WEB・モバイル2022.12.28

自動車や住宅などに特化したライティングで良質なコンテンツを提供 スウェーデン生活から学んだ“理想の暮らし”

広島
合同会社Fikatid CEO
Shu Okamoto
岡本 修

自動車や住宅・不動産に特化したコンテンツ制作から、Webサイトや販促物の制作を請け負う、広島県の「合同会社Fikatid(フィーカティード)」。CEOの岡本 修(おかもとしゅう)さんは、会社員時代に副業として始めたライティングの腕を磨き、フリーランスとして独立しました。2021年には、自身が理想とする暮らしを追求するため、大阪から移住し、週4日だけ働くライフスタイルで、会社員時代の収入を大きく上回る成果を出しています。そんな岡本さんに、これまでの歩みや仕事に対する思いなどを伺いました。

スウェーデンで共感した「やりたいことをやりたい時にする」生き方を追求し、起業を決意

現在のお仕事について教えてください。

自動車や住宅・不動産に特化したコンテンツの制作がメイン業務です。そこを窓口にWebサイトの制作や運営を行い、名刺、チラシなど販促物のデザインなども頼まれるので、それらの制作もしています。ほかにも企業のYouTube配信用の台本を書いたり、自社のオウンドメディアも作ったりしています。

岡本さんが起業してから会社設立までの経緯を教えてください。

出身は大阪なのですが、高校時代は日本とオーストラリアで過ごし日本の大学に進学。交換留学でスウェーデンの大学で1年学び、その後日本とスウェーデンの大学院で博士課程まで進んでいます。卒業後は自動車の部品メーカーで海外の代理店を新規開拓する営業、電機メーカーで防衛関係の資材調達などをしていました。
会社員として恵まれた環境で働いていて満足もしていたのですが、「この生活をずっと続けるのか」と考えたときに違和感を持ったことがきっかけで、仕事も含めた生き方を見直しました。新しい道を模索し始めたのが2020年の10月頃で、副業で始めたライティングの仕事が軌道に乗ってきたこともあり12月には退職し、2021年の1月にフリーランスとして独立しました。1年ほどフリーランスだったのですが、社会的な信用も考慮し2022年1月には法人化をしました。

「違和感を持った」その理由は?

スウェーデンで過ごした大学院時代の経験からでしょうか。あちらでは30~50代、一番年配だと70代の同級生がいました。「年齢に関係なく、やりたいことをやりたいと思った時にやる」という風潮があり、そんな風に自分もありたいとその頃から考えるようになりました。日本では進学したら就職して仕事を続ける、これが当たり前という風潮があるかもしれませんが、なんとなくそのレールの上を進むのではなく、自分の人生をちゃんと考えて選択をしながら歩みたいと考えています。
ほかにも就職をしてからは、1日8時間働いて、残業したら残業代が出てという拘束時間がベースになっている給与体制にも疑問を持つようになっていました。もちろん仕事内容も評価の対象になりますが、会社員は成果主義が明確にはなっていないのが現状です。自分の成果物に対しての報酬がある、そんな働き方が理想だと考えて起業の道を選びました。

副業で始めたライティングで独立。過去の経験を生かしホームページなども作成

起業にあたりライティングを選んだのはなぜですか。

自動車部品の会社では、海外向けのカタログなどで使われる文章の校閲をするのも私の仕事でした。制作自体は外注しており、ライターさんが執筆し、デザイナーさんが作ったものを読ませてもらうのですが、文章やデザインのスキルは高くても、必ずしも自動車などの専門分野に詳しいわけではないので、ニュアンスや奥深さが足りないと感じて、「自分だったらこう書くな」と思うことも多かったんです。私には経験と知識はあるので、あとは伝え方のスキルをあげて発信したらいいのではないかと考えたんですよね。ライティングのスキルをあげようと、会社員をしながら副業で、クラウドソーシングサイトを使い、仕事を始めました。
まずは得意分野である自動車関係の記事を執筆し、住宅・不動産関係の記事も書くようになりました。2カ月後には月に10~20本くらい記事を書くようになり手ごたえも感じたので、書くことに専念するため退職をしました。

ライティングだけではなくホームページの作成などもご自身でするのですか?

そうですね。 小学3年生の頃から自分でホームページを作ったり、ブログを書いたりしていましたし、高校や大学時代は知り合いから頼まれて企業のホームページや印刷物なども作っていましたので、こちらの方が経験は長いんです。

理想の暮らしをするために広島へ移住。移住サポートも後押しに

どうして広島へ移住されたんですか。

もともと地方で暮らしたいという思いがありました。昔から一戸建ての暮らしに憧れていて、家を建てることも考えていたんです。土地が高い大阪だと住宅ローンの金額もすごいことになってしまう。35年も高い金額を払い続けて、その家で過ごす時間より会社で過ごす時間が長い、そんな暮らしにお金をかけるべきかと疑問に感じて…。幸いライティングはどこにいてもできる仕事ですから、東京や大阪など大都市にこだわる必要はないと考えて、思い切って地方に出ることにしました。
広島を選んだのは、関西へのアクセス良さ、住みやすさなど条件を考慮したときに、候補になったからです。その近辺を調べているときに、たまたま今住んでいる広島県の安芸太田町を検索で見つけて、移住のサポートもあったので移り住むことを決めました。
今、新築も建築中なんですよ。移住してきたからこそ、やりたいことを叶えられていると思います。

