WEB・モバイル2024.07.17

AIと人をつなぎ、“AIツールの教科書”をつくる。「できる」を知ってAIをもっと身近に

大阪
AIリスキル株式会社 代表取締役
Shinya Yamahara
山原 慎也

最新のAIツールの紹介や研修、AIアバターの作成まで幅広く行っているAIリスキル株式会社。ポータルサイト「AIツールギャラリー」は世界中のAIツールが掲載されています。AIと聞くと難しいイメージがわきますが、取材のあとには「使ってみたい」とワクワクする気持ちになりました。もともとは会計事務所で人事として働いていた代表取締役の山原 慎也(やまはら しんや)さん。「AIは怖くない」と語る山原さんのキャリアや起業にいたるまでの経緯、AIとともに見据える未来について、お伺いしました。

「人事×デザイン×AI」幅広い知見を得た軌跡。原動力は「面白い!」

起業までのキャリアを教えてください。

大学卒業後は会計事務所に就職して、人事や労務管理の仕事を5年間ほど経験しました。もともと人事に関心があったことと、管理部門での採用枠があったためです。
その会社員時代に、仕事の資料を作ったり、個人ブログに差し込む画像を編集したりするなかで、「デザインって面白い」と思うようになりました。そこからデザイン方面にだんだんと触れていき、コロナ禍の影響ですきま時間ができたので、思い切ってWebデザインの専門学校にオンラインで通い始めました。そして、「1人でやってみたい」という気持ちが以前からあったことから、フリーランスのWebデザイナーに転身しています。
そのあと、知り合いが「デザイナーがいない」と話していて、デザイン経験はまだ浅かったのですが「やらせてください」と申し込みました。アプリ開発を行っているそこの会社でクリエイティブ責任者、Webデザイナー、AIコンシェルジュの実績を積んで、2024年1月の起業にいたっています。

AIに関心を持たれたきっかけは何だったのでしょうか?

ちょうどChatGPTが普及し始めたころ、外部役員として関わっていたスタートアップ企業において、プレスリリースやオウンドメディア記事の作成をChatGPTで効率化していました。使っていくうちに「AIって面白い!」と感じて、AIの世界にのめり込んでいきました。その流れでAIやメディアについての学びを紹介するサイト「AIツールギャラリー」をつくり、現在の事業の軸になっています。

「面白い!」が原動力なんですね。メディアをつくりたいと思ったのはどうしてですか?

実は昔からストックする、貯めるという行為がすごく好きなんです。Web上で「好きなものを集めて、それぞれが紐づけされてコンテンツが貯まっていく」という性質を持たせたくてサイトを作っていきました。 サイトの名前をつけるときも「図書館」「ライブラリー」「ラボ」などのどれがいいか迷った末に「AIツールギャラリー」に決めました。この前身に「デザインギャラリー」というページあり、Webデザイナーをしていたときの仕事の変遷が辿れます。

「AIを扱うからこそ、誰がやっているのかが重要になる」。実業を築いてバーチャルもリアルも盛り上げる

フリーランスから法人立ち上げにいたったのはなぜでしょうか?

法人を立ち上げる目標はずっと持っていました。「AIツールギャラリー」を更新して、SNSで情報発信も続けるなかでフォロワー数が6,000人を超えたころ、認知が広まっていることが自分自身でもわかるようになってきました。そのときに「フリーランスでサービスを進めるには限界がある」と思ったのが起業のきっかけです。
当時すでに日本では、先駆けで生成AIを取り扱ったメディアサービスを展開していて、スピードもありました。その時代の潮流に乗って法人化することで、関西から日本を盛り上げていきたい、よりよいサービスをお客さまに提供したいという思いで起業しました。

オンラインでのサービスと地域性はどのような特色につながるのでしょうか?インターネット上でのやりとりだと地域性は関連がないように感じてしまいますが。

AIを取り扱った仕事であっても、お願いをするなら「物理的な距離が近いところを選ぶ」ように思います。例えば、関西のお客さまは関西の会社に頼みやすいです。
また、生成AIを取り扱っている仕事だからこそ「誰がやっているのか」が重視されていると感じます。弊社の場合では、AIの研修事業がわかりやすいですね。題材がAIなのでセミナーや講演会を実施するときにどうしても胡散臭く思われがちなんです。でも、実際に研修するなかで会って話すと「人間」がやっていると知ってもらえ、AIを扱う上での信頼や安心感につながっていると感じます。
拠点の大阪では、特にリアルでのやり取りも重視されるように思います。「大阪からみんなで盛り上げましょう」という雰囲気もあります。私自身も大阪で育って、大好きな地域なのでぜひ盛り上げていきたいですね。

