顧客のCIO(最高情報責任者)に。多種多様なITシステムを駆使して最善策を模索
CIOとは、企業の情報戦略における最高責任者(Chief Information Officer)を差す役職名。沖縄に拠点を置く株式会社CIOコネクティッドの代表取締役社⻑の安慶名 允(あげな まさし)さんは、この役職名を社名に冠した理由を「中小零細企業にとってのCIOでありたいから」と語ります。Microsoftの業務用ソフト「Office365」や「Dynamics365」をはじめ多種多様なITシステムを用いて、業務改善や問題解決の支援、コンサルティングを軸とする事業内容は、まさにCIOの役割そのもの。長年沖縄でITシステム構築や開発事業に携わってきた安慶名さんに、会社設立の経緯から今後の展望まで伺いました。
クラウド、ITシステムのコンサルティング企業から独立
もともと御社は、東京に本社を構える、クラウドやITシステムなどの設計・構築・開発コンサルティングを行っているアーティサン株式会社の沖縄拠点としてスタートされたと伺いました。
そうです。私とアーティサン株式会社とのかかわりは、2015年の沖縄拠点の開設時に当時の沖縄拠点の代表から誘われ、入社して以来です。その後2020年に本社の事業分割に伴い分社化してアーティサン沖縄株式会社を設⽴し、翌年に資本関係を解消し、社名をCIOコネクティッドへ変更しました。
安慶名さんご自身は、アーティサンに入る以前からIT関係のお仕事に就かれていたのですか?
ずっとIT畑でした。いくつかの沖縄の会社で、自治体や企業向けのシステム構築や業務改善提案、クラウドのCRM(顧客管理)・SFA(営業支援)ツールのベンダー、プロジェクトマネージャーなどを経て、今に至ります。
アーティサンで働く前まではシステムの開発や導入がメインでしたが、入社後はクライアントの経営の部分から参加し、ITへの投資計画と事業計画を紐づけてコンサルティングしています。
フィット&ギャップ分析で最善なサービスを提案。サービス提供が不要なことも
事業内容について教えてください。
既存のITシステムやクラウド、Webシステムの設計、構築、導入、保守、定着化支援を、企業や自治体に対して展開しています。用いるシステムやサービスは、弊社の共同代表取締役が元々Microsoft社にいたこともあり、Microsoftのものに精通していますが、クライアントに合わせてさまざまなサービスを使い分けています。
非常に多くのサービスが世の中には流通していますが、どのように各クライアントに適したものを探し出していくのですか?
課題を抱えるクライアントの多くは、その解決のためにどんなサービスやシステムが必要なのだろう?と不安に思われ、弊社の門をたたきます。そこでまずすべきは、業務を整理し、何が必要なのかを見極めて、適したサービスを選択することです。その後サービスと業務のマッチ度を把握するためのフィット&ギャップ分析を行います。
分析の結果、場合によっては、そもそも業務が不要だったり、サービスの導入は必要なかったりと判断されることもあります。我々の役目は、あくまでもクライアントの業務の改善であって、何らかのサービスを絶対に導入することではありませんので、そのような結果が出てもまったく問題ありません。
サービスのデメリットを必ず伝え、信頼へつなげる
実際に今まで分析したことで、サービスの導入が不要になった事例はありますか?
ありますよ。例えばとある企業から毎月のデータ分析の作業を楽にしたい、という要望がありました。なぜその作業をやっているのかを確認してみると、前任者がやっていたものを引き継いだ、という理由が明らかになりました。そのうえ、苦労して導き出した分析結果を利用しているわけでもなく、その作業が不要という結論に達しました。
また、当初の要望とは全く異なるサービスを提案したこともあります。沖縄でカフェを経営している会社から、独自のレジシステムを作りたいという依頼を受けました。しかしふたを開けてみると、カフェのオペレーションがそもそも確立されていませんでした。そんな状況で、多額の資金が必要となるオリジナルのシステム開発は非常にリスキーです。そこで、安価に販売動向を集計できるPOSレジの「スマレジ」導入を提案したところ、かなり費用を抑えることができたと喜ばれました。
御社にとって「稼げる」場合でも、クライアントにメリットがないのであれば、別の提案をされるのですね。
そうですね。どんな製品にも「使いづらい」や「コストがかかる」などのデメリットはあるものです。それをしっかり伝えることは我々の責任ですし、その方がクライアントからの信頼は厚くなると実感しています。以前、クライアントからは「営業マンはいいことしか言わないので、デメリットを含めて言ってくれる御社は信頼できる」と言われたことがあります。このような姿勢こそ、他社と差別化できる弊社の強みと言えるでしょう。
社員全員がエンジニア。細かい指示は出さずに、社員からの提案を促す
経営者として、社員さんをマネジメントする際に心がけていることはありますか?
