旅の思い出と観光地の魅力をシェア。元歯科医師がアプリを開発!?
旅先で撮った動画を地図上に共有できるアプリ「Remly(レムリー)」を開発したONE NATION株式会社(福岡県福岡市)。元歯科医師だった代表取締役の真鍋智宏(まなべ ともひろ)さんは、「さらに社会の役に立つ仕事がしたい」との思いから、アプリ制作に乗り出しました。日常の中にある不便を解決するだけでなく、新たな娯楽を生み出そうと挑み続ける真鍋さん。コロナ禍を経て、さらに注目される「旅」のあり方にどう関わっていくのか、将来の展望についても話を伺いました。
歯科医時代に感じた不便さから生まれたアプリ
歯科医師としての経験がアプリの開発につながったというのは珍しいことと思いますが、きっかけなどを教えていただけますか?
両親の勧めもあって、手に職をつけようと歯科医師になりました。矯正専門医として開業もしていましたが、先の見えないこの時代に10年、20年続けられる、さらに社会の役に立つ仕事がしたい、と考え、高校の同級生と会社を立ち上げてアプリ開発を始めました。
2017年に会社を設立し、2019年に初めて開発した「ORCON(オルコン)」というアプリは、実際に病院経営をしていて、休診日に患者さんの対応ができず、休み明けに溜まった着信に折り返す手間がかかるなど、患者さんとのやりとりの不便さを感じたことから開発しました。患者さんとクリニックをつないでLINEのようなやり取りができるチャットアプリです。
実際に導入すると、多くの患者さんが利用してくださいました。今もアプリを開発するときは、ゼロから何かを生み出すというより、今あるサービスで「惜しい」と思うところを見つけてきっかけにすることが基本姿勢です。
何かを作り出すことは、もともとお好きだったのでしょうか
はい。幼いころから自分で新しくものを作ることが好きで、歯科医師として働いているときも、趣味として歯の矯正に使うワイヤーを使ってキャラクターのアートを作ったりしていました。このような「新しいものを作る」ことの楽しさも今の会社の事業につながっていると思っています。
「体感する」旅情報 旅の思い出動画を地図上で共有する
そして、今は旅に特化した動画共有アプリ「Remly」を開発していらっしゃいますが、これはどのようなきっかけで制作されたのですか?
例えば、会社の送別会などで誰かとの思い出を振り返る場面では、日常生活のことよりも、どこかに出かけた、という非日常の思い出を話すと思います。旅の貴重な体験の思い出は、人の記憶に残り、誰かと共有することで人と人をつなぐものだと思っています。そんな旅の体験を、地図上に投稿し、共有できるのがこのアプリです。
日本にも世界にも「知る人ぞ知る」名所はたくさんあります。どこかに行きたいと思ったときにアプリで地図を見てみると、近くにどのようなスポットがあるかを探すことができます。
旅の情報収集に使えるんですね。
はい。これまでも旅の情報収集をするメディアはさまざまあって、雑誌やWebサイトなど文字や写真の情報が多かったですが、最近はTikTokなど映像の情報も増え、15秒程度の動画に心打たれることも増えました。
これからの旅の情報は、「体感する」コンテンツに置き換わっていくのではないかと考えことが、開発につながりました。文字や写真だけの情報では難しかった、その場で体験した景色をリアルに伝える力が、動画にはあると思います。
人気の偏りを解消 観光地の埋もれた魅力を発信
なるほど。Remlyで旅のあり方はどう変わると思いますか?
日本では、例えば沖縄、北海道、京都などの人気の観光地に観光客が集中する「オーバーツーリズム」の問題が発生しています。観光客が集中する場所では、渋滞が発生したり、行列ができたり、地域の住環境を悪化させてしまうことも少なくなく、コロナ禍を経てもその傾向は変わっていません。
こうしてアプリを運用していてもわかるのですが、日本は観光スポットの認知度とポテンシャルがかみ合っていないのが現状です。実は近くにとてもきれいな海や景色があるのに、魅力に気づけず、見逃がされがちです。今自分がいる身近な地域の素晴らしいところに気づいて、その範囲を広げていくことで、利用する方の「第二のふるさと」となる場所が増えると嬉しいですね。
「旅に出ているような気分になれた」 地域PRやインバウンドも見据える
Remlyに投稿するクリエイターさんはどんな投稿をされる方が多いですか?
Remlyには20代~40代を中心に、約5万人のユーザーがいます。
動画クリエイイターの皆さんにはそれぞれ得意ジャンルがあって、食べ物を中心に投稿するグルメクリエイターさん、日本の美を伝える観光クリエイターさん、普段使いで体験を投稿してくださる方など、さまざまです。
使ってくださる方の反応はいかがですか?
アプリのレビューには「旅に出ているような気分になれた」「予定を立てるのに役立った」など、うれしい感想をいただいています。こうした言葉に何よりのやりがいを感じています。
これから、どのように事業を展開していきたいですか?
ソーシャルメディアのRemlyで、地域の地産品などをストーリーとともに売り出したり、将来はふるさと納税などにも関わったり、地域PRのコンサルティングもできるようになりたいです。
また、日本には、例えば豊富な森林など、そこに住んでいたら気づかないけれど、外部から見たらとても魅力的な資源がたくさんあります。外国からのインバウンドの観光客にそれをいかにアピールするかも重要なポイントだと感じています。
アプリで、ユーザーの人生を豊かに。「人の役に立てる」ことを意識
ONE NATION株式会社の社風と、活躍しているスタッフの方の特徴を教えてください。
アプリを作る際には、ユーザーの目線に立ち、シンプルで使いやすいデザインにすることを意識しています。
スタッフ一人ひとりが仕事にしっかり向き合って、こだわりを持ってやり遂げることを大切にしています。
最後に、会社として、「これを大切にしたい」という思いを教えてください。
私たちの提供するサービスを通して、利用する方が、これまで経験していなかったことを体験できて、人生や生活を豊かにするお手伝いができればうれしいです。
取材日:2022年9月14日 ライター:有村 千裕
ONE NATION株式会社
- 代表者名:真鍋 智宏
- 設立年月:2017年12月
- 資本金:200万円
- 事業内容:スマートフォンアプリケーション制作
- 所在地:〒814-0002 福岡県福岡市早良区西新4丁目3-20-101
- URL:https://one-nation.co.jp
- お問い合わせ先:上記コーポレートサイト「お問い合わせ」