スピード&チャレンジ精神で夢あるビジネスを。アパレル起業、設立半年で1億円を売り上げた秘策
岐阜と東京の2拠点でアパレル&グッズ製作を中心に、カフェやコワーキングスペース、街づくり、スタートアップ支援などの多彩な事業を展開している株式会社将矢(しょうや)。立ち上げ半年で売上1億円を達成した同社の代表取締役・林 伸將(はやし のぶまさ)さんは、海外を夢見るアスリート・アーティストなどの支援を行う新会社も米ラスベガスに立ち上げました。「スピード感とチャレンジ精神」が会社の強みだと話す林さんに、独立したきっかけや事業拡大の経緯、ビジョンなどをお聞きしました。
アパレル業界の経験を礎に独立を果たす。原動力は「家族の時間を作りたい」
林さんが独立されるまでのキャリアを教えてください。
高校時代にファッションの面白さにめざめ、大学を卒業してから服飾専門学校に1年通いました。その後アパレルの製造会社に就職し、そこで製造の現場から生産管理、セールスなど、アパレル業界の仕事をひととおり経験しました。
その会社に7年ほど勤め、独立しました。
独立のきっかけは何だったのでしょうか?
30代になり、その頃には妻も子どももいたので“家族の時間を作りたい”と考えての独立でした。前の職場は本当に激務で、休みもほとんどとれない状態だったんです。
立ち上げわずか半年で売上1億円を達成。秘策は「とにかく行動」
どのような形で事業展開していったのですか?
アパレル業界で身につけたノウハウを生かそうと思いつつも「こんな事業をする」と具体的に決めての独立ではなかったので、ゼロからの出発でした。
はじめに着目したのは居酒屋やスポーツチームのスタッフTシャツ。アパレル業界が狙わないけれど、衣類の需要がある場所に積極的に営業をかけ、同時進行で仕入れ先も開拓していきました。資金をためて東京に出張し、飛び込みで営業まわりをしていったんです。
その中である会社から「コンサートグッズの製作はできますか?」と相談をいただき、事業の柱ができました。独立して半年ほどで商いが1億円を突破し、税理士さんなどまわりからのアドバイスで法人化して株式会社将矢(しょうや)を2014年に立ち上げました。
創業半年で1億円!ものすごい成果ですね。何か秘策があったのでしょうか?
とにかく行動しただけですよ(笑)。私は喋りがうまいわけでもないですし、うちにしかできない商品でもありません。とにかく動いて、結果が出ただけです。
事業を通じて、豊かで伸びやかな地域をつくりたい
会社名「将矢」の由来を教えてください。
私の名前「伸將」と、岐阜にゆかりのある織田信長からとりました。戦国時代にいち早く街づくりに着手した信長は矢の名手で、その矢はまっすぐに時代を射抜いていきました。「将矢」という社名には、信長の意思を継ぎ、豊かで伸びやかな地域をつくりたいという願いが込められています。
現在はどのような事業を展開されていますか?
メイン事業は「ものづくり」です。アパレルとグッズ製作制作が事業全体の8割ほどで、顧客も東京エリアが9割以上。私も週の半分ほどは東京で仕事をしています。
岐阜を拠点に街づくりの事業も行い、コワーキングスペースやカフェの運営、スタートアップ支援も行っています。
また、15年に全日本アーティストグッズ協会を設立し、理事長に就任。アーティストやアスリートの支援も行っています。
生まれ育った岐阜を、子どもたちが自慢できる街にしたい
岐阜で街づくり事業を行う、背景となる想いを聞かせていただけますか?
「自分の子どもたちに、自身が生まれ育ったふるさとを好きになって、自慢できるようになってほしい」という気持ちからです。私も岐阜で生まれ育ったのですが、残念ながらそのような思いは抱けませんでした。岐阜を自慢できる子どもが増えていけば、街はもっと発展していくと思います。それが、街づくりに一番の効果があると私は考えています。
岐阜で会社を立ち上げ、社会的に意義のあることを考えられる余裕が私にできたのかはわかりませんが、仕事や街づくりを通して子どもたちに背中を見せて、カッコつけさせてほしいと思いながら取り組んでいます。
ラスベガスを舞台に、新ビジネスにチャレンジ。海外に挑戦しやすい環境づくりを
かなり多彩に事業を展開されている理由はありますか?
それぞれの活動をバラバラに行っているわけではなく、実はすべてがつながっているんです。コンサートグッズやユニフォームから始まり、EC事業を立ち上げ、そこからアーティストグッズを使った支援活動もスタートさせました。街づくりの事業は別のきっかけから始まったのですが、交流できる場を作っていく目的でカフェやコワーキングスペースを設けました。
また、新たな取り組みとして24年3月にラスベガスで新会社を立ち上げたんです。
その新会社で、どのようなビジネスをされているのでしょうか?
