WEB・モバイル2023.07.19

社員満足度の高い会社が、良い仕事、良い会社を作る!

札幌
株式会社Olivier 代表取締役
Kazuiku Tsuji
辻 和育

IT関連開発をメインにしている札幌の株式会社Olivier(オリヴィエ)。最新技術を用いた開発を得意としており、創業以来6期連続増収・増益を続けています。代表取締役・辻 和育(つじ かずいく)さんは、国内外を拠点にシステム開発を行う会社の代表を務めたあと、「自由」を求めて起業。社員満足度の高い会社づくりに力を入れる辻さんの思いとは?同社の現在の仕事や今後の取り組みについてもお話を伺いました。

柔軟性のある、成長できる会社を作りたい。29年会社勤務し、札幌で起業

会社立ち上げまでのキャリアを教えてください。

1987年にソフトウェア開発を行う当時では中堅の独立系IT会社に入社しました。ITを選んだのは流通業や製造業、金融業などいろいろな業種に幅広く携われるという点に魅力を感じたのがきっかけです。3年間は銀行系の第三次オンラインシステム開発に携わり、何万人もが絡む仕事を通して、エンジニアの基礎を学びました。
当時はパソコンやインターネットはもちろん、ワープロすらなく、設計書はすべて手書きでした。何百人もいるフロアにプログラミング用の共通の端末が数台しかなく、コードはその端末でしか書けないので、予約制で1時間までといった時代でした。途中バブルが崩壊し、コンピューターも大型から小型化へと変化するなか、10年以上エンジニアとして現場で開発を行いました。その後、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーを経験していくこととなったのです。
東京ではシステム本部長として、社員・パートナー会社600人の組織運営を行いつつ、執行役員を兼任し、2013年には上海に現地法人を立ち上げて3年間社長として赴任しました。14年には規模拡大にともない、札幌にも会社を設立し、同時にM&A(企業の合併・買収)で札幌のユーザー系IT会社を買収して取締役にもなりました。

29年間勤務されたのち、独立にいたった経緯をお聞かせください。

会社の規模は大きかったのですが、もっと自由に自分の考えで経営をやりたいなと思い、16年に退社しました。私の自宅は東京にありましたので、会社を設立する際に東京と札幌で迷いましたが、前の会社の社員がついて来てくれるというので、住みやすさも考えると札幌がいいかなと。札幌は気候も良く、都会的なところもあり、自然も食も充実しています。現在は東京支社もあり、半月ずつ東京と札幌を行き来しています。

どのような会社づくりを目指していましたか?

柔軟性をもって成長できる会社にしたいと考えていました。仕事環境を整えるために椅子や机などは一流のものを取り入れる一方、在宅ワークを推奨するなど、働き方も自由にしました。社員たちには2週間に1回出社すればいいと伝えていますが、会社好きが多く、実際はみんな結構出社しています。
今の社員の平均年齢は31.2歳、女性率も30%を超えています。リーダークラスにも女性が多いことから、自然と女性が増えたのだと思いますし、女性が活躍している会社です。会社説明会でもその点は強調しています。

現場での信頼や評価が次の仕事へとつながっていく。社員の資格取得に手厚い補助も

現在のお仕事について教えてください。

現在は会社がまだそれほど大きくないこともあり、仕事を選んで受注しています。エンジニアの技術スキルがupできることが基本と考えています。あまり大きな仕事は受注せず、お客様の顔が見え、設計からプログラミングまで一気通貫にできる仕事を優先しています。会社設立当時は社員が私1人でしたので稼がなくてはいけなかったため、エンジニア出身であったことを生かし、私自身もプロジェクトに参画しました。20年以上ぶりでしたが、やれば意外とできるものなんです(笑)。この時のチャレンジ精神を経営者としての土台にしています。

お取引先はどういったジャンルですか?

大手決済会社をはじめとして金融、公共、通信、流通、製造と幅広く対応しています。外資系で働いている仲間が多く、彼らの紹介も多いです。外資系は転職が多いので、いろいろな方面に仕事が広がっていきます。
会社では私が多少営業をするくらいで、営業の専門職はいません。現場やプロジェクトで評価や信頼を得ることで、次の仕事へつなげていっています。

最新技術を取り入れるために、どのような工夫をされていますか?

エンジニアたちは、今流行りの言語や環境などについてよく勉強しています。私よりも彼らの方が遥かに詳しく、プロジェクトで使う仕組みや仕掛けについて、お客さまの合意を得た上で、新しいものを取り入れています。
会社で推奨する資格がかなり多く、受験や書籍などにかかる費用はすべて出します。合格したらお祝い金も用意しています。受験料は3回目まではサポートし、4回目からは自己負担です。つまり3回以内で受かれよということですね(笑)。そうした制度を利用して資格取得する社員も多いです。バックアップがあればやりたいことに積極的に取り組めますし、最終的には会社の力にもなります。

柔軟な体制で、お客さまの変化やニーズにも素早く対応。札幌は「いい人材を獲得しやすい」?

札幌に本社を置くメリットはなんですか?

札幌は、人材が集めやすいです。東京には会社が多いので、どうしても組織が埋もれてしまいます。就職サイトに載せても東京では砂粒になってしまいますが、札幌だと岩石レベルで目立ちます。札幌は大学が多いうえ、優秀な学生も多く、いい人材を獲得しやすいです。道外ではなく北海道が大好きな人が多いので、定着率も高いです。

東京と札幌で役割分担はありますか?

技術力はどちらも同じですので、それぞれの機能に合わせて担当を分けています。あとはお仕事をいただいたタイミングによって、どちらかが担当するという感じです。当然、札幌と東京での共同プロジェクトもあります。

部長や課長などの肩書きはあるのですか?

最高がPLと呼んでいるプロジェクトリーダーで現在9人います。40代前半が中心です。その下にアーキテクト、チームリーダー、システムエンジニア、アソシエイトエンジニアがいます。まだ組織が未熟なのでこのような形にしていますが、いずれはPLを部長に昇格させ、組織自体も進化しなくてはいけないなと思っています。

会社の強みをひとことで教えてください。

柔軟性だと思います。さまざまな技術を持っていますので、お客さまが描いたイメージを具現化するのが強いです。また、会社に変な階層がないので、PLが権限を持っており、意思決定も早く、変化やニーズにも素早く対応できます。

味わった「会社が潰れる」恐怖を糧に

 

休憩中の社員さんたち

これまでに印象に残っている仕事はありますか。

インターネット系の損保会社の仕事です。初のエンドユーザー直請けの大規模な仕事でしたが、うまく進まなくて大きなマイナスが出たんです。私たちの業界は見積もりを間違えると、5,000万円で受けた仕事が1億円かかることもあるんです。そうした状態に陥って、これはもう会社が潰れるかも?と。サラリーマンの時にも何度も大きな失敗はしましたが、自分の会社となると異次元に違いますさすがにヒヤッとしました。結果的にマイナスは出たものの、なんとか立て直し、サービス開始に間に合いました。
その経験が糧となり、次の同じお客様の仕事は非常にうまくいきました。短い納期にも対応しつつ、仕上がりの品質が高かったことから、前回が帳消しになるくらいの利益を出しました。そういう意味では印象に残った仕事でした。
とはいえ実は、創立以来6期連続で増収・増益を記録しています。おかげさまで今期は40%成長予定です。

 

