映像で「正しく伝え」、人をつなぎ、沖縄の役に立ちたい。大手から多くの依頼が舞い込むワケ

沖縄
株式会社バズくる 代表取締役
Yugo Soeda
添田 有吾

動画制作やSNS運用を中心とした企業のプロモーションを手がける沖縄の株式会社バズくる。代表取締役の添田 有吾(そえだ ゆうご)さんは、長年の飲食店経営で培ってきた「集客」ノウハウを存分に生かし、多くの県内大手ホテルのプロモーションを成功させてきました。「クライアントのための気軽な相談相手でありたい」と願う添田さんに、これまでの歩みや展望についてお話を伺いました。

飲食店でのバイトも高級車のディーラーも、すべて起業のために

東京出身とのことですが、沖縄で起業する以前のキャリアを教えてください。

東京の葛飾区出身で、学生時代から将来の目標は起業することでした。そのためには多くの社会人経験を積んだ方がいいと思い、東京の大学在学中は飲食店を中心に数十ものアルバイトを経験しました。さらにサラリーマンとして働き会社の仕組みも知っておきたいと、大学卒業後は高級車ポルシェのディーラーに就職しました。ポルシェを選んだのは、お客さまは高ステータスの方が多く、その方々とのお付き合いが起業する時の役に立つのではないかと思ったからです。

起業の目標ありきでさまざまなお仕事をされたのですね。それからどのような経緯でバズくるを設立されたのでしょう?

まずディーラー3年目頃に独立し、バズくるとは別の会社を東京で設立しました。その会社では主に飲食店向けのサービスを作ったり飲食店自体を経営したりと、飲食店にまつわる事業を展開していました。その事業を進めるなかで、飲食店の集客やプロモーションの手段として、動画やSNS活用がとても重要になったため、その分野の知識をより深めようと、独学で動画制作などを一から勉強することに。
その甲斐あって全国にクライアントを持つ機会に恵まれて各地を飛び回るうちに、別の場所で仕事してみたいという憧れがむくむくと湧いてきました。特に沖縄は、人情味やローカルな雰囲気などが地元の東京都葛飾区に似ていて居心地が良く、ここに住んで沖縄のためになる会社を作りたいと思うようになったんです。そこで、今までに培った動画制作などのプロモーションのノウハウを軸にした会社「バズくる」を立ち上げました。

全国のクリエイターとスタイリッシュな映像作りにこだわる。コストを抑えて「沖縄の役に立ちたい」

事業内容は引き続き動画制作とのことですが、どのような動画を作られているのでしょう?

採用や営業資料、SNS、YouTubeなど多岐に渡りますが、なかでもプロモーションのための動画制作がメインで、テレビやWebのCM動画を多く手がけています。弊社の作る動画の持ち味は、スタイリッシュな映像を得意としている点です。説明的だったり文字情報が多かったりする動画も世の中には溢れていますが、弊社はその真逆ともいえるアプローチを取っており、雰囲気があって記憶に残るような「魅せる」映像作りにこだわり、またそのような映像を作れるクリエイターと多くお付き合いしています。

クリエイターは社員として御社に参画されているのでしょうか?

弊社の社員は私1人で、全国にいるクリエイターへ案件ごとに都度アサインしています。私が映像のディレクションをすることも多々ありますが、基本的にはプロデューサー的なスタンスで、「このクライアントさんへはこのクリエイターが合う」というようにマッチングしています。

ほかにも御社ならではの特徴があれば教えてください。

他社に比べるとリーズナブルな点です。通常撮影となると、カメラマン、音声、照明、ディレクターなど多くのスタッフが必要になりますが、弊社は私ができる限り兼任し、必要に応じてクリエイターをアサインすることでコストを抑えています。というのも、首都圏レベルの価格帯だとクライアントさんの負担が大きくなってしまい、「沖縄のお役に立ちたい」という創業の目的とは乖離してしまうので。

「プロデューサーは自分1人」だからこその柔軟性を生かした機動力。大手からの依頼も数多く

どのようなクライアントさんが多いのでしょう?

飲食店集客のプロモーションから派生した会社ですので、飲食業と親和性の高いホテルなどサービス業大手のクライアントさんが多いですね。最初は東京で経営していた会社からのつながりで沖縄のホテルをご紹介いただき、その横のつながりからさらにお付き合いが広がっていきました。弊社は規模の小さい会社にもかかわらず、ありがたいことに大きいクライアントさんが多く、例えばANAインターコンチネンタル系列やヒルトン系列のホテル、三菱地所が運営するアウトレットモールのWebCMのほか、沖縄の大手企業では紅芋タルトメーカーのテレビCMも作っています。

なぜ大手企業とのお付き合いを広げられたと思われますか?

