グラフィック2022.03.02

顧客の潜在ニーズを引き出すヒアリングと提案力が強み。仙台から日本の印刷業界を元気に

仙台
S.J.PLUS 株式会社 代表取締役
Shingo Ishizaki
石崎 慎吾

仙台から日本を「プラス」にしていきたい、との思いを込めた社名「S.J.PLUS(エス・ジェイ・プラス)株式会社」の代表取締役を務める石崎慎吾(いしざきしんご)さん。印刷工場を営む家に生まれ育ち、家業で20年にわたり営業を担当、独立して個人で一から印刷に関わる仕事を始め、2021年にS.J.PLUSを設立しました。お客様の潜在ニーズをつかむ提案営業で業績を伸ばしています。技術革新や価格競争の激しい印刷業界に身を置く石崎さんに、印刷業への思いやS.J.PLUSの今後の展開についてお聞きしました。

子どもの頃から見てきた印刷業界に進み20年以上の経験を蓄積

会社を立ち上げるまでのいきさつを教えてください。

実家が印刷工場で、父が2代目。両親と従業員が20~30人いるような工場で、写植や活版印刷(活字を選んで文字を組み、インキを塗り、圧をかけて印刷すること)を行っていました。
子どもの頃から、配達や荷物持ちなど工場の手伝いをしていたこともあり、将来は何となく、家業を継ぐだろうと思っていました。父が亡くなり跡を継いだのですが、事業はとても厳しい状況でした。
とにかく仕事を取ってきて工場を円滑に回さなければと、営業活動に専念しました。営業担当から、営業部長、専務として約20年、実家の事業を手伝いました。
今度は、自分自身で一から事業を立ち上げ、印刷業界を盛り上げていきたいと、まずは個人事業主として仙台で印刷業を始め、2021年4月にS.J.PLUS 株式会社を立ち上げました。「S」は仙台、「J」はJapanの頭文字で、仙台から日本をプラスにしていきたい、元気にしたいという気持ちが込められています。

やる気とプラスαの強みがあれば規模が小さくても事業は伸ばせる

事業内容を教えてください。

印刷物全般、主にチラシの制作、印刷を行っています。弊社の強みは関連の印刷工場があること。たとえば、チラシの依頼を受けた場合、営業担当がお客様と打ち合わせを行い、大まかな原稿内容をまとめラフ案を作成します。制作部門がラフ案をもとに最終的なデザインを作り、印刷まで行います。また弊社では、印刷に関する総合的なコンサルティングやノベルティ販売、Web制作なども行っています。印刷に関する知識やノウハウがないお客さまでも、簡単に安く印刷物を作っていただくためのアドバイスとサポートを行っています。

大手印刷会社やネット印刷などの台頭で、地元の印刷会社は厳しい状況にあると聞きます。

大きな印刷会社の場合、元請けが受けた仕事を下請けが受けて、さらにその下請けがデザインと制作に分かれるという構造があり、印刷コストが高くなってしまう原因となっています。弊社は規模が小さいからこそ、依頼から印刷まで弊社がすべて請け負うため、無駄な経費が掛からず、その分をお客さまに還元できます。
ですが、工場を持つからには常に稼働させることができなくては、お客さまにコストメリットを提供できません。印刷する物がないと、工場は稼働しないんです。そのため、常に工場が無駄なく稼働するよう、営業活動に力をいれています。
規模が小さくても、何か得意なこと、時流や地域に合うもの、自分の能力に合うプラスαのものを見つけて力を入れていけば、厳しいなかでも事業を継続していけると思います。
たとえば、バイク好きが多いならバイク雑誌とか、取材が好きならインタビュー記事の制作など得意分野や特徴を出していくことで、大手企業と差別化を図ることができます。そして、その分野でやる気がある人のところには、同じようにやる気のある人がどんどん集まり、さらなる強みになっていきます。

お客さまの潜在的なニーズに合わせた提案営業で仕事を増やす

御社の強みを教えてください。

営業力と提案力が強みですね。 お客さまは、自分で開拓しています。飛び込み営業もしますし、Webを通じての問い合わせもあります。仙台以外にも福島とか各地から依頼がありますね。私は、仕事を増やすのは営業力しかないと思っています。コロナ禍で印刷業界全体の業績は減っているかもしれませんが、弊社はアップしています。営業は自分を含め2人、制作部門が2人。仕事が増えれば制作部門の増員も考えていますね。そして、制作面では、ミスをしないこと。お客さまの希望はいろいろありますが、やはり間違いなく入稿することが肝ですね。

「提案力」で力を入れている点はなんでしょうか?

