WEB・モバイル2022.10.26

「沖縄の魅力を世界に!」沖縄企業のWebプロモーション&沖縄の子どもへのキャリア教育の両輪で、挑戦し続ける

沖縄
NO MARK 株式会社 代表取締役
Kenichiro Akamine
赤嶺 謙一郎

NO MARK(ノーマーク)株式会社という社名は、一見すると、スポーツ用語を連想させます。しかし、「NO MARK」は「OKINAWA NO MARK WO SEKAI NI」=「沖縄のマーク(印)を世界に」という社是の「のマーク」の部分を切り取ったのが本当の由来。その社名とビジョンの通り、沖縄の魅力を伝えるため、沖縄の企業に特化したデジタル領域でのWebプロモーションを展開しています。さらに、沖縄の中高生に向けたキャリア教育を実施し、沖縄の人材育成にも力を注いでいます。なぜノーマークは、沖縄の企業や子どもたちのために尽力するのでしょう。代表取締役の赤嶺 謙一郎(あかみね けんいちろう)さんに、2つの事業にかける思いを伺いました。

一度目の起業は、社員とのギャップが生じ売却
「沖縄の魅力を世界に伝える」会社を新たに立ち上げ、再スタート

会社設立までの赤嶺さんのキャリアを教えてください。

沖縄出身で進学を機に上京し、法政大学のキャリアデザイン学部一期生として入学しました。卒業後はコンピュータのシステムを構築する会社にSEとして勤め、旅行代理店やベンチャー系の広告代理店に転職し、起業のチャンスに恵まれ、Webサイト制作の会社を設立しました。

いつかは起業したいと思われていたのですね。

実は全く考えてなくて、キャリアプランで描いたこともありませんでした。しかしたまたま起業の機会が与えられたことと、当時は27歳と若く、もし失敗してもどうにか他の会社に就職できる年齢だろうと、3年間は歯を食いしばって会社経営にチャレンジすることにしました。
この会社は東京で受注した案件を沖縄で制作する、Web制作会社でした。東京と沖縄を行き来する生活をしながら順調に業績を伸ばしていきました。しかし社員数が増えていくにつれ、彼らとの間にギャップが生じ始めたんです。

どのようなギャップですか?

東京ではネームバリューがあっても沖縄ではあまり知られていない企業の案件だと、モチベーションが高まらないんです。例えば、お菓子メーカーの「不二家」のWeb案件を受注できたとしても、沖縄では「富士屋」というローカルのぜんざい屋の方がポピュラー。規模が大きい不二家の仕事なのにいまいちピンと来ていないというか、士気が高まらない。
身近なクライアントの方がやる気につながるのならば、沖縄に特化した案件だけを対象にした方がいいと思い、その会社は売却し、沖縄のプロジェクトを扱う会社として、改めて2018年にノーマークを立ち上げました。

現在でも沖縄の案件だけを手掛けているのですか?

はい、ほとんどが沖縄の案件です。東京の案件は単価が高く魅力的な部分もありますが、そもそもノーマークを設立した目的が沖縄の案件に特化するためであり、「沖縄の魅力を世界に伝える」というビジョンを掲げていますので、ブレないようにしています。とはいえ固執しているわけではなく、今後は沖縄以外の案件にも少しずつチャレンジし、そこで培ったノウハウを沖縄に還元したいとも考えています。

本質的な課題を突き詰め、Webプロモーションの幅広い手段を実現
クライアントの「Web担当者」になれることが強み

事業内容を詳しく教えてください。

クライアントのサービスの認知向上や売り上げを伸ばすための、Webプロモーションを行っています。プロモーションの手段として、Webサイトの制作やインターネット広告の配信、動画の作成、SNSの運用代行など、幅広く手掛けています。

沖縄にある多くの同業他社を比較して、どのような点が御社の強みだと思いますか?

