グラフィック2024.06.12

より良い視点で、持続可能な社会づくり、人・企業・地域を輝かせブランドに変える伴走支援

滋賀
スターブライド株式会社 代表取締役/アートディレクター
(右から)Kazuhiko Kobayashi / Harumi Moriuchi
小林 一彦 /守内 晴美

ビジネスの全領域をマーケティング・ブランディングで伴走支援する滋賀のスターブライド株式会社。時代に合わせた柔軟な働き方を取り入れながら「人、企業、地域を輝かせるブランドづくり」をミッションにコンサルティング・クリエイティブ業務を行っています。起業までの紆余曲折や事業運営のリアルを代表取締役の小林一彦(こばやしかずひこ)さんにお伺いしました。また、アートディレクターを務める守内晴美(もりうちはるみ)さんにもインタビューをさせていただきました。

好きなデザインの仕事をずっと続けられている理由は、全力で取り組んだ東京での20代があったからこそ

小林さんと「デザイン」との関わりを教えてください。

仕事感については、小さな頃から両親が毎日疲れて帰って来る姿を見て「仕事は頑張って耐えるもの」という印象があり、将来は自分が好きなことを仕事にしたいと強く思っていました。学生時代の夢はサッカー選手だったのですが、高校生のときにプロは難しいと判断して、得意科目だった美術を生かそうとアトリエ教室に通い始めました。そこで「商業デザイン」の存在を知り、グラフィックデザイナーを目指してみようと上京しました。

東京ではどのようなキャリアを歩まれたのでしょうか?

東京ではバンタンデザイン研究所在籍時、スターバックス麻布十番店でアルバイトをしていたのですが、お客さまに変わった外国人2人組がいて、話してみたら「生意気」という名前でNIKEの広告の仕事をしている凄いデザイナーの方でした。なんとか関わりたくてポートフォリオを定期的に見てもらっていたところ、最初に声をかけてから半年後「忙しくなったから仕事を手伝ってくれる?」とうれしい連絡があり、彼らのアシスタントで入ったのがこの世界で働き始めたきっかけです。
半年間の在籍でしたが、修行のような期間でスキル向上はもちろん、多くのクリエイターにもお会いすることができ、彼らの仕事に対する姿勢を学ぶことができました。
その後は大手広告を制作するデザイン会社に転職し、さまざまな大企業の交通広告やブランディングに第一線で数多く関わりました。ネスレ日本株式会社の紅茶シリーズや飲料関係の商品開発とブランディング案件では、「商品の中身はある程度決まっているが、名前もパッケージも何もない」という段階から、マーケティング戦略を含めた商品づくりを行いました。プロモーションはもちろん、テーマソング制作、キャラクターグッズも展開するなど、0から1の価値づくりを経験できました。

お客さまの事業成功を支援するため、制作会社ではなく、ブランディング・マーケティング支援の会社として起業

滋賀にUターンしてからの働き方を教えてください。

滋賀に戻ることはまったく考えていなかったのですが、家庭の事情でUターンすることとなりました。滋賀では身につけた技術を生かせるようなデザイン会社はなく、起業も今ほど簡単な状況ではなかったため、少ない選択肢の中からHP制作を中心とした会社で勤務し始めました。
総合的にアートディレクションできる会社にしたい思いがあったので、営業である代表の次のポジションで社内リーダーとして尽力し、当時3人だった会社の規模を最終的に15人程度まで成長させることができました。

独立のきっかけは何だったのでしょうか?

「より伴走する関わり方がしたい、制作会社でなくブランディング会社を作りたい」という思いで2019年に独立・起業しました。
前職で仕事をする中で、デザイン制作だけではクライアントを幸せにできないという気付きがありました。制作会社の場合、成果物を作って、納品、請求という流れになるのですが、本来クライアントの目的は事業の成功であり、自分たちの仕事も作品を作ることが目的ではないはずです。
地方では、特にマーケティング関連の部署がない企業が多く、本当に関わった方の支援を考えるのであれば、トータルデザインはもちろん、経営面や組織づくりなど企業活動全体の支援も必要な場面が多く、独立後は制作会社ではなくブランディング・マーケティングの支援会社として活動しています。

社名に込めた思いを教えてください

「スターブライド」は、星のSTARと結婚のBRIDEの「星と結ばれる」という意味の造語で、私たちと関わることで、ご縁があった方々をブランドとして光り輝かせることが当社の使命です。
人、企業、地域のブランディング・マーケティング支援をメイン事業にしており、個人の方ならやりたいことで仕事ができるように支援し、企業であれば事業の成功や選ばれるブランドづくり、地域であればそこに行きたい、住んでみたいと思ってもらえるような魅力を生み出すお手伝いをしています。

具体的な事業内容を教えてください。

事業ブランディングにおいては、戦略策定、公的支援活用、商品開発、各種デザイン、販路開拓、プロモーションまで幅広く対応しています。企業ブランディングについては、CI、VI、パーパス策定、ブランディングツール制作、採用支援などを行っています。そのほか地方ブランディング、地方創生事業にも力を入れていて、観光プロデュースや宿泊業コンサルティング、官民連携事業など機会があれば積極的に関わるようにしています。

地域資源を活用した古民家ホテルの事業化プロジェクトが地域ブランディングに携わるきっかけ

独立後、特に印象的だったお仕事はありますか?

独立1年目に滋賀大学の産学公連携推進機構社会連携センターの石井良一教授と共に関わらせていただいた登録有形文化財の古民家ホテル事業が大きく成長につながった仕事で、プロジェクトマネージャーとして宿の運営会社である合同会社さとやま多賀様の業務支援という形で施設内に常駐し、デザインやPRのお手伝いだけでなく宿泊業・観光業の経営全体を支援させていただきました。

宿泊業にも携わられたのですか?

広報はもちろん、予約システム管理、サービス開発やオペレーション設計、融資申請や公的支援活用、フロントスタッフや宿直も担当するなど、会計の仕分け以外の全業務に関わりました。
当時、周りから「関わっても成功させるのは難しい」、「大変だよ」という声もいただいていましたが、登録有形文化財の古民家ホテル内に事務所があるデザイン会社は聞いたことがなかったため、自社をブランディングする意味でも面白いと思い、チャレンジしました。
これが今思うと大きなターニングポイントで、地域資源を活かした事業づくりを経営レベルで経験したことが、事業コンサルの実績や地域ブランディングに携わるきっかけになりました。この経験を含め、今までに身につけた経営とマーケティングの知識を活用すれば、どんな商売であっても事業レベルで扱えると思っています。

ファーストキャリアとして地方を選んだ理由。時代に合わせた働き方のリアルとは?

守内さんは新卒で入社され、アートディレクターとして活躍されていますが経緯を教えてください。

大学在学中に就職活動をしている中で、有名クライアントを担当しているような企業からも内定をいただいていました。ただ、出身が和歌山県で自然の中で育ったこともあって、都心部で生活をする想像がつかなかったんです。また、ブランディングから携わり広く関われる仕事を探していたところ、当社の募集を目にして応募したのが経緯です。初めて訪問させていただいた際にここにいる自分が想像でき、小林さんの理念に共感する部分が多かったということもあって入社を決意し思い切って滋賀県に引っ越しました。

実際に働いてみていかがですか?

大学生の頃はロゴやパッケージデザインなど、主にグラフィックデザイン制作を行っていました。当時は自分の好きな世界観のものだけをつくっていましたが、仕事として取り組んでみてそれだけではお客さまのお役に立てないことに気づきました。私だけでなくお客さまも納得してよいと思ってくださり、見た人の心を動かすことができるようなものを作り続けたいなと思っています。制作させていただく中で「20代の女性」という立場だからこそのご提案ができるよう意識しています。

地方での仕事のやりがいはどうですか?

私は1年目から全案件にアートディレクターとして打ち合わせから参加しており、制作のディレクション段階から提案できる機会があるということにやりがいを感じています。このような関わり方をさせていただけているのも地方ならではなのではないかと思います。

時代に沿った価値観、暮らしや社会、人のあり方も提案できるような会社に。自分たちも楽しみながら価値づくりを

今後どのような会社にしたいとお考えですか?

私たちが伴走支援をする際にはクライアントの業界について徹底的に学習し、その上で効果的なマーケティングやデザインをご提案しております。仕事に向き合う姿勢や提案内容を評価していただいており、近年は企業や地域のリブランディングなどの大規模なプロジェクトに関わらせていただく機会も増え、順調に事業を進めることができています。
今後は「関わった方を確実にブランドにできる」、「事業を成功に導ける」専門家として、より精度を上げてお役に立ちたいと思っています。また自社事業として生活ブランドづくりや施設運営、個人としては中小企業診断士の資格を取得できたらと思っています。
私たち自身、毎日を楽しみながら常に成長し、出会う方々に「いつも楽しそうやね」「また面白そうなことしてるね!」と思ってもらえるよう変化し続け、皆さまと一緒によりよい未来をつくれるよう前に進んでいきたいと思っています。

取材日:2024年4月23日 ライター:大野 佳子

スターブライド株式会社

  • 代表者名:小林 一彦
  • 設立年月:2021年7月
  • 資本金:100万円
  • 事業内容:ブランディング・マーケティング支援、各種デザイン、地域ブランディング
  • 所在地:〒520-3015 滋賀県栗東市安養寺3丁目1−27 2F
  • URL:https://www.starbride.jp/

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP