全国のアミューズメント施設の内外装飾で業績拡大。デザイン・制作・施工の一貫体制で、短納期・低コストを実現
アミューズメント施設を中心に、九州一円の様々な業種で店内外装飾を手掛けるクワトロデザイン株式会社。看板、ディスプレイ、POP・フライヤーなどの販促物制作や、LED商品の販売および制作から取り付け施工までを一貫して行っています。代表取締役である山下 陵(やました しのぐ)さんは、「社長になりたい」という夢を持って専門学校を卒業し、デザイン会社に就職しました。24歳でフリーランスとして独立するも再度就職し、その後、再び独立。ついに社長になるという夢を実現して、念願の新しい社屋を建てたばかりです。夢の実現と事業拡大の秘訣について伺いました。
独立後、フリーランスに 再就職後に創業、会社設立へ
山下様は「社長になりたい」という夢をかなえるためにどのようなキャリアを歩んでこられたのですか?
高校生の時から漠然と「社長になりたい」という夢がありました。兄2人が、それぞれムービーのプロダクションやデザイナーとして独立しており、自然と影響を受けていたと思います。今思うと、家にまだ当時は珍しかったMacintoshがあり、それを使ってキャラクターを描いて遊んでいた経験が今日につながったのかなと思います。
IT系の専門学校に進学し、当時、注目を集め始めていたプログラマーになるコースを専攻しました。ですが、黙々とパソコンに向かって作業をするのは「ちょっと自分には向いていないかも」と思い、元々興味があったデザイナーに方向転換し、デザイン会社に就職しました。
3年ほどデザイナーの仕事を経験した後、無謀にも独立しました。まだ24、5歳の頃です。何のコネも人脈もないまま、独立してしまったので仕事なんて来るはずがありません。友人から依頼された名刺やホームページのデザインを細々としながら、アルバイトをして何とか生活をしていました。しかし28歳になった頃、生活が成り立たなくなり「このままではダメだ!」と一念発起。再就職をして地盤を固める決意をしました。
再就職先との出会いが現在の事業につながっていますね。
人材会社を通して、アミューズメント施設をはじめとする各種店舗の設備を手掛けている会社を紹介してもらいました。ちょうど、POPをはじめ店舗装飾デザイン部門を立ち上げるため、人材を探していたところで、スムーズに採用が決まりました。実は、3〜4年ほどその会社に勤めた後に、もう一度、独立をしたのです。
「社長になる」という夢に、もう一度挑戦したのですね。
最初はアパートの1室からスタートしました。しばらくはカツカツの状態でしたが、今回は「なんとかなる!」と楽観的に考えられるようになっていました。「人間万事塞翁が馬(にんげんばんじさいおうがうま:一見、不運に思えたことが幸運につながったり、その逆だったりすることのたとえ。)」ということわざを母から教えられていたので、辛くても、いつかこの経験が良かったと思える日が来るだろうと、暇な時は、妻と一緒にドライブに行くぐらいの気持ちで過ごしていました。
独立して半年ほど経った頃、前職の取引先の広告代理店から「後任のデザイナーが決まらず困っている」という相談が来たのです。嬉しいことに「やっぱり山下さんとでないとできない」と言っていただきました。そこで前職の会社の社長に伺い、承諾を得た上で、以前と同じ仕事を引き受けることに。これが、大きな転機となりました。
市場の動向を調査し、看板やサイン・ディスプレイ用の特殊な設備も導入することで差別化
現在は、九州一円だけでなく、遠くは北海道のアミューズメント施設の装飾まで手掛けていらっしゃいますね。
アミューズメント施設の店舗装飾というのは納期が短いため、それに合わせた設備の導入が必要です。九州で短納期に対応できる会社は非常に限られており、制作から施工まで一貫してできる当社は重宝されました。現在、当社の製品は九州・沖縄、山口や広島のアミューズメント施設を中心に、遠くは北海道など全国からも注文が来ます。例え輸送費がかかっても、九州で作ったほうが安くできることもあって、関東や関西からも注文をいただいています。
なぜ安く制作ができるのでしょうか。
市場の動向を調査し、看板やサイン・ディスプレイ用の特殊な設備を導入しました。設備は高額であっても、それによって作れるものが今後大きな強みになると考えたからです。事業を拡大する場合は、人を増やすことも一つの方法ですが、設備なら24時間休みなくフル稼働してくれるんです。当社では、このような独自性を打ち出すことで、他社との差別化を図ってきました。
仕事をするうえで大切にしていることはなんですか?