クライアントの課題解決のために、さまざまなアプローチ方法を一気通貫で提供できる点です。本質的な課題解決のために必要な方法は必ずしも一つではありませんし、クライアントが想定していない方法を取ることが必要な場合もあり、フレキシブルな対応が必須だと実感しているからです。
例えば、クライアントからWebサイトのリニューアルを依頼されたとしても、売上アップのためには、広告配信や新しいコンテンツの制作など、他のアプローチを優先した方がいい場合が多々あります。その場合、単なる「Webサイト制作会社」だけでは到底カバーしきれません。クライアントにとっても、広告は代理店へ、動画は別の制作会社へ、と依頼先を分けるよりも、ワンストップで弊社が請け負った方が便利なはずです。いわば、クライアントの「Web担当者」になれる点が、弊社を選んでいただける理由だと感じます。

御社を頼ってさまざまなことを依頼するクライアントは多いのですか?

そうですね、ふわっとした依頼も多いですよ(笑)。その場合は、「なぜそれを作りたいのか」という本質的な課題を突き詰めていく作業を行います。話し合いを繰り返すことで、クライアントが言語化できていないことがクリアになっていきますので、この作業はとても大切にしています。

御社のクライアントは沖縄の大手企業が非常に多いですね。設立から5年間でどのように開拓されたのですか?

最初はシンプルに泥臭く営業しましたが、地方の強みで、一社つながれば共通の知人が見つかり、横のつながりでご紹介していただくことが増えてきます。コロナ前は飲み会などにもよく誘っていただきました。また、規模の大きい案件は、公募にエントリーして受託できたものも多いんです。弊社ぐらいの規模や設立年数だと難しい大型案件でも、公募ならば可能性が広がります。

特に印象的なプロジェクトを教えてください。

株式会社よしもとエンタテインメント沖縄が運営する「やんばるアートフェスティバル」のWebプロモーションを請け負いました。普段はエンドユーザーの顔を見る機会はありませんが、イベントのプロモーションなので来場者の顔を直接見ることができて刺激的でしたね。自分たちが作ったものが、来場者の楽しみを作り出す一翼を担っていると思え、やりがいにもつながりました。

社員の働きやすさを重視し、勤務形態はフレキシブルに

Webサイトや動画制作、SNS運用など多くの業務がありますが、外部に業務委託 も されているのですか?

11名の社員でほとんどを担っています。それぞれの業務に専任者をつけず、マルチタスクで回しています。サイト制作の翌日には動画の撮影ロケに出ているなど、全く違う業務が重なることも多いので、「自分が何屋だかわからない」という社員もいるほどです。そのような環境を、好奇心を持って楽しめる人が集まっていますし、逆に一本に絞りたい、何らかのエキスパートになりたい、という方には不向きな会社といえます。
未経験のジャンルに携わる社員も多いため、会社としては外部から協力者を招く体制を整えており、必要に応じて依頼しています。しかしほとんどのケースではお互いに助け合い、教え合っていますよ。

社員同士で様々な業務を連携して行う場合、課題解決に向けての齟齬が生じないように気を付けていることはありますか?

まず課題は何か、という本質的なことを徹底して共有することです。クリエイターは作ることに集中しがちですが、アーティストではありません。制作物が「課題解決の手段になっているのか」と常に俯瞰で確認するように促しています。
次に大切にしていることは、工程管理の徹底です。弊社では、進行状況を共有する月曜日のみ出社。他の日はリモートワークにしており、さらに一日8時間という勤務時間を守れば何時に業務してもいい体制を敷いているので、工程管理や業務共有は一層大切にしています 。

かなり自由度の高い勤務形態なのですね。コロナの影響からですか?

コロナが理由というより、社員の働きやすい環境を整えるためです。弊社にいる11名の社員中9名が女性で、子育て中の方も多くいます。彼女たちの働きやすさを考えた結果、リモートで勤務時間を自由にしました。実はノーマークの前に立ち上げた会社では、ライフステージの変化が原因で退職する社員が多かったんです。仕事内容にも会社にも納得して働いていたのに、条件面で辞めるのはもったいないですし、せっかく縁があって一緒に仕事しているのだから、できれば長く働いてほしい。勤務地と時間を自由にすることで、退職の理由を減らしたいと考えました。
また、給与形態も工夫しており、それぞれが抱えているプロジェクトに紐づけています。稼ぎたい社員はたくさんのプロジェクトに参加し、給与よりも自分の時間を大切にしたい社員には、できる範囲で参加してもらっています。多くのプロジェクトに参加しているから優秀というわけではなく、自分のライフスタイルに合わせて選択できるようにしており、社員間の衝突を起きにくくしています。これらの施策の成果か、会社を設立して5年間での退職者は一人だけでした。

キャリア教育事業で沖縄の魅力的な人材育成に寄与

御社ではWebプロモーションのほか、「キャリア教育事業」も展開していると伺いました。詳しく教えてください。

弊社の「沖縄の魅力を世界に伝える」というビジョンに即し、沖縄の魅力的な人材を育成するための事業としてスタートしました。沖縄は就職率、離職率ともに全国と比べて低く、改善に向けて自治体ではさまざまな施策に取り組んでいます。その多くが高校生や大学生の就職活動のタイミングで行われていますが、近年は就職活動より前の段階、小学校や中学校、高校生から勤労観を掴んでもらうことが大事だという考え方が広まりつつあります。
そこで、学校の課目の一つ「探求」の時間で、キャリアに関する講座を開催しています。先生方と一緒に企画を作り、社会人講話をさせていただいています。私自身が大学でキャリアデザインを学んでいたこともありキャリア教育に興味を持っており、自治体の公募などにエントリーして事業化へ進めました。

教壇に立つのは、赤嶺さんなのですか?

私が立つこともありますし、社員が立つこともありますよ。担当する講座や学年によって話す内容が違ううえ、Webのリテラシーが同じではない人に話さなければならず大変ではありますが、とてもやりがいがありますし、伝える力が鍛えられます。事業化して3年経ちノウハウが蓄積されてきたので、そろそろデジタル教材としてまとめようと考えています。

「沖縄365」という書籍とインスタで、自社ブランドイメージを確立したい

これからどのようなことにチャレンジしたいですか?

受注制作を続けていると、自社プロダクト制作に興味を抱くものです。弊社では自社プロダクトの第一弾として、「沖縄365」という、沖縄の名所や食べ物、文化を365日分集めて、文章と一緒に紹介する書籍を作りました。同時にインスタグラムも開設し、どれだけフォロワーを増やせるかにも挑戦しています。
クライアントには、SNSの運用方法やWeb広告の出し方などを提案しているのに、実際に自分たちではやったことがない、というのは無責任だと常々感じていました。自分たちが提案する方法で本当にフォロワーを増やせるのか、反響は作れるのか、ということを実践しデータを取ることでノウハウを作れますし、クライアントへの説得力が増すと思います。「ノーマーク=沖縄365」というイメージが浸透できるよう、試行錯誤していきたいですね。

制作会社が多い沖縄において、自社プロダクトの成功は会社を発展させて行くためのカギになるかもしれませんね。

沖縄だけでなく、Web業界は変化がとても速く、トレンドや技術を常にキャッチアップしていかないと置き去りにされます。反面、新しいサービスや商品を提供できれば、誰にでも参入できるチャンスがあり、だからこそ弊社も設立できました。しかし継続した発展のためには、どんどん新しい事業を仕掛けていかなければなりません。沖縄365もキャリア教育事業のデジタル教材もその一つです。

最後に、今後、どのようなメンバーと仕事をしたいと思いますか?

弊社での仕事はクリエイターとして制作の仕事に加え、教壇に立つこともあります。マルチタスクが求められる職場なので、新しい課題に対して柔軟にトライできる好奇心が旺盛な方に、ぜひ加わっていただきたいですね。積極的に行動できる方であれば、経験の長さは関係ありません。クライアントの課題を解決するための方法はたくさんあります。それを自ら見つけて果敢に挑み、成果を挙げられる方こそ真のクリエイターだと信じています。

取材日:2022年9月15日 ライター:仲濱 淳

NO MARK 株式会社

  • 代表者名:赤嶺 謙一郎
  • 設立年月:2018年9月
  • 資本金:500万円
  • 事業内容:プロモーション企画立案、Webサイト制作、インターネット広告、Webサイト運用保守、SNS運用、動画制作、TV番組制作、YouTube番組制作、LIVE配信、アクセス解析、キャリア教育
  • 所在地:〒900-0004 沖縄県那覇市銘苅2丁目3番1号 メカルヨンゴ501号室
  • URL:https://nomark-inc.co.jp/
  • TEL:098-960-7117

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