職種その他2022.03.09

社内ベンチャーの強みを生かし、ブランドを語る中小企業を増やしたい

新潟
Branding Company 語れ。 代表取締役
Showa Yagi
八木 翔和
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「すべての中小企業にブランディングを。 物語を語るように、ブランドを語れ。 」をコンセプトに、ブランドの構築から周知浸透までを提供する新会社。

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メインメンバーの3名を中心に、プロジェクトごとにチームを組成させていく「進化するプロジェクト型組織」で臨みます。

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幅広い領域の外部パートナーと連携をし、お客様の抱える課題解決に最適なチームでサポートしています。

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創業65年の割烹料理店のBRAND STORY BOOK を制作。コロナ禍での新たな価値提供・サービスの模索に伴走。

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コロナ禍での開催となるイベントの舞台裏をテレビ番組化。イベントの周知と集客につなげるとともに、まちの魅力を発信。

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創業100年を超える住宅資材卸会社のリブランディングとして、ブランドムービー、ブランドサイトを制作。またWeb広告での羞恥心投資策も実施して、会社のイメージアップ、リクルーティングにも寄与するhttps://bit.ly/3JWA6HM

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BSN新潟放送さまの元日新聞広告を担当。開局70周年を迎え、新ビジョンを策定した内容を元日新聞広告用にデザインとコピーを制作しビジュアル化。

都内の大手芸能プロダクションから地方のテレビ局へ転職し、さらに社内ベンチャーで起業という異色の経歴を持つ、Branding Company語れ。の代表取締役を務める八木翔和(やぎ しょうわ)さん。起業したりフリーランスとして独立する形は年々増えていますが、企業に属しながら社内ベンチャーという形で新しいビジネスに挑戦するケースは、大手企業を除きまだ多くありません。特に地方ではまだ社内ベンチャー制度を採用している企業は多くはなく、八木さんの所属会社でも前例はありませんでした。働くステージ自体をクリエイトしてきた八木さんのストーリーは、働き方や夢の叶え方の新しい可能性が感じられるはずです。

「好きなこと×人の気持ちを変えてくれるもの」を基準にエンタメ業界の最前線へ

今のキャリアに進む原点となったエピソードをお教えいただけますか?

私の両親は共働きで、兄も塾などで忙しく一緒に遊んでもらう時間が限られていたので、子どもの頃は一人でいることが多かったですね。家には父が撮り溜めていた100本以上のテレビ番組や映画のVHSがあったので、いつもそれを見ていたんです。テレビ番組や映画の楽しさが、孤独感を解消してくれた感覚を今でも覚えています。この経験がいろいろな行動の起点になっています。
大学時代も孤独なことには敏感でした。

そんな幼少期や大学時代の感覚から、就職活動は「好きなこと」と「孤独を感じないもの」の2軸で考えて、子どもの頃に孤独感を解消してくれたテレビ番組に携われる、マスコミ業界に興味を持ちました。そんな時にマスコミで働いている先輩方から株式会社アミューズを教えていただいたんです。芸能プロダクションだと思っていましたが、映画制作やドキュメンタリー制作など、さまざまなエンタメ事業を展開していることを知り、「ここならマスコミではなくても2軸を叶えられるかもしれない」と思い入社しました。

東京のエンターテイメント最前線でのお仕事はやりがいも刺激も大きかったと思います。

アミューズではアーティストのマネジメントやイベント制作など、4年間本当に貴重な経験を積ませていただきました。規模の大きな現場も体験したし、失敗もたくさんありましたが、一番の収穫は人脈。そしてプロフェッショナルであるということはどういうことかを学びました。妥協しないこと、相手としっかり向き合い、期待以上のアウトプットを出すことは今でも、大切にしています。
ただ、アミューズでの仕事はアーティストがいてこそ成り立つ、1→100の仕事です。次第に、自分のアイデアから何かを生み出し表現する、0→1の仕事をしたいと思うようになりました。
そんな時に偶然、地元新潟のテレビ局の一つであるBSN(株式会社新潟放送)が第二新卒を募集していることを知り、「東京でのエンタメ業界第一線での経験を活かしながら、新潟で新しい何かを作りたい」と転職を決めました。

やりたい事業×テレビ局の強み=社内ベンチャーを選択

BSNではどのようなお仕事をされていましたか?

