WEB・モバイル2024.07.10

「偶然の重なりを大切に」元バンドマンの代表が語るWeb制作の垣根を越えた事業展開

京都
有限会社京都グラフィッシュ 代表取締役
Akira Ihaya
井早 朗

京都府にある有限会社京都グラフィッシュはHP制作やシステム制作をメインに行うWeb制作会社です。代表の井早朗(いはや あきら)さんは元バンドマン。自身が行っていたバンド活動のHP制作をきっかけにWeb制作の世界に飛び込みました。それから約20年、Web制作を通してさまざまな顧客の課題解決を行いながら、フィットネス事業やEC事業も展開しています。井早さんに会社立ち上げの経緯やメイン事業以外の事業も行う経緯や理由、そして展望も伺いました。

ゼロから始めたHPづくりが仕事に。バンドマンからWeb制作の世界に

Web制作に興味を持ったきっかけを教えてください。

20代の頃、バンド活動や写真を撮ることに熱中していて、音楽や写真を仕事にしたいと思っていました。しかし、それだけでは食べていくことはできず、イベント制作会社の社員やフランス料理店の料理見習い、広告制作会社のコピーライター、イタリアンカフェの調理担当、非常勤の保育士と職を転々としながらの生活でした。
当時、バンドのチラシやCDのジャケットのデザインや制作は自身で行っていました。独学でイラストレーターやフォトショップを勉強し、徐々にデザインの面白さにひかれ、バンドのHP制作も自分で行うようになりました。それを見ていたインディーズ音楽プロデューサーがWeb制作を仕事として依頼をしてくださり、それをきっかけにWeb制作の世界に飛び込みました。

会社を設立したきっかけを教えてください。

仕事を転々としていて、「次はなんの仕事にしようか」と思っていたときにバンドがきっかけでデザインの仕事をいただくことが多くなり、「デザインで食べていけるのではないか」と思うようになりました。最初は個人としてデザインの仕事を行っていたのですが、だんだんと一部上場企業や公立の病院などから大きな仕事のお声がけをいただくことになり、クライアントに背中を押され、会社を設立しました。

なぜ京都で起業をしたのでしょうか。

大学時代を京都で過ごし、馴染みのある街でした。地域密着で仕事をしていきたいという思いとコンパクトな街なので横のつながりが強いことで仕事につながることもあると思い、京都で会社を立ちあげました。

社名に込められた思いを教えてください。

お客さまが「京都 Webデザイン」など、Web検索をしたときに検索順位で上位に表示されるように、SEOの観点で「京都」の文字を頭につけました。ただ、「京都グラフィック」だと単純すぎるかなと思って、自分が好きだった魚を文字って「グラフィッシュ」と名付けました。

「偶然の連続で今がある」フィットネスやコーヒー焙煎と幅広く事業展開する理由

現在の事業内容について教えてください。

Web制作をメインに行っており、HP制作はもちろんのことシステム制作も行っています。Web制作ディレクションからWebシステム納品までを一貫しています。依頼があれば動画や写真の撮影、ドローン撮影、ロゴ制作やチラシ作成などもワンストップで行うなど、クリエイティブ全般に対応しています。
Web制作の事業以外にもフィットネスの事業とECの事業を行っています。仕事の割合としてはWeb制作8割、それ以外が2割といったところでしょうか。

フィットネスの事業も行っているんですね。

7・8年前から始めた事業でフィットネスに関するイベントやセミナーや講座を企業向けに行ったり、健康づくりに関するコンサルティングを行っています。私自身が10年ほど前に忙しさから自律神経が乱れているとの診断を受け、自律神経を整えるトレーニングとして体幹トレーニングが良いことを知り、それをきっかけにフィットネスに関する資格を取得しました。
資格を取得した後、以前からWeb制作の支援をしていた会社から「フィットネスに関するコンサルティングをしてくれないか」と相談を受け、フィットネスの事業サービスを提供するようになりました。現在も三重県亀山市のキャンプ場でフィットネスを通じた地域活性化や観光客の集客を目指し、クライアントの支援をしたり、私個人も週末に不定期ですがインストラクターのお仕事もしています。