社員満足度の高い会社づくりがいい仕事を生み出す。

退職者が少ない理由は何だと思いますか。

私は会社を経営する上で、社員満足度の高い会社づくりがいい仕事につながっていくと思っています。出来たばかりの会社で、福利厚生がしっかりしているわけではありませんが、有給を取りやすくするために1時間単位で取得できるなどいろいろな仕組みづくりをしています。たとえば4月に入社して、9月末までに有給5日を消化したら、10月から3月の期間限定で特別休暇を2日取得できるようにしました。そうするとみんなが有給を使うようになるんです。
働き方も柔軟にしていて、私服勤務で、髪の色もネイルも自由です。茶髪の社員に会社説明会に参加してもらい、座談会で喋ってもらいます。そうした自由な雰囲気が学生に受けています。

仕事をする上で大切にしていることを教えてください。

なるべく情報を共有して、風通しのいい会社を作るようにしています。私の考えていることや会社の方向性に関しては、毎週PLに伝え、彼らからは現場の考えや取り組み、意見を吸い上げて報告してもらっています。最終的には私が決定しますが、みんなの意見を聞いたうえで決めるようにしていますね。現場には常に、私が裸の王様にならないようにしてほしいと言っています(笑)。

サブスクを展開し、会社の知名度向上へ。目指すはエンジニアが「トライできる組織」

今後の目標について教えてください。

サブスクモデルのサービスを作り、利用料でも稼げる会社を作りたいです。会社の知名度を上げるということもあります。人数規模の目標値もあって、早く札幌単独でエンジニア数を100人にしたいです。
大きな会社になると仕事が選べず古い技術の保守作業をやるようなケースがありますが、それではエンジニアが伸びません。弊社ではそうした仕事をせずに新しいものにトライできる組織でありたいと思っています。

具体的な構想はありますか。

現在、一部の国立大学向けに図鑑アプリのようなサービスを展開しています。キャンパス内の樹木にQRコードが貼ってあり、そのQRコードを学生が読み込むと画面上に植物の特性が写し出され、それを図鑑のように貯めていくと単位につながるという仕組みです。それをほかの大学や、山を持っている自治体に旅行アプリとして活用してもらうなど、サブスクモデルを作っていきたいと考えています。
ただし、実行するには営業や宣伝部隊など、会社の体制を厚くしていかなくてはいけませんので、そこは次の会社づくりの課題でもあります。

社員旅行で毎年沖縄へ。クリエイターは「個性を磨いて」

採用において、一緒に働くクリエイターにどのようなことを求めますか。

年齢は気にしませんし、文系の大学出身で未経験者も多いです。ただ、弊社はイベントなどみんなでワイワイやることが多いので、それが苦手な人は向かないかもしれません。
たとえば、今年は沖縄に社員旅行に行きます。家族や婚約者同伴OKで費用はすべて会社持ち。1日目の夜だけみんなでBBQパーティーをし、後は自由です。旅行でリフレッシュしてモチベーションが上がって、いい仕事をしてくれたらいいなとの思いからです。コロナ期間中は自粛していましたが、今年は3年振りに実施します。強制ではありませんが、ほとんどみんな参加します。
さらに毎年ホテルで、「Olivierアワード」と称して年間表彰も行います。そういったことを楽しんでくれる人と一緒に仕事をしたいと思っていますが、なかには当然苦手な人もいますので。その点に関しては入社後にズレが生じないよう、説明会できちんと伝えています。

最後にクリエイターを目指す人にアドバイスをお願いします。

ものを創り出すという仕事柄、ほかの人とは違う独創的な発想が必要だと思います。
無難に仕事をこなすような人にはなってほしくないです。
一つ一つの仕事に本気で向き合って、とんがった仕事に誠実に取り組んでほしいと思います。

取材日:2023年6月8日 ライター:八幡 智子

株式会社Olivier

  • 代表者名:辻 和育
  • 設立年月:2016年9月
  • 資本金:1,300万円
  • 事業内容:システムインテグレーション事業
  • 所在地:〒060-0004 札幌市中央区北4条西5丁目1 アスティ45 8階
  • URL:https://olivier.co.jp/
  • お問い合わせ先:上記の「お問い合わせ」へ

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