「イソップ物語」や「昔ばなし」のように身近にあって役に立つ存在でありたい。元同僚と力を合わせてシステム構築とWeb制作を一括受注
システム構築やWebサイト制作、各種デザインを展開するgoowa(グーワ)株式会社。社名は、教訓や風刺を織りこんだ物語を意味する「寓話(ぐうわ)」に由来します。「イソップ物語」や「日本昔ばなし」のように身近にあって役立つ教えが存在する、そのような企業でありたいとの思いが込められています。幼いころから犬が好きで、ペットの美容師であるトリマーの道に進みながら、ITを通じた社会貢献を目指して起業したgoowa代表取締役の西川由一(にしかわ ゆういち)さんが描く新たな『物語』とは。
二人で力を合わせれば一括して仕事が受注できると元同僚と起業
御社の成り立ちを教えてください。
goowaは、2009年に元同僚の中条忍(ちゅうじょう しのぶ)と二人で立ち上げました。私たちは、金沢市内でシステム構築やWebサイト制作を行う企業で出会いました。私がシステム構築を担当し、中条がWebサイト制作やデザインを進めていました。二人とも技術には自信があり、そのうちどちらともなく「二人で力を合わせて会社を立ち上げれば、一括して仕事を受注できるじゃないか」と話が合って、実行に移したのです。
現在の事業内容を教えてください。
システム構築やWebサイト制作、各種デザインを中心に展開しています。比率でいえば、システム構築が5割ほど、Webサイト制作とそれに伴ってクライアントから依頼される各種デザイン業務を合わせると残りの5割、といったところでしょうか。
ドローンを使った空撮動画や動画素材の撮影、見回りシステムなどの事業にも取り組んでいると御社のWebサイトに紹介されています。
はい。正確にいうと動画撮影の業務は4年前に立ち上げた関連会社のg-lilyta(ジーリリータ)株式会社が展開しています。プロモーション動画やドローン撮影の業務が拡大してきたことから、会社の役割をはっきりさせるために別会社を設立したのです。goowaの共同設立者で、今も役員である中条がg-lilytaの代表取締役を務めています。
事業の柱であるシステム構築はどのような分野が多いのでしょうか。
特に業態は絞っていません。受発注システム、勤怠管理システム、連絡管理システムが中心です。受発注システムでいえば、最近メディアで「イカ割(ざ)き包丁」が紹介され話題となっている石川県能登町の老舗鍛冶(かじ)店「ふくべ鍛冶」さんの受発注システムを担当しています。同社はオンラインによる包丁研ぎ宅配サービスに力を入れており、お客さまが依頼した包丁が、現在どのような状況かを専用のアプリで確認できるようになっています。
Webサイト制作は対象の業種を絞っていますか。
Webサイトも特に業種にはこだわっていません。飲食、小売、製造など幅広い事業者のサイトを構築しています。
デザイン業務はどのような形で進めているのでしょうか。
Webサイト構築やシステム開発を担当した企業や店舗から、企業の理念や思想を明確にするCI(コーポレート・アイデンティティ)を実行したい、目に見える形でロゴやデザインに表現するVI(ビジュアル・アイデンティティ)に取り組みたいという要望をいただき、パンフレットやポスターを製作しています。さらにサイトの立ち上げに合わせて宣伝・販売促進用動画であるPV(プロモーションビデオ)を作りたいという相談にも、一気通貫で請け負っています。
社名は「寓話」に由来、身近で役に立つ存在を目指して
社名の「goowa」にはどのような意味があるのでしょうか。
「goowa」は日本語の「寓話」の音を充てて英語風に表記したものです。寓話というのは、ヨーロッパでいえば「イソップ物語」に代表されます。日本でいえば、広義には「昔ばなし」もそうかも知れません。昔から誰もが知っている物語の中に、教訓や風刺などが織り込まれています。『物語』に学ぶべきところがあり、役に立つ内容が含まれています。会社を立ち上げる時に、「寓話」のように身近で役に立つ存在でありたいとの思いを込めて、一緒に会社を立ち上げた中条が名付けたのです。
「お客さまの役に立つ存在」として心掛けていることはありますか。
経営理念に「人と社会の『物語』に貢献する」と掲げています。お客さまとともに成果を出すことを意識しています。仕事を依頼された企業と仕事を請け負う弊社、そしてお客さまのWebサイトやシステムを使われるお客さまの三方が良くなる仕事しか引き受けないと決めています。利益や効率だけではなく、常にクリエイティブな仕事に取り組みたいと考えているからです。
