「最新の映像技術を使ってみたいけどどうすればいい?」に応える。高い技術力と提案力で理想の映像を実現
ORENDAグループで、CGコンテンツを企画・制作する株式会社アミネワークスは、先端的なモーションキャプチャスタジオでの技術とゲームエンジンによるリアルタイムレンダリングを用いた3DCGアニメーション制作を軸に、様々な映像やコンテンツ制作を一貫して行える豊富なノウハウと環境が強みです。
なかでも、オンラインで、ハイクオリティなライブ配信を行う『Virtual Performers』は、メタバースの到来に向けて力を入れています。
CEOの大内勝憲(おおうち かつのり)さんに映像制作への思いや今後の展望についてお聞きしました。
お客様のイメージを早い段階でカタチにして、企画・提案できるのが強み
事業内容を教えてください。
ORENDAグループの100%子会社で映像制作に特化したプロダクション企業として2019年に設立しました。対応している分野は、3DCGアニメーション、VRアニメーション、バーチャルアーティスト、インフルエンサー、VFX、モーションキャプチャ、CGデザインまで幅広く展開しています。
強みは何でしょうか?
何と言っても0から10まで、一貫した企画提案ができるノウハウと環境を持っていることです。
たとえば、ゲームであれば、企画、キャラクターのモデリングからそのセットアップまで完成に近い形で提案しています。お客様の「こんな感じのものを作りたい」、「こういう映像が欲しいのだけど、どうすればよい?」といった、漠然としたイメージを形にし、さらにパイロット版と呼ばれる完成形のサンプルまで作ることで、早い段階で作品のゴールを提案。無駄を省き、制作時間の短縮とコストの削減を可能にしました。
さらに、最適なプランニングと最高のテクノロジーをかけ合わせたハイクオリティなサービスが提供できます。私たちは5Gの到来を見越して、2019年からバーチャルプロダクションやゲームエンジンで映像を完成させることを目指して研究開発を進めてきました。そして実際に技術力を買われ、2作品続けて東映の実写映像作品でバーチャルプロダクションを担当しました。
お客様の理想に近いものづくりを提供できることが大きな強みです。
映像の手法でしかつくれなかったクオリティを、ゲームエンジンで可能に
御社が力を入れておられるゲームエンジンを使った映像制作について教えてください。
私は映像制作とは絵作りだと考えています。ただ、ゲームエンジンがあっても、これを使えば理想の絵ができるというわけではありません。たとえば、「アニメらしい絵を作りたい」というニーズがあるとすると、映像でやればアニメらしいものを作る技術やツールはたくさんあります。しかし、もともとはゲームを開発するための機能が搭載されたゲームエンジンで「理想の絵」を作ろうとすると、容易には実現できないことも多く、実現できないものは機能のカスタマイズが必要になります。当社にはその機能を使いこなせる人材が揃っていますし、ノウハウもある。ゲームエンジンを使って、今まで映像の手法でしかつくれなかったクオリティの高い映像制作が可能となるのです。
ゲームとアニメのグラフィックがより近くなるということでしょうか?
よく好きなアニメのゲームをすると、アニメで観ていた絵と違うと感じることってありますよね? しかし、ゲームエンジンを使って今までTVで見ていた絵に遜色ないものが制作できることで、ゲームとアニメの境界がさらに縮まるのです。将来的には、アニメの続きをゲームで展開したり、ゲームのグラフィックをアニメで使用したり、ゲームとアニメが横断しあって双方向にストーリーを連携するといった新たな取り組みも可能になります。
テニスコーチから、映像コンテンツ制作の世界へ
大内さんは元テニスコーチという異色の経歴をお持ちですが、その経験は現在のお仕事にどのように生かされていますか?
プレイヤーとしても活動しつつ、コーチをしながら母校であるスポーツ専門学校の教員を経験しました。教員の仕事の一環として、テニススクールの運営、人事、カリキュラムづくりまでを担い、コーチをしながらスクールの再建を手がけました。何千人もの人にテニスを指導してきましたが、十人十色とはよく言ったもので、人によって適した教え方が異なるのです。こうした人事マネジメント力や組織の運営ノウハウ、交渉力、コーディネート力、予算管理の経験が、業界は異なれど、現在の仕事にとても役に立っていると思います。
テニスコーチの後は、現職なのでしょうか?
いえ、その後、金融の仕事を経て、ゲーム開発やオンラインエンターテインメント事業、遊技機向け映像コンテンツを制作するポリゴンマジック株式会社に入社しました。もともとゲームやパチスロに興味があり、遊技機を開発してみたかったのです。そこで、専門学校に入学し、企画とプログラミングを学びました。当時のパチンコ・パチスロ業界は、30兆円産業とも言われ、非常に潤沢な予算の中で、最先端の技術を用いたハイクオリティな映像を作ることができる環境にあったのです。ディレクターとして40〜50人の部下をマネジメントしていました。
ORENDAに転職されたきっかけについて教えてください。
3Gから4Gへ、そして5G、6Gといったように、テクノロジーには10年に一度大きな変換期があります。その転換期のスタートから新しいテクノロジーに取り組んでいるところが、その後の10年をリードすると私は思うんです。ORENDAに移ったのは、ちょうど翌年から5Gに変わる時期でした。ゲームエンジン元年に誰よりも早く着手し、次世代を切り拓きたいと考えました。もともといつかは独立したいという気持ちがあったので、自分一人で起業しようと考えていたのですが、かねてより懇意にしていたORENDAの代表が私のビジョンに共感してくれたのです。「一緒にやろう!」ということになり、ORENDAグループ下で株式会社アミネワークスを立ち上げました。
標準にプラスαの技術で、さらにクオリティの高いものづくりを目指す
社名の由来は「標準を動かそう」という意味が込められているそうですね。
アニメの制作現場には、これまでの偉大な先人たちが作りあげてきたやり方があります。その方法論が悪いということではなく、長い年月を経て最適化され、今の方法があると思うのです。しかし、ITの進化とともに、現在の技術の中には、アニメ制作に採用できるものがどんどん生まれています。
新しい技術が入ることによって、より良い方向に発展するのではないか。これは標準の否定ではなく、標準にプラスαすることでさらにクオリティの高いものづくりやコンテンツへの発展があるかもしれない。
そのきっかけを作りたいと思い、「Animeに新しい作り方を Move the Normality」:標準を動かそう!新しい技術で標準を入れ替える、その意味を込めて「n(Normality)をm(Move)させる」、Animeのnとmの文字を入れ替えて「Amineworks(アミネワークス)」としました。ちょっと呼びにくいんですけどね(笑)。
一緒に働くクリエイターに求めることはなんですか?