現在社員は4人おり、このうち1人は統括という立ち位置ですが全員がエンジニアです。クライアントとのやりとりは、私ともう1人の代表取締役が担っており、クライアントの要望がエンジニアに正確に伝わっているか、認識に齟齬はないのか、常に注視しています。
また細かく指示を出すよりも、「このような課題があるので、どうやって解決しますか?」と、彼らから解決策を出してもらうようにしています。プロフェッショナルでプライドを持った職人気質のエンジニアばかりなので、その方がモチベーションが高まり、いいものを提示してくれるんです。だからこそエンジニアが希望すれば、クライアントとの打ち合わせにも同席してもらうようにしています。
受託開発減少の昨今、自社製品の開発は必須
今後の展望を教えてください。
現在は、Microsoftなど既存の製品やサービスを使っていますが、今後は自社製品を開発し展開していきたいと考えています。実は、最近クラウド上の販売管理システムを開発しております。まずはその製品を横展開していくことが目標です。
なぜ自社サービスの開発に注力しようと思われているのでしょう?
ノーコードやローコードなど、プログラミングせずに業務アプリケーションを手軽に作れる技術が進んだことで、プログラミング専門の会社へ外注する必要性が薄らいでいくと考えています。またITエンジニアを社内で雇い、内製化する企業も増えており、今後、受託開発はビジネスとして厳しくなると予想されます。実際、弊社の取引先でも1から開発するというよりは既存のクラウドサービスなどを導入するパターンが増えていると感じています。
こと沖縄に関していえば、首都圏などの案件を請け負う場合が多く、その影響はまだ少ないかもしれませんが、徐々に難しくなっていくと考えています。弊社はその風潮にのまれることなく、世の中で必要とされる会社として生き残るためにも、自社製品を開発し、他社と差別化することが必須です。
そのようにアグレッシブに事業展開するためには、人材確保も必要になると思いますが、どのような人材を求めますか?
私ともう1人の代表取締役で状況について検討するコンサルテーションを担っていますが、その役割がもう1人いれば理想的です。商談からコンサル、エンジニアとの打ち合わせまで任せられれば、よりダイナミックな事業展開ができるはずです。
もう一つ、エンジニアでもコンサルタントでも、自分自身で主体的に動ける人がいいですね。今の社員は皆そのようなタイプなので、とても心強いんですよ。自分で仕事を作っていける人が、ビジネス拡大には絶対に必要です。
取材日:2023年1月23日 ライター:仲濱 淳
※掲載の社名、商品名、サービス名ほか各種名称は、各社の商標または登録商標です。
株式会社CIOコネクティッド
- 代表者名:代表取締役社⻑ 安慶名 允・代表取締役 ⽐嘉 智明
- 設立年月:2020年7月
- 資本金:900万円
- 事業内容:ITシステムの要件定義⽀援/コンサルティング/セカンドオピニオンMicrosoft365(Office365)の導⼊/教育⽀援 Dynamics365を活⽤した顧客管理(CRM)や営業⽀援(SFA)の導⼊/教育⽀援 PowerPlatformやMicrosoftAzureの導⼊/教育⽀援 各種Webやクラウドシステムの設計/構築/保守/定着化⽀援 ITシステムを活⽤したテレワークおよび働き⽅改⾰(⽣産性向上)⽀援 その他ITを活⽤した経営改⾰⽀援
- 所在地:〒901-1117 沖縄県島尻郡南⾵原町津嘉⼭423 September 2階
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