「もったいない」から始まったパソコンリユース・Web事業や児童施設への寄付。その先の挑戦とは
石川県でパソコンのサポート事業からスタートし、Web制作やパソコンのリユースまでを行う株式会社DREAM WORKS。代表取締役の忠田 浩兵(ちゅうだ こうへい)さんは、子どものころからパソコンを通じて視野を広げて成長し、現在にいたります。自身の経験から児童施設へのパソコンの寄付活動なども行う忠田さん。起業のきっかけや、人気YouTubeチャンネルに出演した経緯、展望についてお聞きしました。
企業向けパソコンサポートの仕事をヒントに会社員をしながら起業。「もったいない」が原動力に
会社員をしながら起業する準備をされていたそうですね。
そうなんです。20代はいろいろなことにチャレンジしたいと思い、いくつかの会社を経験しました。今のパソコンサポート事業を中心に起業しようと思ったきっかけは、前職で企業向けのパソコンサポートをしていたときです。お客さまから「パソコンの調子が悪いからなんとかしてほしい」という要望がありました。作業効率などを下げるパソコンのトラブルは、企業にとって致命傷といっても過言ではありません。いかに早く解決してあげるかがカギを握るのに、そこに応えられる会社が少ないなという印象がありました。
確かにパソコンの修理には時間がかかる印象がありますね。
大手メーカーにパソコンの修理を依頼すると、石川県から修理工場へ宅配便で送ってから、手元に戻るまでに2週間以上かかることもあります。その間、パソコンが使えないと不便ですし、仕事に影響が出てしまうこともあるでしょう。
「石川県内でスピーティーに対応できるパソコンサポートのサービスがあれば、ビジネスとして成り立つのではないか」と考えて、会社員の仕事と並行して起業の準備をしていきました。
実は、パソコンが壊れたら修理に出さず、新規で買ってしまう方も多いのです。経済的にも負担は大きいですし、まだ使えるパソコンが処分されるのはもったいない。そんな思いから、企業の古いパソコンを引き取ってハードディスクや部品を交換し、中古パソコンとして販売もしています。創業当時、パソコンの修理からサポートまで行う会社は珍しく、インターネット検索で上位表示だったこともあり、少しずつお客さまを増やしていきました。
起業したいという気持ちはありましたか。
最初から「絶対に独立してやる!」と意気込んでいたというよりは、会社員をしながらニーズを見つけ、徐々に準備をしてゆるやかに起業していきましたね。今になって振り返ってみると、起業したいという気持ちをどこかに持ち続けていたのかもしれません。
正直、会社員と自分の仕事の両輪で働いてきた時期は、2倍の仕事をこなしていたので、寝る時間を削って作業をすることもあり、大変でした。
2020年にYouTubeチャンネル登録者数114万人(24年3月時点)の令和の虎「Tiger Funding」に出演していますが、挑戦しようと決めたのはどうしてですか。
過去にテレビで放送されていた、起業家が事業計画をプレゼンテーションし、投資家が出資の可否を決定する「¥マネーの虎(日本テレビ)」を見て記憶に刻まれていました。令和になってからYouTubeチャンネルで同じコンセプトで再開していることを知ったんです。起業初期は、自分の事業に生かせるものがあるなら、とりあえず全部試してみようと心に決めており、会社を一本立ちさせたタイミングで「Tiger Funding」に応募しました。
出演したときは緊張してすぐに返答できずに言葉に詰まったシーンもありましたが、最終的に希望金額を出資していただき、自社のジャンプアップにつながりました。
「できます」という一言からつながったWeb制作の仕事。中古パソコンを児童施設に寄付するワケ
パソコンのサポート事業がWeb制作まで広がったきっかけはありましたか。
起業のスタートはパソコンのサポート事業でしたが、Webサイトの制作事業やパソコンのリユース事業へ派生したきっかけは起業してから一貫している、依頼された時点でできないことでも「できます」と答えて仕事を受け続けたことです。Web制作の仕事をもらえたきっかけも、「ホームページも作れる?」と聞かれたときに、「できます」と答えて仕事を受けました。納品するまでの間にわかならないところはインターネットで調べる、詳しい人に聞いてクリアにすることで解決。少しずつ自分の経験値を上げて仕事の幅を増やしてきました。
