新しい事業を模索した先にあった出会い。建設事業からドローン、そして映像の世界へ
福井県で動画の撮影や制作を行う、株式会社Yuuki-Filmsの代表・小谷 太亮 (こだに だいすけ)さん。家業である建設業以外の新しい分野を模索していた小谷さんは、ドローン事業を検討しているときに取締役の西端 優樹(にしばた ゆうき)さんと出会い、ドローン事業と映像制作事業の2本柱で新たに会社を設立しました。高級車のPR動画などを手がけている同社は顧客の「想いや情熱」を映像に込めているそう。2人の出会いから事業のこと、そして展望まで幅広くお伺いしました。
新しい事業を模索していたときに運命的な出会い。建設業界から転身したワケ
小谷さまはもともと家業が建設業とお聞きしましたが、違う分野で会社を設立しようと考えたのはなぜですか。
2024年3月に北陸新幹線が金沢から福井まで延伸します。建設業界を取り巻く環境は年々厳しくなっており、新幹線が開業すれば建設関係の仕事も落ち着くことは予想できたので、建設業以外の事業を新たに立ち上げたいと考えていました。そこで目を付けたのがドローン事業です。ドローンは地方で扱うところも少なく、希少価値があること。また、建物の劣化などの診断をドローンが行えば人手を減らせるのではと考えました。現在は赤外線サーモグラフィーを搭載したドローンで建物の健康診断を中心に認知をあげる活動もしています。
ドローン事業から映像制作事業も始めたのはなぜですか。
ドローン事業の検討段階で、ドローンに関する専門知識を持った人にアドバイスをもらいたく、知人を通じて出会ったのが西端です。彼はドローンを利用して動画撮影をしていました。まだ駆け出しの映像制作者で、当時、自分で高価な機材を揃え、撮影から編集まで一通りこなすスキルを持っていました。福井で映像制作のノウハウを豊富に持っている人材は珍しく、ドローン撮影より彼自身に興味を持ったところから、映像制作を事業として確立できないかと考え始めました。
西端さんとの出会いが映像制作事業を始めるきっかけだったのですね。
はい。西端なしでは、映像制作事業は考えられません。「とりあえずやってみよう」と私が決めたのは、西端が映像制作に対する情熱を行動で示してくれたからですね。西端の制作した動画の中で、非常に印象に残る作品があったんです。その映像を見た瞬間、彼が映像を通して作り出す世界観に感覚的に惹かれる自分がいました。同時に、クライアントさんにも動画で魅力的な提案ができ、新しいビジネスチャンスを引き寄せられると、手ごたえを感じたことを今でも覚えています。
Yuuki-Filmsらしさを出した映像を追求。流行逃さぬよう迅速な制作心がける
現在は映像制作事業とドローン事業の二本柱となっていますが、比重はどちらが大きいですか。
現在は映像制作の依頼の方が多いです。映像の仕事も幅広く、ブライダルやイベント撮影、PR動画、企業用の動画制作、最近ではSNSの動画制作も行っています。社外に編集作業を依頼することもありますが、一貫して社内でチェックを行い、クライアントさんの想いや情熱が伝わることに重きをおきつつ、Yuuki-Filmsらしさが出る映像に仕上げています。クライアントさんから映像を高く評価していただいていることが自信になっています。
これまで手がけてきた中で印象に残っている仕事はありますか。
最初に手がけた高級車のPR動画の制作はとても思い出深いです。いつもよくしていただいている社長さんから依頼された仕事でした。高級車はお店に展示されていても、その優雅な走行シーンを目にする機会は限られます。車が魅力的で、迫力ある走行を見た人が乗りたいと記憶に残る動画を目指して制作しました。PR動画を見て車の購入を決めた方がいた、という報告をもらったときは、私もうれしかったですね。現在も継続して仕事の依頼をいただいています。
クライアントからの案件を進めるときに重視していることはありますか。
撮影から納品までのスピード感を大事にしています。商品やコンテンツには流行があるため、クライアントの要望通り、できるだけ迅速に公開したいという想いもあります。
