期待を超えるクリエイティブを。ブランディングで企業の思いを正しく届けるデザインパートナー
デザイン事業をメインに札幌市内3店舗の飲食店経営や、空間インテリアデザインなど、幅広く事業を展開している、札幌のコモノ株式会社。音楽の道からクリエイティブに目覚め、個人事業主からスタートし、2016年にデザイン会社を起業した代表の矢野 奨(やの しょう)さん。「最終的な目標は、北海道のクリエイターの底上げ」と語る矢野さんにこれまでの経験や現在取り組んでいる事業についてお話を伺いました。
音楽活動の延長で出会ったデザイン。プロデュースの力を生かし、個人事業主からデザイン会社を起業
立ち上げまでのキャリアを教えてください。
地元・北海道の苫小牧の高校を卒業してすぐに音楽活動を始めました。最初は演者だったのですが、演奏して歌うことから、音楽の幅を広げるため、PCを用いた音楽制作(DTM)を行いほかのアーティストのプロデュースまで領域を広げていました。
当時、サンディエゴやLAに音楽と語学を兼ねて単身留学し、レーベルにも所属してCDを全国に流通できたことはうれしかったです。
音楽活動からデザインの世界に入ったきっかけは?
海外留学中に自分のバンドのホームページを制作したことが始まりです。2000年の初期で、世の中にPCが普及し始めていたころです。DTMに夢中になった自分とバンドメンバーとの方向性にズレが生じてしまい、帰国後はプレイヤーではなくプロデュース側にまわることが増えました。
その後、音楽レーベルを立ち上げ、流通会社と提携して、自分たちが良いと思うバンドやDJたちを世に送り出しました。アルバムなどの制作、全国ツアー企画、グッズやグラフィックなどのデザイン、PR、広報など、そういった人の成功のお手伝いが自分には向いていると思いました。それがデザイン業界に参入する初めの一歩だったと思います。
個人事業主から起業にいたったきっかけを教えてください。
2010年頃、ITが進化しサブスク音楽配信サービスが普及しだしたのをきっかけに、CDが売れない時代になり、音楽ジャンルだけではできることが激減していきました。
そんな時、たまたま大阪の広告代理店勤務の知人が、Web制作やグラフィックなどデザインができる人材を探しているという話を聞き、迷わず手をあげたんです。それが私の本格的なデザイナーデビューでした。
しばらくは1人で活動していましたが、仕事の幅を広げるためにスタッフを1人入れ、16年4月法人化しました。これがコモノの誕生です。
社名に込めたのは「普遍的でありながらも唯一無二の新しいものやカタチを創出していく」という思い
いずれは会社を立ち上げたいという思いはお持ちでしたか?
まったく考えていませんでした。個人事業主を始めて約5年後、1人でこのまま事業を続けていくには限界が見え、仕事の幅を広げてクライアントの課題解決に伴走していくには圧倒的に手が足りず、必要に迫られて会社を立ち上げたという感じです。
社名にはどのような思い入れがありますか?
コモノは英語で「commono」と書くのですが、「普通・普遍的な」を意味する「common」と、「唯一・比類のない」という意味の「mono」をかけました。「新しいスタンダード」や「新しい普通」という意味です。唯一無二な新しいものをつくって世の中に浸透させていくという思いを込めて命名しました。
会社を立ち上げるにあたって札幌を選んだ理由を教えてください。
私は苫小牧出身なのですが、今では札幌の方が長く住んでいます。街も自然もあるし、人も適度に多い。最初に目指した音楽の道も、今のデザインの仕事もクリエイティブです。街も自然もほどよく揃う札幌は、モノづくりの発想にはとても適している街だと思っています。
デザインは目標達成の手段。企業が抱える本質的な課題解決をデザインの力でサポート
現在の事業内容について教えてください。
主にデザイン事業を展開していますが、中心となるのはブランディングです。簡単にいうと企業やサービスの価値を正しく伝えること。正しく世の中に広めるには、クライアントと市場を深く理解した適切なコミュニケーションが不可欠です。クライアントが目指すべき場所を十分に理解し、課題解決や目標達成に向けてサポートすることが私たちの役割です。
そのため、デザインは手段の一つであり、ブランディングは思いを正しく伝える行為。お客さまの課題を解決し、ビジネスを成功に導くために、日々努力しています。
一見、Webデザインとは別業界と思われるレストラン事業やインテリア事業を展開しているのはなぜでしょうか?