ラスベガスで立ち上げた新会社「SAMURAI Base Co」は、日本から海外にチャレンジをするアーティストやアスリートを⽀援する会社です。例えばアメリカでは、現地に住む場所がないとビザの取得が難しく、せっかくオファーをもらってもチャレンジできないといった大きな課題がありました。SAMURAI Base Coではゲストハウスを設けているほか、ビザ取得の支援を行うことで、アメリカに挑戦しやすい環境を創り出します。
また、企業の出展サポートやプロモーションのサポート、現地コーディネートなども行います。「海外進出したいけれど資金面に不安がある」という企業の力にもなれます。
今後はピスネームと言われるネームタグを使った活動にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。「ピスネーム」とは、Tシャツの袖や裾、ジーンズの後ろポケット、またバッグやポシェットなどにも縫い付けてあったりする二つ折りの小さなタグです。
ピスネームがついたウェアやタオル、バッグなどの繊維商材を活用して、グッズ売上の一部を活動資金につなげる仕組みづくりを確立し、互いに支援し合う世の中を当たり前にしていきたいと考えています。
将矢の魅力は、スピード感とチャレンジ精神。スタッフに伝える“歴史を知る大切さ”
御社の“強み”はどんなところにありますか?
0から1を生み出すスピード感だと思います。例えばSAMURAI Base Coは2月に設立することを決め、3月には実際にラスベガスまで赴いて会社を立ち上げています。さらに5月には大きな実績をカタチにしてプレスリリースを発信しています。
あとは、思ったことをカタチにするチャレンジ精神でしょうか。さまざまな事業を展開する私たちですが、個別の部署は設けていないんです。もちろん担当はありますが、すべての社員が複数のプロジェクトに携わっています。「各自のアイデアで面白いことをやっていきましょう」というスタイルなので、その時代のメンバーで各プロジェクトが発展していける体制を作っています。すべてを内製化するのではなく、さまざまな領域のスペシャリストと協業することも大切にしています。
林さんがスタッフによく伝えていることを教えてください。
「背景をしっかりと理解してから手をつける」ことです。例えば、既存のプロジェクトにアサインした場合に、プロジェクトがなぜ立ち上がったのかという歴史を理解せず、その人の感性でなんとなく手をつけてしまうと、しだいにズレが生じてしまいます。時間をかけてでも背景を理解してから手をつけることで、会社が向いている方向と同じベクトルでプロジェクトを進めることができます。
将矢から独立する人財を、どんどん輩出していきたい
展望やビジョンをお聞かせいただけますか?
会社の規模拡大や上場したいという気持ちはありませんが、その時々の時代に合わせてやりたいことをやっていきたいですね。従業員の方たちにも、いろいろな事業を立ち上げてもらい、世の中の役に立つようなことをやっていってほしいなと思っています。将矢から独立していける人がたくさん出たらいいなという気持ちを持っています。
リスクのないグッズ戦略で、夢につながるワクワクを
最後に、世の中のクリエイターにメッセージをお願いします。
将矢ではこの5月に、アパレルグッズの制作・販売を今よりずっと手軽にできるグッズ一貫代行の新サービス「Goodcierge(グッシェルジュ)」をスタートさせました。goods(グッズ)とconcierge(コンシェルジュ)を合わせた造語で、グッズの制作や販売を行う際に発生する面倒な手続きをなくし、強力にサポートするサービスです。
アーティストやアスリートのグッズ販売が割と当たり前の世の中になってきましたが、それでも「どう作ったらいいのかわからない」「在庫を持つのが怖い」「売り方がわからない」「住所などの情報がバレるのが嫌」といった不安があると思います。Goodciergeを活用することでリスクを抱えず簡単にグッズ戦略が行えますし、うまくいけば大量生産など次のステップに進むことができます。
例えばクリエイターの方も、描いたイラストをグッズ化することで認知が広がり、新たな仕事の依頼につながることもあると思います。
これからはクリエイターも自己アピールが重要になっていくと思いますので、私たちのサービスを上手に活用して、みんなで盛り上げていけるといいですね!
取材日:2024年5月13日
株式会社将矢
- 代表者名:林 伸將
- 設立年月:2014年4月
- 資本金:1,000万円
- 事業内容:オリジナルグッズの企画・製作・販売代行//各種イベントの企画・運営/ECサイト「e-monoうってーる」運営/アーティスト応援サイト「casaricoto」企画・運営/飲食事業/「Beringei café」運営/スタートアップ支援事業/アパレルブランド運営
- 所在地:〒500-8845 岐阜県岐阜市問屋町2丁目11番地
- 電話番号:058-214-2760
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