ホームページは作ったら終わりではありません。セキュリティー上、定期的に更新をしないといけないのです。放置していて気づいたらサイトが崩れてしまうこともあります。ホームページの制作には外せないサーバーの管理やSSL化などに困っていることと、パソコンに関連する技術を融合させ、業務効率化まで一貫してサポートが可能になりました。
お客さまのホームページを制作するときに気を付けていることを教えてください。
お客さまがどんなホームページにしたいのか、考えがまとまっていない状態からヒアリングをして要望を形にしていくことが多いです。普段の業務から感じることを言葉にしていただけたらいいのですが、場を設けてお客さまにヒアリングすると身構えてしまうので、お客さまに合った言葉やイメージを引き出すのには苦労します。自社商品をアピールしている様子を影からこっそり見られたらいいのにと思ってしまうこともありますよ。
児童養護施設などにパソコンの寄付を行っているのはどうしてですか。
ほかの経営者さんが「子ども食堂」の活動の支援をしている姿をみて、自分の事業を通じて何か子どもたちにできることはないかを考えました。行き着いた答えがパソコンの寄付をすることだったのです。中古のパソコンが10台売れたら1台を児童施設や児童館に寄贈するという取り組みを継続しています。この想いとしては、パソコンに触れることで学びが将来の仕事につながることを期待しています。私は小さいころから家にパソコンを使える環境がありました。わからないことはすぐにインターネットで調べられたからこそ、今の仕事につながっていると感じています。
小学校でもプログラミング教育が必須となっている今、パソコンを使って子どもたちの学びや知的好奇心を育み、どんな子どもも学べる環境を作るのがひとつの夢です。現在の寄付先は石川県内のみですが、ゆくゆくは全国にも広げたいです。
全国に向けて事業拡大へ邁進(まいしん)、目指すは「宇宙課」設置?“俯瞰して見る”大切に
今後、今の事業をもっと広げたいと考えていますか。また、どのような人と働きたいですか。
そうですね。今の事業を全国へと展開したい気持ちは、起業当初からあります。
今後一緒に仕事をしたいと思うのは、好奇心旺盛な人ですね。さらに人に聞く前に自分で納得いくまで調べて答えを出したり、行き詰まったときは視点を変えて違うことをしてみたり、どんなことも日々、試行錯誤してもっと良く、もっと早く対応できるようにブラッシュアップしていく姿勢が大切です。
今後の展開について教えてください。
さらにスケールの大きい話をさせてもらうと、社内に宇宙課を作りたいです。
宇宙課ですか?!
注目されている宇宙産業ですが、石川県では宇宙産業を増やしたいという動きがあります。その中で出会った方が貴重な衛星データをお持ちなのですがその方が事業化するには年齢的に難しいため、私が蓄積されたノウハウやデータを継承して、新しい仕事につなげていきたいという希望を持っています。
その衛星データがあれば、農業の効率化や下水道の劣化状況がわかり、人件費の削減につながるなど大きな可能性を秘めているので、形にしたいですね。
ホームページ制作などに興味のあるクリエイターへメッセージをお願いします。
クリエイターで大事なのは、お客さまの課題を自分ごととして捉えるスキルだと思います。さらに上を目指したいのであれば、自分が身に付けた知識や経験を生かし一歩先回りして方向性を示してあげられたら、感謝されるでしょう。
お客さまと同じ環境に身を置いたとき、自分ならどうするか、考えて行動を繰り返していくことで精度が上がっていきます。ときには後退することもあるかもしれませんが、失敗を恐れずに前に進んでいってほしいです。
取材日:2024年3月11日 ライター:高井 寧香
株式会社DREAM WORKS
- 代表者名:忠田 浩兵
- 設立年月:2017年7月
- 資本金:500万円
- 事業内容:パソコン関連事業(パソコン修理・販売・サポート・PC周辺機器の保守・公立学校での授業支援、パソコンサポート)/ウェブ制作事業(HP制作・HP管理・LP制作・SEO対策・速度改善・ロゴデザイン・写真撮影)/リユースパソコン事業(パソコンの買取・販売・ネットショップ運営)
- 所在地:〒924-0016 石川県白山市宮永市町642-3(本社)
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