グラフィック2022.11.22

表に出ない「黒子」に徹する、利他主義な代表の夢 デザインで顧客の「良かった」を増やし、世の中に好影響を

広島
株式会社オキデザイン 代表
Oki Nobuyuki
沖 宜行

全国にファンを持つクリームパンのパッケージ、子どもの冒険心をかき立てるかわいらしいイラストマップ、企業SNSの情報発信サポートなど幅広いデザイン事業を展開する広島県の「株式会社オキデザイン」。代表の沖宜行(おき のぶゆき)さんは印刷会社のデザイン部や地域紙の編集を手がける会社で経験を積み、2014年に独立を果たしました。「業種にもデザインのテイストにも一切こだわりがない」と断言する沖さんに、デザインを通して目指すものを伺いました。

ロゴやチラシのほか、Webサイト制作、SNS運用支援も 前職の経験糧に

まず、事業内容について教えてください。

弊社のデザインの対象はロゴマークや商品パッケージ、会社案内や書籍、チラシなど、実に多岐にわたります。グラフィックが中心ではありますが、クライアント企業様全体のイメージ統一を図る中で、サイン看板や店舗の空間のような大型の立体的造形物を製作することもあります。基礎になっているのは、以前所属していた会社で積んだ経験です。
またお客様からのご要望を受け、新たにWebサイトも制作するようになりました。投稿イメージの統一や継続投稿が課題となる、Instagramの運用支援も手がけています。

以前の会社ではどういった経験をされたのですか?

日本デザイナー学院広島校を卒業し、印刷会社のデザイン部に入社しました。そこで、グラフィックデザイナーとして7年間働きました。1999年からは、地域紙などを編集する「ギミック都市生活研究所」でデザイン、イラスト、編集に携わりました。

デザイナーは「黒子」「100歩下がってちょうどいい」

お仕事の中で心がけていらっしゃることは?

とにかくお客様からのご要望に寄り添うことです。当初のヒアリングをもとにいくつかの案を制作し、「イメージと違う」と言われた時は納得いただけるまで何度でも打ち合わせを重ね、イメージをすり合わせていきます。イメージがなかなか伝わらない場合は、何度でも通い続けるしかありません。
認識の齟齬(そご)を防ぐため、直接お客様とやり取りできない下請けの仕事は出来るだけ引き受けないようにしています。広告代理店の仕事をしていないのは珍しいと思います。
お金をいただいて仕事をするデザイナーは、いわば「黒子」です。表に出たらいけない存在だと思っているので、恐らくお客様から100歩くらい下がってちょうどいいんです。なんて、それは少し言い過ぎかもしれませんが(笑)。打ち合わせの内容が形になるころには、お客様との距離もずいぶん近づきます。デザインに対する意見の違いで衝突することは全くありませんね。

お客様の要望に応えられるよう、社員採用 自分よりスタッフの「自由」優先

どのような体制で制作しているのですか?

以前は一部を外注にお願いしながらほぼ1人で制作していましたが、打ち合わせの時間を十分に取ると、制作時間が足りなくなります。納期に支障が出ないよう、今年は新卒の社員を2人採用しました。またアルバイトを2人雇っており、インターンの学生を5人受け入れています。

それはずいぶん思い切って体制を変えられましたね。

はい。私が打ち合わせした内容を、主に社員2人と私で手分けしながら形にしていきます。2人ともまだ入ってきたばかりなのでそこまでたくさんの仕事は頼めませんが、十分にがんばってくれています。
私自身は自分のプライベートに関心がなく仕事ばかりしていますが、スタッフには自由にしたいことをさせてあげたいので、好きな曜日に休める制度にしました。就業時間の決まりなども、スタッフの希望があれば柔軟に変えていくつもりです。

「自分の会社を良くしたい」人と山ほど出会いたい

クライアントからの直接依頼を受けることが多いということですが、どういう経緯で依頼を受けられますか?

「ターゲット」という言い方はとても失礼だと思うのですが、あえて弊社のターゲットを定義するなら「自分の会社を良くしたいと思っている経営者の方」です。そんな経営者の方と、とにかくたくさん、それこそ山ほど出会いたいんです。「仕事を受けるため」というよりもそれ自体が目的で、そういう人とたくさん出会うために経営者の集まりによく参加しています。そこで出会った経営者の仲間から相談を受けたり、これまでのお客様からご紹介を受けたりすることが多いですね。

なぜ、そうした経営者と知り合いたいのでしょうか。

実は自分でもよくわかっていなくて。「なぜなんだろう」と自問自答するのですが、答えはなかなか見つかりません。
応援したいという気持ちも確かにあるのですが、課題解決に向けて話し合うプロセス自体が楽しいのかもしれませんね。だから何回打ち合わせに通っても、苦にならないのかもしれません。
企業が抱える大きな課題を、デザインだけで解決するのはとても難しいことです。課題解決までは結び付かなくても、せめてその会社のより良いイメージ作りに貢献できていればいいなと思います。

顧客の要望、収益化を「考えて考えて、考え抜きます」 可能性も広がり 

オキデザインならではの特徴は何だと思われますか?

弊社のデザインの特徴は「わかりやすく内容が伝わること」と、「手書き文字やイラストを使ったオリジナリティのある表現」ではないでしょうか。
また徹底したヒアリングをもとに、どうやってお客様のしたいことを実現するか、どんな方法で収益化していただくかの具体的な道順を、ものすごく考えて考えて、考え抜きます。お客様の要望に沿うことで、事業の幅やデザインの幅が自然と広がってきました。

デザインのテイストにこだわりがあれば、教えてください。

弊社に対し「レトロ感と温かみのある手書き風のテイストが多いイメージ」などと言われることもありますが、地域紙を編集する会社に勤めていた際にそういったご要望が多かっただけで、自分ではテイストにこだわりが一切ありません。
レトロ感のあるデザインがご希望で弊社に依頼されるケースは、2割程度でしょうか。逆にお客様がシャープなイメージを希望されれば、完全にご希望のテイストに合わせます。

オキデザインに関われて「良かった」増やし、社会にも好影響を

今後、オキデザインとして何を目指していかれますか?

まずは数字をきちんと見て、利益を出し続けることが大前提ですが、お客様の「良かった」を増やすことこそが、弊社のビジョンかもしれません。「良かった」の形は様々で、デザインによって自分たちのイメージが体現できたこと、売り上げが上がったこと、弊社とのやり取りで「楽しい」と思っていただけたことなどもあるでしょう。 スタッフにはデザイン関連の賞を受賞して有名になったり、大きな仕事を引き受けたりして、どんどん成長していってほしいです。スタッフたちにやりたいことを実現させてあげるためにも、付加価値の高い仕事をたくさん引き受け、会社を大きくしていきたいですね。いずれ自社ビルを建てることを目標にしましょうか(笑)。 私は自分のことを「出がらし」のようなものだと思っているんです。今でも本を見て学んだりどんどん作ったりしていきたいという意欲はあるのですが、自分のことは本当にどうでもいいんです。でも、人の未来を考えることは好きですね。 お客様やスタッフなど、弊社に関わる方の「良かった」がどんどん広がっていけば、もしかすると少しだけ世の中も良くなるのではないでしょうか。生きているうちにそれを実現したい。それが私の目標です。

取材日:2022年10月19日 ライター:進藤 真由美

株式会社オキデザイン

  • 代表者名:沖 宜行
  • 設立年月:2014年3月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:マーク・ロゴデザイン、パッケージデザイン、パンフレット制作、チラシ制作、イラストレーション、マップ制作、サイン看板、空間デザイン、書籍制作、Webサイト制作、Instagramの運用支援などを含む総合デザイン支援
  • 所在地:〒730-0051 広島県広島市中区大手町2丁目2-9ビル博丈大手町2階
  • URL:https://www.oki-design.com/
  • お問い合わせ先:090-9417-6938

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP