大学時代の同級生と二人で起業。大切にしたいのは「人を喜ばせ、幸せにする映像づくり」
TVCMや企業VP(ビデオパッケージ)、Wedding filmなどの制作を得意とする札幌の株式会社LAVO(ラボ)。制作会社で培った撮影技術力の高さと、ワンストップ対応が強みです。同社の代表取締役・宮﨑 泰地(みやざき たいち)さんは「人を喜ばせ、幸せにする映像を作りたい」という思いを掲げ、大学時代の同級生とともに仕事に向き合っています。そんな宮﨑さんに、現在の仕事や今後の取り組みについてお話を伺いました。
幼い頃からクリエイティブが身近に。「自分の力で挑戦してみたい」思いからフリーへ転身
立ち上げ以前の職歴について教えてください。
大学卒業後に札幌の制作会社に勤務し、ムービーカメラマンとしてブライダル映像や企業VPの制作などに携わりました。また、TVCM撮影の現場ではアシスタントとして参加し、さまざまなことを勉強しました。
ご両親の影響で映像を始めたと伺いましたが。
父が広告代理店勤務、母がデザイナーでしたので、子どもの頃から両親が関わった制作物を自然と目にしてきました。大学卒業後の進路を考える段階であらためて自分を見つめ直した結果、人と違うことをしたい、クリエイティブなことをしたいなと。そうした思いが強くなったのは、やはり両親の影響が大きかったのだと思います。
撮影技術は現場で磨いたのですか。
就職する前から趣味で写真や動画を撮っていましたので、多少の知識はありました。あとは実際の現場で先輩たちの動きを見ながら、感覚や技術をさらに磨いていきました。
1年半ほど在籍した後で自分の力で挑戦してみたいと思い、フリーに転身したのですが、すぐに仕事があるわけもなく…。今考えると浅はかでしたが…アルバイトをしながら様々な撮影の現場に参加させていただき、勉強を続けました。
「北海道で1番になろう」。大学時代の同級生と起業
会社設立の経緯を教えてください。
今の会社は大学の同級生だった竹田新太朗と一緒に2016年に設立しました。彼は当時、別の業界で営業をしていましたが、もともと映像の編集に興味があったことから、この仕事をやってみたい!と。その熱意を受けて2人で始めることにしました。設立にあたって目指したのは、それぞれが自分の役割の中でプロフェッショナルであることです。北海道で1番になりたいと目標を掲げ、達成のために取り組んでいます。
法人化したことのメリットはありますか。
私自身はそれほどこだわってはいませんでした。ただ、取引する上での信頼や信用を考えると、法人化した方が何かとスムーズに進むと思い、株式会社にしました。
プロの技術が結集。みんなで作り上げた達成感がやる気につながる
現在の業務内容について具体的に教えてください。
TVCMやVPの制作が中心で、個人的にはTVCMが好きですね。15秒や30秒の短い映像の中で何をどう表現できるかが楽しいので、「CMをやりたい」と積極的に広告代理店にアピールしています(笑)。おかげさまで今は、様々なTVCMを担当させていただいています。
社内における役割分担を教えてください。
もともとは私が撮影、竹田が編集担当でしたが、仕事の規模が大きくなるにつれてディレクター業務が必要になったため、私が担うようになりました。竹田は「いい編集をするためにはいい素材が必要になる」と考え、自分でも撮るようになっていましたので、現在は彼に撮影を任せています。
基本は2人を軸に動きますが、現場によっては、音声や照明、ヘアメイクなど各方面のプロに外注させていただいております。
強みは撮影技術とワンストップ対応。プロが集まるCMの現場は「テンションが上がる」
会社としての強みをお聞かせください。
私がもともと撮影畑出身なので、撮影関係は強いと思います。また、自社で企画・撮影・編集までワンストップで行うため、細かな対応や仕上がりの早さも強みだと言えるでしょう。
これまでに印象的だったお仕事を教えてください。
やはりTVCMの現場が楽しいですし、好きです。自分たちだけでなく、さまざまな技術を持ったプロが集まって作り上げていく“プロ同士の対話”に刺激を受けますし、テンションも上がります。全員の力で作り上げたという達成感を得ると、次もやりたいという気持ちになりますね。
仕事の根幹にあるのは、人を喜ばせ、幸せにする映像を作りたいという思い
顧客の獲得はどのように行っていますか?