柔軟な対応が可能な点を買っていただけていると感じます。大手の企業がCMを作る場合、必然的に大手の広告代理店や制作会社に依頼することが多くなります。しかし多くの人がかかわってくると、一つの動画を作るのに数カ月かかったり、少しの修正にも面倒な手続きが必要だったりと、どうしても対応が遅くなるものです。一方弊社の場合はプロデューサーは私1人なのでスムーズな制作ができますし、細かい修正にも対応できるため、気軽にご依頼いただけます。
また、制作物の著作権については出演者などがいる場合を除き、弊社に許可を取らずともクライアントが自由に使えるような手続きを取っています。どの商品も自信を持って納品していますので、いつでもどこでも自由に使っていただければありがたいです。

柔軟性は「作るもの」にも発揮されているのでしょうか?

もちろんそうです。やはり私1人がご相談に応じていますし、全国にさまざまなコンテンツを作れるクリエイターとつながっていますので、動画、Web、SNS運用含めて自在なご提案が可能です。

「見栄を張らない」広告のこだわりとは?盛られた画像が落とし穴

企業理念についても伺いたいのですが「わかりやすく正しいものを」と掲げられています。どのような思いからでしょうか?

長年飲食店のプロモーションに携わるなかで、かなり作り込む画像、いわば「盛る」画像を求められるケースに多く遭遇してきました。しかし、お客さまがその店で実際に注文して出てきた料理との違いに失望するという、悪い結果を招いたことも。だからこそ見栄を張らずに、伝えたいことをわかりやすく伝えることが最も大事だという思いにいたったのです。
企業とお客さまの認識の統一はプロモーションにおいて非常に重要で、企業側の提供したいことと、お客さまが感じることの誤差が小さいほど、良いブランディングになるはずですし、そのために尽力したいと強く思います。

「選ばれるホテルや店」になるための強力な「相談要員」でありたい

展望を教えてください。どのような会社にしていきたいですか?

弊社の事業と深くかかわっている観光業や飲食業は、コロナの影響で大打撃を受けました。苦しい時期を経た今、新しいことを始めなければ生き残れない、と危機感を抱くようになった事業者が増えたと感じます。特に沖縄はその傾向が強く、今までは地の利のおかげで、何も施策を打たなくても全国から旅行者が集まってきましたが、今後は「選ばれる」ホテルや店にならないと危機を乗り越えられない。そのためには「自分たちだけがやっている」ことを増やす必要があります。弊社は動画制作だけでなく、さまざまな方法を駆使してそのお役に立ちたいんです。

観光業や飲食業に特化したコンサルタントのようなイメージでしょうか。

コンサルタントというと広義すぎるかもしれませんが、動画制作やWeb、SNS運用が得意な「相談要員」という位置づけと言えるかもしれませんね。そうなるためには弊社自体も新しい情報やセンスを貪欲に取り入れる必要がありますので、東京をはじめさまざまな地域に足を運び、クライアントにとって有効で便利な存在としてパワーアップしたいですね。

ということは、他県での事業展開も視野に入れられているのでしょうか?

はい。以前の会社からのお付き合いで、東京などの首都圏にもクライアントを持っていたり、東京で沖縄料理の店を経営したりと、沖縄以外での事業は続けているのですが、もっと別の場所でもバズくるビジネスモデルを広げていきたいと思っています。

事業展開を進めるにあたって、どのようなクリエイターが新しく増えると心強いでしょうか?

チャレンジ精神に溢れたクリエイターです。動画の世界は技術の発達がスピーディーで、新しいテクニックが次々に誕生しています。しかし、そのような技術は持っているけれども発揮できる場所が少ないというクリエイターが結構多い印象があります。そんな方にこそ、ぜひ参画していただきたい。弊社は多くのホテルなど観光業とのつながりがあり、印象的で新しい映像を求めている方ばかりなので、クリエイターの新しい技術や感性を大いに試せるはずです。そのような方に参画していただければ、クライアントへの提案の弾みになると期待しています。

取材日:2023年11月24日 ライター:仲濱 淳

株式会社バズくる

  • 代表者名:添田 有吾
  • 設立年月:2019年9月
  • 資本金:500万円
  • 事業内容:動画制作、動画名刺、エンタメ飲食店、メディア運営、SNS運用代行、インフルエンサー派遣
  • 所在地:〒900-0014 沖縄県那覇市松尾1-10-24ホークシティ那覇ビル
  • URL:https://buzzkuru.com/
  • お問い合わせ先:soeda@buzzkuru.com

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