ECの事業についても詳しく教えてください。

以前はTシャツの販売を行っていましたが、現在はコーヒー豆の販売と衣料雑貨の販売を自社のECサイトで行っています。販売するコーヒー豆はもともと仕入れをしたものを販売していましたが、仕入れ値の高騰で「自分でやったほうが安いのではないか」と思うようになり、現在では自社で焙煎を行ったコーヒー豆を販売しています。

幅広く違ったジャンルの事業を展開する理由を伺えますでしょうか。

「事業を幅広く展開をしよう」と思っていたわけではまったくなく、偶然の重なり合いで仕事につながっていると思っています。好きなことや身の回りのことに向き合った結果が現在の多事業展開につながっているのかもしれません。すべての事業において、よりスムーズに展開するためにITとクリエイティブは必須ですので、その点では弊社はアドバンテージがあります。自分がWeb制作の世界に飛び込んだ理由がバンドマン時代のHP作成だったように「偶然」の連続で今があると思います。

「Web制作はあくまでツール」顧客の実現したい未来にコミット

御社の強みを教えてください。

業界水準よりも低い価格で高品質なものを早く制作ができることだと思っています。デザインやディレクションは値段がつけにくい部分で外注すると高い金額になることが多いため、すべて自分が行っています。デザイン以外のコーディングやプログラミングはパートナーさんに外注することもあるのですが、クライアントの予算とパートナーさんのスキルを照らし合わせているので、できるだけコストを抑えて制作することができています。

仕事をするうえで大切にされていることや心がけていることを教えてください。

デザインの考え方になるんですが、自分はWeb制作をあくまでも集客のためのツールだと考えています。奇抜なデザインや新しいデザイン、面白いデザインなども作ろうと思えば作れますが、クライアントには「検索をしたときに上位に表示されたい」や「採用に力を入れたい」など、Webサイトを作るうえで達成したい目的があるので、それを一緒に達成をすることを重要視しています。
もちろん、格好悪いデザインにはしたくないので顧客の要望とデザインのバランスを大切にしながら制作をしています。

これまで手がけられた中で特に印象に残っている事例はございますか。

「かぶとの森テラス」は三重県亀山市にあるキャンプ場でオープン前から携わらせていただいているので、とても印象に残っています。ブランディングや集客のプランニングなどの上流部分からロゴマーク、場内の看板、SNS発信など細かなところまで総合的に関わらせていただき、現在もフィットネス、クリエイティブ関連に携わらせていただいています。
結果的にオープン前からキャンセル待ちが出るくらいの集客につながり、感謝の言葉をもらったときはとても嬉しかったです。

デザインの力で地方創生を。「実践の場として焙煎所やカフェのオープンを目指す」

今後の展望を教えてください。

AIの進歩が早いので、そこに取り残されないようにしていきたいですね。積極的にAIなどの技術を取り入れて、クライアントに還元していきたいと思っています。また、現在行っているITと地方創生をかけ合わせたような事業もより広げていきたいと考えています。
具体的にはまだ検討中ではあるのですが、私の出身地である三重県の古民家の一部を改修して、自分のデザインや集客ツールを詰め込んだ実践的な場として、コーヒーの焙煎所やカフェをオープンしたいと考えています。それも自分ができる一つの地方創生かと思います。

地方創生に対する思いを教えてください。

私は地方に行くのが好きで人生を豊かにする場所だと思っています。よく旅行で地方を訪れるのですが、すごく良い場所なのになにか「もったいないな」と思うことが多々あります。その「もったいない」をデザインで少しでもより良いものにするようなお手伝いができると良いなと思っています。

取材日:2024年5月29日 ライター:國府谷 純輝

有限会社京都グラフィッシュ

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