WEB・モバイル2022.09.21

今や“神戸を代表する会社”? ゼロから始めたWeb制作会社 「100万円貯まったら一緒に会社をつくろう」から13年

兵庫
株式会社サイドスリー 代表取締役
Kenji Wada
和田 健司
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独立への憧れと離婚をきっかけにIT業界に飛び込んだ、和田健司(わだ けんじ)さん。前職の同僚とともにWebサイト制作、コンサルティングなどを展開する「株式会社サイドスリー」(兵庫県神戸市)を立ち上げ、代表を務めています。顧客、売上ゼロから13年、今では行政の新型コロナウイルス対策のシステム開発、上場企業案件など、「神戸を代表する」企業を目指し、飛躍を続けています。情報の移り変わりの早い業界であるゆえ、常に新しいことに取り組み、社員一人一人を大切にする和田さんに、これまでの歩み、現在の事業内容、今後の展望などについて伺いました。

「100万円貯まったら…」 IT新技術の潮流に乗り、ソフトウェア会社時代の同期と起業

株式会社サイドスリーを立ち上げたきっかけ、それまでのキャリアについてお話しください。

1998年にコンピュータソフトウェアを扱う株式会社アシストにシステムエンジニアとして新卒入社したのが、IT業界に入ったきっかけです。大学時代にMicrosoft Windows 95が登場し、PHSや携帯電話といったツールが出てきたことを機に、「今後自分たちの生活が一変するだろう」とIT業界に魅力を感じました。アシストの企業説明会に参加した際、社長(現会長)のビル・トッテンさんの話が印象的で、就職活動中に賀茂川沿いを歩いていると偶然「ビル・トッテン」と書かれた表札を発見したことに運命を感じ、入社を決めました。
2006年末に退職し、07年から個人事業主として独立しました。その後、前職の同期と一緒に仕事をしたことがきっかけで「資本金が100万円貯まったら一緒に会社をつくろう」という目標を立て、09年1月に株式会社サイドスリーを2人で立ち上げました。

いずれ会社を立ち上げたいという思いはあったんでしょうか?

ちょうど仕事にも慣れ、自分の技術力にも自信が出てきた入社5年目あたりから、独立したいと思っていました。仕事は既存のシステムのメンテナンスが中心でしたが、その時期に、楽天、AmazonといったECサービス、ライブドア、mixiといったWebサービスなどが出てきたころでした。ライブドアの堀江貴文氏、サイバーエージェントの藤田晋氏、楽天の三木谷浩史氏といったIT長者が次々に生まれてくるのを見て、「自身もITを使った新しいサービスを生み出す仕事がしたい」という思いが強くなりました。

ゼロから信頼重ね、今では4000万案件も 都のコロナ対策システムも開発

事業内容について教えてください。

Webサイト制作から保守メンテナンス、コンサルティング、デザインと幅広く手掛けています。中でも、CMS(コンテンツ管理システム)と呼ばれるソフトウェアを使った中規模から大規模向けの企業サイトやECサイトなどの制作、保守メンテナンス業務を主に行っています。

スタッフ間での業務分担はどのようにされていますか。

現在のスタッフは23人です。顧客対応窓口となるディレクション部が9人、デザイン、プログラミングなどに携わるWeb制作部が12人、品質管理などを手掛ける技術開発部が1人、人事総務部が1人といったメンバーで分担しています。

活動拠点や得意としているジャンルはありますか。

エリアやジャンルは特に絞っておらず、全国幅広く対応しています。ただ、東京の方が関西よりも横のつながりで新規顧客を紹介してくれるケースが多いですね。1案件100万〜2000万円程度がメインであり、中規模から大規模企業をターゲットとして、直接契約、もしくは、パートナー(協力会社)経由で仕事をすることが多いです。

御社の強みをひと言でいうと?

信頼と実績を積み重ね、大手広告代理店や自治体など大手企業と取引が多数あることです。弊社は、営業マンのいないWeb制作会社として、創業時は顧客ゼロ、人脈ゼロ、売上ゼロからスタートしました。当初は、役員2人の紹介案件だけでしたが、着実に人脈を広げ、ここまで成長してきました。
また、広告代理店を含め、仕事を依頼いただけるパートナー構築ができている点も弊社の強みです。

これまでの仕事で印象的なエピソードはありますか?

最近では、東京都からの依頼を受け、飲食店のコロナ対策である「東京都感染防止徹底宣言ステッカー」の仕組みを弊社が手掛けました。「来週、都知事が記者会見で、安心して飲食店等の事業所を利用できる仕組みをつくるという発表をするので、それまでに作ってほしい」との依頼を受け、1週間でやり遂げました。記者会見の発表を作業担当者とYouTubeライブで視聴したとき、本当にうれしかったです。

「喜んでもらえた瞬間が一番うれしく、やりがい」 一社でトータル支援目指して

この仕事をしていて良かったと思う瞬間はどんなときですか。

いろいろな人の期待に応え、見えないものを形にして、顧客に喜んでもらえた瞬間が一番うれしく、技術者としてのやりがいを感じます。
また、経営者としては、スタッフ一人一人の成長や変化に気付けたときが一番うれしいです。

今後の展望や将来的なビジョンについてお聞かせください。

「会社を大きくしたい」とはあまり考えていませんが、2018年には長期経営計画「ビジョン2032」、2020年には中期経営計画「ビジョン2024」を社内で発表しました。2032年は私が60歳を過ぎ、次の代へ引き継いでいくタイミングでもあります。長期的にはWeb制作会社からWeb インテグレーション事業を軸として、Webにおける顧客の業務分析、問題解決に向けた企画・立案、ハード・ソフトウェア導入、Web制作、プログラム開発、運用管理などを一社でトータル支援できる「7つの事業領域を持った会社」を目指しています。

現在、抱えている課題はありますか?

取引先や顧客の期待に応えていくには、まだまだ人や技術力が足りていないため、それを満たしていくことが必要だと考えています。Webの世界におけるサイト制作は一部分であり、マーケティングにつなげていくためには、コンサルティング、ブランディング、インフラマーケティングなども必要です。さらに、SEO(検索エンジン最適化)対策、DX(デジタル・トランスフォーメーション)といったウェブサイトの活用などの領域にも対応していかねばなりません。
現在、派遣を入れるとスタッフが約30人、昨年から会社として組織化するためにマネージャー、リーダー、その下にメンバーを置き、従来とは違った会社づくりに取り組んでいます。また、人事評価の制度や社内ルールを見直し、個人情報の適切な取り扱いをしていることを示すプライバシーマークを取得するなどして、より結束力の強い組織にするために取り組んでいます。

「神戸No.1のWeb制作会社に」 技術力よりも人間力、仲間と切磋琢磨できる社風を

一緒に働くスタッフに対して、どのようなことを求めますか?

顧客、仲間、社会に対して貢献する意識、コミュニケーション力、プレゼンテーション力といった人間力を磨き、経営理念にある「成長」と「幸せ」を実感できる人生を追求してほしいです。創業当初は、社員とのコミュニケーション不足からお客さまにお叱りを受けることもありました。目に見えないものを作っているからこそ、信頼関係を築くことは大切です。現在はビアガーデンや社員旅行のイベントを毎月開催し、コミュニケーションの場を設けています。「神戸No.1のWeb制作会社に」との目標のもと、神戸を代表する企業で働いている実感と誇りを持って仕事に取り組んでもらいたいです。

これから御社で働きたいと思っている人には、どのようなスキルを求めますか?

採用、人事評価は、技術力よりも人間力を重視しています。デザイン力やプログラミングなどのスキルは大切ですが、それ以前に仲間同士が切磋琢磨できる組織を重視し、主体性、傾聴力、仲間への貢献力などを求めます。
採用においては、1次面接は代表の私が行い、会社のビジョンに合うかどうか、仕事に対する目標や思い、個人としてのビジョンが明確になっているか、分担して仕事することに喜びを感じるかどうかを確認します。その上で、2次面接は所属先の技術のリーダーが技術面を確認し、最終的にもう一度役員面接を行います。現在、平均年齢が37歳、業界的には年齢層が高くなってきています。会社を明るく元気に引っ張っていってくれるような若い人がいれば、積極的に採用したいです。

ホームページでは、メンバー紹介やブログに力を入れていますね。

ブログやFacebookは、求人向けとして弊社の経営理念や社風を理解してもらい、「こういう会社で働きたい」と思ってもらえるように発信しています。一方で既存顧客向けとして、なかなか対面でお会いできない顧客とのコミュニケーションツールとしても活用しています。

現役クリエイター、クリエイティブ業界を目指している読者にメッセージをお願いします。

弊社では、技術力よりも人間力を重視し、和気あいあいとした社風というよりも、多くの仲間と切磋琢磨できる社風を目指しています。この業界は流れが早く、クリエイティブな仕事においては技術面を磨くことはもちろん大切です。ただ、年齢を重ねていくと、技術面は「できて当然」であり、どれだけ人から信頼されるかが大切になってきます。それを実感できる技術者になれたら、この業界で長くやっていけるのではないでしょうか。

取材日:2022年8月8日 ライター:堀内 優美

株式会社サイドスリー

  • 代表者名:和田 健司
  • 設立年月:2009年1月
  • 資本金:500万円(2017年1月1日現在)
  • 事業内容:インターネットに関する各種コンサルティング、オープンソースCMS、有償パッケージCMSを利用したWebサイト構築、企業サイト/ECサイトなどのホームページ制作及び運営サービス、企業サイト/パソコン/スマートフォンを利用した各種Webシステム開発
  • 所在地:〒650-0024 兵庫県神戸市中央区海岸通3番地シップ神戸海岸ビル11階
  • URL:https://www.sidethree.co.jp/
  • お問い合わせ先:https://www.sidethree.co.jp/contact/contact-top/

※掲載の社名、商品名、サービス名ほか各種名称は、各社の商標または登録商標です。

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