仕事は週に4日だけ。大切なのは仕事の質で、かけた時間の長さではない

ほかにも起業をして叶えたことはありますか。

オンとオフのメリハリのある暮らしですね。仕事をするのは週に4日。月、火、木、金曜の9時から12時、14時30分から18時30分までしか働きませんし、それ以外の時間はパソコンにも触れません。独立した当初は土日が休みの週5日働いていたのですが、働き過ぎだなと思って・・・。そのまま週5日にすると少しだらけてしまう。週4日にしたら1日にやるべきことは絶対にやらないといけない気持ちになって、集中して仕事が出来るんです。それで会社員時代の収入ははるかに超えた金額を確保できているので、これが自分にとってベストな働き方です。

うらやましい働き方ですね。

そうですね。かけた時間の長さが仕事をしたことではないし、それに満足するのは間違っていると思っているんです。仕事は成果物で評価されるものだし、ギュッと時間を凝縮しても仕事の質が担保されているというのが、あるべき姿だと思っています。
こう考えるようになったのはスウェーデンでの大学院時代の経験がベースにあるんじゃないでしょうか。5年、6年とかけても博士を修了しない人が大勢いるかたわらで、すぐ修了する人もいる。それを見てきて「かけた時間は関係ない」という考えが染み付いているんです。

やりたい仕事だけに注力できる環境を自ら整える

起業してから順調に成長されていますが、成功の秘訣は?

自動車と住宅・不動産関係に特化していることです。売り上げのために「どんなジャンルも書きます」ではなく、専門に特化して深い知識に裏付けられた価値の高い記事を作るようにしています。クライアントのサービスをライターがどれだけ理解できているか、他社と比べて何が違うのか、しっかりとヒアリングを重ねて理解して書く、それが記事のクオリティにつながります。
ほかにも、クライアントのサービスを受ける人の声も入念に調べます。ユーザーはどこに価値を感じているのか、企業が打ち出したいと思っていることがユーザーに響いているのか。クライアントが望む結果が出ることを考慮しながらコンテンツを提供しています。

ほかに心掛けていることはありますか?

やりたい仕事に専念するために自分から営業はしない、と決めています。むしろ、自信がない仕事を引き受けて、結果を出せなかったら、クライアントに迷惑がかかってしまいますからね。営業をしないからこそ、受けた仕事はしっかり結果を出さないといけません。クライアントの利益につながるコンテンツを作ってきたからこそ、次の仕事につながっているんです。

縁があった土地だからこそ、広島に貢献する仕事を増やしたい

今後の展望をお聞かせください。

せっかく広島に住んでいるので、広島に貢献できる仕事もしていきたいと考えています。いま、クライアントの多くは関東、関西なので、これからは広島の企業の仕事も手伝っていきたいと考えています。
また、企業の仕事だけでなく、まちおこしにも協力できたらいいなとも考えてもいます。最近、私自身が「移住者」ということで、県や町から体験を話す機会をもらうようになったんですね。移住者にとってのハードルは「住む家」と「仕事」です。家に関しては今の仕事先と協力して提供できるかもしれないし、仕事も弊社から何かできることがあるかもしれません。それ以外にも、住んでいるからこそ知っている情報を提供するのも大切だと思っています。例えば、広島市内と安芸太田町は車だと1時間くらいで通勤でき、安芸太田町から通勤補助がもらえるなど、知られてないことも多いです。そんな情報を発信するサイトを作ろうとも思っているんです。おこがましいですが私が成功例になって発信することで、地方に移住するハードルを下げる取り組みができればと考えています。実際、今は「ミライイエ」という住宅情報サイトを運営しており、広島で注文住宅を検討している方向けに家づくりのポイントや、新築だけではなく古民家リノベーションという選択肢があるということをライターさんに協力していただいて発信しています。せっかく広島にいるからこそ、何かしら貢献していきたいと思いますね。

「クリエイターは好きなことをやっている人が一番強い」

最後にこれから独立を考えるクリエイターに向けたアドバイスをいただけますか。

フリーランスは稼げる人・稼げない人がいますが、社会人としての当たり前のマナーが守れて、自分の得意な分野、もしくは好きなことをして無理をしていない人は自然と伸びていけるはずです。売り上げや経験のために、苦手、不得意な分野に手を出さず、得意なところで勝負をするといいと思います。
それと、フリーランスになるってことは全ての責任を自分で持つという覚悟が必要です。仕事もクリエイティブな部分だけができるわけではなく、営業や経理などすべてやらないといけません。その覚悟があればやっていけると思います。
やってみたいという思いがあっても躊躇(ちゅうちょ)してしまう人がたくさんいるように思います。その理由が仕事の見つけ方がわからないとかならば、サポートもしていけたらいいなと思っています。

取材日:2022年10月27日 ライター:山名 恭代

合同会社Fikatid

  • 代表者名:岡本 修
  • 設立年月:2022年1月
  • 資本金:30万円
  • 事業内容:
    ・ウェブサイトの企画、開発、制作、保守、運営、コンサルティング
    ・ウェブコンテンツの企画、制作、運営
    ・グラフィックデザイン、ウェブデザインの企画、制作、技術指導
    ・ウェブ広告の企画、制作
    ・ステッカーその他印刷物のデザイン、企画、制作、販売
  • 所在地:〒730-0051 広島県広島市中区大手町1丁目1番26号
  • URL:https://fikatid.com/
       https://miraiie-hiroshima.com/ (ミライイエ広島)
  • お問い合わせ先:

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