喜怒哀楽に触れる映像制作で世界中にワクワクを。幅広い分野の映像手掛け「仕事に生き様を刻む」
テレビ番組、CM、映画などあらゆる映像制作や企画を展開している大阪の株式会社DeSIGN PLUS(デザインプラス)。伝統工芸・電気産業・福祉といった幅広い分野の映像作品を手掛けています。「“ご縁”を紡いで”琴線に触れる”映像作品を作りたい」と話す代表取締役の大野 将志(おおの まさし)さんは、あることがきっかけで会社を辞め、独立の道へと進みました。クリエイティブの秘訣、創業のきっかけや展望、そして、制作で大切にしていることをお伺いしました。
「チームで何かを成し遂げたい」。個人から全体へ視点を広げた20代
立ち上げまでのキャリアを教えてください
大学卒業後に就職したのは映像関係の会社でした。でも、2年で退職をして映像制作のフリーランスに転身しました。自分の映像を撮りたいと思ったからです。
就職先ではADや助監督を任されていたのですが、監督の発言権の弱さを目の当たりにしました。CMの場合、どうしてもスポンサー先が実質の「監督」になります。一方、映画では「監督は監督」です。そのような監督をそばで見ていて、とてももどかしかった。その葛藤があって「自分の作りたいものを作ろう」という気持ちに火がついて、映画の制作にのめり込みました。
ただ、正直に話すと私は生粋のクリエイターというよりプロデューサーの気質が強いと思っています。なので、「その場にいる人たちが気持ちよく仕事できる環境づくり」にも、すごくこだわりたい。お客さんはもちろんのこと、弊社の社員も含めて制作に関わる人たちの働きやすさを大切にしています。
「気持ちの良い環境づくり」にこだわる原動力はなんですか?
生まれ持った性分が大きいと思います。人の成長を見るのも好きで、もともとは英語の先生を目指していました。その夢があったから、現在の事業のひとつ「動画制作実践講座」が生まれたのかもしれません。
また、「個人よりもチーム」という意識が芽生え始めたのが大学のテニスサークルでの経験ですね。団体戦ならば自分の技術だけで張り合うのではなくて、チームを意識することが必要ですし、サークルとしてみんなで楽しく過ごすことも大事です。ひもづく出来事として、就職を希望していた大手制作会社の最終面接と団体戦の日が重なってしまい、選んだのは団体戦への参加でした。「チームで何かを成し遂げたい」という気持ちを無意識にも強く持っていたのだと思います。
社名に込めた「仕事に生き様を刻む」。覚悟を決めて法人化
法人化のきっかけをお聞かせください。
15年ほど前の映像業界では、フリーランスは現在より立場が弱く、大きい仕事を引き受けることも難しかったです。そのフリーランス時代に若いスタッフに映画制作を手伝ってもらっていました。そのスタッフには家族や子どもがいましたが、いざ給料を支払う段階で「金額が少ない。社会保険はない。これはまずい」と痛感しました。社会的にも体裁をきちんと整えて「本人も家族も安心して働ける状況を作りたい」という思いから覚悟を決めて法人化しました。結果論かもしれませんが、法人化したことでおさまも増えて事業規模も大きく変わったので、メリットがあったと感じています。
社名の由来を教えてください
こだわりは「DeSIGN」の“e”を小文字にしているところです。諸説ありますが、DESIGNという単語は「de」と「sign」に分けられるといわれています。「sign」には「刻印を残す」意味があります。「世の中に自分のやってきたことを刻印する。仕事に生き様を刻む」そんな思いを「DeSIGN」という言葉に込めました。フリーランス時代の屋号が「DeSIGN」だったので、法人化する時に「plus」を付け加えて現在にいたっています。
伝統工芸、電気設備、福祉と多岐にわたる映像化。「ご縁」を紡いで「琴線に触れるCM」を作る
現在の事業について教えてください。
映像・動画制作、テレビ番組制作、映像・ライブ配信、スタジオ&スナップ写真撮影、動画制作実践講座、伝統文化ブランディングなどを行っています。
イベントや展示会で使用するための動画や、企業ホームページに掲載したり、営業ツールとしてタブレットで使用したりする動画などを企画からワンストップで制作します。
テレビ番組制作はフリーランス時代からなので20年近く取り組んでいる中心事業です。情報番組やドキュメンタリーなど、ジャンルを問わず制作しています。
映像制作の分野が伝統工芸・メーカー・福祉と幅広く取り扱っていますね
幅広い分野の映像作品を作れるというのが弊社の特長だと思います。さらに実写の作品が多いのも強みです。担当者さんをはじめとした多くの方に出演いただいて作品を撮っていきます。ストーリーをきっちりと作って、明確に差別化をする。長年のテレビ制作で培ってきたノウハウを生かした作品づくりになっていると思います。
大切にしているのは、お客さまと一緒に考えて作っていくこと。そして「伝わるものを作りたい」と思っています。「喜怒哀楽や琴線に触れるようなCMを作る」。それこそが、私たちが得意としていて、やりたいことです。
伝統文化ブランディングは珍しい分野に感じました。具体的に教えていただけますか?