たとえばアニメなら、劇場版の制作を一手に請け負っていますので、自分のイメージや思いが、コンテンツにダイレクトに反映されるわけです。その責任の重さを楽しめる人ですね。同時に自分の作ったものが世に出ていく立場を楽しめる人。ときに自分が決めた絵や考えたものが、そのままゴールになることもあります。そこにやりがいと楽しさを見出してほしい。
さらに自分の作ったものを見た人が喜んでくれるかどうかということに真摯に向き合える人です。また、指示を待って動くのではなく、自分がやってみたいことを体現する主体性があることも大切です。たとえば映像オペレーターの業務なら、最初はオペレーターに始まり、リードオペレーター、スーパーバイザーとキャリアアップしていきます。しかし、オペレーターとしての技術を深めたいという場合は、この限りではありません。本人のキャリアプランや希望、適性に応じた人事を行っています。いずれにしても、意欲があれば、やったことはないけどやってみたいという人も大歓迎です。優しい人が多いので、社内の雰囲気はとても穏やかですよ。
質の高いコンテンツを作り続けながら、技術力をアピール
今後の展望を教えてください。
アニメの続きをゲーム、ゲームの続きをアニメ、そのままの見た目でライブをすることが当社の目標です。オンラインで、ハイクオリティなライブ配信を行うことができる『Virtual Performers』に力を入れ始めました。
ORENDA本社には最先端機器を装備したモーションキャプチャスタジオを備えているので、リアルなアーティストのパフォーマンスをCGアニメキャラクターに落とし込むことができます。さらに、スタジオ内に備えた収録・配信システムによって、『バーチャルセットを活用したIPコンテンツのライブ』『バーチャルセットを活用したリアルなアーティストのライブ配信』といった、集客イベントが可能です。メタバースの到来に合わせ、早くからYouTubeで、バーチャルアーティストneneのチャンネル事業を進めてきましたが、この活動は当社の技術力を広く訴求するプロモーションマーケティングコンテンツとしても活用しています。
これまでも、映画『HOMESTAY』 ドラマ『極主夫道』などの映像を制作してきましたが、2019年より活動しているアイドル達の天下旗争奪音楽バトルプロジェクト『IDOL舞SHOW』が、2022年初夏(2022年6月24日公開)、『劇場版IDOL舞SHOW』として劇場公開することが決定し、当社が映像制作を担当しました。
今後は、こうしたコンテンツ制作以外に、私たちがこれまで培った技術のパッケージングを提供できるようなサービスを目指しています。そのために良質なコンテンツを作り続けないと新しい発見はないと思っています。
制作会社は、基本的に受注制作です。しかし、それだけでは、クライアントありきのビジネスになりかねません。そのためにも、ゲームエンジンを使った映像技術、先端的なモーションキャプチャなど、高い技術を備えた会社であるということを訴求できるブランディングに力を入れていきたいと思っています。
今後もよりクオリティの高いコンテンツを作り続けるとともに、さらに、ものづくりだけではないビジネスにも目を向けていきたいですね。ORENDAのグループの一員として、私がハブとなり、ORENDAとアミネワークス双方がより発展していけるように努めていきたいと思っています。
クリエイターを目指す方に向けてメッセージをお願いします。
クリエイターには、自分の作品を世の中に出す責任を負える覚悟があるかどうかが大切だと思っています。もちろん、技術の高さや絵の巧さも大事なのですが、自分の作品を人に認めてもらう力が必要です。社内のモデリングにしても、それを評価する人が必ずいます。そこで自分の思いを的確に伝えるには交渉力も必要になります。的確に伝えるためには自分の作品に客観的な目を持つことと、人を知ることです。
クリエイト(制作物)には、必ず需要があって供給があります。その需要を的確にとらえるリサーチ力と情報収集力が不可欠。満足度の高い作品を供給するためにも、リサーチしたものを常にインプットし続ける情熱を忘れないでほしいです。
取材日:2022年4月8日 ライター:永浜 敬子
株式会社アミネワークス(Amineworks Inc.)
- 代表者名:大内 勝憲
- 設立年:2019年
- 事業内容:3DCGアニメーション、VRアニメーション、Virtual Artist / Influencer、VFX、Mothion Capture、CG Design
- 所在地:〒107-0062 東京都港区南青山二丁目7番26号 青山浜ビル
- URL:https://www.amineworks.co.jp/
- お問い合わせ:https://www.amineworks.co.jp/contact/
※記事内記載の社名、サービス名などは、各社の商標または登録商標です