IT未経験でも挑戦したい人が挑戦できる会社に。ITエンジニアを育成して目指す未来とは?
株式会社YUIT(ユイティー)は、SES(システムエンジニアリングサービス)事業とWebエンジニア育成事業を主軸に、2023年12月に誕生したばかりの会社。人と人の結びつきを意味する「結(ゆい)」という沖縄の言葉と「IT」を掛け合わせた社名の通り、エンジニア同士が助け合い、成長できる環境を整え、ITの力で沖縄の発展に貢献することをミッションに掲げています。代表取締役の盛島 加菜(もりしま かな)さんは、青年海外協力隊員を経験したこともある強い精神力の持ち主。「やり抜き、やり切る力をもつエンジニアを育成したい」と熱く語る盛島さんに、会社設立にいたった経緯から展望までを伺いました。
体育教師としてウガンダへ派遣された青年海外協力隊員がIT起業家へ。沖縄を選んだワケ
会社設立までのキャリアを教えてください。
保健体育の教師を目指し、琉球大学から大学院に進学しました。しかし生まれてからずっと沖縄にいるので、社会に出る前に一度外の世界を知りたいと思い、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊に参加しました。アフリカのウガンダへ体育の先生として派遣され、コロナ禍での強制帰国時期を挟み、2年の任期を全うしました。
帰国後は教師になろうと考えていたものの、一度一般企業に勤めてみたいと就職活動を始めました。その際、未経験からでも挑戦できる東京のIT企業に出会い、エンジニアとして採用されました。そこでの経験がいまにつながっています。
中々に波乱万丈のキャリアですが、なぜ起業することに?
その会社はSESが主な事業で、エンジニアとしてゼロから勉強させてもらえる環境が整っていました。私と同じような未経験の同僚も多く、切磋琢磨しながら技術を習得できることがとにかく楽しかったのです。できなかったことができるようになることは何にも代えがたい喜びでした。
とてもいい職場で充実した日々を送っていたのですが、ふと故郷の沖縄のことを考えたときに、このような「挑戦できる場」が少ないことに気付きました。また、地方の優秀な人材が首都圏に集中してしまっている偏りも感じました。沖縄でこの状況を何とか改善したい、やる気があれば誰でもエンジニアを目指せるような環境を作りたいと、YUITを設立しました。
「働きながら学べる」組織を作り、「信頼される」ITエンジニアを輩出することがミッション
現在の事業内容は、以前の会社と同じくSESが主軸ですか?
そうです。弊社で育成したエンジニアを客先常駐(所属する会社ではなく、クライアントの会社や現場に出向いて作業する働き方)という形で、技術力や専門スキルを提供するというビジネススタイルです。ただ、弊社には未経験で入社したエンジニアがほとんどなので、まだ育成途中にあり、ハイスキルが求められる案件にアサインできる段階ではありません。入社後はエンジニアリングの技術がそこまで必要とされないコールセンター業務などに就いてもらいながら、カリキュラムを進めていきます。
カリキュラムとは、どのようなものなのでしょうか?
「NARAYUN(ナラユン)」という弊社独自のWebエンジニア育成事業で、ITを基礎から学べるカリキュラムを開発しました。バックエンドとフロントエンドの両方学ぶことができ、それぞれ8カ月程度で習得できる内容です。とはいえ8カ月というのはあくまで目安で、社員一人一人に私のエンジニア仲間を専属トレーナーとしてつけていて、各々のペースに則ってスキルアップを図れるような体制を敷いています。
事業を始めて半年程度なので、まだ売上的には満足できるレベルではありませんが、未来への投資と考えてこのような体制にしました。社員がエンジニアとして実力をつけていければ、自ずと会社全体の売上も本人の給与もあがるはずなので、社員一丸となって頑張っている最中です。
ある程度技術が身に付いた社員さんは、他企業への転職も有利になってくると思われます。懸念はありませんか?
その懸念はもちろんありますが、会社として社員のスキルアップが目指せる環境を常に追及していきたいと考えています。成長とメンバーのつながりを感じられるような会社にしていきます。
本人の更なる挑戦(転職)は全力で応援したいですし、卒業してもどこかで一緒に仕事ができるとうれしいですね。沖縄の有能なIT人材を育成できたという証拠でもあり、弊社のビジョンにもつながっています。
「信頼されるITエンジニアを輩出し沖縄の新たな可能性に貢献する」というビジョンですね。
そうです。全国的にIT人材不足が叫ばれている昨今、まずは沖縄から人材を育て、ユーザーが求めるサービスを開発していけるようになりたい、という思いを強く持っています。そのためには、クライアントから、ひいてはユーザーから「信頼される」エンジニアを育成する必要があり、そのための会社でありたいのです。
多くのエンジニアが最初に学んだ場所が「ユイティー」であり、「ナラユン」というカリキュラムを受講したということが少しでも広まれば、これほどうれしいことはありません。
これまでの人生を支えてくれた沖縄の「ゆいまーる」精神。カリキュラムで育みたい人間力とは?
