WEB・モバイル2022.11.09

創業8年で年商10億円を達成。EC、アパレル、食品…多様な事業展開の鍵は「去年と同じことはしない」という思い

新潟
株式会社プラスワイズ 代表取締役
Yuta Nakagawa
中川 勇太

農業資材販売のECサイトを軸に、地元の食材を使った食品開発や女性向けガーデニングアパレルブランドなど、新潟県三条市を拠点に複数の事業を展開する株式会社プラスワイズ。創業からわずか8年で年商10億円を達成した同社の代表取締役を務めるのが中川勇太(なかがわ ゆうた)氏です。「去年と同じことはしない」との思いを胸に、スタッフ発案のアイデアを形にしながら事業を展開しています。同社が成長、進化し続けられる理由を、これまでの成り立ちと共に伺いました。

祖父の代から引き継ぐ農業との関わりを生かしてECサイトを展開

株式会社プラスワイズの成り立ちを教えてください。

農業や建築の資材販売を手がける株式会社中川商店からスピンアウトして2012年5月に創業しました。中川商店の一事業として立ち上げた、農家さん向けの資材をインターネットで販売する事業が元になっています。ですので、主力分野はやはり農業資材で、自社ECサイトのほか、「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」などの外部サイトにも出品しています。

農業分野に注力する御社ならではの強みをどうお考えですか?

仕入れ網です。ECサイトの立ち上げは容易に始められたとしても、売るための商品を得るには、相応の信用が必要です。ベースには、祖父の代から引き継いできた中川商店(1967年創業)のネットワークがあることで、他社との差別化を図れていると思います。

創業から10年以上。農業以外の分野にも幅広くECサイトを展開されています。

最初は農業資材がメインで、次に手がけたのが海外への輸出業でした。そこから、女性向けガーデニングアパレルブランドのECサイト「efiluz -エフィルス-」を立ち上げ、建築用品の専門店、BtoBに特化した法人専門店、個人向けのスポーツ・アウトドア用品のECサイトを作り、現在へと至っています。

創業10年で9事業を展開。「社内スタッフが新規事業を創造し続けてきた」と伺いました。

アイデアに対して「行けそう」と思うものを事業化してきました。私からの発案もありますし、各事業の担当者からの発案もあります。創業から軌道に乗るまでは私からアイデアを出すことが多かったのですが、途中からは、アイデアの「引き上げ役」に徹するようになりました。もちろんタイミングにもよりますが、上がってきたアイデアはできる限り「つぶさないように」と考えています。私自身、飽きっぽいですし、常に「去年と同じことを今年もしたくない」と思っています。

創業8年で年商10億を達成。今なお成長する中で、ECの可能性をどうお考えですか?

個人か法人かを問わず、ECサイトは「一度使えば便利」だとお客様に納得して頂けるのが強みではあると考えています。さらに、農業分野では田畑を耕すためにいろいろな道具が必要になりますが、対面の店舗では並べられる商品や在庫にどうしても限りがあるので、豊富な商品を取り扱えるネットならではの利便性も理由とみています。

多様なアイデアを形にする源はスタッフの多様性

各事業の成り立ちを伺います、海外貿易事業はどのように展開されたのでしょう?

海外のバイヤーと接点を作るため、最初は、国際的なBtoBマッチングサイト「Alibaba」などに農業資材を出品しました。英語の自社ECサイトも作り、GoogleやFacebookなどの広告も駆使してBtoBのネットワークを作っていきました。

地元の食材を使った食品開発ブランド「Chill Full -ちるふる-」も展開されています。

弊社の常務取締役・芳賀聡が担当している事業です。元々、中途採用の芳賀は食品業界での経験が長かったんです。会社の所在地である燕三条を食で盛り上げる特産品「燕三条鉄アイス」や「燕三条鉄饅頭」、地域の果実を使ったドライフルーツやナッツ菓子などを手がけています。

芳賀さんのように、他業種からの方も積極的に採用されているのでしょうか?

ECのスペシャリストより、他業種の人間が多いですね。スタッフを見ても、鉄骨設計士や空間プロデュース業、外国人向けレストランで働いていた人間や、海外ワーキングホリデーを経験した者など、過去の経歴は様々です。特別に異業種から採ろうとしていたわけではありません。どちらかと言うと人間性を考慮し、自然とそうした環境になりました。

女性向けガーデニングアパレルブランド「efiluz -エフィルス-」は?

仕入先が土台にある農業資材のECサイトと違うので、当初は苦労もありました。基本は個人向けに、畑いじりを楽しんでいらっしゃる方々へオリジナル商品を展開しています。スポーツ・アウトドア用品も、個人向けに展開している事業です。

2021年7月には、地元の三条市内に冷凍グルメの無人商店販売店舗「むじん商店」も立ち上げられたと。

無人店舗に、業態としての面白さを感じたんですよ。先に無人店舗のアイデアがあり、「地元の飲食店さんが作った食品は、なじみがあってよいのではないか」と考えて、地元の商店街にあった空き店舗を借りて24時間営業の店舗をオープンしました。お客様は一律1,000円の食品を冷凍庫から手に取って代金を仕払う形式で、製造業者さんが自由に商品を補充できる仕組みになっています。

様々なアイデアを形にされていますが、新たに注力したいことはありますか?

「モノ(食品含む)を売る」という軸は外さないようにと考えています。現在、私自身はオリジナルの包丁を作り、拡販に励んでいます。アイデアの源は、海外事業部で、世界で人気がある国内製の包丁を売っていたのが原点です。すぐに売り切れてしまうため、オリジナルの包丁の販売に可能性を感じました。職人の方と手を組み、自身でプロデュースする中で、こだわりながら作る楽しさを見出していきました。

成長の理由は、常に「去年と同じことをしない」と考えること

御社とクリエイターのみなさんとの関わりはいかがでしょうか?

クリエイターは自社では抱えておらず、外部の方々との関係があります。オリジナル商品の企画・開発をお願いする方々はもちろん、ECサイトのシステム運営ではバックオフィス効率化などのため、システムエンジニアの方にも協力いただいております。就農社向けのオウンドメディア「わいずニャン情報局」ではライターさんとの関わりもありますし、様々な分野でご協力いただいています。

年々、御社が成長し続けられている理由をどうお考えですか?

常に「去年と同じことはしない」と考えています。スタッフに対して、売上げなどの数字を求めることは少ないですし、風通しのよさを重視しているのも理由かもしれません。事業ごとのチームもコミュニケーションがスムーズですし、トップダウンではなく、役職や役割を問わずアイデアも出せるようにしています。スタッフ全員が社内にいる時間も多いですし、オフィスで一緒に昼ごはんを食べて、気軽に話し合っている光景もよく見かけます。
私はスタッフの一生懸命な姿が好きなのです。各事業を手がけている担当者が、私以上に情熱を持って取り組んでいる姿を見るのが好きで、もっとたくさんのそのような人たちと出会いたいという気持ちもあります。

現在は40代半ば。30代前半で東京から新潟へ戻り創業した今、地元への思い入れは?

地域を盛り上げるには「カッコいい社長が大勢いる」のが重要だと考えています。ビジネスを作れる人たちはもっと大勢いるでしょうし、その人たちを育てたいという思いもあります。私もかつて、20代の頃は上京して東京で働いていましたが、大都市圏の東京よりもライバルが少ないのは地方のメリットでもあると考えています。会社とは別に、独自のビジネスモデルを描く起業家志望の若い方々のメンターとして相談に乗っているのも、そうした思いがあるからです。
私自身は、プラスワイズを「地方で一番多様性のある会社にする」と目標を掲げています。理念に掲げた「売上100億円の事業を1つ生み出すよりも、売上5億円規模の事業を20個創造したい」という思いにも通じており、小さな事業を横に展開し、いずれは地方発の「多角経営企業」として不動の地位を築いていければと願っています。

取材日:2022年10月11日 ライター:カネコ シュウヘイ

株式会社プラスワイズ

  • 代表者名:中川 勇太
  • 設立年月:2012年5月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:インターネットを経由した個人・法人、海外への輸出
  • 所在地:〒955-0002 新潟県三条市柳川新田997番
  • URL:https://plusys.co.jp/
  • お問い合わせ先:上記サイト「CONTACT」ページより

※掲載の社名、商品名、サービス名ほか各種名称は、各社の商標または登録商標です。

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