WEB・モバイル2023.09.06

隠れた香川の魅力、情報誌「miteGo(みてご)」を見てGO!外食のエンターテインメント化で町を元気に

香川
三豊コンシェルジュセンター株式会社 代表取締役社長
wada souhei
和田 壮平

香川県三豊市を中心に、地元民が知らないお店にフォーカスしたフリーマガジンを制作している三豊コンシェルジュセンター株式会社。縁もゆかりもなかった三豊市を盛り上げるため、神奈川県からやってきた代表取締役社長の和田 壮平(わだ そうへい)さんは、「地元の人たちの『知らなかった』を解消して、もっと楽しくなる『ジモト』を目指したい」と意気込みます。地域を巻き込んだ企画にも力をいれている、和田さんのこれまでの歩みや、将来への展望をお伺いします。

三豊市の地域活性を目指し、神奈川県から“やってみよう精神”で挑戦!

御社を設立されるまでの、和田さまのキャリアをお聞かせください。

大学卒業後は、柔道の実業団に約1年間勤めました。その頃、堀江貴文さんの「稼ぐが勝ち-ゼロから100億、ボクのやり方」(光文社)という本を読み、たいへんな感銘を受けたのです。当時は「この世の中は、起業しないと得しないシステムなんだ!」と思い込み、起業というものに強い憧れを持ち始めました。
その後、大学時代に知り合った編集者の友人と意気投合し、起業しました。
しかしながら、これまで柔道の実業団の経験しかなく、10年以上キャリアの差がある友人の中で自分の存在価値がわからなくなってしまい、わずか1年で退職。
2ヶ月間のニート生活中に自分と向き合う中で「営業力を手に入れたい」と思うようになり、飲食店の情報を集めた某大手Webサイトを運営する会社に入り、広告営業の仕事を行うことにしました。
営業の仕事を始めてから1年半が経ったタイミングで、地元の仲間と「地元を盛り上げるために地域情報誌を作ろう」という話で盛り上がり、神奈川県の仲間と一緒にローカルに特化した地域情報誌を創刊することを決めたんです。

御社の拠点が神奈川県から三豊市になった経緯を教えてください。

神奈川県で地域情報誌を出しつつ、地域活性化に貢献するイベントも行っていたところ、「四国の香川県三豊市で、地域活性化事業の誘致がある」という情報を耳にしました。三豊市は、地元の神奈川県から、遠く離れているし、かなり田舎な土地です。そのような地方で地域情報の発信を行なった場合、「自分たちのやり方や経験が、三豊市でも通用するのだろうか?」という興味が湧き、「とりあえず、行ってみよう!事業として成立しなかったら、その時は潔く帰ろう」という“やってみよう精神”で2014年、三豊市にやってきたのです。

地元の魅力を発信し、「ジモトをもっとおもしろく」する会社に。地元民は意外に地元を知らない?

三豊コンシェルジュセンターの経営理念とそれに込められた想いを教えてください。

経営理念は「ジモトをもっとおもしろく」です。地元の人が楽しむジモトになるためのお手伝いをすることが、我々の使命だと思っています。
というのも、ローカルエリアは個人店の情報があまり発信されておらず、地元民すら、地元にどのようなお店があるか知らないことが多い。どこか遠くへ出かける時は、どこに行こうかな?と調べる人は多くても、地元のことはあまり調べないんです。自分の知っているお店だけを、習慣的にローテーションで利用している人がほとんどのように感じました。
「実は地元のすみっこに、こんなお店がある!」という発見を地元の人に楽しんでもらいたくて、地域情報誌を発刊しています。
都会に行かなくても、地元はとっても楽しい町なのだと地元の方にわかってもらいたいですし、そういった楽しい町であり続けられるお手伝いをしたいです。

御社のメインコンテンツについて教えてください。

メインコンテンツは、フリーマガジンの制作です。A5サイズで約100ページの地域情報誌「miteGo(ミテゴ)」を、毎月発刊しています。
読者は主に地元の女性、特に主婦層が多いので、3~4割はグルメ情報が占めています。見た目はタウン誌に近いですね。
媒体名の「miteGo」は語感の通り、「見てGO!」という意味も含みますが、本当のところはもう一つの意味があります。三豊市の古い方言に「みてご=これ、見てみなよ」という言葉があり、そこから採用しました。いまこの言葉を使っている方は、ほとんどいないようですが……。

競合他誌に打ち勝つ術を模索、結果は。読者の「食べたい!」に注目

地域情報誌「miteGo」を創刊するうえで、ご苦労はございましたか?