いろいろな仕事をコツコツ積み重ねながら、横のつながりを広げていきました。数年前に携わったお仕事で広告代理店の方に気に入っていただき、その後は定期的にお仕事をいただいています。
業界内での立ち回り方で工夫されていることがあれば教えてください。
同業者とのつき合いはありますが、お互いライバルでもあります。札幌の業界は狭いので正直棲み分けは難しいですね。会社設立から7年目に入った今、会社の未来を考えると、札幌だけに留まっているのは厳しいと感じています。そのため東京にも目を向けるとともに、道内の地方の魅力をアピールできるような仕事ができればと、少しずつ営業の幅を広げています。
ウエディングの撮影も続けているのですか?
はい、続けています。札幌と苫小牧にあるいくつかの結婚式場と契約をしております。作ったものに対してすぐにお客さまのリアクションを見られる点がいいですね。私も竹田も人に喜んでもらえる映像や、誰かが見て幸せになるような映像を作りたいというのが仕事の根幹にありますので、幸せな様子を直に感じられるブライダルは楽しいですし、やりがいにもつながります。
コロナ期間中に減少した結婚式も少しずつ戻ってきていますので、また幸せな瞬間に立ち合えるのが楽しみです。
仕事量と社員を増やしていきたい。経験を積み、いずれは「地元の北海道に還元」
今後の展望、将来のビジョンを教えてください。
10年目に向けて、会社の規模を大きくしていきたいと考えています。そのためには、今よりもさらに仕事量を増やしていかなくてはなりません。現状2人で会社は成り立っていますが、会社の未来のためにも社員を増やし、それこそクリエイターを派遣していただけるくらいにしていきたいですね。
私個人としてはディレクター業務を中心としながら、もともとカメラが好きで始めていますので、やはり撮影がしたいという気持ちもあって…。なんとなくモヤモヤしていましたが、この気持ちを消化するためには結局撮るしかないと(笑)。やるからには売り上げのプラスにしようと有名なスチールカメラマンへ弟子入りし、撮影の腕を磨いています。
手掛けてみたいお仕事はありますか?
東京に呼ばれて仕事をしたり、話題になっているようなメジャーな仕事に携わったりしてみたいですね。
また、地域の人のために何か役立つことをしたいという気持ちを常に持っていますが、今は高みを目指していろいろとトライしている最中です。きちんと納得のいく結果を出した後で、最終的に何かの形で地元の北海道に還元できたらいいなと考えています。
同じ目線で仕事に向き合える人とともに。クリエイターなら「焦らずに続ける」ことが大切
一緒に働くスタッフに求めることは何ですか。
仕事に取り組む熱量や完成に対する向き合い方、求めるクオリティの高さが自分たちと同じ人がいいですね。1から10まで説明しなくても、現場の雰囲気や空気感で理解し合える人が、理想だと思います。
クリエイターを目指している人にアドバイスをお願いします。
人としてのマナーや言葉遣い、責任を持つことを大切にしてほしいと思います。どんな仕事も同じで、人に迷惑をかけず、想像力を働かせて取り組んでほしいですね。
この業界は華やかに見えるかもしれませんが、実際は泥臭いですし、はっきり言って裏方です。今はスマホで気軽に撮影や動画制作ができるので、経験がなくてもすぐに撮れると思われがちですが、作品づくりと仕事は違います。そこで理想と違うからと、すぐに辞めてしまう人も多いです。特に若い人は急いで結果を求める方が多いですが、好きな気持ちとそれなりの覚悟、やる気があれば技術や結果は後からついてきますので、焦らずに続けていってほしいですね。
取材日:2023年5月12日 ライター:八幡 智子
株式会社LAVO
- 代表者名:宮﨑 泰地
- 設立年月:2016年12月
- 事業内容:TVCM、企業VP、PV、Wedding film、スチール撮影など
- 所在地:〒003-0012 札幌市白石区中央2条4丁目9-40 勝見コーポテナント1F
- 電話:011-839-1503
- URL:https://carpal-industry-8c7.notion.site/LAVO-ae14509c59d4444390cc682a1019583c
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