リネンサプライ特化のシステム開発で顧客と「その先」へ寄与。元営業の代表が客を唸らせた仰天策
大阪府にある株式会社シーティープランニングは、リネン類を顧客に貸し出しするリネンサプライ業界に特化したクラウドなどのシステム開発、コンサルティングを行っています。代表取締役である土肥 照廣(どひ てるひろ)さんは、あるきっかけで建材メーカーからこの業界に足を踏み入れました。顧客の売上を短期間で1.5倍に上げたり、ある大胆な策で顧客に課題解決の道筋を示したりと挑戦を続けています。顧客の「その先の課題も解決したい」と話す土肥さん。その真意とは。起業をした理由、会社の展望についても伺いました。
建材メーカーの営業職から独学でITを学び、起業。「好きなことを自由に」
ITに興味をもったきっかけを教えてください。
もともとは建材メーカーの営業職として会社員をしていました。しかし、しばらくして会社勤めが自分には合わないと思うようになりました。「自分の好きなことを自由にやりたい」という思いが強くなり、思い切って当時勤めていた会社を辞めました。
当時はバブル崩壊前の1990年代の最初でした。これからはコンピューターが主流の時代になってくると思っていたほか、もともとコンピューターには興味があったので、独学で勉強をするようになりました。
シーティープランニングを立ち上げた理由と法人化した理由を教えてください。
最初は今でいうフリーランスのようなかたちでシステム開発の仕事を始めたのですが、あるリネンサプライ業を行う事業者を支援していく中で、その業界はIT化がまったく進んでいないことを知り、業界特化型のシステム開発を行うようになりました。
ニッチの業界ではありましたが、業界特化型のシステム開発で売上が立つようになり、2001年に法人化をしました。
システムの“レンタル”で顧客の課題だけでなく、「その先の課題も解決」
現在の事業について詳しく教えてください。
リネンサプライや業務向けクリーニング業の業界特化型のシステム開発をメインに行っています。
具体的にはクラウド管理システムの提供のほか、在庫管理システム、生産管理システム、Web管理システムの開発・販売などを行っています。
大きな特徴としてはシステムのレンタルです。システム開発の会社の多くは、お客さま先に常駐して開発を行うのですが、当社はすべて自社で開発を行います。自社開発をしたシステムを当社で運用し、そのシステムをお客さまにレンタルしています。
御社ではITコンサルティングの事業にも力を入れているんですね。
そうですね。システム開発をする中で、お客さまから「深く関わってほしい」という依頼も多くあり、コンサルティングを事業化しました。創業当時から当社はお客さまの課題に向き合うことを大事にしています。目の前のお客さまの課題を解決することで、その先の課題も解決することにもつながると考えているからです。
例えば、お客さまが病院であれば、私たちのシステムを導入することによって、病院だけでなく患者さんの課題も解決できます。そのため、自分たちが作ったシステムでお客さまの課題を解決することは当社の大きな使命だと思っています。
システム導入の効果を見せる大胆な策とは。顧客の売上を短期間で1.5倍にアップ
事業をするうえで大事にされていること、心がけていることをお聞かせください。
大事にしているのは信用と信頼です。信用と信頼を得ていくためには、お客さまの課題を解決することが重要です。その課題に一つ一つ向き合って、課題をつぶしていくことで、お客さまに満足してもらえます。
驚かれることも多いのですが、お客さま自身に課題を理解してもらうために自社で業務向けのクリーニング工場を作りました。その工場では、シーティープランニングのあらゆるシステムを導入しています。システムを導入したことによって、実際に成果が出ていることをお客さまに見てもらいます。人が話すだけでは、理解されないことも多いですが実際に工場で見てもらうことで理解をしていただけます。このようにお客さまの課題に徹底的に向き合うことで信用と信頼を得られると考えています。
実際に顧客の課題解決ができたと思う事例などはありますか?
私が現在、専務を務めている企業で、リネンサプライ業を行う小山株式会社はとても印象に残っています。当社が支援をし始める前は、IT化を怖がっていた印象があり、社内のIT化がほとんど進んでいませんでした。そのため、シーティープランニングが社員の意識改革を行いました。経営者自らが先頭に立って、IT化が大事であることを社員に伝えてもらったほか、社員教育として400〜500本ほどのITに関する動画を撮影・提供しました。そして、事業に関わるすべてのことにITを導入し、生産性の工場と利益の向上につながりました。
結果として、売上は約1.5倍になりました。小山株式会社の社員の方からは「違う会社みたいです」と言われることもありました。
アドバイザリーを経て、クライアント会社の専務へ
小山株式会社の専務を務めていらっしゃるとお話ありましたが、どのような経緯だったのでしょうか?
先ほど、事例でもお話をしたとおりもともとは当社のクライアントでした。当社のシステムを導入してもらう過程で、小山株式会社の代表と会話をすることが多くなりました。その中でシステムを使った工場運営や営業について教えてほしいという話をいただき、アドバイザリーを行うことになりました。その後、代表から小山株式会社に「入ってほしい」と話があり、入社しました。
変化を楽しみ、新しいものを作り出していく”クリエイター”を伸ばしたい
展望について教えてください。
今後は後継者を育てたいです。会社の後継者というよりも社会に対して、新しいものを作り出していく人を伸ばしていきたいです。社内からそういう人が出てくることを期待していますし、それによって会社が時代の流れに合わせて変わっていってほしいです。
私自身はその変化を楽しみたいですね。
若手社員とのコミュニケーションは密にとっていらっしゃいますか?
不思議なことに若い人たちから進んで私のところに来てくれます。仕事の悩みはもちろんのことプライベートなことまでなんでも話しますね。定時になったら、会社内で一緒にお酒を飲むこともあります。
「仕事は楽しい」。そのためには、小さなことでも成功体験を
一緒に働くスタッフに対して、会社としてどのようなことを求めますか?
とにかく楽しく仕事をしてほしいです。私は基本的にすべての職種、クリエイターだと思っています。例えば、営業職も自分のサービスをどう売るかを考えて、プレゼン資料を作って、自分の言葉で話しますよね。それも表現の一つです。表現は本来、楽しいものであると思うので、「仕事は楽しい」ということを分かってほしいと思っています。
若手社員が仕事を楽しむためにはどのようなことが必要ですか?
成功体験を積むことが大事です。若い社員が成功体験を積むために、上司や先輩は仕事を作ってあげることを意識しなければいけません。私はマシンガンのように仕事を作ってあげて、小さいことでも「できた」という感覚を与えることを意識しています。
常に自分の力を社会課題の解決にどう生かすか考える
最後にクリエイターを目指す人に向けてメッセージをお願いします。
自分の力で社会課題をどう解決していくか考えてほしいです。近年は変化も競争も激しいので、社会課題を考える力がないとうもれてしまいます。私自身も昔はフリーランスのような働き方をしていましたが、当時かなり稼いでいました。それは常に社会課題を考えて「自分にできることはなんだろう」と考えていた結果だと思っています。だからこそ、クリエイターを目指す方々には自分の力を社会課題の解決にどう生かしていくか考えてほしいです。
取材日:2024年3月15日 ライター:國府谷 純輝
シーティープランニング株式会社
- 代表者名:土肥 照廣
- 設立年月:2001年12月
- 資本金:3000万円
- 事業内容:ITコンサルティング・アドバイザリー/クラウド管理システム提供/在庫管理システム開発・販売/生産管理システム開発・販売/Web管理システム開発・販売
- 所在地:〒545-0052 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1-5-1 あべのルシアス9F
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