“大阪・京橋愛”で作る地域情報メディア。ありのまま発信で伝える「こんな人たちがおるんやで」
デザイナーとして制作会社に勤務したのち、マーケティングを強みとするWeb制作の個人事業を展開している芦田 陽祐(あしだ ようすけ)さん。大阪で、医療系を中心にWebマーケティング事業やWeb・印刷物の企画・デザイン、サイト運営などを手がけるバスコクリエイションを経営しています。また、本業のかたわら、会社のある京橋に関する情報を発信するメディア「京橋じゃーなる」を運営。「仕事を通して人と人とのつながりを創造したい」という芦田さんに事業の特長や強み、地元メディアを運営する意義などについてお伺いしました。
医療専門のWeb制作で培った知見と独学によるSNS運用で、効果的な提案を実現
個人事業主としてバスコクリエイションを設立したきっかけについて、お話をお願いします。
医療系のWeb制作をメインに行う制作会社にデザイナーとして勤務していたのですが、徐々に制作から集客する方法を考えることに興味が移ったんです。そこでWebマーケティングを中心にしつつ、サイトや印刷物の制作も手がける事業を自分で作ろうと考えました。
事業内容について教えてください。
医療分野を中心にWebマーケティング、サイトや印刷物の制作、サイト運営などを行っています。
医療はかなり専門的な分野ですが、御社の強みはどういった点ですか?
マーケティングに関しては、これまでの経験を生かしてきちんとターゲット選定を行い、そのターゲットにふさわしい媒体をご提案します。例えば高齢の方がターゲットなら、Webサイトだけでなく印刷物もある方が効果が期待できます。
ターゲットに合わせた媒体選定は今でこそ一般的な手法ですが、医療系は一つの広告をいろんな媒体で使いまわすことが珍しくなかったんです。その結果、なかなか効果が得られないとお悩みのクリニックもありました。
また医療広告ガイドラインなどの知識を理解している点も強みです。例えば医療広告ガイドラインでは、「特定または不特定のほかの医療機関と自らを比較の対象とし、施設の規模、人員配置、提供する医療の内容などについて、自らの病院等が他の医療機関よりも優良である旨の記載は認められない」とされています。違反した場合、最悪は行政処分を受けることもありますから、そこは知っておかなければなりません。
あとは、私1人で運営しているので、とにかく小回りが利く点ですね。意識しているのはスピーディーなレスポンスと、クライアントのニーズに合わせた柔軟な対応です。
開業後、大変だったことはありますか?
やっぱりコロナ禍の影響で、対面での営業ができなかったことですね。しかも医療の現場がコロナの対応で逼迫(ひっぱく)して、サイト制作どころの話ではない状況になっていましたから、しばらくの間はほとんどやることがありませんでした。
幸い過去のネットワークを経由して、Web広告やSNSの運用などの依頼をいただいたので、しばらくはそれで食いつないでいたという感じです。
SNS運用も、前職で経験されていたのですか?
いえ、SNSは独学です。コロナ禍で本当に仕事がない時期に、気分転換を兼ねて友人と一緒に度々釣りに行っていたんです。釣った魚の写真をSNSにアップすると、結構多くの人が見てくれるんですよ。「これは仕事に生かせるのでは」と考え、計画的に運用するようになりました。
どのように仕事に生かすのですか?
若い人たちはホームページではなくSNSでの情報収集が当たり前ですから、例えば小児科や心療内科、美容など、若い世代がターゲットならInstagramやTikTokの活用が効果的です。ターゲットが若いクライアントには積極的に提案しています。
地域を盛り上げる地域情報サイトを運営、収益化を目指して積極的に活動中
「京橋じゃーなる」「城東じゃーなる」という二つのWebメディアを運営されていますが、立ち上げたきっかけは?
実は、「京橋じゃーなる」「城東じゃーなる」を立ち上げたのは私の友人なんです。私はその読者だったのですが、京橋で起業する際に「自分で京橋の情報を発信したいから、京橋じゃーなるだけちょうだい」と友人に頼んで今に至ります(笑)。「城東じゃーなる」は現在も友人がメインで運営しています。
コロナ禍で、京橋でも人が少なくなった時期があります。飲食店が多い京橋では、ほとんどのお店がコロナ対策で大変な思いをされていました。そんななかで、私なりに京橋を応援していきたいという気持ちも、運営したいと考えたきっかけの一つです。
現状はほとんど収益化できていないので、目下の目標は認知度アップですね。
運営において大切にしている点は?
