WEB・モバイル2022.12.28

「沖縄の労働問題をぶち破る!」高度なデータ活用の技術を引っ提げ急成長を続ける企業の熱い想いとは?

沖縄
ちゅらデータ株式会社 代表取締役
Ai Makabi
真嘉比 愛

データ活用に関するコンサルティングやシステム開発、アルゴリズム開発などを手掛けるちゅらデータ株式会社は、2017年の創業からわずか5年で社員数は約20倍、売上は約10倍と、驚異的なスピードで成長を続けています。急成長を可能にしているのは、「“最高に面白い仕事”を沖縄に創りたい!」という、代表取締役の真嘉比愛(まかび あい)氏の強い信念と、高度な専門性を持ち、スキルアップに意欲的な社員たち。首都圏から遠く離れた沖縄で最先端の技術を引っ提げ、沖縄の労働問題に果敢に挑み続けるその原動力の源を伺いました。

沖縄のIT業界の労働環境を変えるために。19歳で起業を決意

データ分析の道へ進まれた経緯を教えてください。

沖縄の高等専門学校生だった頃はデータ分析とは関係ない工学畑にいて、回路や半導体チップの設計などを勉強していました。しかし大学では希望していた工学系の研究室がなくなってしまったので、チャレンジできる環境に身を置くため、厳しいと評判だった言語処理やテキスト処理・解析系の研究室へ入ることに。そこで初めてデータ分析に取り組むようになりました。卒業後に入社した会社では、広告分野におけるデータ分析の部署に配属され、データサイエンティストとしてのキャリアが本格的にスタートしました。当時はデータ分析というものが注目され始めた頃で、どんどん新しい技術が開発され盛り上がっていたので、その波にタイミングよく乗れたことは幸運でした。

それからどのような経緯で起業に至ったのでしょう?

実は19歳の学生時代から、いつか起業したいと考えていました。具体的な業務内容はまだ考えていなかったものの、「沖縄で給与が高くて仕事が面白い会社を作る」ということだけは決めていました。この思いは、「『最高に面白い仕事』を沖縄に創りたい!」という会社のパーパスに受け継がれています。

なぜそう思われたのですか?

当時の沖縄のIT業界は、労働環境がいいとは決して言えない状態でした。低賃金のうえに、依頼主の顔も見えない、利用者の声も届かないような、到底働き手が面白いとは思えない仕事ばかりで、「IT業界を目指さないほうがいい」と助言されることもあるほど。一方、アメリカではGoogleなどのIT系企業が勃興しており、その熱は東京にも押し寄せていました。あまりにも沖縄とのギャップが大きいことにショックを受け、この状況を改善したいと考えました。そのためには、最新の技術を使って多くの仕事と高い賃金を創出でき、優秀で面白い人材が集まる会社が、沖縄にこそ必要だと痛感したんです。
そのような思いを胸に抱きつつ、データサイエンティストとしてキャリアを重ねるなかで、2016年に在籍していたデータテクノロジーカンパニーのDATUM STUDIO 株式会社から出資いただけることになり、2017年に「ちゅらデータ」を立ち上げました。当時はデータ分析業界が伸びていたタイミングだったので、その分野の会社であれば沖縄でも成長が見込めると感じたことも、起業を決意した理由の一つです。

新しい技術を常に取り入れ、クライアントの課題解決にフレキシブルに対応

御社の業務内容を教えてください。

データ分析の基盤構築や整備、運用保守、人材の育成やデータを用いたコンサルティングなど、データ分析を軸に幅広い領域をカバーしています。お客様のデータに関する課題を解決するためにワンストップでサービスを提供できるよう、柔軟に対応することを心がけています。

今まで手掛けられた事例についても教えていただけますか?

工場を持つお客様に対して異常検知系のシステムを、構築から導入、運用まで担ったり、金融系のお客様へは文章校正のシステムを作ったりなど、案件ごとに全く異なります。特に弊社のお客様は東京の東証プライム上場企業が多く、大規模なデータ基盤を扱うケースがほとんどで、カバー領域は複雑で多岐に渡ります。例えば、古いシステムを新しい環境で使えるように移行したいという依頼では、古いシステムの詳細を知っている社員さんが、もう在籍していないということがありました。いざ作業を始めてみたところ、既存システムに深刻な影響を及ぼす可能性があることがわかり、リスク管理や高い技術が求められました。

お聞きするだけで様々な知識や技術が必要な大変な業務です。御社の社員さんは高いスキルをお持ちなのですね。

高いスキルを持つ社員もいますが、データ分析という業界自体の変化が極めて早く、今持っているスキルが、半年後には古くて通用しなくなってしまうこともあります。最新のスキルをキャッチアップして進化し続けることが大切なので、今習得しているスキルにこだわるよりも、とにかく日々自ら勉強することが求められています。

意欲的にスキルアップし続けることを重要視されているのですね。他にも、サービスを提供するうえで大事にされていることはありますか?

