苦杯を喫した「組織崩壊」バネに“1人1人が主役”を目指し。若手主体で広告・通販事業を展開
Web広告運用や通販支援事業を行う福岡の株式会社Anymo(エニモ)。代表の今長谷 悠大(いまはせ ゆうだい)さんは人を大切にすることをモットーに5年、通販大国と呼ばれる九州で活動してきました。若くして起業した今長谷さんがなぜそこまで“人”を大切にしようと思ったのか。この5年のなかで起こった紆余曲折や想いの根源について伺いました。
「Anymo」に込められた想い。始まりはミスチルだった
株式会社Anymo設立の経緯を教えてください
起業する前は、新卒で入社した通販会社「さくらフォレスト株式会社」で働いていました。最初はコールセンター、最後のほうはマーケティングや集客までを担当し、計5年在籍していました。
その時に他社さんとのつながりで、テレビ・ラジオ・新聞を媒体とした顧客企業を担当していたのですが、社員という枠を越えて「本格的にやってほしい」というお声もあり、2019年に独立したという形です。転職を考えていたタイミングだったことから、転職するなら独立にチャレンジしてみてもいいのかなと踏み切りました。
「Anymo」に込められた想いを教えてください
最初の3文字は、好きな曲であるMr.Childrenの「Any」から取ったんです。英語で「それぞれ」という意味があり、“人にはそれぞれの答えがある”と歌った曲なんですよね。
それと「mo」は、動きをイメージさせるモチベーション(motivation)やムーブメント(movement)などの頭2文字を取りました。
スタッフには組織の歯車になるのではなく、それぞれが考えながら行動を起こしてほしいと思っています。スタッフ1人1人が能動的に動いてもらうことで、個性が輝くような組織にしたいという気持ちからつけました。
手がける事業とは。妹と協力し、鍼灸事業も展開
事業内容を教えてください。
二つの事業を軸にしています。メインはWebの広告代理事業で基本的には医薬品の通販会社が主なお客さんになっています。
オフラインの広告だと、私たちがテレビCMの広告枠を買い付けてお客さんに売る流れが多いです。しかし、Web広告も広告枠を入札して買い付けを行うのですが、その入札はAIを用いて行ってきます。オフラインの広告と違ってAIに対しての専門知識が必要になってくるので、それに特化したような運用型広告代理店という形の広告代理事業をおこなっています。
もう一つは新規事業で鍼灸事業をおこなっています。今、3店舗あって、長崎県の佐世保市、福岡県の飯塚市と糟屋郡久山町ですね。
あと、別法人にはなるのですが、化粧品を取り扱う通販会社も経営しています。
広告と鍼灸は領域がまったく異なるように感じます。なぜ鍼灸事業をやろうと思いましたか?
妹が独立を視野に入れて鍼灸師として働いていたことから、独立の駆け出しとして弊社で事業をおこしてみようとなったことがきっかけです。いずれ別法人にしてもいいかなと思っており、形が出来るまでは一緒にやっていこうと思っています。
「組織崩壊」した苦い過去を今に生かし。そこから学んだ「なんのために会社をやるのか」
Anymoの一番の強みを教えてください
僕らの強みはやっぱり人かなと思っています。新旧含めて若いメンバーが多いことと、それぞれが決裁権を持って、自分のプロジェクトを進めていけるメンバーが揃っているので、そこは一番の強みです。
人に重きを置くようになったきっかけはありますか?
二つあります。一つは前職の組織形態に影響を受けたからです。現場に判断権や推進力があって、管理側はサポートするという形だったことから、そんな組織にしたいなというのが立ち上げの時にありました。
もう一つは1年前くらいに、組織崩壊を起こしたからです。業績が立ち行かなくなりそうな時期で、3、4人を残して、15人ほど辞めてもらったことがありました。その時に「何のために会社をやっているのか」みたいなものを自分自身や残ったメンバーで深く考えるきっかけになって、「結局やっぱ人の成長や人の可能性を引き出すための場だよね」とまとまり、そこからブレずに追い続けているような感じです。
組織が若いメンバーだけで構成されているのは何か意図されていますか?
意図してやっています。鍼灸師の部分は経験者や有資格者じゃないと厳しいですけど、広告の部分に関してはインターンか新卒の方を優先して採用するようにしています。
僕らの組織が出来上がっていない状態というか、リセットされてから1年しか経っていないということもあり、組織の地盤を固めるため、会社に対する考えがフラットな状態の方が好ましいですね。
若手でも経験し学べるワケ。これから必要なスキルは「人間力」
若手主体の採用をするうえでのリスクをどのように捉えていますか?
リスクは結構ありますね。簡単なことで言うと、お客さんに失礼があったりとか。しかしありがたいことに、大目に見てもらえることが多いです。ただ、そこで失敗して終わりなどではなく、しっかりと社員たちはお客さんに学ばせてもらっていると感じています。そちらのほうがのちのち資産となって返ってくるという気がしています。
教育に力を入れられているといった感じですか?
教育というよりも、自ら経験して学んでほしいという思いが強いです。失敗から学べることも多いと思いますし、入社して間もない社員にすぐに打ち合わせに入ってもらうこともあります。「大丈夫かな?」と覗く時もありますが(笑)。
基礎的なことは当然教えていますが、応用的なところは自分で考えたり、情報を取りに行って学んだりしてほしいと思います。わざと1から10まで教えないのはそういった気持ちからですね。
一緒に働く社員の皆さんに求めていることを教えてください
特定のスキルを高めてもらいたいというよりも人としての部分を高めてほしいと考えています。時代が変われば、業界自体も変わるため、生涯にわたって一つのスキルでは食べてはいけません。人間力を高めてほしいです。
取材日:2024年6月10日 ライター:神代 希海
株式会社Anymo
- 代表者名:今長谷 悠大
- 設立年月:2019年4月16日
- 資本金:500万円
- 事業内容:Web広告運用/D2C・EC通販支援/鍼灸事業
- 所在地:〒810-0011 福岡県福岡市中央区高砂2丁目4-2 トライアルビル8F
- URL:https://www.anymo.co.jp/
- お問い合わせ先:092-577-9770