制作関係者に伝統工芸や伝統芸能に詳しいコーディネーターがいたのが事業のきっかけです。職人さんとやり取りする中で見えてきたのが伝統文化を継承する難しさでした。そこで、伝統文化の価値や魅力を動画で発信することで、職人さんや伝統文化を応援できればと取り掛かりました。当時はNFT(偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ)を施すことでクリエイターにもお金が入る仕様でしたが、現在は内容が変わっています。伝統文化の魅力を伝えていくことと事業として継続していくことのどちらもが重要だと強く実感した取り組みでした。
「みんなで世の中を良くしていけたらいい」。ロゴの“水引”にかけた思い
仕事をするうえで、「こだわり」や「大切にしていること」はありますか?
“ご縁”を大切にしています。会社ロゴのモチーフである“水引”にはこの思いを込めています。ご縁でいただいた仕事に誠心誠意で取り組んで、お客さまとwin-winの関係でやっていくことが素晴らしい形だと感じますし、つながったご縁は、そこからどんどん大きくなっていくものだと信じています。だからお客さま、パートナー企業さま、スタッフ、そして関わる人たちを絶対にないがしろにしない。その根底には、みんなで世の中を良くしていけたらいいなという思いがあるからですね。
「ご縁を大切にする」とは、具体的にどうすることだと捉えていますか?
お客さまとしっかり話し合って作っていく。独りよがりにならない。お客さまが不安や不快にならないようにする。先手先手を打って関わっていく。そういった小さくて見えない部分から丁寧に関わり、「気を配って、真剣に考えてくれている」と安心していただきながら、作品づくりを進めていくことを大事にしています。
「デザインプラスといえばテレビCMや映画を作る会社」。作品を通じて世界中に感動を刻み込む
チームのみなさんにはどんな気持ちで仕事をしてほしいですか
手前味噌ではありますが、長年一緒に仕事をしているスタッフから「この十何年間が僕の人生で一番楽しい時間です」と言ってもらえました。うれしかったし、やりがいを感じましたね。なので、自社や私と関わることで、そんな風に感じてもらえる人がたくさん増えたらいいなぁと思っています。
私たちの経営理念は「圧倒的クリエイティブで、世界中に、ワクワクを。」を掲げています。クリエイティブには二つの意味があって、ひとつは「作品がクリエイティブであること」。常にいいものを作っていこう、という意味です。もうひとつは「いろいろなことを考えること」。お客さんと接するときに「どういう対応をしていくのか」と深く考えながら、柔軟に仕事をすることで「世の中にワクワクを生み出していこう!」という気持ちを込めています。何よりも、自分たちがワクワクしていないとワクワクって発信できません。「自分たちも、関わる人たちもみんなが楽しめること」を大事にしています。
今後の展望をお願いします
「テレビCMや映画を作る会社」といえば「デザインプラス」と言われるような組織になっていきたいです。私たちの業界の中で一番クリエイティブなのが、やはりテレビCMだと思っています。「依頼されて作る」ではなく、「まずは自分たちで営業をしてテレビCMを作っていこう」というスタンスを展望に掲げています。
ゆくゆくは、私たちの作品を見てくださった方から「デザインプラスはこんなに良い作品を作ってくれるんだ。ぜひお願いしたい」と声をかけてもらえるような会社になっていきたいですね。「デザインプラスってテレビCMや映画を作っている会社だね」ともっと広く社会に知ってもらえるようになる。そのためにも、日々取り組んでいる作品づくりに尽力していきたいです。
取材日:2024年6月25日 ライター:大野 佳子
株式会社 DeSIGN PLUS
- 代表者名:大野 将志
- 設立年月:2012年10月1日
- 資本金:200万円
- 事業内容:動画コンテンツ制作、ビデオ撮影、写真撮影、日本伝統文化ブランディング
- 所在地:〒565-0821 大阪府吹田市山田東4-1-1-709
- URL:https://www.design-plus.org/
- お問い合わせ先:https://www.design-plus.org/contact.php