我々が「miteGo」を創刊しようとした当時、他に、二つフリーペーパーがありました。「手に取ってもらえる内容にするために、どういった仕掛けを作ろうか?」と、読者に有益な内容を載せて伝えることに対して、大変頭を使いました。競合があったからこそ、やりがいというものを、より強く感じられたように思います。
記念すべき創刊号は、36ページ。予想よりも大きな反響があったので、手ごたえを感じましたね。
当時は知名度がなかったので、ポスティングを行っていました。ただ、田舎は住宅が集合していないのでポスティング費用が高かったんです。
しかし現在は知名度が上がって、読者自ら手に取っていただける情報誌に成長したため、ポスティングをしなくても、月刊18,000部を、約600カ所に設置し、配布できるようになりました。
三豊市内の大型商業施設のゆめタウンでは、新刊を設置して、3日以内には無くなっています。多くの方に自主的に手にとってもらえていて、ありがたい限りです。

御社の強みやこだわりについて教えてください。

地域情報誌に掲載する店舗に足を運び、一つ一つ丁寧に取材して制作していることです。
いかに読者に「食べたい!」「行ってみたい!」と思ってもらえる記事を作れるか?そういった記事になるように、お店の方と一緒になって必死にアイデアを出し合って、美味しい・おもしろい企画を日々、追求しています。
基本的に、お店側の「売りたい」よりも、読者の「食べたい!」と思うモノを考え、世に出せば、来てもらえる確率はグンと高まります。

“エンターテインメント”で地域を盛り上げたい。「餃子グランプリ」で地域貢献

イベント運営も行なわれているとお伺いしました。経緯や内容を教えてください。

外食は“エンターテインメント”にならないと、お店も地域も盛り上がりません。外食に出かけることの、楽しさ・おもしろさがないと、アフターコロナで生き残れないと思うのです。そういった想いから、お客さんも楽しめるイベントの企画事業を始めました。
我々は「『飲食をおもしろくする舟』に一緒に乗ってくれませんか?」というスタイルで、広告営業をしています。例えば「浴衣で来店されたお客さんにスイーツをサービスする期間を作るのはどうですか?」などと提案します。
浴衣のお客さんはスイーツを楽しめますし、居酒屋に浴衣のお客さんが来てくれたら映えます。その場にいるほかのお客さんも気分が上がりますよね。そういった企画を行うことで、飲食店がエンターテインメント化して、もっともっとおもしろくなると思うのです。

2022年5月に、三豊市と観音寺市で「さぬき餃子グランプリ」を企画されたそうですが、経緯を教えてください。

コロナ禍によって、飲食店へ行く習慣が激減し、三豊市の飲食店も大きなダメージを負いました。そんな飲食店や地域を応援しようと、テイクアウトが人気になった点に目を付け「餃子グランプリ」を開催しようと思ったのです。餃子に注目したのは、冷凍保存ができ、廃棄リスクも少なく、ピーク以外に仕込めるからです。また、餡で個性を出しやすいですしね。

反響はいかがでしたか?

結果は大成功!開催したゆめタウン三豊では、餃子を求めて1時間待ちの行列ができてしまうほど大盛況でした。
投票で最高金賞のグランプリを獲得した店舗も、ほかの賞を獲得した店舗も、その後の売り上げは実店舗・ネット通販ともに好調とのことです。特にネット通販では金賞のラベルがあった方が、お客さんに興味をもってもらいやすく、取材も多くきたという喜びの声もありました。単に人を集めるだけでなく、地域に役立つことができ、うれしかったです。大成功できたので、いつか香川や四国全域を視野に入れた「餃子グランプリ」を開催してみたいですね。ただし、開催地は三豊市です。

地方でも「代わりにならない社員」を育てられる会社へ。読書で自己投資を

今後の展望をお聞かせください。今後、どのような会社にしたいとお考えですか?

地方の一般社員であるにも関わらず、東京の中央値を超える収入が得られる、そのような優秀な社員を育てられる会社にしたいです。
地方は都会に比べて、スキルアップする機会が、比較的少ないと思います。
人が代わっても会社として困らない仕事では、高い年収を得られる事例は少ないと思っています。
仕事をしながら学んでいただいて、色々なスキルを身に付けることで「代わりにならない人」を多く育てられる会社でありたいです。

どのようなクリエイターと働きたいですか?

求めるのは「ワクワク」してくれる人です。また、クライアント目線ではなく、読者目線でおもしろいもの・ためになることを考えられる人ですね。読者がいれば、クライアントはついてきます。その逆は、ありません。
読者がいなければ、載せる意義も、フリーペーパーが存在する意義もありませんから。究極の読者目線で議論できる人を求めています。

地元で働くクリエイターに向けて、メッセージをお願いします。

地方の人材は「年収を上げよう」「自分の付加価値を上げよう」という意識が低いように思います。自己投資に対する意識を強く持ってほしいです。
具体的には、積極的に読書をしてくれたら、非常に嬉しいです。
読書をしない人間は、モノも書けないし、相当地頭が良くない限り継続して良い提案ができる可能性も少ないと思います。読書は誰もが気軽にできる、一番の自己投資だと思っていますので、そこをご理解いただき、実践している人と一緒に仕事ができれば何よりです。

取材日:2023年7月12日 ライター:山口 夏織

三豊コンシェルジュセンター株式会社

  • 代表者名:和田 壮平
  • 設立年月:2014年2月
  • 資本金:100万円
  • 事業内容:フリーマガジン発行、ホームページ制作、イベント運営、観光案内
  • 所在地:〒769-1406 香川県三豊市仁尾町仁尾辛34番地2-3F
  • URL:http://mitoyocc.jp/
  • お問い合わせ先:0875-24-9230

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