デザインとシステム開発で愛知県一宮市を元気に。一時は諦めたデザインの道で、挑戦し続ける
地域に密着したデザインワークやブランディングを通じてまちの発展に尽力する株式会社ワクワクラボ。この5月には新たな取り組みとしてLINEを活用した予約システム「LiCOVeR(リカバー)」をリリースし、未到のフィールドへと歩みを進めています。代表として組織をまとめ、デザイン・ディレクションも手がける櫨山 妙子(はぜやま たえこ)さんに、クリエイターになったいきさつや現在の事業、これからの展望、仕事で大切にしていることなどを伺いました。
たまたま描いた4コマ漫画が、デザイナーへの入り口に
クリエイターを志そうと思ったきっかけを教えてください。
子どもの頃から絵や漫画を描くのが大好きで、それが原点ですね。でも、デザインの学校には進まずエステの仕事に就きました。
働いていたエステ店でフリーペーパーの広告枠に4コマ漫画を描く機会があったのですが、それが思いがけず大反響でたくさんのお客さまから「おもしろいね!」「早く続きが読みたい!」と言っていただけました。その時の快感がデザインの道に進むきっかけになりました。
どのようにキャリアを積んでいかれたのですか?
エステ店の広告漫画を通じてIllustratorなどのソフトが使えるようになり、未経験ながら歴史グッズ専門の制作会社に転職することができました。そこでデザイナーとしてさまざまなグッズデザインや編集デザインを経験しました。
しかし、社内のプレッシャーが大きすぎてデザインの仕事が嫌になってしまったんです。
一度はデザインの道を離れるも、戻ることを決意
そこからはどんな道を?
2年ほどでその会社を辞め、コンビニ商品の配送ドライバーの仕事に就きました。ドライバーは1人の時間が多いですし、誰かに怒られることもないのでとても快適だったのですが、数年経つとデザインをしたい欲望がまたムクムクと起きてきて……(笑)。運転中に目に入る街中のデザインを見て「これは素敵」とか「私だったらこうする」とかを考えているうちに、デザイナーに戻ることを決心しました。
デザイナーに復帰し、起業するまでの道のりを教えてください。
主にテレビ局からの仕事を請け負う名古屋のデザイン会社に入り、グラフィックをはじめ番組テロップの作成、番組ロゴなど幅広いデザインを手がけました。動きのあるデザインのスキルもその会社で身につけ、デザイナーとしての自信も得ることができました。
結婚を機に佐世保に行ったので退職する予定だったのですが、ちょうどその頃にワクワクラボ立ち上げの話が出て、誘っていただいたので取締役として参画することになりました。立ち上げの1年ほどはオンラインを活用して佐世保で仕事し、名古屋に戻ってきました。
櫨山さんが創業したというわけではなかったのですね。
そうなんです。最初は取締役として入ったのですが、その後に代表が辞めることになったので私が会社を引き継ぎ、事業内容もイベント企画から私が得意な領域にどんどんシフトしていきました。
愛着ある一宮のまちを元気にしたい
「ワクワクラボ」という社名の由来を教えてください。
もともと働いていたデザイン会社で「ワクワクラボ」というブログを開設していたので、そこから名づけました。常にワクワクする仕事をしていきたいという姿勢が伝わるのかなと思います。
拠点を愛知県の一宮市にしているのにも意味があるのでしょうか?
20歳くらいから一宮に住み始め、愛着をもっていたのでここに拠点を設けることにしたんです。オフィスも一宮で借りて、地域に密着したデザイン会社にしていきたいという想いを持っています。
現在の一宮はシャッター商店街が増えるなどちょっと元気がないので、デザインの力で地域を盛り上げていく存在になりたいです。ちなみに今のオフィスは「桃花館(とうかかん)」というビルなのですが、地域のみなさんにとってはけっこう知られた存在のようで、尾張エリアで最も社格が高いと言われる真清田(ますみだ)神社の目の前にあるので立地も気に入っています。
デザインワークを一括して請け負うメリット
手がけている事業内容を教えていただけますか?
立ち上げ当初は企画・プレゼン資料の制作や、デザインをし直すリデザインが多かったのですが、最近はホームページ、グラフィック、動画などの一連のデザインワークが増えてきました。PRのためのコンサルティングから入り、必要な施策をまとめて請け負えるのが私たちの強みです。まとめて任せてもらうことで、お客さまにとってもコスト削減につながるメリットがあります。
印象に残っている事例はありますか?