データのプロフェッショナルとして専門性を高く持ち続け、お客様が考えつかないような価値を提供することです。課題解決策として本当にそれがベストなのか、未来においても価値を持ち続けられることなのかを常に意識するよう社員には伝えています。

社員さんがスキルアップし高い専門性を身に着けられるために、どのような工夫をされているのでしょうか?

研修費用や書籍代など、学習環境の整備への負担は惜しみませんが、それ以上に弊社の社員は勉強することが好きなんです。自主的に勉強会を開催して、皆でディスカッションしていますよ。勉強を苦に思わない社員が入社する傾向にありますし、例え勉強が苦手だったとしても、周りからの影響で苦手意識がなくなっていくようです

急成長の秘訣はデータ分析への追い風と、意欲的な社員たち

2017年の創業から今までで売上が10倍以上になったと伺いました。なぜ急成長できたとお考えですか?

1つ目の理由は、ちゅらデータの親会社であるDATUM STUDIO株式会社と、2社でワンチームの体制をとっているため、多くの案件をこなせることが挙げられます。2つ目の理由は、データ分析自体が注目されているからです。問い合わせの件数が非常に多く、この5年で社員数を3人から60名に急いで増やしましたが、それでも追いつかないほどです。企業にとって、これから数十年のスパンで、いかにデータを活用できるかが勝敗につながると考えられているのでしょう。
あともう1つ考えられる理由は、社員が率先してビジネス領域を広げてくれているからだと感じます。例えば、データ分析とは関係ないXRエンジニアという人材を弊社では積極的に採用しています。このWebXRの分野は、もともと社内にいた社員が顧客の要望に応えるために切り拓いてきたもので、結果として大きな売上を上げるようになりました。私が思いもよらない所で社員が助けてくれることが多々あり、うれしい限りです。

「目立つ」ことで、会社の成長も沖縄の労働環境の改善も促進

カンファレンスや講演会などのイベントを積極的に開催しているようですが、その理由を教えてください。

「目立ちたい」ということが1番の理由です。目立つことによって会社の知名度が上がり、人材が集まりやすくなりますし、ビジネスも売り上げも拡大できます。そのうえ高賃金を維持できれば、社会的にインパクトのある存在になることができ、沖縄の労働環境の変革に寄与できると信じています。

創業時と比べると、沖縄のIT業界の変化は感じられますか?

賃金、労働環境ともに、徐々に改善されていると実感しています。特に近年のコロナの影響で定着してきたリモートワークは、地方にとって追い風でした。物理的に一つの場所に縛られる必要がなくなったので、大企業が沖縄に拠点を設けるケースも増えましたし、沖縄のIT系の働き手にとっては、働く場所の選択肢が広がりました。
より条件のいい会社へ転職しやすくなったことで、待遇改善に注力する会社が増え、会社間で人材を奪い合うという健全な競争が生まれています(笑)。弊社と近い志を持つ経営者も増えてきており、より沖縄のIT業界は盛り上がっていくと思います。

クレイジーな社員とともに、沖縄のトップ企業を目指す

今後の展望や目標を教えてください。

労働環境が悪いと言われる沖縄において、地方で成功したモデルケースになれるような会社にしていきたいですね。その実現のために、ゼロから1を作り出せる人材に加え、10を100にできるような人材も積極的に採用しつつ、いくつかの新しいビジネスを計画中です。

最後に、どのようなスタッフと一緒に働きたいかお聞かせください。御社のサイトに「クレイジーな仲間を募集しています」とありましたが、具体的にどのような人材を求めているのでしょう?

かつてApple社のCMに「Think different」というキャッチコピーがありました。これには、何かに強いこだわりを持って夢中になっている人は、クレイジーだと言われることもあるけど、そんな人こそ世界を変革する、というメッセージが込められていて、まさに弊社もそのような人材を求めているんです。私自身、「沖縄では稼げない」とか、「地方で成功するのは難しい」という固定概念を壊したくて起業しましたし、本当に実現できると信じて走り続けています。この沖縄の現状を突き抜けられるクレイジーさを持った人と、ぜひ一緒に働きたいですね。

取材日:2022年11月2日 ライター:仲濱 淳

ちゅらデータ株式会社

  • 代表者名:真嘉比 愛
  • 設立年月:2017年8月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:データ活用に関するコンサルティング、受託分析、システム開発、アルゴリズム開発・教育・セミナーなど
  • 所在地:〒901-2227 沖縄県宜野湾市宇地泊 558-18 宜野湾ベイサイド情報センター 5-1
  • URL:https://churadata.okinawa

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP