WEB・モバイル2023.01.25

将来は「社会基盤事業を立ち上げたい」クリニック向けコンサルティングと医療広告で医師たちをバックアップ

東京
株式会社グローバルサポート 代表取締役社長
Akane Abe
阿部 茜

クリニック向けの医療コンサルティング事業を軸に、Webや紙媒体での医療広告の制作業務も請け負い、医師たちをバックアップする株式会社グローバルサポート。代表取締役社長の阿部茜(あべ あかね)さんは、プロジェクトマネージャーから転身後に苦労を重ね、同社を成長させてきました。将来は「社会基盤事業を立ち上げたい」と熱く語る阿部さんに、過去のキャリアや会社のビジョンを伺いました。

エンジニア職から医療コンサルティング業へ挑戦 苦労を重ね、社内体制の基盤を作った

現在のグローバルサポートに入社されるまでのご経歴を教えてください。

大学卒業後は、半導体設計のエンジニアとして客先に常駐していました。ノートPCのディスクを読み取る磁気ヘッドの評価・解析からスタートして、スマートフォンの液晶基盤の回路設計、カメラの受光センサー(CMOSイメージセンサー)の設計開発を担当していたのですが、仕事があまりにもハードで体調を崩し、自社の社内SEに転換しプロジェクトマネジメントを担当しました。しかし、その部署はさらにハードな職場でして。「もう少し人と接する、人の役に立っていると感じられる仕事に就きたい」と思っていたときに、親会社の株式会社ビーボに勤めていた知人から「うちの会社が合いそうなのでどうですか?」とすすめられたのが、現在の会社でした。新卒から20年ほど、42歳の頃でしたね。

随分と大きな職種転換ですよね。現在の役職、代表取締役社長になられた経緯は?

2019年4月に入社後、当初は営業をメインで担当していました。前社長が突然退職することになりまして。現場の業務を回していたのは私でしたので、「阿部さんが社長をやればいいのでは?」と白羽の矢が立ったのです。
就任は入社からわずか5ヶ月、2019年12月でした。なかなかの無茶ぶりだと感じたのを覚えています(笑)。

就任前は具体的に、どのような業務を担当されていたのでしょう?

弊社の主軸事業の一つに出生前診断を導入するクリニック様へのコンサルティング・コーディネート事業があり、 新規開拓や実際に導入を決めたクリニック様の集患・オペレーション構築・医師への情報提供等を一括で行っていました。その当時は営業やコンサルティングに関するフローが整備されておらず、十分に医師をバックアップできる体制になかったため、最終的にはフロー、社内スキームも再構築しました。
医療業界の知見がまったくなく、さらに営業を担当するのも初めてでしたので、当初は本当に大変でしたね。特に広告については無知のド素人でLP(ランディングページ)の単語すら知らず、作成には苦労しました。
知人のマーケターを頼ったり、職場のデザイナーに怒られながらアドバイスをもらったり、とにかく業界知識と業務知識を早急に身につけるために努力しました。

「追い込まれることなく、みんなが頑張れる社会を作りたい」対人恐怖症に陥った経験が業務へ打ち込む原動力に

偶然にも未知の分野へ飛び込み、代表取締役社長に。頑張って来られた原動力は?

そうですね、私の仕事人としての選択には転職経験が影響していると思います。
私がいた業界はとてもハードで、院卒のエンジニアと対等に議論するために常に努力を求められる職場でした。
わりと個人プレーなところもあり、苦しくても周りに助けを求められず、対人恐怖症に陥ったんですよ。マウスやコーヒーカップを持つ手すら震えるようになりその職場を離れました。私の同僚もそのような理由から早期に転職する人が多かったんです。その時に、自身の挫折を通して「これほど追い込まれるまで頑張る必要はあるのか?誰もが個人のペースで頑張れる社会が作れるのではないか」と思ったことが大きな原動力となりました。

さらに35歳で中小企業診断士を目指して勉強を始め、その中で「CSV(カスタマーシェアードバリュー=社会の課題を解決すると共に利益を上げる経営戦略)」を学び、私もそうした事業を作りたいと、より具体的に考えるようになりました。そのために様々な職種の視点を持ちたいと、転職をしたのです。
また、今の会社で医療事業に携わるようになり、幼少期の体験を思い出したのも原動力の一つです。 幼少期に、近所に住む幼なじみのおじいちゃんが雨の日に転倒した場に居合わせたのですが、なぜか怖くてどうしても声をかけられず見守るしかできなかったんです。
「なぜ、あのときに手を差し伸べられなかったのか」という後悔が今も残っていて、「困っている人や助けを必要とする人がいたら、次こそは何かできるように行動したい」と思ったのが今に繋がっています。

クリエイターには、クリエイティブが「売上げにどう繋がるか」を考えてほしい

主軸の医療コンサルティング事業とクリエイティブの関わりは?

クリニックのサイト構築や運営、LP、バナーの制作も請け負っています。クリニックの運営にあわせ必要に応じてパンフレットなど紙媒体も制作しますし、多岐にわたっています。
親会社の方針で社内にもクリエイターがいますし、案件の量に応じて外部クリエイターの方々に協力を仰ぐ機会もありますよ。ただ、クリニック向けの医療広告案件は法律上のルールも細かく定められているため、分野としては特殊だと思います。

共に事業をすすめるクリエイターさんに、求めたい姿勢は?

外部クリエイターの方々には、LPやバナーなどのデザインをお願いする機会が多いです。その際に、会社の体制や状況に応じた提案をしていただけると助かります。
例えば、ワイヤーフレーム(設計書)の制作で「ちゃんとしたワイヤーフレームを用意してください」と言われたとき、素人の私には「ちゃんとした」とは何か、どうしても分からないことがあったんです。
コミュニケーション上では、できる限り具体的な内容を伝えていただけるとありがたいですし、弊社の事業に興味を持ちながら、取り組んでいただける方とご一緒したいです。
また、デザインが「売上げにどう直結するか」を考えてくださる方も、求めています。弊社ではグループ全体で「デザイナーにも数値を持たせる」と考えており、それがクリエイターの方々の満足や成長に繋がると考えています。
社内外関係なく、クリエイターの方を「作業者」ではなく事業を行う「パートナー」と思っています。
クリエイティブが「売上げにどう繋がるか」とストーリーを考えてくださると、うれしいです。

騙されて「LP構築で数百万円」の例も 患者さんのため、クリニックをより身近なところからサポート

新たに「医療コンシェルジュ」サービスも手がけられています。

共にクリニックを運営するコンサルティング事業とは異なり、日常の「ちょっとした悩みを相談したい」と願うクリニックや医師の方々に向けた事業展開を図っています。
サービスを立ち上げたきっかけは顧客とのヒアリングでした。あるクリニックで「広告代理店にLP構築で数百万円を支払った」と聞いて内訳を尋ねたらずさんな内容で、要するに騙されていたんです。
その状況では「本来、適切な医療を提供するために使われるべき資金が無駄に使われてしまう。ひいては、患者さんの不利益になりかねない」と危機感をおぼえました。コンサルティングとは異なる形でより身近にサポートできないかと考えたのが、サービス立ち上げの理由でした。

いずれは女性を支えるための社会基盤事業を展開したい

今後の展望はいかがでしょうか?

妊娠出産子育てに関する環境は厳しく、当たり前に結婚し当たり前に子供を産み家庭を築いていくことが難しい時代だと感じています。
今後は民間の福祉サポート事業を展開することで「新たな選択肢」を提供し、それによって新しい未来を拓くことのできる社会基盤作りをしたいと考えています。
具体的にはその手始めとして、理念に賛同してくださった医師の方と活動拠点となるクリニックを立ち上げています。
同じ志を持つ医師の方々と共に複数のクリニックを立ち上げ、法人化し、弊社を民間福祉サービスの開発ができる企業へと生まれ変わらせる計画です。
さらに長期的には行政や社会インフラを提供する企業ともパートナーを組み、社会基盤を構築する事業までを構想に入れています。
時間はかかるかもしれませんが、一歩ずつ進めていくつもりです。

取材日:2022年12月2日 ライター:カネコ シュウヘイ

株式会社グローバルサポート

  • 代表者名:阿部 茜
  • 設立年月:2016年6月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:医療コンサルティング事業
  • 所在地:〒107-0061 東京都港区北青山2-12-28 青山ビル5階
  • URL:https://globals-site.com/
  • お問い合わせ先:上記サイト「お問い合わせ」ページより

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