WEB・モバイル2024.04.03

日常を明るくする「もっとイイ」クリエイティブを仙台から世界へ。SNSで企業の情報発信とブランディングをサポート

仙台
株式会社SENSE 代表取締役社長
Eri Yamagishi
山岸 えり

仙台ではめずらしいSNSに特化した制作会社、株式会社SENSEを立ち上げた代表取締役社長の山岸 えり(やまぎし えり)さん。東京でフリーアナウンサーやモデル、俳優の仕事を経て、仙台で子育てをしながら、自分の“好き”や”得意“を生かせる仕事を作りました。個人のInstagramアカウントをきっかけに会社を設立し、写真や動画の撮影、撮影素材の編集、企画やWeb制作なども展開するまでになった同社の強みや課題、展望などを伺いました。

アナウンサーやモデルの仕事からSNSを仕事にするまで

SENSEを立ち上げる前はどのようなお仕事をされていましたか。

学生時代も仙台で過ごし、大学在学中から仙台と東京でモデルやMC業をはじめました。大学卒業後は上京して事務所に所属し、ラジオ番組やイベントのMC、テレビ番組のレポーターなどアナウンサーとしての仕事や、モデルや俳優業にもチャレンジしました。大好きな祖母が幼いころからよく言っていた「女は手に職だ」という言葉がずっと頭にあって、物に頼らずとも、誰かを喜ばせる武器を身に着けたいという思いが導いた結果だと思います。もともとはとても引っ込み思案で、自分に自信がないタイプ。小学生でモダンバレエに出会い、音楽にのせて表情や体でなら自分の内に秘めているものを表現できる!という喜びを感じました。高校時代の新体操部でも、本番でいかに積み上げてきたものを最大限発揮するか、という集中力と根性は鍛え上げられた気がします。

どのようにSENSEを立ち上げられたのでしょうか。

シングルマザーになり、約10年ぶりに仙台で過ごすこととなり、子育てと仕事の両立に頭を悩ませました。0歳から息子を保育園に預けることは、妊娠中は考えていなかったので、最初はとても苦しかったです。息子も頑張って保育園に行ってくれている、ならば私は息子に「お母さん、かっこいい」と言ってもらえるような誇れる仕事をしようと思いました。そして、自分の時間を売るのではなく、自分の能力を商品にできるような仕事をしようと考えました。ライティングやカメラも学び、もともと写真が好きだったこともあり「Instagramをうまく活用して仕事にしよう」と個人アカウントの見せ方を工夫するなどしているうちに「うちのSNSもやってほしい」と企業からオファーをいただくようになったんです。ご縁がご縁を呼び、仕事が増えてきたこと、チームでもっといいクリエイティブに挑戦したいという想いから2022年8月に会社を設立しました。私にとっては、表現のステージが変わっただけでアナウンサーやモデルの仕事と今の仕事は、あまり差はないと思っています。ただ、一から自分で企画できるのは今の仕事ならではで、難しいところでもありますが、とても面白いです!

会社を設立して、SNSのとらえ方は変わりましたか。

もともとは息子と私の日常や子育て中の方に共感していただけるような悩みなどをInstagramで発信していましたが、会社の代表となると意識も変わるし、見られ方も変わります。今では、インフルエンサーのように“自分をどう見てもらうか”より、“お客さまをどう見せたいか”の方に楽しみを感じています。SNSを見るときも、発信の流行を察知するという視点で見たり、周りの方との会話でもSNSの活用法を聞いたりするようになりました。

プロ目線でSNSの制作、運用、管理まで。役立つ、だけではなく暮らしを豊かにするクリエイティブを

事業内容はSNSをはじめデジタル関連のクリエイティブマーケティングとのことですが、具体的な業務を教えてください。

Instagram、TikTok、YouTubeの3つのSNSをメインに、より効果的なアカウント設計や企画、写真・動画撮影、ライティング、デザイン、運用、レポートまでを行います。
また企業の課題を解決するために、サイト制作、商品開発、メディア広告制作なども幅広く請け負います。ものの魅せ方やアプローチに長けている私たちだからこそできる事業です。

「もっとイイSNS」にするためにどのようなことを心がけていますか。

クライアントの要望に応え、目標達成という意味での“イイ”もありますが、効果だけじゃなくさらにその先のユーザーが楽しく“イイ”気分になるなど、皆さんの日常をちょっと明るくする“イイ”もお届けできたらと思います。例えば、ドラマや映画、芸術などは生存のためにはなくてもいい要素かもしれませんが、皆さんの暮らしに喜びや生きがい、楽しみを見出すものだからこそ、やはり生きるためにはなくてはならないものだと思います。
幼いころの記憶に残る企業CMがあるのですが、大人になってからふと、その企業のブランドイメージが出来上がっていることに気がついたんです。そういう企業の大事なブランドイメージをつくる一端を担わせていただいていると思っているので、一時的な「バズる」投稿を狙ったり、奇をてらったりするような投稿は、クライアントが希望する場合を除き、やらないようにしています。その企業が持つ誠実さ、面白さなど、その会社に合う形を引き出して表現するのが弊社のポリシーです。

SNSを制作するときに心掛けていることはありますか。

一方通行にならないことを心掛けています。まずはお客さまが何をしたいかをよく聞いて、話していることの奥に、お客さま自身が気づかない目的があるかもしれない、それを読み取り提案するように努めています。まずは私自身が繕わない、嘘をつかないで正直に向き合うことで本音を引き出す姿勢は、アナウンサー時代に言われた「自分のしたい話をするのではなく、まずは話を聞いて、話の奥に踏み込んでサポートするのがMCだ」という言葉によって意識できているのかもしれません。ただ、お客様が言うことに対して全部イエスでは目標を達成できないときもあるので、NOと言う勇気も必要で、「こういう選択肢もある」と提案します。

企業の広報として行うSNS。専門の制作会社が少ないことは強みであり課題

どのようなルートで依頼がくるのでしょうか。

知り合いや広告代理店の紹介だけではなく、私個人や会社のInstagramからご相談もいただきます。
SNS広告の大切さを認識し、業務との片手間ではなく真剣にやりたいという企業さまからご依頼いただくことが多いですね。
仙台をはじめ東北にはまだSNS専門の会社は多くないので、それはチャンスでもある一方、企業からクリエイティブやSNS運用への理解を得る難しさもあります。数秒の動画でも、小さい画像でも、いい物を作るには費用も時間も手間もかかります。そこは業界の課題でもあるかもしれません。仙台から世界につながれるSNSを、企業にさらに上手に活用していただくために、認識を変えるきっかけになれるよう今後も真摯に取り組んでいきたいです。

SNSでの盛り上がり、反響を感じた例はありますか。

Instagramを運用承るようになり、サイトへの流入数が5倍になったお客様がいたり、提案した運用方法に変えてから予約が増えたとご報告をいただいたりします。単純ですが、誠心誠意作ったものや成果に対してお客様に「良かった」と言っていただけることがすごくうれしいですね。

諦めない気持ち、チャレンジする勇気を持つ人と同じ目標に向かって進みたい。地方で起業するメリットとは

社長としてスタッフをけん引するうえで大変なこと、気づいたことはありますか。

私自身は会社員経験がなく、やりたいことを突き詰めたら会社になったという感じで、単独で代表になってからはまだ半年。メンバーチェンジや引越しもあり、ようやく体制が整いましたが、同じ感覚で仕事ができる仲間を集める難しさは実感しています。
幼いころから群れるのが得意ではなく、会社設立前は仕事も個人ですることが多かったのですが、チームで一つの目標に向かっていけることが楽しいです。「会社って、仲間って、面白いなぁ」と思いながら仕事をしています。

地方でクリエイティブな仕事する意味、メリットはありますか。

東京は刺激が多くチャンスもありますが、ライバルは当然ですが多い。競争が激しくギシギシした部分も感じました。仙台に戻ると、応援し合う環境で仕事がしやすいです。起業するには首都圏もいいけれど、地方もいいなと思いました。
一方で、拠点が落ち着いた今だからこそ、仙台に片足を置きつつ、首都圏や大阪、海外で経験を積むことも考えていて、それらの経験は仙台のお客様の役に立てるのではないかと考えています。SNSで世界とつながれる時代だから「地方じゃできない」ということはあまりないのではないでしょうか。

どんなスタッフとお仕事したいと思いますか。

人生を諦めていない人!これもあれもやりたい、楽しいっていう人はクリエイティブに向いていると思います。お客様の話を聞くときでも、ものづくりをするときでも、“もっと”という気持ちが必要な部分だと思います。

目の前のことに真摯に向き合うことで未来へ。さらなる自社SNS強化目指し

今後やりたいことはありますか。

起業してからこれまで、お客さまのSNSに取り組むので精一杯だったので、自社のSNSをより強化するとともに、念願のYouTubeチャンネルを始めます!将来的には、私自身ものづくりが好きなので、アクセサリーのブランドなどプロダクトのデザインもチャレンジしたいです。
今のお客様を大事にして「SENSEにお願いしてよかった」という感覚を持っていただき、それが徐々に広がっていくようにと、大切に制作に向き合っています。もとは私ひとりの仕事だったものが勉強しながら必死にやってきて、いつのまにか会社になって、今ではスタッフも5人に増えたので、これまで通りまずは今のお客さまと真摯に向き合っていきたいです。

クリエイターを目指す若い人にメッセージをお願いいたします。

ものづくりで生きていきたい方は山ほどいると思います。私自身も19、20歳位でそう決意し学生時代にフリーで始めて、東京で荒波にもまれ、仙台に戻ってまた違うカタチでチャレンジしていますが、これまでたくさん失敗しています。怒られたこともヒヤッとしたことも数え切れません。でも、その経験があって今があるし、やりたいことがあるから、シングルマザーで子育てしながらでも続けられています。やりたいことがあるならどんどんチャレンジすべきです。クリエイティブの世界で売れる人、すごい人というのは、天才であり、かつ努力もめちゃめちゃできる人で、そういう人が大勢います。そんな世界だから、一度や二度の失敗で心折れずにやり続けることがとても大事。私もこの先、悩むことがきっとあるだろうけれど、心に素直に動くこと、学び続けることが大切なのではないでしょうか。

取材日:2024年2月20日 ライター:佐藤由紀子

株式会社SENSE

  • 代表者名:山岸 えり
  • 設立年月:2022年8月
  • 資本金:30万円
  • 事業内容:企業向けSNSのブランディング、マーケティング、デジタル関連のクリエイティブ
  • 所在地:〒980-0022 宮城県仙台市青葉区五橋2-11-18 第三ショーケービル205
  • URL:https://www.sense-inⅽ.jp/
  • お問い合わせ先:上記HPの「お問い合わせ」より
  • 連絡先:

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