一宮にある調剤薬局さまのコーポレートサイト、薬局2店舗、そして鍼灸院の4つのサイトをまとめてリニューアルして、ブランディングを担当させていただきました。
特に鍼灸院はターゲットをこれまでのご高齢者から新たなニーズが期待できる女性に変えて、より入りやすい雰囲気づくりを提案しました。もうすぐリリースなのでどのような反響があるか楽しみですし、この先はSNSの活用サポートなども行なっていく予定です。
デザインから新たなフィールドへと舵を切る
これから行う新たな取り組みも教えてください
現在特に力を入れているのが、システム開発の領域です。パートナーと一緒に開発した「LiCOVeR」をこの5月にリリースしました。
「LiCOVeR」はどのようなシステムですか?
一言で言うと、LINEを使った予約システムです。今や国民の90%以上が使っているLINEをプラットフォームとして活用することで、予約がよりスムーズで便利になります。お店とお客さんの両方が「ワクワク・ハッピー」になれるシステムなんです。
これまでは、歯科医院、美容院、マッサージ、エステ、飲食店などの予約はそれぞれ別のプラットフォームで行う必要がありました。一方、店舗はそれぞれの業態で大きなシェアを握っているプラットフォームがあるため、毎月多額のお金を各プラットフォームに支払っていました。
「LiCOVeR」を使えば、店舗は定額でシステムを利用できますし、予約する方々も複数のシステムに情報登録の必要がないので、より気軽に予約できるようになります。
なぜ、システム開発に注力されるのでしょうか?
これまで手がけてきたデザイン系の事業では、例えばホームページを受注いただいて納品したら仕事がリピートされたとしても数年先になります。入金も納品してからが普通なので、発注いただいてから1年がかりになることもあります。
開発したシステムを定額で使ってもらえれば、毎月の固定収入になりますので、事業がより安定すると考えました。「LiCOVeR」の企業ユーザーからデザイン依頼が来るといった新たな展開も期待できます。
地域に密着し、「一宮といえばここ」と言われる存在に
企業としての今後の展望も教えてください。
組織を何十人と増やしたいという気持ちはあまりなく、少数だけど潤っている会社にしていきたいという想いが強いです。あとは、一宮のまちを元気にするお手伝いを積極的にして「一宮のデザイン会社といえばワクワクラボ!」と思っていただける存在になるのが目標です。その実現に向けて、商工会議所やロータリークラブの女性会などに積極的に顔を出すようにしています。
櫨山さんが日々の仕事で心がけていることは何ですか?
2021年創業の若い会社なので、とにかく信頼していただくことを常に心がけています。信頼を得るために一つ一つの案件に誠実に向き合い、レスポンスよく仕事をするよう努めています。あとは、お客さまの気持ちを汲み取り、求めているものを的確に提供することを心がけています。
デザインのスキルやセンス以上に大切なもの
クリエイターとして活躍するために大切なことは何でしょうか?
スキルはもちろん大事ですが、確かなスキルをもった方は業界内にたくさんいます。その中でどうやって仕事を獲得していくかって、最終的には人間性だと思うのです。「あの人に頼みたい!」「あの人と一緒に仕事がしたい!」と感じていただける人間性を養うことが大切だと思います。
人間性を養うためには、どうしたらいいですか?
とにかくいろいろな経験をして、たくさん怒られ、傷つけられることも大事だと思います。その経験を通じて優しさが育まれますし、たくさんの人と会って、そこで何を感じるかがとても大切。それが仕事において「お客さまが求めていること」を把握する能力につながっていくのだと思います。
取材日:22023年5月8日
株式会社ワクワクラボ
- 代表者名:櫨山 妙子
- 設立年月:2021年5月
- 資本金:100万円
- 事業内容:企画制作からイベント、ホームページ制作、グラフィック、動画制作、PRコンサルタント
- 所在地:〒491-0043 愛知県一宮市真清田1-3-3 桃花館4C
- 電話番号:0586-64-7880
- URL:https://waku2labo.online/
- お問い合わせ先:https://waku2labo.online/contact.html
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