最初は新潟本社で広告営業をしながら、新しいイベントの立ち上げをするなど、0→1でアイデアを形にすることを意識しました。大きな転機は2年後の長岡支局への配属です。地元中小企業の経営者さんとのコミュニケーションが圧倒的に増え、悩みを聞くことが増えました。でもその悩みはテレビ広告やラジオ広告だけでは解決できない、採用や経営の数字のことで。僕がその課題に対してできることは唯一「人脈」の提供だと考え、いろいろなクリエイターや事業者の方たちを紹介だけしたり、自分自身もその会社のブランディング活動に携わったり、ときにはチームを組んでプロジェクトを統括するなど、仕事の幅も深さも広がっていきました。

テレビ局の仕事の枠を超えて、会社と向き合っていらっしゃったんですね。

はい。2019年〜2020年には、企業の経営課題に取り組むブランディング事業の売り上げが大きくなり、社内表彰を2年連続いただくことができました。しかし広告収入が事業の柱であるテレビ局では、広告以外のサービスを提供することは会社の方向性とも異なりますし、テレビ局のスタッフが通常行う仕事とも違ってきてしまいます。
ですが、やはり僕は一社に深くコミットする仕事をやっていきたいと思い、新規事業部を立ち上げる、転職する、フリーランスとして独立するなど、実現する方法をいろいろ考えました。そしてまずはBSNに所属したまま、パートナーとなる企業や個人を集めて、企業のブランド構築を請け負う団体を作ったんです。これが会社の前身です。社内でもこの団体の認知が広がり、事業化の提案をしたところ、BSN初の社内ベンチャーとして承認されました。Branding company 語れ。の誕生です。

退職せずに社内ベンチャーで起業をするのは珍しい選択だと思いますが…。

漫画「課長島耕作」にヒントがあると思って読んでいたところ(笑)、島耕作の“人たらし”力や誰かが誰かを助けて一緒にやる、そんな昭和の会社の良さに改めて気づいたんです。一人でフリーランスで道を切り拓くよりも、仲間とチームを作ってやっていきたい。ブランディングを武器に事業を展開していきたい。そしてこの事業の拡がりや他社との差別化を考えた時に、テレビ局発というのは絶対的な強みになると思い、社内ベンチャーを選択しました。さらに自分で資本も入れることで自分自身に対するコミットも強めました。実際経営部分に関しては基本的に全て自分たちで行っています。

それまで会社になかったものを生み出していくことは、かなり難しいことかと思いますが、意識されたことはありますか?

それも島耕作に学びました。事前にいろいろな人に意見と了解を得ていく作業はとても大事だと思っています。チームビルディングをするなら、なおのこと。相談したい人やカウンターになると思った人とは、さまざまな機会を設けて話し合いを重ねました。また社外でも思いを熱弁していましたね。同時に、部署には迷惑をかけないよう心がけていました。

ブランディング戦略に基づいたクリエイティブで期待を超える

現在取り組まれている事業について教えてください。

ブランドコンサルティングと、それに基づいたコンテンツ制作、そしてプロモーション事業になります。収支の比率は30%:50%:20%で、起業当初の予想からは大きく外れていません。
また、ブランドという曖昧なものを定義づけて指標を作り、可視化できるようなプラットフォームの構築を模索しています。非常に難しい挑戦なので、取り組んでいるところはなかなかないと思います。ですが、ブランド力を数値化できれば企業の成長率がわかりますよね。「数値化」は、ブランディングにおけるキーワードだと思っていて、クリエイティブにも数値化されたマーケティング指標を組み込んでいくことで、より良い結果につなげることができるはずです。

事業の上で大切にしていることはありますか?