「クリエイティブな仕事」のためには何が大切だとお考えですか。
まず自分たちが楽しいと思えなければ、クリエイティブな仕事はできません。つぎに弊社に依頼される企業や店舗のWebサイトやシステムを利用するエンドユーザーのことをしっかり調べます。エンドユーザーがどのような気持ちでサイトを訪れるのかを理解するように努めています。そのうえで、依頼主との打ち合わせを繰り返し、考え方を擦り合わせて最適なサービスを作り出します。時には、依頼主に対しても「絶対にこちらの方が良いと思います」と意見を譲らないことがあります。そうした結果としてよりクリエイティブなものが生み出されると思っています。
クリエイティブな形が具現化された事例を教えてください。
石川県小松市にある博物館・科学館である「サイエンスヒルズこまつ」。この施設内に、子どもたちが描いた塗り絵を天井に映し出す「参加型プロジェクションマッピング」の仕掛けがあります。このシステムの開発を弊社で担当しました。製作しているスタッフが楽しんで取り組み、完成後は子どもたちの喜ぶ姿を目にすることができました。こうした事例を増やしていきたいですね。
地獄だった起業後の2年間、お客さまがお客さまを呼んでくれて軌道に
西川さんの思い描いた企業像に近づいているようです。西川さん自身の経歴を教えてください。
大学で情報システムを学び、卒業後は大手IT企業でプログラマーとして勤務しました。ITバブルの時代で、帰宅するのは明け方の4時、5時。風呂に入って数時間寝てまた出社という生活に疲れてほどなく退職しました。その後、子どものころから犬が好きで、ペットに関わる仕事がしたいと専門学校に入り、ペットの美容師であるトリマーを目指しました。卒業後は学校でトリマーの講師をしていましたが、トリマーの店を出したいと考えて資金稼ぎのためにWebサイト制作・システム構築の企業に入りました。
そこでビジネスパートナーとなる中条さんと出会い、トリマーのお店ではなくgoowaを起業されたのですね。起業してからは順調でしたか。
お金もなかったので、郊外のアパートの一階に事務所を借りて事業をスタートしました。起業から2年間は地獄でしたね。二人ともスキルには自信を持っていたので仕事ができると思っていましたが、営業の方法も分からず行き詰っていました。昼はgoowaの仕事をしながら、夜はバイトをして生活費を稼いでしのぎました。
起業したものの、厳しいスタートでしたね。
今思えば、実績のない会社に仕事を発注するはずがないことは容易に想像がつきますが、当時はなんとかなると思っていたんですね。2年間は、いつ止めようか。いつ止めようかと思っていました。そうした中、ようやくある建設会社のWebサイト制作の業務が舞い込んできました。無事、納品するとお客さまが別のお客さまを紹介してくれました。そこから続けて請け負えるようになり、自分たちのへたくそな営業の結果ではなく、真面目に取り組んだ結果として、お客さまがお客さまを呼んでいただけるのだと知りました。
この先、どのような企業でありたいと考えていますか。
新たなスタッフを採用する際、面接で本人に対して「入社後、どんな仕事がしたいか」を尋ねるようにしています。スタッフがやりたいとこたえた仕事を会社で受注するように心掛けています。それによって、スタッフも懸命に仕事に取り組むようになり、仕事を通してクライアントとgoowa、お客さまの三方が良くなると考えています。これからも社会のために役立つクリエイティブな仕事が実現できる企業でありたいと思っています。
取材日:2022年4月23日 ライター:加茂谷 慎治
goowa株式会社
- 代表者名:西川 由一
- 設立年月:2009年6月
- 資本金:300万円
- 事業内容:システム開発やスマートフォンアプリの制作
WEBサイトの企画・制作・更新、コンサルティング
UI/UXやキャラクター、ポスターやチラシ等のデザイン制作
プロモーションビデオをはじめとした動画制作
建築パースや製品モデルなどの3Dデザイン制作
ドローンを使った空撮動画・動画素材撮影・工事点検・見回りシステム - 所在地:〒920-0343 石川県金沢市畝田中3丁目4 土本ビル2F
- URL:https://www.goowa.jp/
- お問い合わせ先:TEL 076-205-1188 (平日10:00 – 18:00)