以前は太宰府市内に事務所があったのですが、設備投資で手狭になり、5年前に久留米市へ移転。更なる設備投資に合わせて、2022年6月、自宅の隣に作業所兼事務所となる社屋を新築しました。私の希望で、新しい社屋の3階の屋上にはベランダを設置しました。ここで休憩をして、目の前の風景を眺めていると、「自分が追い求めてきた理想を形にできた」と実感します。私が仕事をする上で大切にしているのは「楽しく仕事をする」ことです。
1日のうち睡眠をのぞくと半分くらいが仕事の時間です。その仕事の時間が楽しくなれば、人生そのものがきっと楽しくなるはず。「自分が楽しいと思える仕事とは」、「人生とは何だろう」と考えた時に、私にとってそれは「プライベートや家庭がうまくいっていること」でした。妻の実家の近くに自宅と事務所を建てたことで妻に余裕ができ、子どもたちも愛情たっぷりに育っています。自分自身が楽しく幸せを感じることで、会社も家族も幸せになるという良いスパイラルが生まれていると、屋上のベランダに立つと、あらためて思います。
私の実家は父も母も公務員で、子どもは私を含め三兄弟ともに独立開業。特に紆余曲折があった私は、親にかなり心配をかけてきました。自宅と事務所を建てた時、寡黙な父から、「お前はいい奥さんと子どもたちと、楽しい仕事に恵まれて、成功者の一人になったな」と言われた時には、胸に込み上げてくるものがありました。
10期目に向けて、4つの羽根となる人材を獲得していきたい
「クワトロデザイン」という社名の由来を教えてください。
「クワトロデザイン」は、四つ葉のクローバーをロゴマークのモチーフにしています。また、「ある場所で蝶が羽ばたくと、地球の反対側で竜巻が起こる」という、いわゆる「バタフライエフェクト」を想像させる蝶の4つの羽根も意味しています。何気ない行動が、その後、思いもよらないような大きな結果を生み出すという考え方が好きで、その思いを社名に込めました。
どのようなクリエイターと一緒に仕事がしたいですか?
私が蝶の本体である営業を担い、制作、オペレート、施工、経理・事務という4人のスペシャリストがリードしていく会社にするのが理想です。そのためには、与えられた仕事をこなすのではなく、この分野なら「自分に任せてください」と言える、自分で考えて仕事を進めていける人と一緒に仕事をしていきたい。4つの羽根が一つでも欠けたら飛ぶことはできません。私を含めた5人で、一緒に「やったね!」とハイタッチして喜べるような仕事ができたらと思っています。
今後の展望について教えてください。
おかげさまで2013年に会社を設立し、2022年10月から10期目に入ります。会社や人生には春夏秋冬があると考えており、社会の様々な情勢を見ていく中で、これから当社は冬の時代に入ると考えています。冬の時代とは、売上を大きく伸ばすというよりも会社の地盤を固めていく時期。良い人材を迎えて、育て、やがて来る春の時代に向けて準備をしていくつもりです。
そのためにも必要となるのが4人のスペシャリストの存在です。何よりも、大切にしたいのは私と同じベクトルを持っているかということ。楽しいと思って仕事をしてくれること、楽しく仕事をするための努力を惜しまない人に、仕事を任せられたらと思っています。
取材日:2022年8月22日
クワトロデザイン株式会社
- 代表者名:山下 陵
- 設立年月:2013年10月
- 資本金:300万円
- 事業内容:【デザイン事業】カード・名刺・ポストカード/チラシ・フライヤー・ポスター/ホームページ/看板
【店舗装飾事業(外観・内観)】POP・店舗装飾/カッティングシート・カットボード/バルーン装飾・販売/LED関連商品・LEDオブジェ
【ウェディング関連事業】バルーン装飾・ノベルティ商品企画・モザイクアート
【リボード製品事業】リボード素材を用いたベット作り - 所在地:〒830-1122 福岡県久留米市北野町今山464-1
- URL:http://quattro-design.co.jp/
- お問い合わせ先:080-3978-9106
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