スペース2024.03.13

各領域のスペシャリストを横並びでつなぐ。“好き”が生きるクリエイターの新しい働き方を実現

名古屋
株式会社 ジェイプロ 代表/マネージャー
Kume Yoshihiro/Okuyama Ryohei
久米 由浩/奥山 凌平

クリエイター専門のコワーキングスペース「プロコワ」の立ち上げを皮切りに、クリエイターの新しい働き方を支援する事業やプロジェクトを次々と展開する名古屋の株式会社ジェイプロ。プロコワには多種多様なクリエイターが集結し、有機的につながりながら個性を生かして仕事と向き合っています。ジェイプロを立ち上げ、クリエイターの未来を切り拓く代表の久米 由浩(くめ よしひろ)さんとマネージャーの奥山 凌平(おくやま りょうへい)さんに、起業までのストーリーやビジョン、クリエイターへのメッセージなどをお聞きしました。

業績は好調なのに、幸福感のないジレンマを超えて。人々が対等な“あの場所”に引かれ

ジェイプロ立ち上げまでのキャリアを教えてください。

久米さん:映像プロデューサーとして、映像制作会社で20年ほど勤めました。そこで500本以上のCMと300本以上のPR映像を手がけ、専務も経験しました。しかし、仕事が入って業績が上がれば上がるほど、自分自身の幸福度は下がってしまうというモヤモヤを感じていました。
当時は「お客さんのやりたいことを叶えるのが自分の仕事」だと感じて常に100%で返していましたし、それを美学にしていました。部下にもそれを強要していた気もします。そんな想いで仕事に取り組んでいたのでお客さんからは信頼され、会社の業績はどんどん伸びていきましたが、徹夜が続くなど自分自身が苦しくなって、イキイキと仕事ができなくなってしまったんです。
結論を言うと、その時の私は自分の思いを大切にせずに人のために働くばかりで、自身は空っぽだったんです。その原因が業界を形づくるピラミッド構造にあったことに気づいたのはのちの話ですが、「今の形ではない新しい働き方がきっとあるはずだ」と感じていた時に出会ったのが「コワーキングスペース」でした。
そこにはピラミッドのような上下の関係性はなく、人々がフラットに接しながら仕事も融通しあう雰囲気がありました。「クリエイター専用のコワーキングスペースがあったらきっとおもしろい!」と会社を飛び出してプロコワを立ち上げ、その運営を手がけるジェイプロを設立しました。

クリエイターのベース基地で100人の仲間と進む。「ドリームマネージャー」の肩書きに共鳴

プロコワを立ち上げられて6年。現在の状況はいかがですか?

久米さん:利用メンバーは現在100人ほど。広告や映像、Web関連、イベントなどの多彩なスペシャリストや、PRやマーケティングのプロフェッショナルが集っています。フリーランスになりたての方もいますし、活躍を続けるベテランもいます。

奥山さんがジェイプロに参画されるまでのストーリーも教えてください。

奥山さん:私は楽器屋の店員から、広告代理店で6年ほど営業職を経験し、23年5月にフリーランスになって、プロコワに入りました。そこで出会った久米さんと意気投合して、この1月からはマネージャーとして本格的に動き出すことになりました。
久米さん:奥山さんは自身に「ドリームマネージャー」という肩書きをつけて、夢を持つ大人をもっと増やすアクションを続けているんです。そのマインドがフィットしていると感じて運営に参加してもらうことになったんです。
ジェイプロには「個が輝く社会を作る。」というビジョンがあるので、共鳴しながらビジネスを大きくしていけると感じました。

事業を通じて日本の働き方を変えていきたい。「スペシャリストが横並びになって仕事に挑む」

久米 由浩さん

会社名の「ジェイプロ」にはどんな想いが込められているのでしょうか?

久米さん:ジェイプロの「J」には「JOB(仕事)」「JOIN(つながり)」「JOY(喜び)」の意味があります。その三つで日本(JAPAN)に新しい風を起こしていきたいという想いがあります。仕事をつなげて、喜びを作っていく。日本の働き方を変えていきたいというメッセージが込められています。

企業理念などもお聞かせください。

久米さん:ジェイプロでは、パーパスを「プロデュースの力で、社会を前へと、導く」。ミッションを「個の才能を、社会の価値へ」。ビジョンを「個が輝く、社会を創る」。バリューを「共創型クリエイティブ」とそれぞれ定義して、その理念に基づいて事業活動を進めています。

現在の事業を教えてください。

久米さん:クリエイターのベース基地となるプロコワの運営を続けていきながら、24年からはクリエイターとビジネスをつなげる「東海ブースト」に注力していこうと考えています。

東海ブーストは、外部プロ人材の力で地元企業を爆進させるプロジェクト。依頼いただく案件に応じてプロ人材でチームを組み、クリエイティブの力で世の中の社会・企業課題を解決していきます。

これまでのように広告代理店が仕事を受注し、ピラミッド型に上から下へと仕事を流していくのではなく、各領域のスペシャリストが横並びになって仕事に挑む、これまでにない働き方を実現していきます。

これまでにない、新しい働き方を創出。企業では難しい「フラットな目線」が強み

東海ブーストで手がけた印象的なお仕事はありますか?