レストラン事業では、現在3店舗を展開しています。クライアント優先のデザイン事業ではできない、私たちコモノの目指す表現を存分に実現できる場でもあります。自社の表現とコミュニティ形成を重視した場としてレストラン事業を展開しています。
インテリア事業は、自社のレストランの内装デザインを見たカフェや美容室の経営者から、内装を頼まれる機会が増えたことで始めた事業です。デザインは自社で行い、施工はパートナー企業に依頼しています。インテリア事業はWebデザインを立体的にしたものだと捉えています。また、デザイン事業の打ち合わせやイベントなどコミュニティの場としても機能しています。
コンセプト考案やリレーションシップ・パートナーまで。トータルでサッカーチームをブランディング
御社の強みを教えてください。
独自の企画力とアイデアを具体的な形にする能力です。高品質なサービスに自信を持っており、クライアントが抱えるニーズや目標を的確に理解し、新たな視点から提案を行います。また、クライアント自身が気づいていないニーズや可能性に気づき、それを具体的な形にしていくことにも注力しています。
特に企画力に自信があり、事業の立ち上げから、イベントの開催や、チームの立ち上げなど、さまざまなプロジェクトに対応するために包括的なサービスをパッケージで提供できるのが大きな強みです。
これまでの代表的な事例を具体的に教えてください。
地域リーグのサッカーチーム「BTOP北海道」のブランディングプロジェクトを任されていることに誇りを持っています。チーム立ち上げ時からチーム名、ユニフォームデザイン、Webサイト、チームのコンセプト、方針など、さまざまな要素を多角的に提案し、チームに伴走しています。
また、チームのスポンサーを募集し、リレーションシップ・パートナーを見つけることも重要なタスクです。チームとして成長するためには、さまざまな要素を戦略的に設計し、営業活動や制作を行う必要があります。デザインパートナーとして、ブランディングをサポートし、デザインコンサルティングを通じて、魅力的で一貫性のあるブランドイメージを構築し、チームの目標達成に貢献しています。
常に新しい技術を身につけ、時代に合わせた新しい価値を創造されているとのことですが、工夫されていることはありますか?
普段は、スタッフ間で各個人がそれぞれの案件で得た知識や情報を、コミュニケーションツールで共有するようにしています。それ以外にも大体、週に1回持ち回りで発表する機会も設け、エンジニアやデザイナーが、自分たちの業種の垣根を越えて話し合います。今後自分たちが受けるプロジェクトや案件にどのように取り入れたら良いか、などをディスカッションしています。
目標は「北海道クリエイターの価値証明」。持続的かつ大きな舞台で活躍できるチャンスの場を創出
展望、将来のビジョンなどについて、どのようにお考えでしょうか?
北海道クリエイターの価値証明です。技術は東京のクリエイターに負けてはいないと思っています。当然一次情報が少ないので、東京に頻繁に通う必要はあります。一方で地の利(物価の安さ)を生かした戦略で価値を正当に評価される機会の創出はできると思います。
現状のわれわれの弱いところをあげるとすれば、高単価、ハイスケールな案件の経験が少ないことです。北海道でもそういった、ハイクラスの案件を受けられるようにするには、東京の企業や大手企業との横のつながりをつくったり、技術や情報の底上げしていかなければなりません。そのためのコミュニティや勉強会などの機会を皆でつくっていきたいと考えています。少しずつでも実績として積み上げていけば、業界の価値を上げることになると思うので、自社のことだけでなく、そういう活動にも注力していきたいですね。
一緒に働くクリエイターに対して、会社としてどのようなことを求めますか?
デザインは目的達成のための手段の一つであり、クライアントが持つ本質的な課題を解決していかなければなりません。企画段階できちんと本質を捉えていなければアウトプットもブレたものになってしまう。クリエイティブの定義は抽象と具体を行き来できることだと思っています。イメージを具体化する、その繰り返しです。デザインの向こう側にある目的をしっかり捉え、イメージし、形にしていくことを根底に活躍してほしいですね。
取材日:2024年6月6日 ライター:宮本 和加子
commono株式会社
- 代表者名:矢野 奨
- 設立年月:2016年4月1日
- 資本金:1,000万円
- 事業内容:デザイン事業、メディア事業、飲食事業、インテリア事業、デザインコンサルタント事業
- 所在地:〒060-0004 札幌市中央区北4条西17丁目1-11吉田ビル3階
- URL:https://commono.co.jp/
- お問い合わせ先:011-215-8660