ミッションにもあるように「ブランディングのチカラを浸透させることで一人でも多くの経営者の悩みを解決する。」ことを大切にしています。一人一人の経営者の方と本当の意味で深く向き合い、妥協しない姿勢は守っていきたい。そしてクライアントの期待値を少しでも超えることです。打ち合わせひとつ、クリエイティブひとつをとってみても、相手が求めているものの一つ上を目指しています。それが信頼を得ることにもつながると考えているので、毎回準備は大変ですが「汗をかく」ことをいとわず、最後までやり遂げることを意識しています。一緒に働く人にも、同じ思いでいて欲しいですね。

新潟の企業に、もっと思いを“語って”選ばれる企業になってもらいたい。

「語れ。」という社名はとても個性的ですね。

「伝える」「話す」と違って、「語る」という言葉は誰かに共感してもらいたいと思って話すという意味合いが含まれているそうです。大量消費時代は、モノをたくさん作れば売れました。だからただモノの価値を伝えればよかった。
でも今はモノが飽和した時代。そんな中で一つの物差しになるのはWHATやHOWではなく、会社の想いや姿勢、プロダクトの開発ストーリーなどWHYに共感してもらうことで、差別化やブランディングにつながります。新潟の企業の皆さんに「WHY」をどんどん語ってもらいたいと思い、社名にしました。句点をつけたのは「私たちは仕事を最後までやります」というメッセージです。

最近は代理店や制作会社とのお仕事も多いと聞きました。

地元代理店さんから、クライアント様への企画提案の一部としてブランディング施策の立案を依頼されることが多くなりました。BSNというメディアをバックに持っているからこそわかる、ブランディング戦略をもとに組み立てた総合的な広告施策のニーズは高いと感じています。
また制作会社に対しては、企業のブランド価値やマーケティングのノウハウを組み込んだコンテンツ制作の協力を行っています。協業する企業によって、自社の強みを柔軟に組み合わせて提供しています。

企業ブランディングで消費者の共感度を高め、新潟の街をブランド化していきたい

今後の展望を教えてください。

コロナウイルスの感染拡大による生活様式の変化が、人々の価値観を大きく変えています。「なぜやるのか=Why」は、今後ローカルの企業にも求められてくることでしょう。短期的な利益はもちろん大切ですが、僕たちは企業が100年続くための長期的な施策を提案していきたい。さらに、新潟が地域全体としてブランド化していくといいなと思っています。
一社が一人勝ちするのではなく、Whyによる差別化で企業のブランドが明確になり独自性が見えてくれば、消費者も価格や機能面だけではなく、会社への共感で商品やサービスを選ぶことができ、心の満足度が高まる。新潟の会社一社一社にブランド価値を提供していきたいと考えています。

具体的な施策として考えていることはありますか?

広告は手法から提供してしまうことが多いですが、それだけでは本質的な解決にはつながらないと思っています。戦略があってこその戦術=手法です。僕らは戦略立案からコンテンツ制作、広告運用まで一気通貫でやることで、企業の課題解決を追求していくことが今後の目標です。
また、ドラマコンテンツの制作や新潟の音楽アーティストを応援する企画など、自分が面白いと思うことも、自主企画としてどんどんやっていく予定です。全ては自社のブランディングにつながりますし、さらに新潟のブランド価値向上にも貢献できると思います。僕らがやろうとしていることに意味があれば積極的に取り組んでいきたいですね。

取材日:2022年1月26日 ライター:丸山 智子

Branding company 語れ。

  • 代表者名:八木 翔和
  • 設立年月:2021年7月
  • 資本金:500万円
  • 事業内容:ブランディング戦略のコンサルティング、各種コンテンツ企画、制作業務、メディアプロモーションの立案業務(WEB広告、マス広告他)
  • 所在地:〒951-8655新潟県新潟市中央区川岸町3丁目18番 BSN内 2F
  • URL:https://katare.co.jp/
  • お問い合わせ先:https://katare.co.jp/contact/

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