久米さん:通常のCM制作は広告代理店に依頼が来て、CM制作会社が作るという流れだったのですが、東京のある企業から直接の制作依頼がありました。私がプロデューサーとなってチームを編成し、広告代理店を介すことなくCMが完成。CMを流すための広告枠のバイイングのみを広告代理店に依頼するという形でプロジェクトを完遂でき、これまでのCM制作の流れにはない、新しい動きが生まれました。
岐阜大学と名古屋大学を運営する国立大学法人東海国立大学機構が、産学連携機能を強化する株式会社Tokai Innovation Institute(TII)を設立したのですが、その総合ブランディングも任されています。東海地方の民間企業と共同・委託研究を行うとともに、その成果の実用化を速やかに進める「TII」の魅力を発信するお手伝いを行っています。営利だけを追求する企業ではないチームだからこそ、フラットな目線からの提案が可能となります。

東海ブーストを通じた今後のビジネス展開をお聞かせください。

久米さん:“いい仕事”を手がけることで、実力あるプロ人材がさらに集まってくれると信じています。それによってプロコワのメンバーも大いに刺激を受け、全体のクオリティが底上げできると思います。
また、個人がチーム連携することによって“好き”や得意を生かした仕事ができる世の中になっていけばいいと考えています。

クリエイティブにも「地産地消が大切」、そのワケとは。今後は「夢を見つけるお手伝いを」

奥山 凌平さん

東海地方のクリエイティブへの思い入れはありますか?

久米さん:「地産地消」という考え方がありますが、クリエイティブの世界も地産地消が大切だと思っています。東海地方に限らず、どの地域でも自分たちの課題や問題をよく知っている者同士で解決を模索していく姿勢が大切。自分(個)や家族を大切にして、コミュニティーを大事にして、地元を元気にしていくことが、日本を大切にすることにつながると信じています。
ジェイプロの事業を通じて日本らしさや東海地方らしさ、それぞれの自分らしさを大事にする文化を作っていきたいですね。

奥山さんがイメージされている今後の展開も教えてください。

奥山さん:私が掲げている「夢を追いかける人を増やしたい」という想いを、ジェイプロでも発信していけたらと思っています。夢を追いかけることなく、これまでのルーティーンでなんとなく生きている方が実はすごく多いと思っていて、そんな人々が夢を見つけるお手伝いをしていきたいですね。プロコワのメンバーの相談にも積極的に耳を傾け、夢と仕事を結びつけるお手伝いで貢献していきたいです。

「個が活躍できるフレーム」づくりでクリエイターが輝く未来へ。出会う人が人生を形づくる

最後に、世の中のクリエイターに向けたメッセージをお願いします。

奥山さん:人生って“出会う人”ですごく変わると思います。フリーランスになると、会社員の時以上につながる人で仕事のスタイルが大きく変わります。自分の個性や得意が発揮できるコミュニティといかに出会えるかが大事だと思いますので、ぜひプロコワや東海ブーストを活用してください。そして相談事があったら、なんでも私にしてくださいね。
久米さん:業界の中にいる時はチームで仕事をするのがあたりまえで、チームの仕事って楽しい面もたくさんあるじゃないですか。みんなで一つのモノを作って、完成の喜びを分かち合えますし。
でも、個人になると急にチームで手がける仕事が減ってしまいますし、自分ができる領域をなんとか広げてマルチになる一方で、丸くまとまってしまう方がたくさんいるんです。

そうではなく、自分の“好き”を追求して、才能をどんどん尖らせて、その才能が有機的につながっていくクリエイティブ文化ができたら最高だと思っています。たとえばイラストレーターさんでも「かわいいイラストだけは世界の誰にも負けません!」という人の方がワクワクしますし、一緒に働きたいと思いませんか?そうやって個が活躍できるフレームをジェイプロで作り、イキイキと働けるクリエイターさんがどんどん増える未来にしていきたいですね。

取材日:2024年1月5日

株式会社 ジェイプロ

  • 代表者名:久米 由浩
  • 設立年月:2020年4月
  • 資本金:100万円
  • 事業内容:プロデュース事業、コンテンツ制作事業、コミュニティ事業、代理店業務
  • 所在地:〒450-0002 名古屋市中村区名駅4丁目17番3号 メイヨンビル2F プロコワ内
  • 電話番号:090-9912-2348
  • URL:https://jpro.biz
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