京橋という場所の魅力を、飾らずにありのまま伝えることです。京橋は今、どんどんおしゃれに変わっている部分と、古き良き昭和を感じさせる昔ながらの部分が共存しています。私はどちらも京橋の魅力だと思っているので、その両方を紹介しています。
グルメやイベント、体験レポなど数多くの記事がアップされていますが、取材はどうされているのですか?
ありがたいことに、サイトを見て興味を持ってくださった読者の方々が、ボランティアでライターをしてくださっています。2022年10月から「京橋じゃーなる」のフリーペーパーも発行しているのですが、それをきっかけに「手伝いたい」というお問い合わせがグッと増えました。「京橋じゃーなる」を好きな方、共感してくださる方からの申し出なので、とてもうれしいです。
ライターさんには「記事は思ったまま、好きなように書いてください」とお願いしています。京橋という街に、かっちりした教科書みたいな文章は似合わないと思いますし、型にはまった記事を読んでも「京橋に行ってみたいな」と思わないでしょう。今後も自由なスタイルで、京橋と「京橋じゃーなる」を盛り上げていきたいです。
24年は本業と地域活性化の二刀流で大暴れ?ストリートスナップで伝われ、京橋の魅力
バスコクリエイションの展望は?
新型コロナウイルス感染拡大もやや落ち着いてきたようなので、24年からは本業の医療サイトのマーケティングや制作・運用などにより力を入れ、暴れていきたいと思っています。営業も積極的にやっていきますよ。
「京橋じゃーなる」で今後、目指していきたいことはありますか?
24年は「京橋じゃーなる」を通して知り合ったカメラマンさんと一緒に、「京橋ストリートスナップ」という企画をスタートさせる予定です。ストリートスナップは今や珍しくありませんが、ほとんどはおしゃれな人や“映える”風景の写真だったりする。そういう写真も魅力的ですが、私はもっと京橋の魅力が伝わる写真を撮影したいと考えています。
例えば飲食店で汗を流してフライパンを振る厨房のお兄さんとか、昼間から缶ビールを飲んでいるおじさんとか。それぞれに京橋らしさがあり、格好よく、魅力的だと思います。「京橋にはこんな人たちがおるんやで」と発信したい。
コミュニケーションを意識するクリエイターは伸びる。意識する「楽しんでやる」という姿勢
クリエイターとして、芦田さまが大切にしている姿勢について教えてください。
仕事を楽しむことですね。「楽しむ」というのは、楽をするとかふざけるとかいう意味ではなく、どんな仕事に対しても「絶対に楽しんでやる」という心構えで挑むことです。
例えばクライアントの指示通りに作る仕事が楽しくないなら、「こうしたらもっと面白くなる」という視点で仕事を見て、指示を上回る提案を考えてみる。そういう姿勢を持つことが仕事を楽しむことだと思っていますし、一番大切にしています。
一緒に働くクリエイターに対して何を求めますか?
デザインのスキルや感性より、コミュニケーションをちゃんと取れることを重視します。コミュニケーションというと漠然としていますが、人の話を聞ける、相づちが打てる、朝の挨拶ができるなど、本当に基本的な部分です。誰でもできるだろうと思うかもしれませんが、そういう点をおろそかにしがちなクリエイターは意外と多いんですよ。
例えば人の話を聞けないと、クライアントのニーズを把握できません。ちゃんと先方の話を聞いて、その想いを咀嚼(そしゃく)して形にしないといけない。だからコミュニケーションが取れる人と取れない人では、今後の伸びしろに大きな差があると思います。
将来、独立を考える若手クリエイターに向けて、メッセージをお願いします。
正直な話、思い付きや勢いで独立してしまうと結構痛い目に合います。だからクライアントの当てがない状態での独立はおすすめしません……と、シビアな話ばかりすると、若い人が二の足を踏みそうですね(笑)。
前向きな話をすると、「1人でやろうと思わないで、周りに助言を求めよう」と言いたいです。助けてもらうことは決して恥ずかしいことではないので、わからないことはどんどん聞く。そのためにも、なるべく多くの人とコミュニケーションをとって、気軽にアドバイスをもらえる存在を作っておくといいですよ。
理想は、ギブしてもらうだけでなく自分からも他人にテイクできる何かを持っておくこと。もし持っていないなら、今から作ってみることをお勧めします。
取材日:2023年11月27日 ライター:櫻井 靖子
バスコクリエイション
- 代表者名:芦田 陽祐
- 設立年月:2020年4月
- 事業内容:Webマーケティング事業、企画・デザイン・制作事業、Webサイト運営事業
- 所在地:〒534-0025 大阪市都島区片町2丁目7-29-301
- URL:https://vasco-creation.jp/
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