実際に、制作依頼を受けて撮影に入るまでに、わずか1週間で撮影スケジュールを立てたこともありました。弊社はスタッフの数が限られているため、意思疎通が図りやすく、柔軟に対応できる、このフットワークの軽さも私たちの強みの一つです。
ドローン撮影の大変さと日々進化する機材
ドローン撮影は法律で制限がありますが、影響はありますか。
ドローン撮影を取り巻く状況は日々変化しています。2022年からドローン免許は国家資格「無人航空機操縦士」になりました。ドローンは年を追うごとに質が向上するので先行投資と割り切って定期的に買い替えています。機材のメンテナンスも欠かせませんね。
ドローン撮影で気を付けていることはありますか。
空撮は西端が担当するので、私はアシスタントとして立ち会います。ドローン撮影でとくに注意している点は、風と鳥です。風はドローン最大の敵であり、小型の撮影用ドローンは風が強いと操作が難しくなります。風は上空へ向かうにつれて強くなるので風速計を持参し、風が強い場合は撮影を中止する判断を下すこともあります。
また、鳥と接触してドローンが山や海に落下し、撮影した映像が回収できないという事態を避けるため、飛んでいる鳥にも注意します。今のドローンにはGPS機能が備わっているので、万が一のときは回収できるようになっていますが、安全を最優先に対処を考えます。
夢は大きく東京進出も視野に。挑戦に失敗はつきもの、成長のチャンスを逃さないで
展望について教えてください。
現在は福井市を拠点に仕事をしていますが、将来的には東京に進出してオフィスを開設したいと考えています。映像の仕事に携わって、県内より県外からの依頼が多いことを肌で感じますし、ビジネスチャンスを狙って東京進出はチャレンジしたいですね。
今年から新しい事業として、パーソナルジムの運営を始めました。このジムは弊社の福利厚生として、社員が利用できるようにしています。建設事業からドローン事業へとつながり、映像制作事業へ発展したので、まったく違う分野の事業でも、つながる部分はあると思います。新たな事業展開の可能性につなげていきたいです。
映像クリエイターになりたいと考える若い世代を見て感じることはありますか。
視点を変えてものごとを考えられると、柔軟に世の中を渡り歩くことができると思います。以前、西端に憧れて映像クリエイターを目指したいという若者がいて、一緒に仕事をさせてみました。映像から見る世界はとても華やかですが、撮影や編集をするために、ときには寝る時間を惜しんで作業することもあります。その現場を目の当たりにして、「自分には向いていませんでした」と映像クリエイターの道をあっさり諦めて、別の道を模索することになった人がいました。見切りをつけて違うことに挑戦することも一つの選択肢ですが、前向きに捉えられなかったとも言えます。足りない部分をもっと吸収して成長しようと視点を変えて仕事を続けていくこともできたのに、正直もったいないなと思ってしまいました。
小谷さまが最初にお話ししていたように「とりあえずやってみる」という気持ちも大事ですよね。
そうですね。新しい挑戦をするときに失敗はつきものです。そのときに落ち込むのではなく、成長する機会だと前向きに捉えて乗り越えてほしいですね。乗り越えたときに自分の見ていた世界がガラッと変わる瞬間を体感するでしょう。
取材日:2023年10月16日 ライター:高井 寧香
株式会社 Yuuki-Films
- 代表者名:小松 太亮
- 設立年月:2020年8月13日
- 資本金:300万円
- 事業内容:映像制作事業、ドローン赤外線事業、パーソナルジム事業
- 所在地:〒918-8043 福井県福井市狐橋1丁目901 2F
- 会社URL:https://yuuki-films.com/
ドローン赤外線事業:https://yuuki-drone.com/
パーソナルジム「re-make」:https://re-makefukui.com - お問い合わせ先:0776-43-6936