盛島さんが考える「信頼されるエンジニア」とは、どのような人でしょうか?
人間力とスキルの両方を備えたエンジニアだと思います。せっかく苦労してある程度の技術を身に付けたとしても、私の経験上、2年程度で辞めてしまうエンジニアが多い印象があります。その理由として、当初考えていたよりも泥臭い業務が多いことに耐えられないからではないか、と感じました。とくに新人の頃は、自分の好きな仕事ばかりできるわけではありませんし、地味な業務ばかりです。
そこを踏ん張って、与えられた目の前の仕事を120%の力でやり切り、乗り越えてこそ、人間的に大きい、信頼されるエンジニアになれるはずです。「ナラユン」は、技術の習得だけでなく、エンジニアとしての粘り強さも育めるカリキュラムにしたいですし、1on1ミーティングなどを通して直接伝えるよう心がけています。私自身もまだ成長途中にあると思っているので、「一緒に頑張ろう」と助け合い、日々試行錯誤していければと思っています。
実はユイティーという社名は、「助け合う」という意味の「結」という沖縄の言葉と、「IT」を組み合わせて名付けました。私のこれまでのキャリアは、本当に多くの人と出会い、助けられ、ゆいまーるの精神があったからこそ築けたものです。弊社のエンジニアにも、ゆいまーる精神を持って、関わるすべての人を幸せにするために技術力も人間力も高めてほしいと願っています。
沖縄の社会問題の解決、経済発展の一翼を担う会社へ。ユイティーはいまが「チャンス」?
展望を教えてください。
「IT未経験でも挑戦したい人が挑戦できる会社」として、もっと知名度も規模も大きくしたいと思っています。ナラユンというカリキュラムをスタートさせて間もないですが、今後より内容を充実させ、エンジニアのスキルを伸ばすことに注力していきたいです。それを続けていくことで、さまざまなクライアントから信頼され、求められる人材を輩出していけるはずです。規模の大きい案件を受託することも可能になりますし、比例して売上も上がり、社員一人一人へ還元することもできるようになります。
沖縄は首都圏に比べて賃金が低いことが社会問題にもなっていますが、沖縄にいながら首都圏レベルの賃金を支払えるような会社になりたいですね。それが叶えば、沖縄の経済発展の一翼を担えたといえるのではないでしょうか。
もう一つ、いまアイデアベースで考えていることが、シングルマザーの方々の就労支援です。沖縄の社会問題の一つに、シングルマザー率が高いことがあげられますが、弊社の事業を利用することで、少しでもその問題を解決できるかもしれません。
頑張れば未経験でも技術を身に付けられるのがITの魅力だと思います。同じ目標を持った仲間とともに学ぶことで、励まし合いながらより多くのエンジニアを育成し、輩出していきたいです。
最後に、どんな人材に参画してほしいですか?
働きながら学ぶということは決して簡単なことではありません。気合いや根性が必要とは思いませんが、ある程度の覚悟とやる気は必須です。その気持ちを持っている方であれば、どんな方でも参画していただきたいですね。
また、弊社は24年が1期目ということもあり、これから一緒に会社を作っていける、育てていけるというおもしろさもあると思います。若い会社ゆえ、まだ整っていない部分も多いですが、それさえも楽しみながら、会社を作る喜びを共有できればうれしいです。
創業間もない会社に入社することはチャンスでもあります。今後リーダーなどのポジションになれる可能性は高いですし、自分の努力が会社の成長に直結する時期を過ごせます。そのようなチャレンジングな環境にやりがいを感じていただける方に、ぜひ仲間になってもらいたいですね。
取材日:2024年7月19日 ライター:仲濱 淳
株式会社YUIT
- 代表者名:盛島 加菜
- 設立年月:2023年12月
- 資本金:900万円
- 事業内容:SES事業、NARAYUN(エンジニア育成事業)
- 所在地:〒902-0067 沖縄県那覇市安里381-1 ZORKS沖縄 8F
- URL:https://yuit-inc.jp/