印刷のご相談でお聞きするお客さまの第一声は、やはり「安く印刷したい」ですね。でもとにかく安い印刷を望んでいるのか、実はある程度の価格で、ある程度のレベルのデザインを求めているのか。また納期や精度など、お客さまが気づいていないニーズがあるので、本音は何を望んでいるかを察知してヒアリングします。
価格はこうだけど、こちらでどうですかと最初のご要望とは違う提案することもあります。実はチラシは必要がなくSNSの発信でいいんじゃないですかとか、少し時間があるならこんなふうにしましょうと、ヒアリングをもとにお客様の本当のニーズを引き出し、打ち合わせを進めます。パソコンも触ったことがない、イメージもない場合は、デザインの具体化からお手伝いいたします。
デザインデータができていて入稿するだけなら、工場を擁するネット印刷になどを利用されるでしょうから、弊社は相手の状況やニーズに合わせてアドバイスができることを強みにしています。
今後は単発の印刷依頼だけでなく、制作予算があるけれども、どこに頼めばいいかわからない企業が毎月継続して仕事を依頼してくれるような、一般法人契約の会社を増やしていくのが理想です。

お客さまに貢献し、自分の会社だけでなく印刷業界を立て直したい

やりがいを感じるのはどんな時ですか。

仕事をしてよかったと思うことは日々あります。お客さまがコストを削減できた、販促して効果があったと、喜んでいただけることはやりがいですね。
自分の営業スタイルの基本は、「やる気」「根性」だと思っています。提案力ももちろんですが、一番は「この人に仕事を頼みたい、一緒にやりたいな」と思ってもらえるかだと思います。

会社として目指していることを教えてください。

お仕事をいただいて、お客様の役に立ち、成果を出して、さらにお客さまに貢献する、この循環を継続していきたいです。自社の商売を伸ばすだけでなく、厳しい印刷会社、印刷工場も多いので、立て直しを手伝い、応援したい気持ちがあります。
町工場の息子として育ち関わってきたので、営業ができてお客さまをつかんでも収益を出せず、経営がうまくいかないといった苦労も知っています。自分が培ってきた能力やノウハウを一番発揮できる形で貢献していきたい。いまは工場を持ち、雇用を拡大し、税金を払うのが一番の地域貢献だと思っています。
また印刷に限らず、広くデザインの分野で事業を拡げていきたいと考えています。すでに店舗看板などのデザイン制作を行っていますので、内装やリフォームなどに業務を拡大していくための準備を進めています。

会社を起業したい方へメッセージをお願いします。

人生一回きりですから、やりたいと思ったことはやってみるのが一番だと考えています。私のモットーは「前進あるのみ」。私はこれからも、とにかくやろうよ、というスタンスで挑戦を続けていくつもりです。
やって全くダメなら向いていないとわかるし、何が足りないのかわかります。何年もモヤモヤしているより、やってみるといいですよ。

取材日:2022年1月7日 ライター:佐藤 由紀子

S.J.PLUS 株式会社

  • 代表者名:石崎 慎吾(いしざき しんご)
  • 設立年月:2021年4月1日
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:各種印刷物全般(チラシ、名刺、パンフレット、看板、ホームページ、イラスト)
  • 所在地:〒980-0803 宮城県仙台市青葉区国分町3-11-17 スウィートコートⅡ 3F
  • URL:https://www.tirashi-innsatu.com/
  • お問い合わせ先:TEL:080-2816-6564 FAX:022-393-4540

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