「AIを使えるようになった!」の声が何よりもうれしい

御社の事業内容を教えてください。

AIメディア事業、オンラインAI研修、AI顧問・AIコンシェルジュ、AIアバターの広報事業です。オンラインAI研修は今年(24年)の4月から始まった新しい事業で、業務効率化するための生成AIの使い方などを説明しています。また、2月からは、AIアバター動画制作サービスの提供も始め、教育コンテンツ制作やニュース番組など、幅広い分野での活用を目指しています。
母体となるポータルサイト「AIツールギャラリー」の運営もしており、AIツールのメディアプラットフォームとして世界中のAIツールを掲載しています。「コンテンツ生成」「Webサイト生成」「文字起こし」「データ分析」などさまざまなカテゴリーのツールに分けています。私が実際に試したものには認証マークをつけているので、参考にしていただけたらと思います。

AIと聞くと難しそうなイメージが先行します。事業を進めるなかでどんなことが大変でしたか?

新しく始めたオンラインAI研修事業に苦戦しています。実は研修の「鮮度や賞味期限」ってかなり短いんです。AIや情報技術に関する世界のスピードがとても速いので、「どのコンテンツにどれぐらい力を入れて作っていくか」ということが、目下の課題です。最先端の情報を日々取り入れながら、AI初心者の方にもわかりやすいセミナーを日々考えています。

最先端のAI情報に追いつくだけでも目が回りそうです。どのようなときにやりがいを感じますか?

サイトに掲載したAIツールをお客さまが利用して「これができた」などご報告いただくのは何よりもうれしく、運営していてよかったなと思わせられます。また、テレビなどのメディア出演を見た方々から「見たよ!」「ワクワクしてきました」と声をかけてもらえるのもありがたいですね。とても励まされますし、やりがいにつながっています。
新しいAI技術に追いつくのも大変ですが、一番みなさまに感謝されることですし、シンプルに楽しいです。

「AIは怖くない」。AIツールと人をつないで、教科書のようなサイトを目指す

“人とAIの未来”については、メリットだけでなく「不安だ」といった声も聞かれます。その点はどのようにお考えですか?

「AIは怖くない」と伝えたいです。最新のAI情報を知るというだけでも、ものすごい財産です。SNSでもニュースでもいいので、本当の最新に触れる機会を増やしていただけるといいと思います。仕事などにも直結すると思いますし、何らかの恩恵があります。海外の情報を知ることと同じく、情報を日本から発信するということも非常に有益なことだと思っています。私はAIに対して楽観的な見方をする方だとは思いますが、仕事の相棒みたいに取り入れていますね。

これからチャレンジしたいことやビジョンを教えてください。

より多くの人とAIツールをつなぐため、今年6月に「AIツールギャラリー」を大幅にアップデートする予定です。ユーザー同士でコミュニケーションが取れるようにして、自分の学びや知見が共有できる機能を作ります。ほかにもAIツールの使い方について議論ができる場づくりを考えています。議論の場のガイド役は、AIツールが行い、人とAIのコミュニケーションが活性化されていく場を構想しています。
最先端の情報を取り入れることも大事ですが、新しいことばかりでは何のサービスをしているのかわからなくなってしまいます。なので、「AIツールギャラリー」自体がAIツールのマニュアルや教科書みたいになったらいいと思っています。

取材日:2024年5月20日 ライター:大野 佳子

AIリスキル株式会社

  • 代表者名:山原 慎也
  • 設立年月:2024年1月17日
  • 資本金:100万円
  • 事業内容:生成AIツールのポータルサイト運営、AIツールの導入支援・マーケティング支援、生成AI研修/セミナーの実施、DX推進に関するeラーニング、生成AIを活用したクリエイティブ制作
  • 所在地:〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田1-2-2大阪駅前第2ビル12-12
  • URL:https://ai-gallery.jp/

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