる人を歓迎しています。そして、クライアントを喜ばせる、楽しませるといった熱量の高さがある人は、自ずとエンターティナー、ホスピタリティーといったサービス精神を持っている人になるのではないかと思います。また最近はメディアコンサルや事業相談など多彩な仕事を請けているので、「いろいろなことができて楽しい!」と思える人がいいですね。

取材日:2021年12月22日 ライター:丸山 智子

オンド株式会社

  • 代表者名:吉原 彰大
  • 設立年月:2020年10月14日
  • 資本金:800万円
  • 事業内容:広告代理業、PR広報、ITマーケティングツール制作・販売、各種プロモーション、販促ツール制作、開業支援 他
  • 所在地:〒950-0917 新潟県新潟市中央区天神2-1-5 アクシス駅南ウエスト2F
  • URL:https://ondo-inc.com
  • お問い合わせ先:025-278-7925

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP